北の道34   Wi-Fi ゲットだぜ Lourenza

6/17 1時間早く出発したおばちゃん二人から遅れて7時7分に出発。テントの女性陣はまだピクリとも動き出さないようだ。テント持ってればどこでも寝られるので究極のマイペースで歩ける。なので何時まで寝ていてもオーケーなのだろう。羨ましいかと言えばバックパックが重たくなるのは御免だ。

 昨日から北の道は海沿いを離れて内陸に入っている。もう海を見るのはフィステラへ行くまでない。なだらかな上り下りをずっと繰り返すが舗装路なので歩きやすい。次の村に教会があった。教会の周りにはだいたいベンチがある筈なのでここで朝飯にしようと前に回るとちゃんとあった。ミニクロワッサン風の安いパンをもそもそ食べる。これはほんのり甘いので割とお気に入り。時々買っては持ち歩いている。いっぱい入って1ユーロ。

 3時間歩いた所で反対方向からやって来る女性巡礼がいた。小さいカートの上にバックパックを積んで引っ張っている。そこは分岐を過ぎたとこだったので「カミーノはどっち?」と尋ねられる。「どこへ行くの?」と聞いたら「フランス」とだけ答えニッコリ笑って行ってしまった。凄いね、これから北の道をさかのぼってフランスかよ。こっからスペイン国内だけでも700キロはあるだろう。それからフランスの何処まで歩くのか知らないが逞しい女性もいたもんだ。逆歩きは矢印も道標も本当に分かりづらいので迷うことだらけだし精神的に強くないとやってらんない。

 おばちゃん達には3時間後に追いつく。二人は歩くのは早いんだけど道草が多い。ちょっと珍しいものがあるとすぐカメラを出している。トラクターや牛なんか撮って面白いのかな?次の村にバルがあったので三人して小休止。いつもバルではコラカオを頼んでいる。牛乳たっぷりなのでコーヒーより体力回復にいいかと思って。ラッフィーは相変わらずスペイン語で店の人とあれこれ喋り続けているがフランス語だけのファンスは加われない。その後は暫く一緒に歩き、森の中でユーカリの植林をしている地元の人がいたらラッフィーがまた呆れるほどお喋りをしている。そろそろ真面目に歩きたくなった私はロウレンサ手前で二人が遅れたのをこれ幸いとぶっちぎる。ロウレンサのアルベルゲには一番乗りかと思ったが先着が一人いた。

 シャワー・洗濯してからスーパー探し。途中、スペインのおっちゃん巡礼がいたので話しかけてみたが、ここには泊まらずに食事するところを探していただけだった。スーパーではカット野菜、玉ねぎ、ソーセージにトマト、チョコパン、1リットルビールで6ユーロと少し。今日はスープを作るのだ。たまに暖かい物が食べたくなるとスープを作っているが、いつかフライパンを使った料理をやってみたい。アルベルゲに戻るとおばちゃん達が到着していて1階の女性ばかりが入っている小部屋に落ち着いた。スープを二人のおばちゃんにも食べさせようと多めに作ってみたが、二人は外食するそうなのでがっくし。

 その後はリバデオを出発したと思われる人たちが続々と到着して来て私のベッドルームは満杯状態になった。3年前に泊まった部屋には鍵が掛かっていたので取りあえずこっちの部屋が満杯になるまで開けないのだろう。ベッドにあぶれた人たちに、オスピタレロがくれば別の部屋を開けてくれるだろうと伝えてみる。そのオスピタレラは3時半にやってきて、予想どおりもう一部屋を開けてくれた。お昼だけ食べて次へ行くと言ってたおっちゃんも結局ここに泊まることにしたらしくやって来たな。

 私の上段ベッドの青年が外のベンチに座って足に出来たマメの処置をしている。傷バンが欲しいと言うので一枚上げたが、見たら思いのほか酷いので更に2枚をあげてみる。地元の人らしきおじさんがやって来て、これからマメの処置をしてくれるらしい。どんなことをするんだろうと見ていると、お湯を沸かして塩をぶち込んで足を浸すようだ。兄ちゃんは「熱い熱い」と贅沢を言っている。おじさんは Wi-Fi がどうとか言い出したので、ガリシアの糞 Wi-Fi の事を言っているのだとピンと来る。すぐベッドルームからタブレットを持ってくると手帳に記してあるパスワードを入れ出した。こいつは助かった。あとでも使えるように写真を撮っておこうとカメラを出したら、それは駄目だそうだ。でもこれ一回登録しておくとガリシア州の公営アルベルゲではどこでも自動的に使えるようになるので非常にありがたい。昨年も親切なセニョーラがやってくれたが、有効期限があるらしく今年は使えなくて不便していたのだ。おじさんムチャグラシアス~。

 おばちゃん二人の夕飯はスーパーで買ってきたもので済ますそうだ。私のために赤ワインを買ってきてくれたようで「どうだこれ」と見せている。二人は少ししか飲まないので私が殆ど飲ませてもらうことになった。二人してバケツ野菜をシェアしたり、二人なら経済的に済ませられる面もありそうだな。二人とも体が小さいので多く食べなくても済みそうだし。

 私たちの意思疎通だけど、二人は英語は話せないのでラッフィーがスペイン語で話しかけてくるのを知ってる単語だけ拾って想像で理解している。こちらが言うことも同じ。ファンスとは殆ど身振りで会話している。それでも明日はgondanアルベルゲに泊まろうと約束する。距離的にアルベルゲはそこっきゃないし。おばちゃん二人は6時出発、私は7時出発で追いつく手筈。


北の道35へつづく