何ちゃって遍路旅4 遍路ころがし再び 10月23日(日) 遍路8日目 19番立江寺の宿坊で迎える朝。朝のお勤めはなかった。部屋はご覧のように、ごく普通の和室でした。寺だから洋室もないもんですけどね。6時半、朝御飯はまた食堂で一緒に食べるスタイルだが夫婦以外の我々三人は昨晩同様、一人ひとテーブルでコロナスタイル。家ではご飯のお代わりはしませんが、毎日歩いているのでおひつがある時は必ずお代わりします。炭水化物は歩くための重要なエネルギーですから。 食後は宿坊の大きな玄関でこれからの宿の作戦タイムに時間を掛ける。ホント、遍路って宿の予約に凄くエネルギーを要する。サンチャゴ巡礼では毎日飛び込みで泊まれてたので、四国遍路も気ままに歩いて気ままに泊まれると想像してたけどまったく違う。のんびりと8時半出発。 11時半、道端のローソンにイートインがあったのでコーラを飲んで小休止。群馬からやってくると徳島が思いの外暑いので、少しでもバックパックを軽くしたいから衣類を送り返すことにする。トレーナー、長袖ポロシャツに半袖Tシャツと方位磁石に手袋もいらないから送り返すことにする。合計でも1キロに満たないが気分的に軽くなったしバックパックの体積も減ったので、これに慣れるまでは快適。もし必要になったら何でも買えるのが日本を旅するよいところ。送るための段ボールか丈夫な紙袋が用意されてるかと思ったが、無いようなのでへろへろのレジ袋のまま送ることにする。途中で破けて無くなったとしても惜しくない物ばかりだし、もし無くなったら金の斧銀の斧みたいな可能性もなきにしもあらず。店員さんはメジャーで縦横を計っていて、重さより袋のサイズで送料は決まるようなので覚えておこう。980円。 Y子さんは地図マニアなのか、ずーっと地図を片手に歩いている。分岐で何を思ったのか地図と睨めっこをしてる間に、K子さんは遙か先に行ってしまい既に姿は見えなくなった。しかしこっちの道の方が面白そうだからK子さんを呼び戻すそうだ。えーっ!?私なら折角先に進んだ人を呼び戻すセンスはないので驚いたが、こういうのやるのは平気らしい。時々顔を覗かせていたので気づいていたが、マウントを取りたがる人のようだ。 幹線道路を離れて行った先は竹藪が続いていた。こっちも遍路道になっているのか、あとから男性遍路がやって来たな。 また舗装路に戻った民家の前で突っ立ったまま三人で協議していたら、玄関の扉が開いて家の人が顔を出してきた。まぁ私以外の二人は遍路の白衣を着ているのですぐ分かるのだろう、奥からミカンの袋を持ってきて「お接待です」と渡してくれる。もちろんありがたく戴きました。この旅二回目のお接待かな。 13時、ひなの里かつうらと言う道の駅には屋根付き囲い付きのお遍路休憩所があったので中に入って一休み。ここには座布団が数枚積み上げられていたので、野宿遍路さんには天国だな。道の駅なので水もトイレもあるし。おじさんの歩き遍路がやって来たのでお喋りができる。山登りの手前で一泊入れる我々と違ってこのまま鶴林寺を目指して行くらしい。お昼タイムを過ぎていたので私は道の駅のとんこつラーメンを食べることにする550円。道の駅なので期待してなかった分、うまく感じる。 遍路小屋に戻って、今後の宿決めを長時間かけて協議する。二人とも携帯持ってるので(持ってない私が異常の時代)とりあえず数日の宿が予約できたので安心。ソロの女性歩き遍路がやって来たので、この小屋に寄ってかないかなと期待したが、道の駅に寄っただけで行ってしまった。 今晩の民宿は、Y子さんは早めの予約だったので二食付くが、後から予約した私とK子さんは素泊まりだった。宿手前のコンビニで今晩と明日朝の食料を買い出しして、民宿金子屋へ。見たところ立派な建物なのに、ここんちの主人は商売不熱心で、Y子さんが予約電話を入れた時に「その時間ならうちなんか泊まらずに先に行ける」と勧めたそうだ。できれば泊めたくない雰囲気がぷんぷんだったらしい。だからか、遅れて予約した我々の食事はなしの素泊まりになったと言うわけ。少しでも手を抜きたいようだ。 風呂は大きいのがあっても小さな風呂のみしか用意しないので、全員が順番で入ることになった。それでも風呂に入れて部屋があてがわれたので満足だ。コンビニで買ってきたビールと弁当で夕飯。弁当は小さいのを二つ買ってみました。やっぱり歩いているから腹が減ります。 暫くしたら誰かが隣の部屋に通されたのが分かった。広島のK子さんが到着したのかな?それにしては早すぎる。あとで1階に降りていくと食堂から聞き覚えのある話し声がするので入っていくとやっぱり広島のK子さんだった。Y子さんと夕飯が食べ終わってお喋りの真っ最中。K子さんは徳島のドミトリーを夜中の3時から歩き始めて真っ暗の国道をひたすら歩いて来たそうだ。もの凄いことしたもんだと舌を巻く。やっぱり49才って無理が利くんだな。お陰で顔が日焼けでこんがりになっていた。チビクロサンボみたい(ふるっ)。二日前に見たときは普通の顔だったのに、人間って短時間でこんなに日に焼けるものなんだ。数年後大丈夫かな?宿に入ってから大阪のK子さんの姿を一度も見なかったのでバタンキューなのか、大分お疲れのようだ。 明日は鶴林寺と大龍寺の第二遍路ころがしステージです。登って降りてまた登るようです。頑張らねば。 10月24日(日) 遍路9日目 相変わらずレム何とかで寝たり目覚めたりを繰り返している。年のせいなのか、暫く前から夜はこの状態になった。以前は眠りが浅くなる時間なんか物ともせずに朝までぐっすりだったが、やっぱり寝続けるには体力がいるってことなんか。 5時前に隣の扉が開いた音がするので広島のK子さんが出発するようだが、聞き耳を立ててたようで気が引けるからお見送りはしないでおく。K子さんは今日も長距離を歩くらしく、我々が歩く二日分を行くようだ。私同様、寝袋まで持ってきているが、まぁ女性の野宿は止めといた方がいいだろう。K子さんの遍路は、あと数日を歩いたら広島に帰ると言うことなので頑張れるだけ頑張る積もりらしい。 昨日コンビニで仕入れておいたサンドイッチ、みかんに羊羮(マリアナに上げた残り)で朝飯にする。階下に降りていくとYさんがウロチョロしていて、朝食の時間なのに宿の主人の姿がなくて、朝食の用意がされてないとのことで炊飯器のご飯さえ炊かれていない。結局、頼んでいた時間を過ぎてやっと主人がやってきたが、既に出発の時間になっているので朝食はなしで、その分は宿賃から引いて貰うことになったようだ。まったくやる気の無い主人だ。この宿大丈夫か? 6時45出発。コンビニが割りと近いので、朝ご飯を食いぱぐれたYさんには都合が良かった。我々二人もお昼用におむすびを2個仕入れる。今日は山を二つ越えるのでシャリバテにならないように気を付けよう。 コンビニを後に歩き出すとすぐ山道の登りになった。でも朝のうちは元気に歩いていられるから大丈夫。他の宿に泊まったと思われる数人の歩き遍路さんが追い越して行った。大阪のK子さんはずっとマメが気がかりだが、今日も頑張って歩いている。 大分上った所から見る下界の眺めが最高だった。もうこんなに上がって来たんだなぁ。綺麗な景色を見るのが大好きなので、こういうのを見ると疲れが吹っ飛ぶ(少しだけ)。四国って内陸に入ると山が深くて大きな川がいっぱいある印象だ。 鶴林寺までは普通の山道だったので、特に問題なくやってこれた。寺の名前からして鶴と関係がある寺なのは分かるが、いちいちその謂われを気にする程でもない。どうせ何かの拍子に鶴が舞い降りたとかの話なんだろう。でも珍しいので寺には不似合いな鶴の写真だけは撮っておく。パチリ 下りが凄い急だったが注意して降りるので平気。下り終えると山村になって、ここには憧れていた小学校跡地の野宿ポイントがあった。たくさんの遍路ブログで泊まったことが紹介されていた小学校で、ブログで読んだとおり風避けになるコンクリートとすのこがそのままあった。トイレも離れた所にあり、ちゃんと水洗だった。もちろん水もあるので野宿遍路の聖地みたいな所だ。来る前はここに泊まる可能性が高いと思っていたが、今日の宿は取ってあるし時間も昼間だし泊まることはありませぬ。 14時、太竜寺到着~。鶴林寺の登り降りで体力を削られたのか、ここまでは大変だった。おまけに山門から先がまた長い寺だったんだよね。大阪のK子さんは細身で体が軽いからか登りに強く、ちょっぴりメタボのYさんは登りに弱い。私は二人の中間くらい。登りではこの順序が如実に現れて、長い列になって上って行きます。列と言っても三人とも姿が見えないほど間隔が空きます。 太竜寺って言うくらいだから竜と関係のある寺らしい。どんな謂われがあるのか興味が沸くが、いちいち調べるほど暇人じゃないのでそのまま(実は暇人、めんどくさいだけ)。 この寺には他の寺では見かけなかったユニークな商売(商売?)があった。赤いのぼり旗に名前を入れて寺に立てられるサービス。その値段1本5000万円なり(大阪の言い方)。寺の隅々に立っているので百本近くあるんじゃなかろうか。ちゃっちい旗なので制作費は千円以内だろうか、1本の儲けが4000円として40万円だよ、良い商売だね。濡れ手で泡?阿波の国だけに?ニセ遍路なのであちこちで悪態ついてますが聞き流してください。 16時半、今晩の宿ほたるの宿到着~。人の良さそうなオーナーが出迎えてくれて和む。三人ともヘロヘロ状態だが、二人は1階の部屋だが1階には二部屋しかないので男の私は当然ながら階段上った二階の部屋に。今晩の宿泊者は我々だけらしく、二階は私が独占だ。部屋は和室だが、珍しくベッドが置かれていた。足腰が痛い人には寝起きが楽だろうとのオーナーの心遣いかも知れない。洗濯乾燥は無料とのことなので、さっさと洗濯機を回す。お風呂はここでも順番に入ることになったが、Yさん、私、K子さんの順になった。K子さんはいつも長湯なので、その方が気兼ねなくていいそうだ。 18時から夕飯。宿から道一本隔てた所にスナックがあって、同じオーナーの経営、その名も「遍路カフェ」とな。名前が示すとおり、このオーナーは遍路にとても優しいです。夕飯はそっちに移動して食べるそうだ。数軒しかない集落なので、浴衣で歩いても問題ない。 豚カツがメインで、おでん、枝豆、サラダに酢の物にフルーツと、脈絡のない料理が並んでいるが山の中なので海鮮と言う訳には行かないだろう。みんなオーナー夫妻の心のこもった手料理だ。私はスーパードライを3本戴くが、二人は1本ずつだったな。オーナー夫妻も話に加わり楽しい夕食になった。 何ちゃって遍路旅5へ続く |