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何ちゃって遍路旅5 さざん~かの~宿~
10月25日(火) 遍路9日目 山の民宿ほたるの宿
朝食まで時間があるので1階を探検すると、民宿には似つかわしくない会議室らしきものがあり、タダの民宿ではなさそうでした。大きなマッサージ器や色んな高そうな物まで並んでいるし、元々はどういう家だったんだろうと興味が沸きました。
7時からの朝食は夕食同様、道を挟んだ「遍路カフェ」まで足を運びます。和洋混合のご飯です。昨晩同様、フルーツまでありました。今朝もお代わりして元気いっぱい腹一杯。チェックインで昨晩言われたとおり、出発時にはおむすび2個を持たせてくれて、これはお昼のお弁当。缶ビール3本飲んで宿賃7700円だった。洗濯乾燥は自由に使えたしありがたい宿だった。やっぱり遍路を大事にしてくれる宿って一般の宿にはないホスピタリティーがあるんだなぁ。
今日は本当のショートコースだが、宿の位置で長くなったり短くなるのは仕方のないところ。一日に40キロ50キロも歩けないので、20キロ前後の所に宿を取るしかない。
道端の遍路休憩所で相談しています。こういうのがたまにあって休めます。宿の予約はいつもYさんを頼っているので、今日は業を煮やしたのかYさんK子さんに「K子さんのお遍路なんだから、人に頼ってばかりじゃなくて自分で探さないとダメですよ」と強い口調で言われてる。子供みたいに叱られたK子さんシュンとするも、仕方ないので自分でも探し出した。私はどっちみち携帯がないのでK子さんと一緒に探すことにする。何日も先の宿を探しているが、室戸岬から33キロ先のホテル奈半利と言うのに決める。K子さん大阪のおばちゃんらしく「ガイドブックより高いですけど?」と遠慮なく聞くところはさすがだ。どうも10月からの旅割り開始と合わせて10月から便乗値上げをしたようだ。ズルイ。できればそんなホテルは御免だが、そうも言ってられないのが辛いところ。その日はYさんとは別の宿になった。
人里離れた所にこのような前衛的なデザインの遍路休憩所がありました。二階建てなのかと思ったけど、居住スペースは一階だけなので、無駄に高くしているだけのようです。二人して休んでいると遅れたYさんも到着してきました。ばらけて歩くとどうしてもYさんは遅れ気味になります。セブンで買った乾燥梅を上げると気に入ったようで、私も買いますとK子さん。
本日最後のお寺は白水山医王院平等寺と言うかっこいい名前。今までの寺も色んな格調高い名前が付いていたんだろけど一般的には単純に平等寺と略した名前で通っているんでしょう。境内にはテントで商売しているコーヒーショップがあったり、一緒に小物を売ってたりしているので珍しいタイプだなぁ。
今日のお宿は平等寺のすぐ隣りにある山茶花の宿さん。ここもお遍路専門の宿です。14時前と早い到着なので、こういう日は疲れが取れる気がする。共同スペース兼食堂にはたくさんの品物が広げられており予備のマスクが欲しかったのでお金を払おうとしたら、何でも自由にお接待だそうです。私はマスクの他に非常食用にリッツのビスケット1袋(1箱じゃないよ)貰いました。
女性二人は狭めの個室でしたが、私は20畳はあろうかと思われる大広間に通されました。この大広間はふたつあり、もうひとつにはやっぱり男性遍路が通されてました。後にも先にもこんなに広い部屋に一人で寝たのは初めてでした。こんな広い部屋なのにちゃんとテーブルにはお茶の用意がされてるので、お茶を飲むのも広すぎて何かむずむずするようでした。右のカーテンの奥には舞台があるので、元々はヘルスセンターででもあったんだろうか?そう言えば左側がもうひとつの20畳の部屋なので、もしかして元は40畳のでかい部屋だったのを間に仕切の壁を作って二部屋にしたのかも知れない。
もう片方の部屋に通された男性は定年退職したばかりの60歳らしい。3年後にサンチャゴ巡礼に行くと自分から言い出したので私のHPを教えてあげたらせっせと見だしてる。メールで質問してもいいですかと言うので、サンチャゴ巡礼には必ず持参している裏にメルアドなどが書かれたマリアカードを進呈しました。
食事は全員が食堂兼リビングで一緒に食べるが、一人ずつ透明のアクリル板で仕切ってあって、コロナ対策をしっかりしていました。扇風機が何台もあるのは換気のためかな?
おかみさんは遅れた上に道に迷った予約者を迎えに車で出ていったが、ほどなく連れ帰ると年配のアメリカ男性だった。日本語はなんとか喋れるようだが、やっぱり日本人のようには行かないから迷いやすいだろね。ご苦労様です。
10月26日 遍路10日目
山茶~花の~宿です。二十畳の大部屋に私ひとりで寝て快適でした。ゴキが一匹いたけど私はゴキは怖くないので見逃してやりました。たまに出るのか部屋には殺虫剤スプレーが備えてあったので、ゴキは予測の範囲内らしいです。昨日のほたるの宿もそうだったけど、ここ山茶花の宿も本当に遍路を応援しているんだなーと感じました。おかみさんのホスピタリティーに脱帽です。
5時前に起きて行動開始。パッキングと足の手当てを済ませ、6時になったので朝飯を食べようと食堂に行くと、すでに全員がスタンバイしていました。皆さん今日も早いですね。おかずが一杯あるので、ご飯のお代わりしなくても腹一杯。昨日の宿と同様、お昼用におむすび弁当を貰えました。おかみさんは無口だけど本当に遍路を応援してくれているのが伝わりました。末永く山茶花の宿を続けて歩き遍路の後押しを続けて貰いたいです。四国遍路の道を守っているのは寺ではなく、地域のこうした人たちだと強く思う今日このごろです。
7時前に出発して、暫く歩いた所に広い舗装道路を横断する箇所があり交通量も結構あります。轢かれないように注意して渡った先には「走行注意 この先お遍路さん横断あり」の看板がありました。余りにタイミングが良かったのでワハハと笑いながらみんなして写真を撮りました。「鹿横断注意」の看板はたまに見るけど、人間のは初めて見ました。
幹線道路を歩くとこのようなトンネルがしばしばあります。ここはガードレールが付いた歩道があるから安心だけど、無いトンネルの方が多いです。更に、明かりがないトンネルは怖いこと怖いこと。後ろからグアーッと迫ってくる車の爆音が恐怖です。こういうトンネルでは認識しやすい白衣は少し役に立ってる気がします。
今朝同じ宿を出発した人達が途中の「お遍路休憩所」で一緒になりました。アメリカからやって来たおじさんとか、全員が山茶花の宿で一緒でした。おじさんの菅笠が洒落ていて、私のみたいな円錐形じゃなくて丸みが付いた高級ぽいやつでした。墨の文字はないし、あっちの方が良かったな。来年フランセスを予定している人の菅笠はアゴヒモがちゃんとしたベルト状だった。私のは安っぽい只の紐なのでもっと吟味して買えば良かったかも。
この遍路小屋にはビニール袋に入れられた毛布が積まれていたので、泊まることもできそうだった。て言うより野宿遍路のための小屋なのがハッキリ分かった。四国遍路の宿代は民宿でも平均7000円と高額なので、歩きで全て廻るには大金が必要です。お金がない人はどうしても野宿で廻らなくてはならない訳です。サンチャゴ巡礼みたいに公共の宿は数百円で泊まれれば歩き遍路は今の十倍に増えるんじゃなかろうか。そのため、お遍路さんが安く泊まれるように「お遍路ハウス88」と言うプロジェクトがありますが、私はネットからこれに数回申し込んで見ましたが、どれも返信がなかったので、既に撤退した宿が幾つもあるようでした。
2時半に23番薬王寺に到着。金持ってそうな寺です。この寺も高台にあって、石段をえっちら登る必要がありました。いま登ってきた方を眺めると海が見えてます。東北地震のあの恐ろしい津波の経験から、太平洋側の海沿いはどこでも「ここは海抜○m」と書かれたプレートがそこかしこにありました。この町も海から津波が押し寄せたらヒト飲みにされちゃうだろなと容易に想像できるので怖い。
お参りを済ませて3時過ぎには今晩の宿「壱TheHostel」に到着しました。このくらいに到着できるのが理想だ。バーも備えたとてもアメリカチックな宿で若いオーナーの手作り感満載の宿でした。バーと宿泊棟は別になっていて、キッチンには調理のための色んな道具が備わっていて、天井には大きな流木が横たわっていました。オーナーは相当な凝り性のようです。上の写真、薄暗いのと相まって気味悪く見えますが、実際にはオシャレなキッチンです。
ただし、今日は一部屋に三人が詰め込まれました。ベッドが二つに一段高くなった中二階にベッドがひとつ。当然私は上のベッドになりましたとさ。梯子を登るのがめんどい。三人一部屋だけど宿代は一人3667円だった。これは高いのか安いのか?私のベッドだけは確実に高い。
シャワーもあるけど近くに日帰り温泉があるので全員でそっちに行きました。湯上がりには近くの道の駅で一杯やろうと思ったが今日は休みだった。仕方ないので目の前のファミマでビールのロング缶を買って道端に座ってぐびぐび。食事は予約が取りづらいと噂のレストランを予約してくれてあるので一人で探したがまったく見つけることができなかった。近くのガソリンスタンドで尋ねても分からなかったので、有名でもないのかな?遅れて温泉から出てきたYさんと一緒に探すと、これが前にも見ていた家だった。オープン時間にならないと店の表示を出さないらしく普通の民家と同じ外観。それじゃ見つからない筈だよ。
入ると既にK子さんは席に付いていた。ボーッとしてるようだが中々やるなK子さん(失礼^^)。料理はさすが予約が取りづらいと評判の店で、久しぶりにこんな高級ポイ料理を食べた気になった。日本酒をオーダーしたらお猪口はどれにしますかと十個ほどを見せてくれました。美味しく食べて宿代とほぼ同じの3350円のお支払いだが納得の料理でした。
上品で愛想の良いおかみさんはハセキョー似の美人さんなので一緒に写真を撮らせて貰うとマスクを外して入ってくれるサービスぶりでした。ごちそうさまでした。写真見て気づいたけど、K子さんが着ているのは私のと同じモンベルのストームクルーザーですね。K子さんもカッパをジャケット代わりにしていたのか。
宿に戻ると昨日から連泊していると言う男性がいて、この人も歩き遍路でした。来年、ルピュイからサンチャゴまで歩くと言うので二人で盛り上がる。名前とメルアドまで書いてくれたので、こちらからもマリアカードを進呈してみる。マリアカード、たまーにこうして活躍してくれます。
明日からは室戸岬へ向かって四日間ひたすら歩くだけのステージが始まります。今日お参りした第23番札所 薬王寺から55号をひたすら室戸岬へ向かうだけです。第24番札所 最御崎寺までは凡そ81キロもあって、途中に寺はありませぬ。元気な人なら3日、我々は4日掛けて室戸岬まで到達する計画で、既に3日分の宿は予約済みであります。四国に来る前からこの行程を心配していて、宿がなかったら道端で野宿だと覚悟していたが、実際に来てみるとなんとかなるもんです。
何ちゃって遍路旅6へ続く
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