何ちゃって遍路旅6  恐ろしいクーポン券情報


10月27日(木) 遍路11日目
壱TheHostel 7時40出発。三人して55号を離れて川沿いの遠回りルートを選択。田舎道なので車の往来が少ないのがグーです。

民家から顔を出したおばちゃんに呼び止められると、お接待だとプラケースに入った緑のきな粉餅を一個ずつもらいました。次に休める所があったら戴きましょう。


暫く歩いた山村に材木を横倒しにしてあった広場があったので腰掛けて休むことができた。もらったきな粉餅をパクパク。その後はまた55号に合流して交通量の多い道をひたすら歩く。


室戸岬まで72キロの看板があったので、K子さんにお願いしてタブレットで撮ってもらう。たまにタブレットで撮るのはフェイスブックで応援してくれてる人たちに見せるためです。タブレットはバックパックの中なので、いちいち出すのが面倒だからここぞと言う場面でなければ撮りません。それに比べてデジカメは常にウェストバッグにあるので頻繁に撮るのはデジカメです。デジカメで撮った写真は送信できません。


歩いていると珍しい動物がいた。猫かと思ったがタヌキだ!すぐ近くには民家があって、ここは畑の中。畑の農作物でも食べに出て来たんだろうか。カメラを取り出す間も逃げなかったので撮れたが、後ろからやって来た二人に教えた時には姿を消していて見せられなかった。残念。


ここにも立派な遍路休憩所があった。車がビュンビュン走っている道路脇だが大きな屋根があるしテーブルにトイレもあるので野宿遍路には打って付けだろう。ただ目隠しになる戸が一切ないので人目が気になる人には不向きかな。また歩いていくとコインレストがあったのでおむすび休憩を挟んで次のローソンでは缶ビールを戴く。缶ビールと言っても私が飲むのは必ず発泡酒か第三のビールと決まってます。知ってると思うけど。


二人より百メートルほど前を歩いていると珍しくK子さんが走ってやって来た。K子さんが走っている姿が面白いので写真を撮ってみたが、なんとYさんからの伝言で百メートル後ろに交通量の少ない道があるからそっちを歩こうだってよ。自分より7才も年上の人を良くパシリに使うな、自分が来いよ。前にも先に行ってしまったK子さんを引き返させたし、またかいと思ったが波風を立てたくないので付き合う。この後も私がこっちは三角形の二辺を歩くのでこっちの方が短いよと提案したルートに聞く耳を持たず、自分のルートを変える積もりがまったくない。マウント根性が続いたのでムッとしたが、やっぱり今後も一緒の旅が続くことを考えると波風は立てないで大人の対応をしておこうかね。


3時50、今晩の宿サーフィン内妻到着~。名前からしてサーファー御用達の宿と思ってたので、今時の若者が一杯いて遍路の我々は浮いてしまうかと懸念したが、今晩の泊まりは我々三人だけだった。施設はそうとう年期が入ってるが今回2回目の旅割りが使える宿です。チェックインと同時に500円のクーポン券を6枚貰えました。クーポン券は県によって千円券と500円券になるようだ。使い勝手の良いのは勿論500円券のほう。


部屋の大きな窓を空けると海岸が目の前なので、サーフィン内妻の名前が良く分かりました。ちなみに内妻(うちづま)は地名です。トイレはウォシュレットどころか和式のみなので、どのくらい古いかが分かると思います。しかし洗濯機は無料で洗剤もあったのでポイントを少し挽回しました。


夕飯は18時からで、海のそばなので魚が主体でした。魚には日本酒と決めているので燗酒をコップでもらいました。熱燗をコップで出してくれる店はなかなか無いので場末の酒場みたいで新鮮です。


10月28日(金) 遍路12日目

朝食6時半。魚の干物と生卵とか、ほぼ予想どおりです。美味しく戴いて今日も元気にスタート。宿代は旅割り40%引いてもらって4200円。クーポン券3000円貰っているので実質1200円で泊まれました。ありがたいねー旅割り、これからも宜しく。

クーポン券もらったのはこれでやっと二回目で、最初はみんなで居酒屋に行ったのでその日の晩に使い果たしましたが、今回は翌日まで持ち越すことになりました。ここで知らなかった恐ろしいクーポン券情報を教えてもらう。来る前はクーポン券と言うのはもらった県内ならいつでも使えて1万円くらい溜まったら良い物が買えると思っていたが、実はクーポン券発行した日と翌日でしか使えなかったのだ!!つまり二日後まで持ち越すと紙切れになってしまうという事実にギョッとする。加えて、クーポン券が使える店も限られているとのこと。これは偉いことを知ってしまった。特に、行けども行けども海岸線ばかりのこの区間でクーポン券が使える店が都合良く登場するとは思えないので、これは運に頼るしかなさそうだ。

おば様方は歩くのが私より若干遅いので、今日からは遅くスタートして追い付くスタイルにしてみる。二人からは15分遅れで7時40スタート。宿の玄関を出ると洗濯物を干しているおかみさんが愛想良く挨拶してくれる。そりゃ昨日は我々しか泊まらなかったんだから、貴重な客だったのかもね。きっと誰も泊まらない日が頻繁にある気がする。これからも頑張ってねと声をかけたくなるようだ。


久しぶりの一人歩きなのでマイペースでぐいぐい歩いていられる。二本スティックで軽快に歩くとサンチャゴ巡礼では毎日こんな風に歩けていたことを思い出した。二人には30分ほどで追い付いてしまったので、もっと間を空けて出発した方が良いようだ。

幹線道路から離れて漁村へ向かう分岐があったので、地図好きのYさんが「こっちの方が面白い」と提案するも、K子さんは聞こえているのかいないのか、最短距離で歩ける幹線道路をすたすたと歩き出した。もしかしてK子さんもマウントYさんに腹を立てているのかなぁ?


K子さんの足が痛そうなので私のスティックとK子さんの金剛杖を交換してみる。スティックで体を押し出す使い方を教えると幾らか楽に歩けるようだが、面倒になったのか暫く歩いてからまた交換になりました。私的にはこれなしに長距離を歩くのは考えられない程重宝しているスティックだが、使い慣れないと煩わしいのかなぁ?人の足なのでどの位具合が悪いのか分からないので判断のしようがないが、これ以上悪くならなくちゃ良いが。


Yさん情報だとこの先にクーポン券が使えるレストランがあるとのこと。それに大いに期待しよう。さて歩いた先には件のレストランが登場する。その名もズバリ「めしや」とな。名前から田舎の定食屋を想像していたが、サーファーが集いそうな洒落た店じゃないか。「めしや」の上にオーシャンハウスなんて書かれているよ。


ここんちの名物と言う「とんてき定食」と生中で1730円。とんてきと言うひょうきんなネーミングが面白かったが、なんてことない豚肉のステーキだった。それと生中。500円のクーポン券3枚と現金230円追加して1,730円支払う。歩いている途中で時々ビールを飲んでいる私に「良くビール飲んで歩けますの(大阪弁のイントネーションで)」と言うけど、そうなのかな?才能?こちらからは「良くビール飲まずに歩けるね?」と言いそうになったがアル中ぽいので止めといた。

二人から少し遅れてスタート。道端にサファリハットが落ちているのを見つける。あれ?と思って拾い上げるとアゴ紐を調節するプラスチックが潰れている。それで捨てたのか、あるいは誰か落とした後に車に引かれて潰れたのか分からないが、ちょうど菅笠が頭に合わなくて痛かったので拾っておく。後々これがヒットして、菅笠は被らずにこればっかり利用するようになりました。拾っといて良かった。

徳島県最後のセブンでお買い物。これを逃すと1500円分のクーポン券が紙屑になります。良かったぁ最後に使えるコンビニがあって。普段は高くて買わない菊水舟口しぼり缶、広島のK子さんに教わった乾燥梅、オロナミンC、飲むヨーグルト、爪切りでクーポン券3枚と現金6円足してお買い物終了。


国境の長いトンネルを抜けると高知県の看板が目に入る。やった徳島県の寺を歩ききって、とうとう高知県だ。トンネルを出たところで三人で休んでいたら軽トラックが止まった。降りて来た人は今晩予約しているS宿(故あって仮名)の人だった。お遍路さん三人なので、もしかしたら予約の人かと思って声を掛けてくれたとのこと。軽トラなので荷台にバックパックを積んであげようと思ったそうだが、一人は乗せられるので足の具合が思わしくないK子さんを乗せてもらうことにしました。自分は水のタンクを背負っているので、Yさんのリュックのみ運んでもらう。

もう宿は近いかと思ったが、そこからかなりの距離があったので、足を痛めているK子さんには天の助けだったと思う。20分ほど歩いてS宿がある集落に入ったが、さあこれからが分からない。似たようなサーファー向けの宿がいっぱいあるけど案内板が不明瞭であっちへ行ったりこっちへ行ったりを15分ほど繰り返して地元の人に教わってやっと辿りつく。もう4時近い。


チェックインでは「皆さん健康そうだから」と、ワクチン証明も身分証提示もスルーだった(これが故あっての理由。ルール違反でしょ?)。こっちの方が我々としても簡単でありがたい。今回三度目の旅割りで3000円のクーポン券ゲットだぜ。次は何はともあれシャワーだが、建物内の風呂は順番待ちらしいので外にある移動式トイレみたいな簡易シャワーを使ってみると、これが途中から水に変わると言う非力なシャワーだった。狭くて寒い。


部屋はいかにもサーファー御用達と言う感じだったが、デスクもコンセントもあるしまずまずかな。セブンで買ってきた菊水をチビチビ飲みながら日記をつける。


夕飯は外のテラスで自ら焼くバーベキューだった。三人分の肉や野菜を持ってきてはいお仕舞い。宿の人は手間要らずだな。コールドビヤー700円だそうだが、一杯頼んでみる。ブラスチックのコップで供される高いビール。2杯目には自販機のバドワイザー300円を買う。最初からこっちにすりゃ良かった。

写真からも分かるとおり、この宿のロケーションは海が目の前で抜群だった。外にはシャワーも備わっているし、サーフィンやる人に取っては最高の宿だろう。

K子さんの足が腫れて悪化していた。どうも過去に私もやったことのある疲労骨折の気がする。近くの医院をいろいろ検索しているが、診察すれば必ずもう歩くなと言われるだけで、さしたる治療は無いはずだ。だったら医者に掛かるのは時間の無駄でしかないので、明日は歩かずにここでゆっくり過ごし、バスで次の宿まで移動するのがベストだろう。協議した結果それに決定。

何ちゃって遍路旅7へ続く