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何ちゃって遍路旅10 ほなさいならK子さん
11月4日(金) 遍路19日目 高知のドミトリー ENホステル&バー
K子さんの足が良くならないので弱気になっているが、バスの区間を盛んに調べているので歩く気にはなっているようだ。バックパック内の重いのは自分が持つから寄こしなと、一番重たいズタ袋と化粧道具のポーチをこちらのバックパックに入れてみたけど、結局気持ちが萎えてしまったようで、今日・明日と予約してある宿をキャンセルしてしまった。遍路はここまでで終わりにして、大阪に帰ることに決めたようだ。まぁ無理をしてこれ以上悪くしない方がいいだろう。K子さんの気持ちを尊重する以外ない。
K子さんとは12日間もチーム形成していたのでちょっぴり寂しい。K子さんはフェイスブックもやってないので今後の連絡のしようがないから、これで永遠の別れになった。もう一人のYさんも事情があって一端帰らなくてはなりません。残された私一人どうすんの?まぁ元々が一人旅と思って始めた遍路だが、初日から19日間もずーっと旅の仲間に恵まれてたので寂しさもひとしおというわけですよ。
橋の欄干に土佐犬と尻尾が長い鶏のオブジェがあったので思い出しました。そうだ高知って土佐犬で有名だったんだ。でも土佐犬がそのへんを散歩されてる訳もないので見たことはありませんでしたが。
これからは一人旅が続きます。気を取り直してまず竹林寺へ向かいました。竹林寺と言うくらいだから竹藪が名物なんだろうが、そこは有料らしいので入る気にならない。竹藪なんか見てもねー。そうこうしている内にYさんがやって来ました。K子さんはこうこうこうで大阪に帰って行ったよと伝える。YさんもK子さんもスマホを持っているので連絡は取れるらしい。スマホも携帯も持ってない時代遅れの私は二人とは連絡が取れません。
次は32番禅師峰寺(ぜんじぶじ)を目指します。禅師峰寺はここから一端山を下って、向こうに見える山を越えた海側にあるようです。高知市には遍路が巡る寺が集中してあるので回り順を間違うと余計に歩かなくてはならないので、なるべく効率良く歩けるルートを設定しました。まぁそう思ってチェックしたら寺の順番通りに歩けばそれで問題ないかな。
この寺に参拝するには遍路道(山道)と舗装された自動車道があるので、まぁ折角なので遍路道を上がって行きましょうかい。寺に着いても相変わらず適当な参拝しかできないが、帰りは自動車道を降りてみました。やっぱり自動車道の方が数倍楽チン。ちょうど二つの道が交差する地点でYさんがやって来ました。両方の道を体験していたので披露すると、自動車道を行くと即決しました。まぁどっちを行ってもお参りしたことに変わりはないので好きにしてくらはい。
この後はしばらく寺は出てこないので桂浜を目指してまっしぐらです。殆どの寺は山の上にあるので、登ってしまえば綺麗な景色が見られるのが唯一の慰めです。これからあそこに見えている海岸線を歩いて桂浜を目指します。
歩いていると道端でヒッチハイクをしている女性がいたので「止まる車ある?」と冷やかしてみました。この子はヒッチハイクするくらいだから愛想が良くていい気晴らしができました。室戸岬と大きく書いた紙を掲げているので、え?室戸岬ってこっちなの?と私の方向感覚とは逆だった。お嬢さん(かな?)もお遍路さんと話ができて良かったと喜んでいることだし、ニセ遍路だよとは言わないでおく。一緒に写真を撮ったら女の子も自分のスマホで盛んに撮って、こんなオッサンと5枚も撮っていたので、私にそんな価値あるかなと思った。50mくらい歩いてからボードを掲げている所を撮ってやろうとカメラを向けると、遠くから嬉しそうに両手を振ってくれている。まったく愛想のよい子だ。まぁそうでなくちゃ見ず知らずの車にゃ乗れないんだろう。ミッツ・マングローブに良く似た子でした。
テレビの番組では良く登場するヒッチハイクだが、実際には滅多に目にすることはありません。車に乗っているときに信州と北海道で二人見ただけです。我が家はワンボックスに小さな子供を含めた家族全員が乗っていたので、信州の駐車場で声を掛けてきた女の子は安全な車を見極めて声を掛けているようでした。子供達は知らない人が乗り込んできたので、彼女が降りてから「緊張したーっ」と漏らしていました。子供ってそんなものなのかな?人慣れした私からしたら意外でした。
そろそろ休みたいなと思ってた所にローソンがあったので、お気に入りの飲むヨーグルトを買ってイートインコーナーでラスクと一緒にエネルギー充填する。四国のコンビニはイートインを設けている所が多いので便利です。
ずっと歩き続けた先にはなんだか物凄い橋が出てきました。桂浜のある半島に渡る橋で、歩行者分が60cmほどの幅しかなくて車道の反対側は高い金網フェンスなので逃げ場がありません。その10cm隣をトラックが唸りを上げて通りすぎて行きます。写真を撮ったときは車が途切れた時を狙って撮りましたが、車が隣を走っていると怖くてカメラを構えられません。そう言えば桂浜に行くには恐ろしい橋があると聞いていたが、これのことだったのかと思い出しました。こんな恐ろしい橋なのに、おまけに頂上付近は緩いカーブになっているので更に怖い。まるでジェットコースターの線路上を歩いている感覚になりました。こんな危険な橋ではきっと時々死人が出ている気がする。何とかしろ高知県。
一ヶ所だけ1mほどの幅に膨らんでた所があったので、怖いけどフェイスブックで見せようとザックからタブレットを引っ張り出して写真を撮っておきました。考えたら普通はこんな危険な橋は歩行者と自転車は通行禁止にすると思うけど、怖いながらも歩くことが出来たので良かった。
恐怖の橋を渡り終えてしばらく行くと「龍馬記念館」の案内板があったので矢印に従って山を登っていく。すぐあるかと思ったが、これは城跡への道だった。登り終えた所に分岐があっても龍馬記念館の表示がないので勘で行くしかなかったが、何となく歩いていくと大きな建物群が現れて一目で記念館と分かりましたた。こんな辺鄙な所には龍馬記念館以外の建物がある筈ありません。
チケット売場のお姉さんに表示が分かりにくくて困ったと言ったら恐縮してたが、文句を言った訳じゃないからね。だからでもないんだろうが、バックパックはここで預かってくれるそうだ。肝心の展示物は本当に龍馬の物なの?と言うような物ばかりでイマイチだった。年代物のピストルさえ、龍馬が持っていたのと同年代のピストルですと紹介されてたし。そんなの何処にでもあるだろ。入館料700円は勿体なかった気がした。でもここまで来て入らない訳にはいかんじゃろう。
桂浜が分かりづらくて、近くまで行けばもっと大々的に道案内があるかと思ったよ。道に迷ったのが分かったので地元の人に聞いてやっと桂浜の近くまでやってこられる。駐車場の奥が桂浜なのは想像ついたので大きな駐車場をぐんぐん歩いていくと向こうに桂浜が見られる地点でフェンスで通行止めになっているとはどー言うことだ桂浜。フェンスの向こう側は歩道になっているので、もしかして入場料が必要なのかと思ったが、ここも端金が惜しくて行かない訳にはいかなかろう。フェンスを辿って入り口までたどり着くと何てことないただ入りづらいだけの入り口だった。なんで駐車場から直接入るようにしてくれないのかなと不思議だった。
まぁ桂浜は超有名でも、砂浜は砂浜なので桂浜が良く紹介されてるポイントで写真を撮ればそれで満足です。わざわざ砂浜を歩いて先まで行かなくていいです。ここに有名な龍馬像があるのを忘れてたことに後で気づく。やっちまった。
さて、此処までいっぱい歩いたので疲れてきました。時間もそろそろ夕方が近くなっているが、予約した宿まではまだかなりあります。バスセンターに行ってみると宿方面に行くバスがあるらしいので利用することにしました。バス路線表をみると、次に参拝する雪渓寺に近い長浜町を通過するバスを発見。これにしましょう。20分待って乗り込むと、長浜までは結構乗りでがあったので、バスにして良かった。お陰で5時前に今晩の宿「民宿高知屋」に到着できました。
二食付きで7150円ほどだが旅割りはなし。すぐ風呂に入らせて貰ってからビールを求めて町内をふらつく(宿で飲むと高いから)。酒屋の前にビールの自販機があったが、この辺りの酒自販機と言うのは身分証の提示が必要だった。自販機のくせに生意気だな。免許証を機械に入れれば良いはずだが、反応しないので諦める。酒屋は残念ながら休みなので店からは買えない。でも少し歩いた先にスーパーがあったので、無事に500ml缶をゲットして店先のベンチでぐびぐび。これでやっと落ちつきました。でもアル中ではないので勘違いしないように。
5時55に戻るとすぐ夕食の時間になった。食堂に行くと隣の男性は8日前に壱TheHostelで一緒になったFさんだった。この人はサンチャゴ巡礼を目指している人だったので話が弾んで楽しい。明日の宿も私が予約しているビジネスホテル土佐だって。そこのホテルにバックパックを置いて身軽になって寺を往復すると言うので自分もそのコースを真似ることにする。
今日は一人旅になった気楽さがあったけど、同時に一人になったのでモチベーションが駄々下がりだった。一緒に歩く人がいると言うのは大きかったんだなぁと今更ながら気づく。こんなことしてないで、熊野古道へ行ってしまった方が前向きになれるんじゃないかなとか、色々考えながら歩いた1日だった。熊野古道は数年前に友達三人と挑戦したけど想像よりずっとしんどかったので予定した行程を全部歩けなかった嫌な思い出があります。そのリベンジをしたかった。でも、Fさんと会ったことで少しだけモチベーションが戻った気がした。少しだけ。余り先まで考えないで今のこの時をフレキシブルに考えた方が良いだろう。
Fさんが予約した明日以降の宿をメモさせてもらう。民宿潮風、福家旅館、岩本寺宿坊と、明日を含めて四日分を予約済みだった。私は取り合えず明日のビジネスホテルしか予約できてない。何日も先まで予約完了していればテンションも上がるか知れないが、取り合えずネットが使える時に考えよう。四国遍路の協会が発行している詳細なガイドブックを大阪に帰るK子さんから貰っていたが、重いので捨ててしまったことを今頃後悔してる。あれには沢山の宿が網羅されてたので。いつも宿予約で利用しているhotels. comやbookingcomは遍路道沿いにある小さな宿までは網羅してないので使い物にならない。
11月5日(土) 遍路20日目 民宿高知屋
朝早く朝食をいただいて7時20出発。昨晩頂いた熱燗は450円とのこと。宿の目の前が33番雪渓寺なので、ごにょごにょとお参りしてからスタートする。
34番種間寺には8時50に到着。フリースの上にカッパを着て歩いていたので中がびしょびしょになった。門前に自販機とベンチがあったのでTシャツを着替えると一時だけ爽やかになる。着替えは着ている他に1枚しかないので今晩の着替えはどうするのかな?送り返したシャツに未練はないが、もう一枚Tシャツが欲しい。サンチャゴ巡礼なら洗濯物をリュックに下げて乾かす人は珍しくないが、ここでそんなことやってる人はいない。コンビニで買おうか?
ここでのんびりしてたら地元の小父さんがやって来て長いお喋りに花が咲きました。何を喋ったのか一向に覚えてないので他愛もないことを言ってたんだろけど結構楽しかった記憶だけは残っています。
途中Fさんと連れだって歩くが、長身のFさんの歩調の方が早いことが分かったので先に行って貰う。やっぱりスピードがかなり違って、みるみる引き離されていく。
そろそろ予約したビジネスホテルが近づいたと思ったが、GPSの地図を見てるのにも関わらず迷ってしまう。こんなことなら頑張ってFさんを追い続ければ良かったかな。それでもビジネスホテル土佐を見つけることが出来てバックパックも置かせて貰うことに成功する。ロビーのソファにはFさんのと思われるバックパックが既に転がっていた。
さて、身軽になったところで歩き出したは良いが、次の清滝寺へ行かなければならないのに、清滝寺を青龍寺と勘違いしていたので、地元の人に「しょうりゅじ」と言って教わるので目的の寺に行ける筈がない。町外れに青龍寺の案内を見つけて「これで合ってる」と確信してしまうアホさ加減。看板には11キロと書かれている時点で気がつけば良いのに、判断力が鈍っているのか元々こうなのか、思い込みとは恐ろしい。清滝寺までは3キロほどなのに、5キロ歩いても着かないのでおっかしいなぁと思い、やっとタブレットのGPSで確認したら、まったくの逆方向へ歩いていた事が判明する。がびーんも良いところだ。うんざりしてても事態は好転しないので仕方なしに今歩いてきた道を戻るしかない。遍路歩きに疑問を持ち出していたところにこれでトドメを刺された気になった。
もうすっかり気持ちが萎えてしまったので、明日は高知に戻って二泊することを考え出す。仕切り直しと言うか、その間に遍路を続行するか熊野古道に行ってしまおうか考えよう。ホテル前に戻ると目の前にバス停があったので、明日のバスの時間をチェックしているとアメリカはニューメキシコからやって来たポールがやって来たので声をかける。ポールは山茶花の宿で一緒になったりその後も2回ほど会っているので顔馴染みになっている。ポールも私を覚えていたので話を聞いてみると、やっぱり同じビジネスホテルに予約してあるそうだ。バックパックを置けるよと受け付けに連れていく。ポールは私と違ってちゃんと清滝寺まで行くそうだ。外国人なのに、このモチベーションはどこから来るのか聞いてみたい。
取り合えず腹が空いているので近くのコンビニで500ml缶ビールとおむすび2個にサラダを買ってイートインコーナーで食べさせてもらう。ホテルのチェックインは2時半なので、それまでロビーのwi-fiを使って高知の安宿をHotels.comで検索する。ホテルエリアワン高知、11月6日から8日の二泊を予約する。二泊で朝食が付いても10682円。高知の街中でビジネスホテルとしたら安い方だ。奈半利のビジネスは食事なしで7000円も取りやがって。
高知県のお知らせでは旅割りキャンペーン対象宿だが、きっと品切の気がするので期待しないでおこう。今日のビジホもそうだったし。二日前に泊まった高知のドミトリーのすぐ近くでドミトリーと値段はたいして違わないのにちゃんとした個室らしく、朝食も付いている。探せばちゃんとあるじゃんね。ドミは遍路協会の紹介宿で探したが、今回はhotels.
comで見つけた。都市部では遍路協会のガイドブックが一番正しいとは言えないのが分かりました。
さて、チェックインが出来たので部屋に荷物を置いたら買い出し。近くに業務スーパーがあったので行ってみました。マスクを忘れたのでタオルで口を隠してコソコソと偽装する。マスク、相変わらず面倒だな。350ml缶ビール、酎ハイ、ハイボールと鶏肉のスパイシー何トカに好物のポテトサラダ。パン2個にミカン一袋と大量買いする。
ホテルに戻ってシャワーしながら洗濯をいっぱいする。いつものようにボディーシャンプーを振り撒いて足でふんづける洗濯法です。ここまでは楽チンだが、手で洗濯するので大変なのは絞るとき。頭の血管が切れる勢いで力一杯絞らないとなりません。その後はホテルのタオルを全て動員しての巻き取り絞りで大凡の水気を取ってから乾燥はいつものようにエアコンに頼ります。これでほぼ完璧に乾きます。持っているシャツを二枚とも洗濯しちゃったので素肌に浴衣で凌いでます。
飲み食いしていたらフロントからの電話でYさんが到着してきたことを知らせて来た。近くの居酒屋を誘われるが、既にこちらは一人宴会の最中だよ。Yさんはこの付近を二日ほど歩いてから高知市内に戻るそうで、キャンセルと予約で忙しそう。白内障手術の後の定期検診があるので、一旦地元に戻らないとならないそうだ。Yさんは私より先に予約したので、同じホテルなのに40%オフとクーポン券を貰えてます。この差はアハハでは済みませんがな。
貴重な五本指靴下が限界を超えていました。勿体ないけどこれ以上履き続けると足に悪い影響が出そうなので暇を出しました。スペインじゃ五本指靴下は手に入らないけど、ここは日本なのでコンビニでも買えるんじゃないかな・
ポールが清滝寺から戻ってきたので、名前を書いてとお願いしたらメルアドまで書いてくれたな。外国人のこういった遍路に対するモチベーションはどこから来るのだろうと不思議だ。
何ちゃって遍路旅11に続く
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