何ちゃって四国遍路旅13   遍路再開

11月10日 遍路24日目 高松のビジネスホテル
また寝汗をかくが昨日よりは増しだった。中々良くならんなぁ。パッキングを済ませてから朝食を食べに2階へ降りて行く。ご馳走とは縁遠いお総菜ばかりが並んだ朝ご飯だが、これだけ色々食べられて色んな栄養が摂れるなら700円なら安い。

出発の時に「4、5日後にこの近くを遍路で通過するので、またお世話になるかも知れません」とお愛想を言ってみる。ここは遍路の通り道になっているのでと言ってみたが、ホテルの男性は「あぁまぁ、、、」と分かってないようで生返事をしている。四国の人が誰しも遍路道を知ってる訳でもないもんなぁ。また泊まりたいと言うのはあちらもお愛想で言ってるなと思ってるだろうが、これは現実になることを私自身も今は知らない。

部屋から丸亀への電話代に70円を請求された。実はホテルから外部へ電話したのは昨日が初めてで、携帯持っていない私は数日後の宿予約がしたくてフロントに電話を貸して欲しいとお願いしたところ、外線なら部屋の電話機からゼロを最初に回せば掛けられると教わりました。やってみたら本当に掛けられたので、これなら携帯持っていないデメリットが大分解消されたと喜んだのでした。今さらの話ですけど。


8:41 栗林公園駅から琴電に乗って高松築港駅で降りるとすぐ隣が高松城だったので、へーと思った。こんなに簡単に来られるのなら後で来たときに見物しても良い気になる。JR高松駅の方向が分からないので、通勤途中の人を捕まえて教わりました。


高松って来てみたら大都市だった。駅周辺も建築に失敗したようなユニークなビルが沢山あって近未来都市みたいだった。JRの駅自体も下の写真のように駅舎がニコニコマークになってるよ。これ見て思い出したけど、テレビで見たあことある駅でした。受け狙いが功を奏してニュースにでもなったのか?でもこれは良いアイデアだ。金も掛からんし見る人をニヤッと幸せな気持ちにさせられる。


JRの駅構内に入って行くが路線が複雑でどの切符を買えば良いのか分からないので駅員のお嬢さんに教わる。教わりながらメモしてきた紙を見ていると「あぁそう、この通りです」と言われてしまった。なんだ分かってるんじゃんと思われたかな。電車を利用するときは必ずネットの乗り換え案内を利用して調べるが、とてもとても便利。電車は滅多に利用しない私でもこれを使えば全国どこへだって行けてしまいます。


多度津駅で乗り換えて観音寺駅まで1110円だった。これはネットで調べたのより10円だけ高かった。順調に乗り継いで観音寺駅には10:20 到着。キオスクのお姉さんに銭形展望台への行き方を尋ねたら親切に市内地図をくれて教えてくれました。銭形は皆さん知ってると思うけど、山の上から下界を見ると砂浜に大きく寛永通宝(だったかな?)が描かれている所です。遍路とは無関係だけどニセ遍路なので観光も取り入れます。銭形を見られる展望台は山を挟んで寺とは逆方向にあるが、外すわけには行かないので先に行っておきましょう。


地図を見ながら歩き出すと早速銭形のモニュメントが現れました。銭形って言うより、これもう寛永通宝そのものですね。ちょっとテンションが上がりました。


橋を渡りきった交差点で遍路道とは反対方向に折れ曲がり、由緒正しそうな神社を過ぎるとこれからは山登りです。エッチラオッチラ登っていくと程なく展望台に到着。見える見える、ちゃんと銭の形しているよ。ただ、写真で紹介しているのとは大分違って少しくたびれた銭形だな。ボランティアが年に一回だけ形を整えてるそうなので、紹介写真はそのときにカチッと形が整ったのを撮るのだろう。でもまぁ見られたので満足だ。来る前からここには来たかったので、ご丁寧に5枚も写真を撮りました。上の写真はその中で一番大きく写した物ですが、残念ながら寛永通宝とは読めません。。

近くに立っていた案内板を読むと、どっかのお殿様が来るので大急ぎで銭形を作って見て貰おうとしたものだそうです。他には見せられるような名物は無かったってことなんでしょうか?この面積の木を取り除くだけでも大変だったろうし、海岸からダンプ何十台分の砂を運び入れるのも並大抵じゃなかったでしょう。発案者は少しは働いたんでしょうか?それは置いといて、銭形を見られたので駅で貰った地図はゴミ箱にポイしました。少しでも荷物を軽くしたいので。


元来た道を戻って、途中にあったスーパーマルナカに寄ってクーポン券で防水スプレーを購入しました。もちろん防水が切れてきたカッパにかけるためです。マルナカは四国中で見かける何でもある大型店で、群馬で言えばカインズホームみたいな店で便利です。スプレーは定価が千円弱だったのでクーポン券で買えるので調度良かった。税金入れると1047円。早速外の駐車場で全部吹き掛けました。スプレーはカッパだけじゃ終わらなかったので、ザックカバーも引っ張り出してかけておく。どのくらい再生されたか雨の日が楽しみだ。とは言っても降らない方がいいけど。


本日と言うか遍路復帰の最初の寺は68番神恵院(じんねいん)と69番観音寺が同居している寺だった。明治時代の神仏何とか令によってひとつの境内に二つの寺が誕生したようです。特に神恵院は本堂がコンクリート打ちっぱなしの四角い形の前衛的な寺だった。大きな納骨堂みたいでビックリ。ご利益も薄そうだな。


その後は川沿いをずっと歩いたのでうどん屋がなかった。うどん屋どころか店も自販機もない遍路道だった。こんなとこばかりじゃなくて、もう少し賑やかな所を歩かせてくれないと飲み食いに困るんだよな。先の方に大きな建物がみとめられたので何か食べられるかと期待して行くと、それは川の反対側で近寄れなかった。勘弁してほしい。写真の正面に見えているのが次の目的地、本山寺です。

立てかけてある赤黒の素敵なスティックはスペインはサンチャゴ・デ・コンポステラの巡礼宿でいただいたものです。サンチャゴ巡礼ゴールの地なので長い日数を共に歩いたスティックですが、飛行機に乗るには邪魔なのでみんな置いて帰ってしまうようです。「これは売り物なの?」と尋ねたら「あなたが必要なら上げるよ」と言われたので5ユーロぽっちを寄付と言いながら頂きました。マウンテンプロと言うメーカーので、きっとヨーロッパ製で良い物と思います。軽くて扱いやすいので気に入ってます。


70番本山寺の手洗水に行くとビニール袋に入った千円札が落ちていました。あれ?自分もお金はビニール袋に入れてるので一瞬自分のかと思ったが、一緒に納め札が入っていたので他人のと分かった。少し前を夫婦が歩いていたので呼び止めるとその婦人のだった。あの~1割は?とはもちろん言いません。

道路工事中の国道11号を延々と歩くが、うどん屋はないし腹減ったままです。道路反対側を見ると回り寿司を発見する(2023年1月現在で大騒ぎになったスシロー)。これを逃す手はありません、面倒がらずに工事中の広い道路を渡って行きました。グラスビールが寿司4皿と同じ値段だったので、ぐっと我慢して寿司だけ食べました。店を出て少し歩いたところにうどん屋を発見する。あらま、知らない土地だからこう言うことがあるんだよな、でもチャンスに後ろ髪はないので食べられるときに食べておくのが正解です。


久しぶりに遍路休憩所がありました。色々な物が置いてあるようですが、箱にはカギが掛かっています。きっと当番が決まっていて接待してくれてる気がしますが、今日は休みなんかも知れない。


4時半頃、今晩の宿に到着。オーナーは5時まで留守と聞いていたので入らずに外のベランダで待つことしばし。通された部屋は4人部屋でロフト付きだったがプールはなかった(当たり前)。中二階には二つベッドがあるんだろう、子供は喜びそうだな。それで素泊まり9000円なんか。4人で泊まれば安いだろう。でも私はベッドはひとつしか使わないしロフトなんか上がって見もしないんだけどな。洗濯機利用は無料だったが、乾燥機はないのでいつものように部屋のエアコンで乾かす作戦にする。


今晩は私の他に二人の遍路が泊まっていた。二人はもっと安い部屋なんだろなと想像する。この宿にはドミトリーもあるのを知っているので、二人しかいないのに数人が一緒に泊まれるドミトリーに泊まれない筈がないよな。そっちなら安く泊まれる筈だが一番高い部屋を空けておきたくないのかも知れない。オーナーは中々策士じゃのう。

素泊まりだがこの辺りには食堂も店も皆無なので、オーナーがコンビニまで送迎してくれました。まぁ素泊まり9000円だからね、それくらいのサービスはあって良いだろう。今晩と明日朝の二食分を買って1500円。残りのクーポン券2枚は明日用に温存しましょう。


部屋では飲み食いさせないとのことなので、母屋で夕飯としました。母屋には脈絡のない色んな物が沢山あって、まだ11月なのにクリスマスツリーまで飾ってあります。宿泊棟にグループを泊めると酒飲んで騒ぐので部屋での飲酒は禁止にしたんだとか。もちろん禁煙。素泊まり9000円の割りに色々制約の多い宿だな。


11月11日 遍路25日目
部屋では飲食禁止なので、朝から母屋に移動して昨日買ってきたおむすび2個と飲むヨーグルトで朝飯としました。オーナーと一緒に写真を撮って7時40と遅めのスタート。


村の公民館らしき庭には昔懐かしい半鐘がありました。現代の人は見たことない人がいっぱい居るんじゃないかな?私の子供時代には近くに半鐘があって、鉄骨に登ったり格好の遊び場になってました。半鐘が実際に鐘を鳴らしたのは2回ほどしか覚えてないので、滅多に出番が無かったんじゃなかろうか。


弥谷寺への道はずっと山道だった。麓から見えるあの山の中腹が寺だと教わってげんなり。それでも1時間歩いて8時45に弥谷寺に到着。でっかい仏像がお出迎えしてくれました。


本堂への道のりはお約束の長い階段の連続で心も体ももぎ取られます。やっと辿り着いた本堂で今日も般若心経をもぞもぞと黙読する。一般の遍路さんは持参のロウソクに灯をともし、その炎で持参の線香に火をつけて供えるのが決まりなので、荷物も費用も余計に掛かるので大変だね。さらに大変なのが重たい御朱印帳に書いて貰うとこれが300円も掛かるから88も集めると偉いこっちゃになります。殆どの寺は300円で統一されてるようだが、がめつい寺は500円に勝手に値上げしてるとのこと(また書いてる)。私は最初から御朱印は集めてないので関係ないけど。

弥谷寺の登り口に道の駅があるのを確認しておいたので、下山して何か食べようと入っていくとラッキーなことにうどんの張り紙があります。でもこれは糠喜びで、食事はもっと遅い時間にならないと提供されないとのこと。期待してたのでいつもよりガッカリ落差が大きい。


9時50、次の寺の曼荼羅寺まで4キロの地点に名物らしい饅頭屋があったので休憩にする。10円玉くらいの小さな饅頭が2個で80円。店内の椅子で食べようと思ったが、そのテーブルには「コロナ対策で店内での飲食はしないで」と書かれてあった。おばちゃんに「これは?」と聞いたら、まぁ良いですよとの応え。冷蔵庫のQuuみかんジュース80円と共にしばしの休憩としました。少し歩くとまた別の名物まんじゅうの店があったので、この辺りは饅頭で有名なんかな。


うどんが食べたいのだが道筋には皆無だった。香川って石を投げればうどん屋に当たるんじゃなかったの?うどん県なのに。曼荼羅寺の隣にうどん屋を発見するが、ここんちは土産とか地方発送とか書かれた紙が表に張り出されているので食べさせる店ではないようだ。


曼荼羅寺を訪問してから割りと近くにある出釈迦寺を詣でる。出釈迦寺の境内にはゆずとみかんのお接待があったので、ありがたくミカンを一個貰いました。ゆずは貰っても食べようがありません。みなさん考えは同じようで、ゆずは一杯残っていました。遍路道は再度曼荼羅寺の横を通るので、先に出釈迦寺にお参りしてから曼荼羅寺へ行った方が効率良く回れるようだった。

で、また先ほどのウドン販売所の前に来たので、うどん食べたいなーとガラス窓から小さな店内を覗いていると店の中の婦人と目があいました。すぐ出てきてくれて、15分待てるならうどんを食べさせてくれるなんて言っています。ま、まじですか!?それは願ったり叶ったりなので二つ返事でお願いしました。


店の中に入ると、これは確かに食べさせる店じゃなくて事務室そのものでした。お湯が沸くまでの時間をおしゃべりしてミカンも戴けました。


「うちは歩き遍路さんだけにうどんをお接待してるんですよ」と意外なことを言われる。部屋の隅から大きな木製看板を出してきて、それには確かに今言った文言が大きく書かれていた。知らずに寄ったが、そう言うことをやっている有りがたい店だったのか。通りすぎずに店を覗き込んだのが幸いした。今度は看板を店先に掲げて、普段はこうしているんですよとアピールしてます。曼荼羅寺のすぐ隣なので車やバスで沢山の遍路がやってくるだろうから「歩き遍路さんのみ」と入れないと大赤字になってしまうのかも知れません。奇特な人がいたもんです。


大盛りの釜揚げうどんを食べさせてくれて、一応お代を聞いてみるとやっぱり、お接待なので不要だそうです。今まで何度かお接待を受けてきましたが、ここんちが一番嬉しかった。心もお腹も満たされて元気が貰えました。


次は甲山寺を廻ってから善通寺へ。善通寺は来てみたらでかいでかい、まるでひとつの町みたいにでっかい。境内のあちこちに色んな建物が点在していてまるでテーマパークみたいです。この市の名前が善通寺市と言うくらいだから、寺で持っている市なのかも知れないな。

善通寺からは遍路道を辿って次の金倉寺を目指したが途中から遍路の赤いシールに導かれて住宅街の狭い道に引きずり込まる。それでも遍路案内が続いていれば良かったものを、途中からぷっつりと無くなってしまいました。おぃおぃまたかよ。それでも今回はおおよその方向は押さえている気になっていたので(危ない)ずんずん進むが、どうも不安になってきたのでタブレットを引っ張り出してGPSで調べたら方向違いを進んでいた。またやっちゃったよ。何度やっても懲りない。自分の方向感覚が不安になったし、大分歩いてしまったので、今度は慎重になってタブレットは手に持ったまま時々自分の位置をチェックしながら金倉寺を目指しました。初めからこうすりゃ良いと思いそうだけど、間違いないと思いこんでいるので失敗は続きます。


道を間違えたりしたお陰で時間が押してきたので金倉寺のあとは電車移動に切り替えて次の道隆寺を目指すことにしました。金倉寺の近くに駅があって良かった。道隆寺は駅から離れてはいたけど、全部歩くことを思えば屁の河童です。道隆寺は先ほどの善通寺から比べると小さくて地味なお寺でしたが、こっちの方が寺らしくて好感が持てました。お参りしてからまたペタペタ歩いて駅に戻り、今晩の宿がある丸亀へ電車移動。


16時半丸亀駅到着。宿は駅のすぐ近くなので、そこだけは気楽だった。今晩の宿「ウエルかめ」は遍路ブログに何度も登場したドミトリーなので泊まるのを楽しみにしていました。まぁドミトリーなので部屋は相部屋だろうと期待してなかったが、狭いながらも個室をあてがわれました。和室ぽいけど板の間の上にカーペットが敷かれた独特の部屋だった。言うなれば仮設の海の家みたいな。部屋の引戸が渋くてやかましい。


中学生が図工の時間に作ったような、頼りない水色の小さなテーブルがチョコンとあって昭和の味わいが感じられる。まぁ今の私には分相応の部屋だろう。旅割りが適用の宿で、2泊で5000円。クーポン券は平日と休み前日なので4000円分をもらえる。タダみたいなモンだ。

温泉の無料券をくれたので宿のママチャリを借りて行ってみることにしました。真っ暗になってる上に分かりにくい温泉ですっかり迷ってしまったが、地元の人に二度目に聞いたときは、ほらあそこですよの地点までやってきていた。なんだかすんごい古めかしい銭湯で、男湯には誰もいなかった。ボディーシャンプーなんかは見当たらないけど、一揃いが籠に入ったのがあるので、これ使っていいのかなとも思ったがやめておく。そしたら誰かサウナルームから出てきた。見ると背中一面が入れ墨まみれで、籠はその人の持ち物だった。良かったー、早合点して使わないで。

一般的に日帰り温泉では入れ墨はお断りだが、この銭湯にとっては大事なお客なのだろう。入れ墨客にとっても嫌な顔をされない銭湯は貴重な存在と思われる。そそくさと出ると番台には先ほどの婆ちゃんとは違って女子校生くらいの子が座っていて愛想が良かった。若い女の子が見たくもないのを毎日見せられてメンタルが鍛えられるね。

夕飯は宿がお勧めの店に行ったが、空いてるテーブルがあるのに一人だと言うと断られてしまう。そう言う店ならこちらからお断りだよ。ずんずん賑やかな方を目指して歩いていくと群馬にもお馴染みの村さ来(むらさき)がありました。こういうチェーン店は安心価格なので知らない土地でも気楽に入ることができます。丸亀は鳥の丸焼きが有名でした。亀の丸焼きの方が名前的にマッチしてるしインパクト大なのにな。


名物という鳥の丸焼きですが、ここんちは最初からカットした丸焼きでした。大きいのをかぶりつくのをイメージしていたのでちょっと残念。ほかに幾つか注文して、ビールにグレープフルーツ酎ハイ等頼んでさっき貰ったクーポン券3枚を活用しました。地元の居酒屋でグレープフルーツ生絞りを頼むと半分にカットしたグレープフルーツと絞り器が出てきて、客は自分で絞って酎ハイに入れるので、それを想像してましたが、こっちのはご覧のように衝撃的な物でした。フルーツを幾つか食べないことには焼酎まで辿り着きません。

丸亀駅構内にはスーパーが併設されているので明日の朝飯と缶酎ハイを2本買って1本は宿のオーナーに上げました。タダみたいに泊まれているので気も少し大きめになっています。


何ちゃって遍路旅14へ続く