長崎五島の旅4  おんぶにだっこコンタツ堂


10月7日 福江の民宿「旅の宿」
ここんちは完全な素泊まりなので弁当を買って部屋で食べさせてもらおうかと予定していたが止めて、取り合えず福江港ターミナルへ行ってみるか。入念にパッキングして今回初使用のペットボトルを下げられるベルトをバックパックの脇に取り付ける。それと家で時間を掛けて作ってきた手製地図の出番だ。


7:45 Wi-Fi求めてターミナルへ向かう。途中には椿ホテルがででんとあって、五島のブログを読むと誰も彼もこのホテルに泊まってるんだよね。都会なら中クラスのホテルだが、ここ五島なら最大のホテルなんだろう。ここの一泊料金で民宿なら何泊泊まれるんだろう?私には縁がないよ。


ターミナルにはシスターがいたのでちょっとお喋りできた。福江にあるお告げのマリア修道会とのこと。朝ご飯は早朝から商売しているお土産屋さんのお弁当を買ってターミナル内でパクパク。おむすびタイプなので食べやすくてグー。安いし。

外に出てターミナルから徒歩5分のスーパー・エレナで食料を仕入れる。緊急用には大きめの一口羊羮、それとスナック(えびせんみたいの)とバナナ一房。ガス入り水500ミリ。このペットボトルは中身が終わってもずっと持ち歩きます。それとコンタツ堂さんへの手土産にシャインマスカット一房。


お城の堀をグルッと回って繋がる武家屋敷通りに「ふるさと館」と言うのがあったので入ってみる。面倒見の良さそうな男性が近づいてきて、ずっと館内の説明をしてくれる。期待せずに入ったが、ここはあのNHKの朝ドラ「舞い上がれ」で何かと活用された施設だった。朝ドラは見てなかったけど、五島が舞台と知ったので録画したのを一通り見てきました。パイロットを目指していたのに途中から本気のネジ屋になったのがどうも解せない。


壁に飾ってあるバラモン凧には舞い上がれのテーマだった飛行機の絵が描かれていて、実際にドラマの中で使われたそうだよ。


主演の福原遥がこの木の下で対談したとか、この部屋が更衣室として使われてましたなど、面白ネタがいっぱいだった。福原遥って朝ドラで初めて見たけどユーチューブで見たら子供時代からテレビで活躍している子だった。

五島巡礼をしに来たと言ったら、ここの職員さんが今、バチカンを訪問しているとのこと。スペインにも寄るそうなので、じゃぁサンチャゴに行くのかな?お礼を言ってふるさと館をあとにする。福江島を一周した暁には再訪問してバチカンとサンチャゴの話でもしたいと密かに思った。


いま11時なので、六方の浜を廻ってコンタツ堂到着は手頃な時間だろう。のんびり歩いて行ける時間だ。出発して1時間ほど歩いていくと道端に小さな看板があったので、農作業している地元のおばちゃんに道を訪ねたら、六方は「ろっぽう」じゃなくて「むかた」と読むと教えてもらった。こういうのは地方あるあるで、知らない地名を偶然教えて貰えるのは楽しい。若い頃、チャリで北海道目指してたときに店のおばちゃんに「山北町(やまきたまち)はまだですか?」と聞いたところ、「ここがさんぽくちょうです」と言われたことがあって、どひゃっとした事を思い出した。六方の浜は本来のルートから外れるけど看板に従い右折。


だが、浜に着いてみると特別なものはなくて、ただの浜だった。解説板がひとつ立ってるだけで他には記念碑も何もなかった。長崎を逃げてきたキリシタンが最初に福江島に辿り着いたのがこの浜と言うことで、ここも五島巡礼のスポットに入っていた。何もないらしいけど折角来たんだから先端まで行ってみるが、やっぱり何もなかった。


いくらも歩いていないのに初日なので少々疲れてきた。12時半、やっと今回二つ目の教会「浦頭教会」到着。教会への登り口からコンタツ堂さんの家が見えているよ。スタンプは入り口で無事に押せたが、スタンプ台がバリケードになっているのか聖堂の中には入れないようだった。中に入ったからどうだってことは無いので、ここから見られるだけで満足です。


13時の約束なので、教会庭で時間を潰してから向かうと、コンタツ堂さんの店の前で女性がこちらを見ている。どうやらあの方がネットで繋がったNさんのようだ。壁には大きくサンチャゴ巡礼のトレードマーク「黄色い矢印」が大きく描かれている。文字は小さくて写真では読めないけど「半泊、宮原、堂崎、浦頭教会」と英語で書かれてます。もしサンチャゴ巡礼経験者がこの看板を見たら、絶対に寄ると思う。

私が先輩と呼んでいるMさんが一昨年五島巡礼をやったのだが、コンタツ堂さんもサンチャゴ巡礼経験者なので、その縁でコンタツ堂さんと親しくなったようだ。その関係で私も紹介してもらえたと言うわけ。人の縁は不思議でありがたいもんです。

早速店内に招き入れてもらうと、お母さんが待っていて、テーブルにはもうお昼の用意ができていた。三人で会食するのかと思っていたが、私一人だけで食べるらしい。五島に来たら食べようと思っていた「五島うどん」だったので嬉しい。こんなにあっけなく食べられるとは想像してなかったよ。麺はスパゲッティみたいな丸い細麺なので、このままオリーブ油とニンニク・トマトなどで味付けすれば、まんまスパゲッティに早変わりしそうだ。

私の地元群馬には水沢うどんと言うのがあって、こちらの五島うどんと日本三大うどんの地位を争っているらしいですと紹介してみる。両方食べてみての感想では、水沢うどんは香川のうどんと似ていて、コシがある普通のうどんだが、五島うどんは今まで食べたことのない独特なうどんなので、こちらを三大うどんにいれてもいいかなと思った。お昼のメニューはうどんの他にも色々用意してくれていたので腹いっぱいキチキチになりました。私は出してくれた食べ物は残さないのが(食い意地でなく)礼儀と思っているので、よっぽどのことが無い限り全て食べ尽くします。


サンチャゴ巡礼の話の他にも色々お喋りできて、あした向かう予定の半泊教会へのルートも聞くことができました。宮原から半泊へは2ルートあって、海沿いの道だと途中に展望台があって良さそうだと思ったが、そっちは展望台から先は通行止めになってるそうだ。遠くに半泊の集落がが見えているのに藪で閉ざされていて行けないって、同じ道は歩きたくなかったので行くつもりだったので教えてもらって良かったこと。と言うことで、明日は宮原教会→半泊教会のルートは同じ道を往復することになりました。

サンチャゴ巡礼の場合は何処から出発してもサンティアゴ・デ・コンポステラに向かって最短距離を一直線に向かうが、五島巡礼では同じ道を往復する行程が幾つもあって、その場合は復路はバスに乗って良いことに自分ルールに決めてある。でも半泊まりルートにはバスがないので往復とも歩かなくてはならない。まぁ巡礼に来てるんだから歩くのを嫌がってちゃいけません。

今晩の宿を尋ねられたので、これから向かう堂崎教会って玄関に寝られそうですかね?と言うと、少し考えて自宅に泊めても良いそうです。え!?想像もしてなかった提案に戸惑うが、それも有りがたいなと甘えることにしました。不要な荷物は置いといて、水と最低限の荷物だけバックパックに入れて堂崎教会を往復することにしました。誠に有りがたい。


いやー、軽い軽い。背中に羽が生えたように軽いよ。と言うことで想像より早く堂崎天主堂到着~。周囲はTDLか整備された公園みたいに美しい所に教会は建っていたので、ぐるっと動画で撮るほどでした。


堂崎天主堂は博物館になっていて、入館料は300円だった。展示物で埋め尽くされた堂内の様子じゃミサは出来ないので、付近の信者さんは堂崎天主堂じゃなくて浦頭教会まで行くんだと想像した。こんな歴史有る教会とは違って浦頭教会はコンクリート作りの近代的な建物なので、ちょっと勿体ない気もするけど色んな事情があるんだろう。受付の人にコンタツ堂さんでお昼を食べたと言ったら、息子さんは神父さんになってることを教えてくれる。なるほど、お母さんは只者じゃないと感じてたよ。

帰りにお洒落なトイレ付近に「goto wi-fi」の看板があったので、えっマジで!?と試しにタブレットを出すと本当に電波を受信できてる。お陰でFacebookとメールの更新ができました。こんな便利なものがアチコチにあると助かるけど、きっと観光地になってる所だけだろな。でも助かる。

福江島の隣に久賀島があって、福江島を一周したら次は久賀島に渡ります。その久賀島を往復するフェリー乗り場の奥浦港はこの道筋にあって、来る前はここから一旦久賀島に渡って久賀島の教会三つを廻ってからまた奥浦港に戻る案も考えたがボツにしました。やっぱり福江島を一周してから次の島に渡った方が気持ち的にすっきりするので。福江から久賀島へのフェリーは奥浦港より福江港の方が本数があるようだし。


奥浦港には調度フェリーが入ってきた所だった。すんごい色遣いのフェリーで真っピンク。港と言えば多少は賑わってると想像したが、小さな待合所があるだけでまったく何もない所だった。少し行くとバス停があったので、往復の場合はバスに乗って良いルールなので時刻表をチェックしたが本数が少なく数時間待たないとバスは来ないらしいので当然のことながら歩いて戻ります。コンタツ堂さんの近くにもバス停があったので、明日は堂崎入り口のバス停まで乗ることができるので、カメラで時刻表をパチリ。


重いリュックを背負ってないと言っても、帰りはさすがに疲れが出てきたので遠くに白くて良く目立つ浦頭教会が見えたときは嬉しかった。目指すコンタツ堂さんはあの教会のすぐ近くなので。

コンタツ堂さんの母上が、隣の自宅二階で寝てくださいと案内してくれ、ベッドも用意されていたが、自分は寝袋の方が気楽で良い旨を伝える。この家にはご主人が一人いるだけで、部屋からは出てこないそうなので気兼ねなく過ごしてくださいとのこと。重ね重ねありがとうございます。コンタツ堂さんにはおんぶにだっこになってしまいました。


シャワーを頂いてコンタツ堂さんに移動して夕飯を頂く。既に息子さんが夕飯を食べていて、この青年がなかなかの才能の持ち主だった。コンタツ堂さんの店内に彼の作品が何枚も置かれていた。CGで作ったと言う作品を見ると、これは素人の物ではなかった。私は30年間ずっとパソコンが第一の趣味だったので(だった)、CGも扱うので作品の出来の良さは多少は分かります。作品の出来も凄いが、この大きさでこの精度で印刷できるプリンタも凄いよ。機材は見なかったが、きっと凄いの使ってるんだろなと思った。6人兄弟で、他の人たちもそれぞれ芸術が得意らしく、芸術一家だった。

夕飯はまた五島うどんを食べさせてくれたので嬉しい。刺身も2種類出してくれて残してくれて結構ですよと言うので、1枚ずつ頂いてみる。お昼ごはんの影響が残っていて、すぐお腹いっぱいになってしまったので。

色んな話に花が咲くが、コンタツ堂さんは今回の私のように沢山の人たちを受け入れて来たそうだ。子供たちの友達や教会学校のサマースクール宿舎など、これまで数百人も受け入れて来たとのこと。知らずにやって来たが凄い家庭だったのだ。

明日の出発時間を聞かれたので、さっき撮ったバス停の時刻を伝えると、娘のNさんが堂崎の分岐まで車で送ってくれると申し出てくれる。又してもおんぶにだっこ状態が続くが誠にありがたいので甘えさせてもらいます。


コンタツ堂さんは写真のようにロザリオを中心とした教会グッズを販売してるようです(コンタツはポルトガル語でロザリオ)。お母さんがロザリオを盛んにチェックしてるので私にプレゼントしようとしてると感じたので「牢屋跡やキリシタン墓地でロザリオを唱えようと小さいのを持って来てます」と先手を打っておきました(くれると言ってないのに図々しい奴だな)。

これだけお世話になったのでお礼を申し出ると、やっぱりいらないそうです。だからでもないけど、こちらで販売している手拭いを5本買わせてください。これは来る前からFacebookで見ていた五島の教会がプリントされた手拭い。軽いし五島巡礼のお土産にはぴったんこです。だが、在庫はなくて製造元に注文しなくてはならないって。じゃぁ入ったら送ってもらうことにしました。一枚880円で合計4400円。5000円札で残りは送料でとお願いしたけど、五島から600円で群馬まで送れるのかな?

今回、出発してからどうも乱視が進んで調子が悪い。メガネ掛けたままで日記を書くと行を間違えてしまうほど。急にこうなったので原因を振り返ってみると、どうも出発前にスペアのメガネを選定してるときに、合わないメガネを掛けたことに起因する気がする。長いこと近眼なので、メガネは計8本持っていて度はそれぞれ違います。最後に作ったのは白内障手術前に作ったもので、片目はピントが合わなくなってきたので両眼とも同じ度数でいいやと安易にお願いしたのが原因かと思われる。結局そのメガネは合わなかったので無駄になったが、度数的には一番強い奴なのでテストしてみた。たぶんそれが原因で乱視になったんだと思う。もうやっちゃいけないな。

本日の歩数 26,552歩

長崎五島の旅5へつづく