マドリッドの休日2 スペイン王宮 そして帰国 7月17日 マドリッド2日目、今日はスペイン王宮へ行く。昨年、王宮の外から柵越しに見たことはあるが、余りに入場料が高いので入るのは止めといた曰く付の王宮だ。今年のマドリッドの目玉はここと決めといたので高くても入る。8時50にオスタルを出て、まず王宮行く途中にあるマヨール広場へ行ってみる。広い広場の回りをグルッと色んな店が取り囲んでいて開店準備の真っ最中。 由緒あるモニュメントだろうが、そこにグルッと南京錠がもれなく掛けてあった。パリの何とか橋に恋人同士が南京錠を掛けて、その鍵はセーヌ川にポイ捨てするのと発想が同じなのだろう。橋はそのお陰で壊れてしまったと聞く。スペインのこれも感心したことじゃない気がするな。 驚くことにこの広場にも生ハム博物館があった。探さなくてもあちこちにあるようだ。写真入りの大きなメニューが広場に出してあって、見たら昨日と同じようだった。そこから少し歩くとサンチャゴ教会がある。ここのスタンプを今年の巡礼最後の記念に貰いたいのだが、この時間はまだ開いてないらしい。 王宮はこのすぐ近くにある。取りあえず前まで行ってみると入り口があったが、ここは団体用らしいのでグルッと回りこんでみる。王宮と隣の教会の間に広場があり、こっちが一般の入場口だった。入り口は2つあり、チケットを持っている人と持っていない人とに別れていた。私はチケット当日買いなので右の列に並ぶ。当日買いの人が殆どのようだが、ときどき左の列に並ぶ人がやってくる。手には一様に印刷されたA4用紙を持っているのでネットででも買ったのか。10時のオープンになると列が動き始めた。さすがにチケットを持っている人の列は早い。係が印刷されたバーコードを読み取り機でピッとやるだけでスイスイ入っていける。王宮もシニア割引がある情報を得ていたので期待を込めてパスポートを用意したが、あんたはEUの人かと聞かれる。割引はEU国内の人だけ適用だった。げーだ、こんなのもあるんだな。入場料は11ユーロとメチャ高かったが決死の覚悟で来ているので購入する。 パリのベルサイユを2回見てるので、それに比べたら王宮はたいしたもんではなかった。まぁ一度くらい見てもいいかなな程度。5ユーロ位が適切だな。50分ほど見て回ってからサンチャゴ教会へ再度行ってみる。教会の入り口に物乞いのおばちゃんがどっかと座っていた。スペインでは教会の入口にこうやって物乞いの人が頑張っている姿をよく目にする。教会に来るような人は憐みの心が強いだろうと期待する心理を想像する。 中に入るとサンチャゴ関連の像が複数あり、見渡しても人の気配がなく静まり返っている。そしたら女の人が奥の部屋から出てきたようなので行ってみる。何だか分からないけど聖堂脇の小部屋の扉が開いていたので入っていくと二人の男性が立っていて、その奥に係らしい人が座っているのが目に入る。二人はこれからマドリッドの道を歩き始める巡礼のようだ。東洋人の私のことを不思議な目で見ているので「ソイ ペリグリノ」と伝えると「アー」と納得したような顔をした。二人はクレデンシャルを発行してもらいスタンプを押してもらっていた。そっか、ここでクレデンシャルが貰えるんだと発見できる。と言うことは、ここがマドリッドの道のスタート地点だ。それらはドナティーボらしく、クレデンシャルを貰うと小箱の中に小銭を入れていた。私はずっと持ち歩いているクレデンシャルにスタンプを押して貰うだけなのでドナティーボもしなくて良いらしい。良かった、扉が閉まっていたらこんな大事なことに気が付かないまま出てきてしまっただろう。 聖堂を出るときに表の物乞いおばちゃんのことを思い出したので、1ユーロ以下の小銭をいっぱい持っているので「ペケーニョペケーニョ」と言いながらおばちゃんが持っている紙コップの中にジャラジャラと入れる。ごめんよ、全部合計しても1ユーロに満たないかもしれない。 入口の壁面にはプレートがあり、営業時間が(とは言わないだろが)記されていたので来年のために接写しておく。午前は10時から13時、午後は18時から20時までが受付らしい。マドリッドに朝早く着いて、その足でここでスタンプを貰って歩き出すことは出来ないのが分かっただけでも収穫だ。と言うことは、マドリッドでスタンプを貰うためには少なくとも1泊しないとならないようだ。 腹が減ったので安い店を物色してたら、ちょっと有名らしいサン・ジュセッペ市場があったので入ってみる。広い建物内には色んな店が沢山入っていた。昨日、生ハム博物館にいた二人の日本人女性がいて小さなテーブルでワインと何かを食べていた。目があったので日本人と分かったらしい。こんにちはと会釈だけしておく。私は昨晩も今日も腹を満たす目的だけで入ったが二人は観光のためにこれらを回っているようだ。ぐるぐると回りながら物色してると、この市場は観光客相手なのが分かった。どれもお洒落だがみんな高いので写真だけ撮って出てしまう。出口には3人の物乞いが観光客を待ち構えていた。 プエルタ・デル・ソル方面へ歩いていくと、道端にまた別の生ハム博物館があった。マドリッドにはいったい幾つの生ハム博物館があるんだろう。店内に入ると昨日と同じような作りだったしメニューもまったく同じだった。ぐるっと回ったカウンターの中には威勢のいいセニョールが動き回り、天井からは生ハムが沢山ぶらさがっている。飲み食いだけじゃなく、買って帰ることも勿論出来るようだ。 今日はカウンターが空いてたので立ち飲み喰いにする。昨日は油が多すぎたので、今回はトマトや野菜が大目のプレート料理6.8ユーロを頼む。ビールは1ユーロで、頼むと小皿にチョリソーをたっぷり載せてくれた。見ていると、ビールを頼むと必ず小皿に何か載せて出してくれている。ほかの客には生ハムも出してくれてたので、どうせだったら生ハムの方が良かったな。ビールやワインを1杯頼むごとに小皿でつまみを出してくれるんだったら、3杯3ユーロも飲めば軽食くらいにはなりそうだな。今回は合計で7.8ユーロと私にピッタリの値段だった。さっきのサン・ジュセッペ市場ではビールもカバもグラス1杯3ユーロだったので今までから考えたら信じられない位の高さだ。あんな観光地値段の所で食べるもんじゃないなと思った。3ユーロも出せばスーパーならカバ1本買えてしまうよ。 ※お役立ち情報 マドリッドの生ハム博物館お勧めです。逆に、サン・ジュセッペ市場は高くて観光客用なので地元の人は入らないんじゃないのかな? 腹も落ち着いたし、この後はプエルタ・デル・ソル広場を通り越してティッセン何とか美術館まで歩いていく。プラドは無料開館時間が遅かったが、ティッセンは今日月曜日は12時40から無料で開放される。着いてみると行列も何もなくて、マンションのような建物の中にそのままスーッと入ることができる。チケットもセキュリティーもなし。ただ、受付の男性が何やら言っているようだ???何を言っているのか分からないでいたら、後ろを通りかかった観光客が私に「ザックは前に掛けるんだよ」的なことを教えてくれ、その人もそうやっていた。そっか、安全のためにバックパックは背中じゃなく前に掛けることになっているんだな。作品を守ると同時に盗難被害も防げるってことなんかも知れない。中に入ったところでも、背中にザックを背負った人が係に注意されていた。 ティッセンは凄く広い美術館で収蔵数も相当なものだったが残念ながら私でも知っているような作品は多くなかった。純粋に芸術が好きなんじゃなくて有名なのが見たいだけのミーハーなんだよな。ただ、日本の東海道五十三次のような有名な版画の本物がたくさん展示してあった。こんなの日本でも見たことなかった。もしかしてピカソやダリなんかが影響を受けたと言う版画なのかも知れない。 見疲れたので作品鑑賞のためのベンチに座って日記を書いていたら、どっかの女性が声を掛けてきた。どうやらメモするために私の日記帳のページをくれないかと言っているらしい。日程がまだ何週間も残っているのならページ数が足りなくなる可能性を考えて躊躇するところだが、もう明日帰ってしまうのでお安い御用だ。ビリッと1枚破いて上げる。どこから?と聞いたらターキッシュだった。「ジャパン ターキッシュ フレンドリー」と単語を並べたら、自分もそうだと言ってくれる。やっぱりトルコと日本って友好的なんだなー。初対面でも友好国同士と言うだけで笑顔になれるのは素晴らしいことだ。逆に・・・以下省略。 トルコツアーに行ったことがあるとか、現地ガイドに教わった「こんにちは、おはよう、ありがとう」の3つのトルコ語を言ったら通じた。その後また別の展示室でも会ったので写真を撮らせてもらう。巡礼中は誰とでも普通に話せるが、観光でとなると中々話すチャンスはない。日本人にさえ声かけないし。 オスタル・ラ・ヴェラの前にはお馴染みスーパーのDIAがある。この小さなDiaは兄ちゃんが一人で切り盛りしているようだ。Diaはスペイン中にあるチェーン店だが、その規模は千差万別。日本で言えば見た目はコンビニチェーンの店だけど実態は個人経営とか、きっとそういう形態なのかも知れない。だから日曜日はシャッターを下ろしてしまうDiaがあるかと思えばオープンしているDiaもある。明日もう日本へ帰るので、ここで予てより考えていたばら撒き土産を買うことにする。いつも切らさずに持ち歩いてたスープの素が今回のスペイン土産だ。普通は1袋1ユーロのスープだが、Diaブランドだと色んな種類のスープが一律0.59ユーロだった。各種織り交ぜて31袋も買っておく。ばら撒き土産は多目に買っておいても、いつも足りなくなるので。 今晩の自分用にはトマトにバケツ野菜、ファンタ、ペプシと土産のスープで合計23.6ユーロ。スーパーでの買い物最長不倒距離だ。オスタルには冷蔵庫がないので、シャワーを浴びてからまた行って冷えた1リットルビールを買ってくる。いつものように1ユーロと格安。道路ひとつ跨げばスーパーなのでとても便利。 ビルの2階1区画がオスタルになっていて、外から入る扉は預かっているプラスチックをかざすだけで簡単に開けられるが、2階のオスタルへ入る扉は毎回開けられなくて中から開けて貰っている。このオスタル最大の難関。いつも鍵を突っ込んで外からガチャガチャやってるとオーナーが開けてくれる。 オスタルの事務室には4月に挨拶に寄ったときに愛想が良かったセニョーラが座っていた。この人はここの娘だった。4月のことも当然覚えていてくれたので、カミーノをいっぱい歩いてきたことを伝え一緒に写真を撮らせてもらう。 明日は朝早く空港行きのバスに乗るので、今晩のうちにパッキングは済ませナイト。エティハド航空はスティックの外付けは認めてくれないので、まず長いスティック2本を収めるためにバックパックの2気室を1気室に広げ直してスティックを収め、大きなシュラフから順に詰めなおす。来るときは縦に収めたシュラフだが、今回は横にしたまま収められたので簡単に全て収めることができた。いろいろ遣りようがあるんだな。 とうとう帰国 7月18日 いよいよスペインを発つ最後の日が来た。バックパックのパッキングは昨晩入念に完了してあるので、ここから何か引っ張り出すのは極力避けたい。飛行機内に持ち込むものとか、食べ物などはレジ袋に入れて持ち歩くことにする。6時半、2晩お世話になったオスタル・ラ・ヴェラを出発する。まだ真っ暗だが都会のマドリッドはこの時間でも車も人も忙しく動き回っている。7時台のバスに乗ろうと思ったが、思ったより早くアトーチャ駅に着いたので6時50のエアポートバスに乗れてしまった。 バラハス空港には7時20に到着。バスで30分か、結構距離があるんだな。10時発のエティハドのチェックインが既に始まっていた。普通は2時間前からチェックインかと思っていたが、予想より早く始めたようだ。早いことはいいことだ。持参のeチケットを見せて何の問題もなくチェックイン完了。ANAカードも一緒に出すとマイルもちゃんと加えてくれたようだ。セキュリティーとパスポートコントロールも無事通過。問題ないと思っていても、終わるまでは毎回少しの緊張がある。 B28ゲートまで一直線でやって来て、やっとイスに座ることが出来た。ここで朝飯用に持ってきたカステラを食べる。一緒に飲もうと思って持ってきたファンタはセキュリティー通過があったのでその前にゴクゴク飲んでしまった。早いチェックインで唯一マイナスだったのがこれ。まだ8時40なのでフライト迄には1時間20分もある。ゆっくり出来て丁度いいところか。 9時5分搭乗開始になるが、その前から長い行列を作っている人たちがいる。座る席は決まっているのに、なぜそんなに並びたがる?10時のフライト、長い長い飛行時間の始まり。エティハドはマドリッドからアブダビまで日本語の映画がないのが辛い。でもこれは思い込みで、実際には日本語字幕の映画が5本あったので助かった。来るときは探し方が悪かったようだ。アブダビまでは日本人は私一人だったし、機内アナウンスもアラビア語(らしい)と英語なので何を言っているのかさっぱり分からず若干の不安がある。 アブダビ空港に到着。乗り換えのための58番ゲート待合所に行くと知り合いの岩崎さんが座っていたのであんぐり。まさか!!とガラス越しに凝視していたら岩崎さんも気がついた。あらま、こんなこともあるんだな。岩崎さんはフランス人の道を歩ききって帰る所だった。大よその日程は知っていたので、もしかしたらサンチャゴで会えるかなと思ってはいたが会えず仕舞いだった。まさかここで会えるとは。岩崎さんはパリINのパリOUTだ。私はマドリッドINマドリッドOUTだが二人ともエティハドなので経由地のアブダビで合流したってことだった。 さすが成田行きの飛行機なので乗客は日本人がいっぱい。CAさんも日本人が一人いるので心強いし機内アナウンスも日本語でやってくれる。もう安心感でいっぱい。私のシートは22Dで岩崎さんは24Dだった。間に仕切りがあるものの、すぐ近くだった。私は日本でチケットを取ると同時に往復4回乗るシートをすぐ取ったので、全部通路側で後ろは壁の席を取った。これだとリクライニングを最大に倒しても後ろの人(いないし)に気兼ねしないで済むので大好物の席だ。先頭の席も魅力だが、これは赤ちゃん連れが乗ることを想定してあるので事前に予約することは出来ないようだ。 食事は嬉しい和食があった。85日振りの箸での食事。少しばかりのそうめんがちょっと古い。おかずは魚のフライ。2回目もご飯を頼むと、今度は目先を変えて炊き込みご飯が出たが、さっきと同じ魚のフライが混じっているな。 隣の御婦人二人組に話しかけてみる。HISで二人だけのツアーに行ってきたそうだ。HISってネットでそういうの見るけど、本当に二人だけのツアーに行く人っているんだな。ロンドン4泊で16万円は高いのか安いのか?オペラ鑑賞や何とかツアーも入ったものだったと言う。二人連れなので遠慮していたが、話したら気さくな人たちだったのでもっと早く話しかければ良かったな。 7月19日 成田には時間通りに到着する。今まで税関で引っかかったことはないが、今回は運び屋宜しく30数袋のスープの素を持っているので少しだけ心配だった。でも中を見せろとは言われなかったので無事通過。同じ前橋なので岩崎さんと一緒に帰ろうかと思っていたが、知らないうちに岩崎さんは居なくなっていた。来た時と同じようにjJRで上野へ出て高崎線で帰ろう。構内の案内はさすが成田で英語でRAPIDとかZUSHIなんて書いてあるけど読めるのが嬉しい。これで86日間一人旅がようやく終わる。長いこと読んでくれた人、ありがとうございます。 2017年のサンチャゴ巡礼日記これにてお仕舞い 2018年は坐骨神経痛が悪くならなければ、マドリッドの道、リスボンからのポルトガルの道、まだ日程が余ったらイギリス人の道とフィステラへも歩きたい。さてさてどうなることやら。 |