How to Camino de Santiago  
                 
●歩く(道しるべ)
 モホン(道標)とか黄色い矢印に導かれて歩き続ける訳ですが、フランス人の道以外では頻繁に迷うことになると思います。分岐点に矢印が見つからない場合、その時は良ーく方々に目を走らせて見てください。見えずらい所に小さく描かれていたり、後ろを振り返らないと見えない位置に矢印が書かれていたことさえあります。また、分岐になくてもそこから50m先にあるなんてこともあります。
 両側を歩ける道も時には危険です。分岐点なのに道路の片側にしか道しるべが無い場合があります。下の写真がその典型例です。広い道路の片側、頭の高さより上の方にしか標識がないので(しかも小さくて見えずらい)、のほほんと歩いていたら必ず見落とします。ここは直進が道なりなのでまっすぐ行って迷ってしまいました(2016年)。



 矢印が見えないからと言って、道なりに行くことも危険です(何度もやってる)。何しろ分岐では良ーく目を光らせることが重要です。結局その分岐に矢印がなく、次の分岐にもまた矢印がなかった場合、それは巡礼路から外れていると思いましょう。マイナーな道では他の巡礼者がやってくることはまず無いので自分だけが頼りです。くれぐれも五感を研ぎ澄まして歩きましょう。

地域で特色のあるモホン
  
銀の道1       銀の道2      プリミティボ

  
日本語の道標セゴビア マドリッドの道 ポルトガルの道

 アルベルゲにチェックインした後は、次ぐ朝のCaminoがどこにあるのか確認することをお勧めします。朝、暗いうちに歩き出すことがしばしばあるので、前日の明るいうちに確認しておくことは転ばぬ先の杖です。


●歩く(迷ったら)
 人里で迷ったら地元の人に教えてもらえます。村や小さな町ならみんながCaminoを知っています。迷った顔をしているだけで聞きもしないのに教えてもらえるでしょう。逆に、大きな街ではCaminoを知らない人が大勢います。どんな人に聞くのがいいかと言うと、男性で年配者です。この人たちは自分でも巡礼をしたことがあったり、でなくても長いこと生きているのでCaminoを知っています。

 村なら地元の人に教えても貰えますが、人里離れた所では私はタブレットに入れてあるMaps.meが頼りになります。タブレットにはGPSセンサーがあるので運よく電波をキャッチできれば現在地が分かります。Caminoが確認できればCaminoに戻るよう歩けるし、Caminoが分からなくてもCamino上の町村が確認できればそれを目指すこともできます。

 2019年に数日を一緒に歩いた日本人女性は優秀なCaminoアプリを入れていたので、迷うことはありませんでした。迷いそうなときはそのアプリを出せば即座に現在地と歩くべきCaminoがスマホに表示されるのです。アプリの名前は分からなかったですが、ストアで探せば見つかると思います。多分有料です。それくらい良く出来ていました。

 私のNECタブレットはGPS電波をキャッチするのが超遅いです。更に、地磁気センサーもないと言う二重のロクデナシ。前に使っていたタブレットには地磁気センサーがあったので、タブレットと言うのはみんなそうだと思っていたので、ないと知った時はショックでした。GPS電波をキャッチして現在地が分かったとしても、地磁気センサーがないと方向が分かりません。太陽が分かりやすい位置にあれば南は想像できそうですが、曇っていたり真上にあったらさっぱり分かりません。なので、それからは方位磁石を持ち歩く羽目になってしまいました。タブレットやスマホを買うときは地磁気センサーが搭載されてるのを買いましょう。ちなみに電波キャッチが余りに遅いのでGPSの状態を見られるアプリも入れてみました。それ入れたからと言って早くキャッチできる訳ではないのですが、電波を探す状態を見られるので気持ち的に幾らかマシかな。


●歩く(トイレ)
 村や町ならバルでトイレを借りることもできますが、人里離れたところでは難儀するでしょう。致し方なく青空トイレになると思います。男性なら気楽なものですが、女性の場合は神経を使うと思います。巡礼路を外れた茂み等を探すわけですが、そこに入る入口にリュックを置くと次の人が「先客がいる」ことを察して入って来なくなるので安心です。

 トイパーを少量持ち歩くこともおすすめします。山の中での緊急事態とか、アルベルゲのトイレにトイパーがない場合もあるので、1回分持ち歩いていると心強いです。アルベルゲのオスピタレロ(管理人)は夜間は帰ってしまうのが多く、トイパーの補充をしてないと翌朝に紙がなくなることがしばしばあります。

 歩いている途中で腹具合が悪くなるのはアブラ汗もんだと思います。そうならないために暴飲暴食を控えるのは勿論ですが、道端にある水汲み場を注意することも重要です。水道ならOKですが、湧水での水汲み場は止めておいた方が無難です。近くに家畜がいたりすると、家畜の糞尿が地下に染み込んだ水を飲むことになり、結果下痢ピーとなる危険度がグンと増します。絶対に止めましょう。



●歩く(暗い道)
 春を過ぎると午後は暑くて辛いので、夜が明けやらぬ内に歩き出すようになります。田舎の巡礼路には街頭なんてありませんから頼りになるのは月明かりです。森の中はそれもないから真っ暗闇の中を歩くことになります。なのでライトは持って行きましょう。私のはLEDのヘッドライトですが、単3乾電池一本でもバッチリ明るいです。アルベルゲで夜中にトイレに行くときは明るすぎるので、いつもタブレットの明かりを下に向けて利用していました。

●歩く(体の故障)
 足の肉刺は仕方ないとしても、それ以外の故障も出てくると思います。私は過去、腰痛、坐骨神経痛、膝、疲労骨折が出ました。どれも本当に痛くて難儀しました。こういう場合は荷物の運搬サービスを利用すれば楽に歩けるかも知れないと思いましたが、それらは利用したことないし、荷物がちゃんと届くかも心配だったので結局使ったことはありません。でも、運搬サービスもフランス人の道ばかりでなく少しマイナーな道でも広く使われるようになってきたので、故障がでたら利用するのが良いと思います。数日荷物なしで楽に歩けば治る可能性は高い気がします。

 坐骨神経痛のときは、それを庇って歩き続けたために今度は膝が悲鳴を上げだしました。数日歩いたけどどうしようもないのでカセレスと言う街で2泊したら膝は治ってしまいました。故障が出たら時には休ませることの重要性を感じました。

 病院での治療
 2018年に初めてスペインで病院に掛かりました。噂には聞いていたけど、本当に無料で診てもらえました。巡礼は無料で診てもらえると噂がありますが、スペイン人からは「それはスペインの良い制度だ」と教えられました。スペイン人も外国人も等しく無料だそうです。ただし、公立の病院は無料だけど私立は高額になるらしいです。仲良くなった韓国青年の話では、赤チンを塗っただけで1万円請求されたそうです(おー怖)。
 受診にはパスポートが必要でした。ただし、これについても一回きりの経験なので受診するときは自分で調べましょう。


●歩く(路銀)
 大事なお金のことを書き忘れたので追加しておきます。私も最初の巡礼ではお金をどう持ち歩くのが良いのか色々考えました。中には必要と思われる全額をユーロに両替して持ち歩く人もいました。両替は手数料が高額なので、ネットで申し込んで成田などでユーロを受け取れる何とか(うろ覚え)と言うのが一番手数料が安いらしいですが、面倒だしさすがに何十万円も持ち歩くのは危険すぎるので却下しました。

 次に、日本で預金したのを外国で下して使うことができるJTBマネー何とかカードを申し込んでみました。カードは届いたけど、その後の調べではクレジットカードでキャッシングするのが一番率が良さそうなことに気付いたので、このマネー何とかカードはお蔵入りとなりました。

 キャッシングはシャッキンなので利息が掛かります(それとATM使用料)。利息については日本にいる間に1回返済に設定して、カード会社の締日に近い所でキャッシングをすれば極端な話、1日分の利息で済んでしまいます。キャッシングするためには事前にカード会社に申し込んでおく必要がありますから、利用予定の人は申し込んでおきましょう。

 スペインで会った日本の方はもっと率がいい方法があるような事を言ってましたが、私は毎回キャッシングで路銀を調達していました。

 一番いいのはクレジットカードで支払いすることです。これは日本で利用するのと同じように、手数料も利息も付きません。しかもポイントが付くので良いことだらけです。私は数ユーロの買い物もクレカで出来るものは皆クレカで支払うようになりました。

 持ち歩く現金ですが、常に5ユーロ10ユーロの小額紙幣を切らさないようにすることをお勧めします。何故か!?ドナティーボのアルベルゲにお世話になった時のためです。私は素泊まりのときは5ユーロ札を寄付してましたが、その時に20ユーロ札しかなかった場合はお釣りをくれとは言いづらいですよね。なので細かい札は持っていた方がいいのです。

 ドナティーボの宿で受付のテーブル上に置いてある寄付金箱にコインをコトンと入れている人がいましたが、端で見ていて余り良いものではありませんでした。そのすぐ後でチェックインした私は朝食付きのアルベルゲだったので、いつものように10ユーロ札を寄付金箱に入れたら感謝されてしまいました。やはり余りに少額の寄付では運営に支障が出るのでしょう。

 まれにドナティーボの宿で「No Coin」と寄付箱に掛かれていたアルベルゲを見たことあります。それもあからさまで極端ですが、何しろ小額紙幣は持っていると安心です。ドナティーボの宿は善意で運営されているものなので、タダで泊まったり余りに少額の寄付では長い目で見るとそういう善意の宿を閉鎖に追い込むことに成りかねないでしょう。


●歩く(バックパックとスティック)
 たまにバックパックの正しい背負い方を知らなかったり、ウォーキングスティックのバンドが何のためにあるのか知らずに使用している人がいます。私は仲良くなった人たち数人に教えたことがありますが、これを読んでいる人で知らない人がいたら参考にしてください。

 まずバックパックの背負い方です。そんなん知ってるよーと言う方は読み飛ばしてください。
 殆どの人は腰ベルトの付いたバックパックで行くと思います。腰ベルトを適切な位置で絞めておくとバックパックは腰で背負うようになり肩に負担が掛かりません。実際に背負ってみないと分かりずらいと思いますが、バックパックを背負った状態でグイッと上に上げると、自分なりにしっくり来る位置があると思います。そこで腰ベルトをギュッと締めます。肩のベルトは指が入る程度の隙間ができるので、これで肩が痛くなることはほぼ無いと思います。まぁ私は山の専門家じゃないので自分なりに覚えた背負い方ですが、こんなんで6,500km歩いて(2019年時点)肩が痛くなったことはないので間違いでは無いと思います。更に良いことは、肩で背負うより2割くらい軽く感じますよ。

 上の写真は仲良くなった二人ですが、長身のターニャのバックパックの位置が肩よりだいぶ低くなっていますね。思いっ切り肩で背負っています。隣の正しく背負った女性の位置と比べてみてください。この時ターニャは肩が痛くて畳んだタオルを肩に入れてました。可哀そうに、痛いのを我慢して何日も歩いていたんですね。私が正しい背負い方を教えたら肩が痛くならないことに驚いていました。

 スティックの使い方
 これはもつ部分がL字型に曲がったスティックじゃなくて、まっすぐのスティックの場合です。スティックのてっぺんにベルトが付いていますが、そのベルトは壁に下げるための物ではありませんよ。バンドに手首を通してから握るために付いています。使っていると分かると思いますが、その状態でしっくり来る位置でベルトは手頃な長さに締めてください。私のベルトは下を引っ張ると締まって上を引っ張ると緩みます(この説明で分かるかなぁ?)。
 ちょうど良い加減でベルトを締めると、スティックをギュッと握らなくても登りも下りも快適に使うことができます。文字で伝えるのは難しいですが、実際にこれやってみるとすぐ分かると思います。

 サンチャゴ巡礼していると、幅のあるベルトじゃなくて紐状のベルトが付いたスティックを良く見かけます(みんな青)。あれだと今言ったような本来の使い方が出来ないんですよ。紐タイプだと上り下りの時は常にスティックをギュッと握らないと力が入らないので大変だと思います。



●歩く(犬対策)
 持ち物でも書いたとおり、スペイン・ポルトガルでは放し飼いの犬が沢山います。その殆どが吠えかかってきますから、サンチャゴ巡礼で一番のストレスはこれら犬です。犬が吠えかかって来たときに慌てて逃げ出すと調子づいた犬に追いかけられて運が悪いと噛みつかれてしまいます。私は毎回、吠えかかってきた犬は懐柔を試みますが、それでおとなしくならない場合はスティックで威嚇しながらゆっくりとその場を離れるようにしていました。犬は逃げ惑う巡礼者を追いかけるのがレジャーにしているのではないかと想像さえしました。殆どの場合、こちらが堂々としていると犬は襲い掛かることはしません。怯えたり逃げたりしないのが一番と思います。