銀の道5 Almaden dela Plata - Real de la Jara  最高齢の巡礼者

5月1日
 今朝のスタートからほぼ一緒だったフランスのじっちゃんが先を歩いている。話すまではスペイン人かと思った。英語はまったく話せないが、余りに年が行ってそうなので聞いたところ何と82歳だった。私より15歳も年上にびっくりぽん(ふる)。


 今日のコースは緩やかな丘陵が続く気持ちのいい道。行く先々で閉じてある門を開けては通って行く。これらは私有地を我々が通らせて貰っているものだから、開けたらキチンと閉じておかないと家畜が逃げてしまうと言うことらしく、掛けてある札にもそんなようなことが書いてある。

 遠くからワンワンと吼えながら大きな犬がやって来た。味のしないビスケットがあったので、それでもくれるかとバックパックを下ろしていると近くにやって来て尻尾を振っている。これが人のブログで読んだ乞食犬かとピンと来た。ここだったんだな。小さなビスケットを2個、ポイと放ってやると臭いを嗅いでからポリポリと食べ始める。すぐ後からやってきたフランス爺ちゃんもくれるかと思ったようでまとわりついているが、爺ちゃんはお構いなしにさっさと前へ歩いていく。そしたらまた私の所にやってきて後ろ足で立ち上って「くれくれ」とおねだりしているが、「ないない」と言って無視して先へ進む。

 牧歌的な田舎道を行くと、今度はイベリコ豚の牧場があった。日本の狭い豚舎じゃなくて、青空の下で自由に歩き回って育っているので、さぞや美味しいハムになってくれるんだろう。ここの豚も昨日見たのと同じ灰色だった。イベリコ豚ってどんぐりだけ食べさせて育てると聞いていたが、大量の配合飼料を一心不乱に食べていた。イベリコ豚とは違うのかな。


 次に現れたのはヤギの集団。ここも日本のヤギと模様が違って、いかにも外国のヤギと言う感じだ。そして群れの隣の木を見たら、何と上って葉っぱを食べているのがいた。爺ちゃんに教えてやったら、やっぱり珍しいらしく驚いて写真を撮っている。私も勿論撮ってみたが、これ木の上にいるヤギが分かりますかね?赤い丸の中です。

 除々に上りの激しい山道になってきて、爺ちゃんとの差が空いてきて一人歩きになる。今の私は上りより下りの方が要注意だ。段差でズシンと振動があると尻に効くので注意深く下りていく。そこを過ぎれば大したことはなくて、11時11分に目的の村に到着。ここのアルベルゲは村の入り口にあったので探す手間がなかった。私の先を歩いていた巡礼3人は、もっと先まで行くのか、この村で他に当てがあるのか、このアルベルゲには泊まらなかったので今日は私が一番乗りだ。

 すぐ爺ちゃんとベンも到着してくる。ベンは若いけどショートコースにしたようだ。銀の道は村もアルベルゲも少ないので、どこの村にどんな宿があるかをしっかり把握しておかないと悲しい目にあう。2日間一緒だったスペイン人の青年は若いだけに次の村を目指すと行ってしまったが、村のスーパーに行ったらベンと3人で一緒になる。スペイン人の彼とはこれきり会うことはなかった。

 明日も次の宿までは村がないので食料は大目に仕入れとこう。1リットルビール、チーズ、ハム、パン、ロールケーキ、大きなビスケット1袋、トマト3個、スープの元、粉末コーヒー、ナッツと大量買いして11ユーロと少し。早速アルベルゲに戻って1台しかない入り口の大テーブルで飲み食い始める。ここは受付のテーブルも兼ねているので巡礼者が後からやってきて手続きをしているが、気にするほどでもないだろう。

 昨日も見かけたソロのオバちゃんがやって来て私の食べてる隣で受付を始めた。ここはベッドルームが3つあって、それぞれ2段ベッドが2台ずつあるこじんまりしたアルベルゲだが、このオバちゃんとは仲良くなれそうな気がするので私の部屋に来ないかなと思ったが別の部屋だった。おばちゃんはフランス人のエディスで、このあと1ヶ月以上の間、一緒になったり離れたりしながら最後はサンチャゴでも再会する縁の深い人だったが、まだこの時点では挨拶する程度。

 座って立つと痛いのは分かっているが、立ったまま食べる訳にもいかない。テーブルから立ったときにアッとか言いながら偉い格好してるのを見たベンがまた「メディスンがある」と申し出てくれるが、こっちもまたボルタレンがあるからと言ってみる。何とか効いてくれいとボルタレンを塗りこむが、どうも芳しくないようだ。腰痛には効いたけど、こんどのには効いてくれないのかな?

 尻左半分の痛みは今日も相変わらずで、これは出発前からあったのだが、その内治るだろうと楽観してたけど、そうでもなかった。昨年の腰痛と同じ、座って立ち上がった時に激痛がくるので、この日は5時間の歩行で座ったのはゼロ。もう必死に前へ前へだった。歩数計を見たら今日はたったの22,000歩だけだけど、そんなこんななので距離が短い割りに疲れた。

銀の道6へつづく