銀の道7  Moreras Monasterio ー Fuente de Cantos 坐骨神経痛

5月3日
 この痛みは坐骨神経痛らしいのが分かったので、ネットで対策を調べたら、それ用のストレッチがあるという。その仕方を写真つきで解説してくれてるサイトから画面をキャプチャしてタブレットに保存しといたので、Wi-Fiがなくてもそれを見ながらストレッチすることが出来る。一人部屋同然のアルベルゲだし、ベッドの上で見よう見まねでストレッチを始めてみる。効くかどうかは分からないが、取りあえず良いと言われるものは試す価値ありだ。

 キッチンで昨日仕入れておいた朝飯を食べている間にベンが出立の用意をしている。まだ痛み止めが手に入ってないので昨日に引き続き1回分を貰ったので食べた後に飲んでおく。ベンに続こうと急いで出ようとしたが、玄関の鍵を掛けるのに手間取っている間に見えなくなってしまった。手押し車なのに意外と早かったんだな。
 このアルベルゲは泊り客が出発するときに、それぞれ玄関に鍵を掛けるシステムで、そのために全員が鍵を持たされている。掛けた後は玄関脇のポストにポトンと入れておく。もちろん、ポストも鍵つきだ。


 今日も、これぞ巡礼路といった気持ちのいい道を歩ける。ベンは見失ったがレンソに追いついたので、セルジオとドイツのヤナのフェイスブックに、奇跡的にレンソに再会したと書き込んだら驚かれたと身振り手振りで伝える。レンソはヤナのママのアッラを覚えていた。レンソは歩くのが遅いので、そのままぶっちぎる。

 気持ちよく歩くことはできるが、座って立ち上がったときのことを考えると相変わらず立ち休みしかできない。後半は疲れたけどベンから貰った痛み止めが効いたようで歩いてる間は痛みがなくて良かった。

 一段高い丘に上がったら、目的の町が遠くに見える。でも結局そこからアルベルゲまで2時間も掛かることになるのだが。丘を10個くらい越える行程で、高い丘の上からだと町が見えても、低い所になるとまったく見えなくなる。スペインの広大な巡礼路では場所によって10km先の町まで見渡せるので辿り着くまで1時間は当たり前で時には2時間以上も掛かるときがある。目的地が見えるのはいいような悪いようなだ。


 そんな所を歩いていると、狭い巡礼路を車でゴトゴト走りながら私営アルベルゲの勧誘があった。チラシを渡されて、そこから暫く歩いた先にあった町の入り口で待ち伏せするほど念の入れよう。この交差点には公営アルベルゲの大きな看板が立っていて矢印もあるので、普通は公営に向かってしまうだろう。私営の親父も必死だ。

 私はいつも公営に泊まりたいのだが(安いから)、この商売熱心な男は私が自分とこに向かうのを確認したいらしく交差点から離れないで見張っている。この交差点から私営と公営への道は分かれるので、公営方面に歩き出すと面倒なことになりそうなので、連れを待ってるふりをして動かないでいると痺れを切らせて行ってしまった。そこへ82歳のフランス爺ちゃんがやって来たので、どこに泊まるのか聞いたらチラシを貰ったので私営に泊まるそうだ。結構チラシ効果はありそうだ。

 公営アルベルゲの手前まで来たら先ほどの親父が車で追いかけて来て勧誘の続きを始めた。うっせーなーと思ってもあからさまに断るのも何なので公営に泊まるんだとのらりくらりしていると、車で通りかかったセニョーラが横に停め、そこが公営だと私に目で合図を送っている。更に首を横にフリフリして、この男に付いて行くなとまで伝えてくる。地元の人が悪徳アルベルゲから巡礼を守ってくれてるように感じるが真意は不明。このセニョーラもどういう訳か中々この場を離れようとしないのが不思議だ。今日の公営は平ベッドなのが分かっているので、値段が高くて二段ベッドの私営なんか行くもんかい。こう言うときに外国人の私は言葉がわからないと言う強みがある。ノエンティエンド(わからない)を連発して振り切ることに成功。まったくしつこい奴だ。


 で、今日のFuente de Cantosのアルベルゲがこれ。ホテルと同レベルでもんのすごく立派です。どうですかこのゴージャスさ加減。これで10ユーロです(私営のアルベルゲ12ユーロ)。ただし、一部屋に平ベッドが3台置かれていますが。併設のレストランで夕食プラスだと20だそうだが、節約旅の私は勿論スーパーから買ってきたもので済ませます。Wi-Fiもパスワードなしでそのまま繋がります。至れりつくせり。

 歩いて10分程のスーパーDiaへ行って買い物。Diaはシエスタしない所の方が多いので助かる。今日も1リットルビールにカスオレンジジュース、袋入りカット野菜、生ハム、パン、ヨーグルト4、アスパラの缶詰、トマト4で7ユーロちょっと。この値段で2食食べられるから店でなんか食べてらんない。

 スーパーから帰って受付の前を通りかかったら、先ほど私を守ろうとしてくれた女性が座っている!あ、この人はオスピタレラ(アルベルゲの管理人)だったのか。どうりで公営を勧める筈だ。もちろんこの人は私の事を覚えているのでニヤニヤしている。

 キッチンと食堂は別棟になっていて、何人も宿泊してないのに無駄に広い。やっぱりここはホテルか何かを改装してアルベルゲにしたのだろうか。でもエントランスは石つくりで歴史を感じるのでやっぱり修道院だったのかな?何はともあれお勧めです。


 今回はこの通りゴージャスサラダにしてみた。味付けは塩のみだけど、もう塩だけでサラダを食べることにも慣れっこ。ゴージャスはいいけど、銀の道の公営アルベルゲは他の道の倍のゴージャス料金なのが分かってきた。やっぱり銀の道は歩く人が少ないだけに低価格じゃやってけないのかな。

 顔見知りの楽しいイタリア夫婦がやってきた。そんなに親しくなった訳でもないが、この二人はえらく好意的で、旦那はカスで奥さんはマントバーニー。そんな名前の楽団があったので奥さんの名前はすぐ覚えた。男の方がほっぺをくっつけて挨拶してきた。男同士でもやるんか。

銀の道8へつづく