銀の道9 Zafra -  Villafranca Los Barros  ばいばいレンソ

5月5日
 今日は朝から雨だとウクレレ兄ちゃんが教えてくれる。彼の方は、今日は病院に行ってアルベルゲ連泊するそうだが、骨折なら2日や3日では治らないだろう。最悪、このまま国に帰るのか?雨の中アルベルゲを一緒に出て少しの間一緒に歩く。名前を交換したが書かなかったので速攻で忘れてしまった。早く復活して歩けるといいね。

 雨降りのこともあって現在の気温13度C、寒い筈だよ。この町は大きいので、すぐ矢印を見失う。手当たり次第に人に聞くが、大して分かってないのに逆方向を教える人がいるので困る。大きなラウンドアバウト(ぐるぐる交差点)で立ち往生していたら、遠くにポンチョ姿の巡礼を発見、あのイタリア夫婦のようだ。見失わないようにその後を付いていったら程なく矢印を発見できたので一安心。カミーノを辿って町の外へ出さえすれば矢印は豆にあるので滅多なことでは迷うことはない。街中は美観を考えてか、目立つ黄色ペンキで矢印を描きたがらないようだ。大きな街ではそれが顕著な気がする。だから迷うのだ。

※お役立ち情報
 スペインの田舎ではカミーノを知っている人は多いですが、都会では極端に少ないです。都会でカミーノを訪ねる時は年配者の方が信頼できます。それ以下の人は本当にカミーノを知らないです。更に、スペイン人は道を聞かれて知らないと言うのが嫌なのか、分からないのに教えようとする人がいます。道を尋ねるときは複数の人に聞いて総合判断した方が身のためです。

 ひと山越えたら凄く急な下りになった。写真では急坂に見えないだろうが下りに滅法弱い今の私に取ってはモーストデンジャラスゾーンだ。スティックを前に突きながら通常の3倍の鈍さで慎重に下っていく。その隣を昨日のアルベルゲで一緒だったつるピカ君が6倍の速さで追い越していった。

 次の街ではイタリア夫婦が休んでいるかと思ったが、どこにも見当たらないので、店の中で朝飯にでもしてるのかな?その後、追い越していった筈のつるピカ君が後ろからやって来たので、さっきの街で朝飯にしてたようだ。相変わらず凄いスピードで追い越していく。

 雨の中、あちこちの畑で景気良く何か燃やしているが火の番なんて誰もいやしない。この辺の農業スタイルなのかな?炎は少なくても大量のオキがあり、雨で気温が低くなっているので近づくだけで暖かく、ちょっと嬉しい。

 柵で区切られた農地と農地の間を細長くカミーノが続いていて、これは巡礼者だけの道のようだ。足元は悪いが大した障害もないので、こんな道もまずまずだ。

 立ち止まってバナナを食べていると、そんな道なのにパトカーがゴトゴトと大きく揺れながらやってきた。巡礼者が遭難しないように見回ってくれてるのかな?場所が場所だけに、それ以外は思いつかない。横に止まると窓を開けて声を掛けてきた。「カンサードス?(疲れてない)」と言ってくれたので、疲れてないけど尻が痛いと身振りで伝えると「ドロー」と言ってくる。ドロールは痛みだったのを思い出し、これ以降スペイン人には「ドロール ウンポコ(少し)」を良く言うようになった。

 目的の町が見えてきたが、ここからが長いのは何度も経験済みなので糠喜びはしない。手ごろな大石が現れたのでザックを置いて今度はヨーグルトを食べることにする。これがことのほか旨くて4つ全部食べてしまう。歩いてる途中でヨーグルト、新発見だ。でも今日は涼しいからいいけど、暑い日には持ち歩けないな。小腹が空いているので、うぶちゃんが持たせてくれたワサビ味柿の種を歩きながらポリポリ食べる。こういうのは気晴らしになって楽しい。

町が近くなってきたらカミーノは線路を渡っていた。踏切も何もないただの線路が巡礼路。これって・・・。
 結局、最初に町が見えてから2時間半掛かって目的のアルベルゲに到着。泊まりたかったアルベルゲ・カルメンも順調に見つかる。そのすぐ手前で別方向からやって来たレンソを見つけたので手を振って合図する。レンソも同じカルメンに泊まるそうだ。中はご覧のように白くておしゃれ。レンソは私の隣の部屋に決まったが、大いびきなので隣室の運命やいかに!?
 チェックインの時にネットの翻訳で「カルメンはネットで評判がいいので来ました」と出して見せたらマダムは嬉しそうだった。

 シャワー洗濯してから今日もスーパーへ。ここには大きな室内市場があったので入ってみる。大きな割に中に入っている店舗は少なめでそこかしこに空き店舗が目立つ。果物屋の兄ちゃんにトマトとサクランボを頼むと、とても安かった。次は肉屋に行ってみた。おばちゃんにハモン・セラーノ ポルファボールと頼むと、肉屋だから生ハムの塊をスライスしてくれるかと思ったが1.5ユーロのパック入りを出してきた。ここんちは肉屋なのに飲み物も売っているので1リットルビールを頼むと、フリオ(冷たい)か常温かと聞いてるようなので、勿論、フリオを頼むと奥から出してきてくれた。日本なら冷えたビール以外選択肢がないと思うが、わざわざ聞くからには常温が好きな人がスペインには本当にいるようだ。何はともあれスーパーばかりじゃなくて、こういう市場での買い物も楽しい。

 アルベルゲに戻って早速たのしい一人宴会。1リットルビールは何杯注いでも簡単に終りにならないので楽しい。

 食べ終わって洗濯物の乾き具合を見に行ったら雨が降っていた。でも洗濯物は誰かが取り込んでくれていて、椅子に掛けてあったので感謝だ。

 隣のソファーでは地元のお嬢さんが寛いでいたのでアルベルゲの娘さんかと思ったら近くの薬局の人だそうだ。何で?今はシエスタなので毎日ここに来て休んでいるらしい。そのうち、我々が隣にいるのに本当に昼寝をしだしたので、スペイン人って本当にシエスタでは昼寝するんだと認識を新たにした。

 日記を書いていたら隣で食事をしていたノルウェー夫婦(だったかな)がボトルに4分の1残ったワインをくれた。赤ワインの味は分からないので自分が買うときはいつも口当たりの良い白ワインなのだが、これは旨かった。この夫婦ともこのあと何度か一緒の宿になって親しくなる。

 レンソに誘われて7時のミサについていく。どこで聞いてきたんだか知らないが、外から見たら教会と思えない建物でミサがあった。でも中は地元の年配者でいっぱい。どこでも若者は教会に来ないけど天国が近づいてる年寄りは教会に集まるようだ。

 ミサが終わって外へ出ようとしたら夕立級の雨がバシャバシャと降っていて誰も外へ出られないで入口に固まっている。小降りになったところでレンソの傘に入って出てみると、また大降りになったのでどっかの店先へ飛び込んで雨宿り。なんとか濡れながらアルベルゲへ戻ることができたが、ひとつの傘に肩を寄せ合って歩いたのでレンソとのいい思い出になった。レンソとはこれを最後に会うことはなくなったので。

 同室の韓国の男性とお友だちになる。漢字だと呉在雄さんと書いてオー、チェーウンさんと読むらしい。フェイスブックもやってるそうなので繋がってみると、早速「いいね」を付けてくれる。私のことを若く見えて年下と思ったそうだが実際は私より三歳下だった。この人は自前のスタンプを持っていて、行く先々のアルベルゲに置いてある旅のノートにスタンプと共に一言書いているので、今後あちこちのアルベルゲで見ることに。

  さて、問題の坐骨神経痛だが結構痛いです。良くなってみたり悪くなってみたり、忙しいです。ボルタレンが終わりそうなので、薬局の場所を教えてもらって行ってみた。ボルタレンゲル、7.90ユーロと昨年より幾らか高い気がするが、これで残りを心配することなくいっぱい使うことができる。効き目の方はあまりパッとしないのが残念だが。


銀の道10へつづく