銀の道15 Valdesalor - Caceres 城下町は道がぐねぐね 5月11日 Valdesalor のアルベルゲ、膝にたっぷりボルタレンをすり込んでみる。膝には余り効く気がしないのだが、取りあえずはこれしか方法がない。7時15に出発。本日の目的地は中世の趣が残る町カセレス。町を見て回りたいので是非そこに泊まりたいのだ。そのため今回最短の11.8km。居眠りしててもたどり着ける 歩いているとすっごい光景が現れた。牛の群れの向こうから。燃え上がるような朝焼けが始まったのだ。この世のものとも思えない光景に近くを歩いていたスペイン人二人に教えると、オォと言いながら写真を撮り出した。ええもん見られた。 この二人も昨日のアルベルゲで一緒だった人で、今回の巡礼は今日で終わりにして故郷に帰るそうだ。スペイン人は同じ国内から巡礼が始められるのでお遍路で言う区切り打ちができるが、遠く外国から飛行機でやってくる私には勿体なくてできない。それに無職なので時間だけは腐るほどあるから、一度スペインに入ったら飽きるほどいられる。 これは銀の道特有の道標です。銀の道には他の巡礼路にあるようなモホンはなく、代わりにこんなのがアチコチに立って我々を導いてくれてます。天辺にローマ時代の門の形が掘ってあり、これはこれから越えていくローマ時代の遺跡「カパラ」にある門です。側面にはご覧のような色が付いてます。青は銀などを運んだ古代の道、黄色は現代の巡礼路を示しています。両方の色があるのは古代と現代の巡礼路が一緒だと言う意味です。これが青だけだと巡礼路を見失ったと言うことになります。おー怖!! 遠くに目的のカセレスの町が見えてきた。相当大きいようなのだが、遠くから見るとやっぱりギュッと一箇所にまとまっている。スペインはよっぽどの大都市で無い限り、町の外側まで人家が広がるということはないようだ。ここもやっぱりそう。 数人の巡礼と前後して町に入ったが、みなそれぞれに行きたい所があるのか、やがてバラけて一人歩きに。運悪くここで雨が降ってくる。初めは濡れてりゃいいやと思ったものの、意外に雨脚が強くなって来たので仕方なく合羽を着込むことにする。 カセレスは古い城下町なので真っ直ぐの道がなく、どこも道路はのたくっている。そして「町中あるある」で黄色い矢印は無くなってしまったので普通の町の倍くらい迷い狂う。雨のためか、こんなときに限ってGPSの機嫌が悪いので、地元の人やパトカーに教えてもらいながら迷いに迷ってようやく公営アルベルゲに到着。しかしここは巡礼用の宿ではなかった。キッチンないし洗濯場所も干す場所もない。エントランスは大きなバルになっていて、地元の人の溜まり場になっているようだ。 チェックインしている最中、凄く歩くのが早いつるぴか君が到着してきた。私と同じ1号室になったがまだ清掃時間なので部屋には入らないでくれと言われる。外は雨だし、時間つぶしにバルのカフェコンレチェ1ユーロを飲んでみる。前2回の巡礼では時々飲んだカフェコンレチェだが、今回の旅では15日目にしてこれが初めてだ。同じ飲むなら同じ値段で飲めるビールだし、ビールを飲まないときに代わりに飲むようになったのがコラカオと言う、いわばココアだ。これは暖めた牛乳に粉末ココアを入れるので栄養もあるしエネルギーの元になるだろうとの思いで飲むようにしている。実際美味いし。 そうこうしていたら昨日も一緒だったスペイン夫婦が到着して来て私たちと一緒の部屋になった。この部屋にはシングルベッドが3台と2段ベッドが一台ある。全員がベッド1台ずつになれたので、これ以上は来て貰いたくないな。 分かりづらい町なのにみんなアルベルゲを良く見つけて来るよな。もっとも、スペイン語が話せれば私ほどは迷わなくて済むのかも知れないが。あ~、もう少しスペイン語が話せるようになりたい。英語ももう少しマシになりたい。 今日はショートコースでおまけに雨降りで寒いからシャワーはいいや。汗もかいてないから洗濯もしない。どうせ物干しもないし雨降りで乾かないし。距離が短くてよかった。 ここはアルベルゲと言う名前ではあるが、宿泊客は明らかに巡礼には見えない若者が廊下などにパラパラいる。むしろ巡礼者はこの部屋の4人だけのようだ。実態はユースホステルか?そう言えばバックパックを置かせてもらったコルドバの宿もアルベルゲと言う名前だが泊り客は少年少女の団体が入ってたりしてユースホステルのようだった。アルベルゲって巡礼者専用宿の呼び名じゃなかったんか!? そのためか値段も16ユーロと高め設定。一日の経費を20ユーロ以内に設定している私はこれ以上金を使いたくないので雨の中を中国人経営の小さな店を見つけ、食料を仕入れて食べることにする。食器も何もないから缶ビールと手で食べられる物だけを4ユーロ半ほど購入。ここんとこ粗食が続いているが今日は中でも最低レベルか。 ネットの天気予報を見たら、明日は雨降り100%で明後日が40。ここカセレスには他に私営アルベルゲが1つあって40名収容と大きい。値段もここと同程度なので、膝も痛いことだし天気も悪いからここで連泊する選択肢が出てきた。明日天気が悪いようなら明日の朝に考えよう。天気が良かったら歩く。 まだ午後5時だが、やることがないので寝てしまうことにする。他の3人は雨の中を観光でもしているのか、部屋には私だけ。しかし、寝てはみたが気温が低いこともあって足がメチャメチャ冷たく一向に温まらないので寝るどころではない。それでシャワーで温める作戦を考え付く。運良くこの4人部屋にはシャワー・トイレがひとつあるし、他の3人は出かけているので何の気兼ねもいらない。都合のいいことに、バスタブ付のシャワーなので一番熱くした状態で足に掛けながら湯を溜めることにする。膝も温めた方がいいのかなと、膝にも掛けてみる。足が温まったし、これで良く寝られる気がする。気がついて良かった。 銀の道16へつづく |