銀の道16 Caceres はじめての 休息日 カセレス 5月12日 ジャジャーン、本日巡礼初の休息日。今までサンチャゴ巡礼の道を何度も歩いたけど休息日って一度も取ったことなかった。勿論、膝の痛いのが治らないのもあるが、ここカセレスは中世の町並みで有名な所なので休息日にするには持ってこいと言う理由もある。おまけに今日の天気予報は雨100%だし。 同部屋の3人も7時と遅い起きだし。今のところ雨は降っていないが今日は一日中雨の予報だ。つるぴか君に「オイ ノ ジュビア」と言ったら、オイは今日全体のことで「今」ならアオラと言うんだと身振り交えて教わる。「今は雨は降っていない」と言うことだ。珍しくスペイン語を仕入れた。 カセレスで連泊することにしたので、まず宿を確保しなくてはだ。小雨の中、合羽を着て私営のアルベルゲ・Turisticoへ8時半に行ってみる。昨日ネットでこのアルベルゲの情報を見たときにはガラガラだったのに、何故か予約でフルだと言われる。ホントか!?余りに朝早くに来過ぎたのでタイミングが悪かったのだろうか。オーナーは予約台帳みたいのを見せて本当だよとアピールしているようだ。仕方ないので、次の町カサールdeカセーレス迄行くかと改めて雨仕度を始めたら、ベッドがあると言い出した。何で?キャンセルが出たと言っているらしいが、そんなの台帳を見てたんだから初めから分かると思うんだが。もしかして私を怪しんだのかな?何はともあれ泊まれるのが決まったので一安心だ。しかも15ユーロだったので、昨日の公営より1ユーロ安い。 ※お役立ち情報 Turisticoの私営アルベルゲは予約した方が安全のようです。 ネットではAlbergue-Residencia Las Veletasと言う名前で紹介されているかも知れませんが同じ宿です。(たぶん) Dirección: C. General Margallo, 36 Teléfono : +34 927 211 210 +34 638 337 069 部屋のほうはこれから掃除するので、少し待てとのことだったが、数分で終えたようだ。作業を終えて部屋から出てきた人が、あと5分待ってから入ってと伝えて行ってしまう。部屋に入るとほのかな匂いが漂っているので、使用した洗浄剤の匂いが篭っているから5分待てと言ってたらしいのが分かる。それで雨なのに大きな窓が開けっぴろげてあったのか。 1階にあるキッチンの下見をしてから、食料を持ってキッチンへ。食器やレンジはあるけど流しがないので変わってるなぁ。そこへオーナーが洗った食器を一抱え持ってきたので丼を手に「アグア?(水は?)」と聞いたら備えてあるコーヒーメーカーからお湯を出せて、もっと熱くしたいのならレンジを使えと言われる。日本から持参のペペロンチーノの素をどんぶりにあけてスープを作り、パンを千切って入れる。粗末だけど美味い。ペペロンチーノの素は日本の百均で買ったもので、本来はスパゲッティに振りかけるものだが、スープにしても美味いことを発見した。ヨーグルトも食べてようやく腹も落ち着いた。 廊下で謎のカップルの女性と鉢合わせする。相変わらず怖い顔をしているのでドキッとしたが、なんと向こうから話し掛けてきた。お互いに片言英語なので通じやすい。2日一緒になったと、ちゃんと覚えてくれていたので意外だった。インパクト抜群の女性なので忘れようがないが、こちらにしたって東洋人は滅多に居ないので普通に覚えられるのか。相棒の少年がいないので聞いたら「ヤングマン」と形容したので、また二人の関係の謎が深まった。もし年下の恋人ならヤングマンとは言わずに「He」だろう??? 部屋に戻って今日の観光作戦を練る。10時に出発して、まず旧市街の中心を目指す。このアルベルゲは旧市街の中にあるので観光には便利だ。おまけに前の道路は巡礼路になっていて黄色い矢印が続いているから明日の歩き出しはばっちりだ。 宿を出て歩き始めたらポツポツと降ってきたので帽子を取りにまたアルベルゲに引き返すが、暫くしたら止んでくれたのでラッキー。今日は雨100%の予報だったが、ありがたいことに外れてくれた。こういう予報はどんどん外れてくれ。 カセレスは高い城壁が旧市街をぐるっと回っている城塞都市。その中はまるで中世の町でロメオと何とかの舞台のようだ。インフォメーションも中世の建物をそのまま利用した趣のある造りだった。そこで顔見知りの巡礼夫婦が私に気づいて声を掛けてくれる。やっぱり有名な町なのでほかの人たちもここカセレスでは一日を観光に当てているようだ。でも、私と違ってこの二人は2泊ともアルベルゲには泊まってないそうだ。 次にスペインにはどこにでもあるマヨール広場に行ってみる。ここが城の表門になっているらしく、凄く立派な門があり、みんなこの前で記念写真を撮っている。この城門から壁伝い左回りに見て回ることにする。あちこち観光客で賑わっているので気分が高揚して楽しい。 中世の建物の中で何か展示しているようだが、チケット売り場がないので無料のようだ。入ってみるとお土産も少しばかり売っているが、中の展示物を見てもらうのが目的らしい。金持ちの道楽か? ぐるっと一回りしてからカセレス博物館が見たいのだが位置が分からないのでGPSで探すことにする。タブレットの保護シートが邪魔をしているのかGPSの調子が悪い。それを剥がしたら電波をキャッチするようになったので、剥がしたシートには暇を出す。 おかげで博物館はすぐ見つかった。どっかの団体がこれから入場するようなので、後に続いたが、東洋人が混じっているのに気づいた係員に「オランダ?」と声を掛けられる。どうもオランダからのツアーグループらしい。ガイドが全員分のチケットを買っていたのだろう。黒人が一人混じっていたら、その人も同じように聞かれていたが、グループの一員だった。 入場料は1ユーロだったが、スタンプが欲しいとクレデンシャルを見せるとチケット売り場の爺ちゃんが何か言っている。はて?何を言っているのか理解できないでいたら、パンフレットを見せて65の数字を指差すので年齢を聞いているのが分かった。シニア割引があるようだ。67才だと答えたら何の証明も見ることなくフリーのチケットをくれた。スペインはシニア割引があちこちにあるので、年齢の数字だけは言えるように練習してある。こちらから申請する前に割引してもらえたのは始めてだ。親切な爺ちゃんに感謝。 展示物はまぁまぁだったがアチコチ見張りがいるので写真撮影はためらわれた。どっかの幼稚園の団体が見学に来ていたのが可愛かった。あどけない子供は世界中どこでも可愛い。美術館も併設されていたが、現代アートなので見ても面白くなかった。中世の博物館なのにミスマッチだろう。 石段が多い町を2時間歩き回ったが、重いバックパックを背負ってなければ階段も問題ないようでどこも痛くならない。でも無理はしないで階段だけは足を揃えながら一歩一歩上り下りするように気をつけた。調子づいて悪くしたんじゃ元も子もない。今日1日静養したのが良い結果になるといいが。 腹が減ってきたのでマヨール広場に戻って食べられる店を探してみる。大きな広場なのでスペインで良く見かけるバーガーキングがないかと探してみたが、ここにはなかった。本日の定食・メニューdelディアは安いのでも12ユーロもするので帰りながらスーパーに寄って食料を仕入れることにする。いつもはビールだが、今日は寒いのでワインを飲もう。ワインも白の1リットル。肉団子がたっぷり入った缶詰にトマト3個、8Pチーズ、バナナにパン、ヨーグルト4、オリーブと大量に買っても7ユーロと少し。これで2食分だ。 アルベルゲに戻ってシャワー。汗をかいたTシャツだけ交換する。部屋にはバックパックがひとつ増えていたので誰か同室者が到着したようだ。 昼夜兼ねた食事はご覧のようなメニュー。今日の目玉は肉団子。缶詰を丼に空けてレンジで温めただけだが凄いボリュームだ。肉を食べると栄養取った気になる。ワインは1リットル1ユーロだがとても美味いのでこれも満足。バゲットパンも焼きたてなのでパリッと噛んだ感触も良いしとても美味い。それにバゲットはどこで買ってもとても安いのが嬉しい。大きいのが日本円で100円もしない。チーズを挟めば更に美味い。一度ではとても食べ切れないサイズなので、硬くなったらレンジでチンすればそれも美味い。食べ終わってから皿を洗いに別の部屋にある流しまで行くのがちょっと面倒かな。 同室の人はブラジル青年だった。英語は半分も伝わらなかったが初日セビージャからの川越え話で盛り上がる。私より1日遅れのスタートで、私の時は川の深さは腰だったが、兄ちゃんの時は胸まであったそうだ。あろうことか、その深さをバックパックを上に掲げて渡ってしまったイタリア人がいたそうだ!!下手したら死んでまうだろう。それとも流れは納まってたので渡る気になったのか?私が見たあの流れでは絶対に流されてしまうだろう。行き着く先は遥か下流か土佐衛門だ。みんな身振り手振りだが何となく伝わる。お互いに苦労を共有してるので片言でも楽しい。兄ちゃんは今晩6時からマヨール広場でコンサートがあるから行くと言っているが、私はま、いっかな。 部屋にはほかに二人の青年が入ってきた。一人はスペイン人で最後はドイツ青年だった。体中タトゥーだらけで耳には5cm大の輪っかを嵌めている。どーいう人間だよと思いそうだが、話してみると礼儀正しいごく普通の青年だった。しかし絶対見た目で判断されるよな。日本なら面接で100%落とされる。少しだけ日本語を喋るのが面白く、片言ながら話が弾む。大阪、福岡に行ったことがあるそうだ。日本語はそこで覚えたんか。 この青年はベッドの下段が空いているのに上段に陣取った。若者は時々そうする人がいて助かるときがある。この兄ちゃんもフェスティバルに行くそうで、時間になったら更に気合い入れた珍妙な衣装に着替えてた。もうテレビでしか見たことない人みたい。ぶっとんだその風体を写真に撮りたかったが、面白がってるのが丸出しなので止めておく。 ブラジル兄ちゃんが言っていたフィエスタが気になって7時に行ってみる。結構離れたここまでガンガンと音楽が聞こえてくるので、どうしても気になる。もし有名な歌手でもいたら見てみたいし。広場へは歩いて5分なので面倒でもない。ラップ調の歌をステージで歌っているが有名な人なのか無名なのかさっぱり分からないから有りがたみもない。腹にまで響く凄まじいボリュームでやかましい。 歌は面白くなかったが、集まっている若者に面白い共通点があるのを発見する。コーラやファンタのペットボトルをみんな持ち歩いていて、日本なら500mlや家庭サイズでも1.5リットルだろうが、みんなその倍、あるいはガロンサイズのペットボトルを持っているのだ。まるで業務用だよ。プラスチックのカップも巨大サイズで、それでゴキュゴキュ飲みまくっている。あっという間に成人病になりそうだ。緑のペットボトルは日本のサイズに見えるかも知れないが、一回り大きいサイズだ。どこのグループもこのサイズを何本も手に持っていたり地べたに置いている。カセレスの町で一番驚いたのが実はこれかも知れない。 やかましいので1時間見物したら引き上げることにする。昼間のスーパーに寄ったら店員さんが覚えていてくれて愛想を振りまいている。コーラと明日用にミックスジュースのパックを買って帰る。1ユーロと70。 夜中にトイレに起きたら、この部屋に1つだけ空いていたベッドに女の子がいつの間にか収まっていた。予約でフルは本当だったようだ。 銀の道17へつづく |