銀の道26 Morille - Salamanca 歴史の街サラマンカ 5月22日 Morilleを7時25にスタートする。個人が所有している牧場の扉を何回も開けたり閉めたりしながら丘を3つ越える。巡礼路を塞いで牛が朝食の時間だ。刺激しないように通らせてもらいます。大きな牛の群れの中を歩くのは緊張するが犬の群れより遙かにましだ。 最後の小高い丘の上に到達したら十字架が立っていて、何人もの巡礼たちが休んでいた。そこから遠くにサラマンカの町が見えていたのだ。大きな町は遠くに見えてからが時間が掛かる。案の定、町が見えてから1時間半が必要だった。 町に入る手前から自然に数人のグループになったので心強い。大きな町は一人だと必ず迷うのだ。石つくりの長い橋の向こうには大きな建物が見えている。あれがカテドラルがある旧市内のようだ。ずんずんと進んで行くと道の両側は歴史を感じる重厚な建物に囲まれてきた。観光している人もいっぱいいる。 全員がカテドラルまでやって来るが、そこからはバラけてそれぞれ目指す場所が違うらしい。ドイツの夫婦は私と同じ公営アルベルゲが希望なので一緒に探すことにする。タブレットを出してアルベルゲ探しを始めるとGPSが旨く機能して12時少し前にアルベルゲ前に到着する。 歴史的建築物に見えるが、入口の扉は大きなガラス扉なので近代的にリニューアルされているようだ。ここはチェックインが4時なんだよな。遅すぎでしょ。でも入り口前でウロチョロしていたら意外なことに扉が開いてチェックインだけはしてくれるらしい。ここはドナティーボ。ただし、実際に部屋に入れるのもシャワーを使うのもやっぱり4時からだそうだ。バックパックを預けられるが、ベッドルームには持ち込ませないで大きな黒いビニール袋に入れさせられた。ダニ対策らしい。昨年のゲルニカがこうだったのを思い出した。年寄りのオスピタレロは少し頭がおかしい爺ちゃんと感じたが変人だけなのかも知れない。どっちにしても余りまともには見えない。 時間まではどっかに行ってなくてはならないらしい。巡礼定食が5ユーロと激安で食べられるバルを教わったので、まずそこに行って昼飯を食べよう。ドイツの夫婦と貰った地図を片手に探す。行ってみると顔見知りの他の巡礼もやってきていた。みんな私と同じで安いとこがいいんだよな。 外のテーブルでドイツの夫婦と食べることにする。巡礼定食には通常、水かワインが選べるのだが、さすがに5ユーロでは水だけだった。私は別料金でビールを頼んだが、夫婦は水にしていた。それでもビール込みで6.5ユーロと安いことには変わりなかった。水が貰えるのなら貰いたいと、あとから水を所望する。ここのミネラル・ウォーターが入ったボトルは小型だったので、これが欲しかったのだ。以後は水切れ緊急用にはこれを持ち歩くことにする。 隣のテーブルに一人で座っている地元の人らしい男が私の方をチロチロ見ているのが気になる。旅先ではどうしても危険回避のためにアンテナが高くなっている。そしたらついに話しかけてきた。この男は日本に行ったことがあって、それで私が日本人だと思って話しかける機会を伺っていただけらしい。この人が訪問した日本のことでひとしきり盛り上がる。と言っても相変わらず片言だけだが。怪しい人じゃなかった。 昨日の頑張りが堪えて朝から疲れてるので、明日はサマランカに連泊して休養することにする。今日のアルベルゲはチェックインが4時。これでは余計疲れが取れない。公営のアルベルゲは連泊は不可なので別の宿を探さなくてはならない。 私が宿の予約をするときはHotels.comというサイトを利用しているのだが、そこは10回利用すると1泊タダで泊まれるという得点がある。いままでその得点を使って1回泊まったことがあるが、すでに2回目を泊まれるだけのポイントが溜まっている。それをここサラマンカで使おうって作戦なのだ。ここのバルのWi-Fiキーを教えてもらってHotels.comにアクセスして安宿を検索する。1泊無料と言ってもホテル代には制限があって、それまで利用したホテル代の平均が無料の範囲だ。それでいくと私の場合は3.000円弱のホテルしか泊まることはできない。日本の感覚だと、そんな安いのがあるのと思われそうだが、でもそれがあるんだな。選んだのはホテル・アメファ。オスタルでなく本物のホテルだ。サラマンカの中心マヨール広場から近く、ネットの紹介写真で見てもまずまずのホテルだ。早速明日の予約を入れる。日本円なら2,679円の宿代が無料だが、税・サービス料の268円は持ち出しだ。これで明日はサラマンカで連泊決定だ。今日のアルベルゲは決まっているし気楽さが倍増する。 暇つぶしにカテドラルでも見物するかと入り口に行ったら、ここでスタンプが貰えるそうだ。サラマンカのカテドラルのスタンプなら欲しいな。クレデンシャルを取りにアルベルゲに戻るも、入り口は施錠されていて入ることはできない。仕方ないので4時まで隣の公園でボーっと待つことにする。 3時半になったら他の巡礼達もぱらぱらと集まり始めて一か所に固まり出したので私も仲間に入れてもらうことにする。謎のカップルも一緒だ。もうこの頃になると気楽に話もできるようになったし、顔も怖いと思わなくなった。でも相変わらず二人の関係は謎なので妄想が膨らむ。 4時にアルベルゲが再オープンになる。2階がベッドルームなので、みんな下段ベッドを確保したいからマジ顔になって一斉に階段を上がっていく。男女別々で2段ベッドが5・6台置かれた部屋だったが、待っていた人全員が下段になれたので喜ばしい。バックパックは持ち込めないので必要な物をベッドの上に運び込んでおく。面倒。 ベルギー夫婦が到着してきた。相変わらずのんびり歩いているようだがベッドがあれば何も問題ない。仲のいい夫婦で、受付をしているときに旦那が膝を椅子代わりに提供したら奥さんがちょこんと座っている。この夫婦には個室が与えられたらしい。 ドイツの旦那の方が新しい靴を買ったと見せてくれる。どうしたのかと思ったら、今までのトレッキング・ブーツは靴底が真ん中からまっぷたつに割れていた。こんなことになるのか靴って。 私の靴は昨年の巡礼で4つの巡礼路1267kmを履き続けた物で、トレーニングも入れると1,500km以上歩いている。今回の銀の道では既に500km歩いているからこの靴で2,000kmは歩いているだろう。爪先辺りは完全に溝がなくなっているが踵の溝は健在だ。滑らないように来る前にカッターで溝を掘ってきたが、その溝が深く掘りすぎた所から崩壊しそうなのが気になる。何とか帰るまで持ってもらいたい。 クレデンシャルを持ってさっきのカテドラルへ行くと、丁度エディスが入るところだった。私のアルベルゲに居ないなと思ったら今晩はオスタル泊まりで20ユーロと50だそうだ。公営アルベルゲの4倍か。 カテドラルは大きくて立派な物だったが、スペイン3大カテドラルのセビージャを見てきたので驚くほどの物ではなかった。入場料4ユーロでスタンプも置いてある。クレデンシャル割引は無いようだった。 一通り見てから外に出て建物の写真を撮っていたらショートカットの女性が中から出てきた。シャッターを押そうかと言ってくれたので、一緒に写真を撮ることにする。この人はこれで3晩一緒のアルベルゲになるが、若い人だから余り話はしたことなかった。聞いてみるとアンドレアと同じオーストリアから来ていた。今度はハズバンドも連れてきたいと言ってるので結婚してたのか。ボーイッシュで若く見えるので未婚かと思ってた。 ミニスーパーで食料を仕入れてアルベルゲのキッチンで一人宴会。大きな豆の缶詰を丸ごとスープに入れたので食べすぎ。一緒のテーブルにいた変人オスピタレロに義理でビールを勧めたら飲んだ。腹がきついので珍しくビールが飲みきれないので他の巡礼にビールを勧めてたらオスピタレロがお替りを要求してきた。でも自分が2杯飲むんじゃなくて、もう一人いた女性オスピタレラに上げていた。気がつかなかった、その人にも勧めてあげれば良かったな。 腹がきつい。食べすぎは良くない。金も掛かるしあほらしい。今度からは気をつけよう。 銀の道27へつづく |