銀の道27  Salamanca    ここが半分サラマンカの休日

5月23日
 今日は久しぶりの休息日。サラマンカでグダグダ過ごすので朝ものんびり。この部屋は男性部屋だったが、女性部屋のベッドが足りなくなったのか、中国系カナディアンの女の子だけはこの部屋に泊まった。いっつも遅い到着なので、こうして割を食うこともあるだろう。でも普通のアルベルゲは元々ミックスだしベッドがあってよかったね。きつい顔の女の子だけど慣れて来たので愛想がいい。私の腰を良く心配してくれる。この子も今日はサラマンカで連泊するそうだ。私営のアルベルゲでも見つけたのだろうか。


 8時10にアルベルゲを出る。ホテルと違ってアルベルゲはそんなに遅くまではいられないのが普通だ。重厚な教会群の写真を撮りながらぶらぶら歩き、取り合えずカテドラル前の広場を目指そう。そしたら目の前にベルギー夫婦とエディスが立ち話をしている。まぁ良く会うこと。三人ともサラマンカで連泊するそうなので今後の日程も同じになりそうな予感がする。エディスは同じオスタルに連泊するそうで朝から身軽だった。

 カテドラルから大きな通りを歩いて行くとオスタル2階の窓からベルギー父さんが声をかけて来た。まぁいい場所に宿を取ったね、カテドラルがすぐ近くだよ。カナダの子が予約したオスタルも同じだったのでベルを鳴らしてチェックインできるか聞いているようだが、ネットから予約した場合のチェックインは午後になると言われていた。だったら別のオスタルにしちゃうらしく、すぐ近くのオスタルの呼び鈴を押して交渉を始めている。この子はスペイン語もそこそこ話せるので小回りが利いて羨ましい。

 昨日、ネットで予約したのはホテルアメファ。名前からすると中東系のホテルなんかな?それともスペインがモーロ人に征服されてた時代の関係か?アメファはマヨール広場を越えた向こう側。チェックインは午後1時だが場所は確認しておきたいので探してみる。サラマンカは古い町なので道路がぐねぐねしているから少し迷う。見つけたホテルは古くてもまずまずの大きさだった。安いからこんなもんかなな感じだが私には十分に見えた。

 ホテルが確認できたので安心してマヨール広場で時間潰しをしよう。広場のいいところは適当にベンチがあって誰が寛ろいでいても構わないと言う所だ。必要なら店なんか回りじゅうにあるし。朝が早いので開店準備をする人たちと徒歩や自転車で会社へ向かう人たちで賑わっている。この広場でしばし人間ウォッチング。そしたらエディスが離れた所を歩いているのを見つける。朝早くから精力的に観光しているようだ。どこに行くのだろう。

 私は一日この町で過ごすが、サラマンカの情報はほとんど持っていないのでちょっと残念かな。ホテルに入ったらWi-Fiがあるだろうからネットで見どころを探してみよう。


 マヨール広場の正面入り口の床にプレートがあり、その先に帆立貝のマークがあるのを見つける。これって明日の巡礼路じゃないか、偶然見つけることができてラッキー。大きな町なのでこの先がどうなっているのか迄は分からないが、取り合えずスタート地点だけでも確認できたので明日の心配はなくなった。広場には巨大な像が逆立ちしたオブジェもあったが、作者はどういうセンスしてるのか気になった。

 マヨール広場の石のベンチで2時間も時間潰ししたけど流石に飽きたのでバックパックだけ預かって貰おうと11時に行ってみたらチェックインさせてくれるそうだ。何か言ってるのでHotels.comから送られてきたメールを見せたら簡単に手続きができる。メールには日本語の他にスペイン語でも書いてあったのが良かった。いつもは名前とパスポートだけでチェックインなのだが、こういうスタイルもあるんだなぁ。覚えておこう。気さくなセニョーラにマリアカードを進呈する。部屋は304号室でスペインの3階は日本の4階だ。エレベーターがあるので上階なのは気にならない。ホテルなので部屋にはちゃんとバス・トイレが付属していたし窓もあって明るい。荷物を置いたら早速観光に出かける。

 サラマンカは中世の匂いが感じられる観光の町。名前からしてかっこいい。サラマンダーって火竜のことじゃなかったかな?関係あるのだろうか。旧市街はどこに行っても観光客がウヨウヨいるのでその人たちが行く所へ行けば見所があるという事だ。

 歩いていると大きなイシドロ教会があったのでスタンプがあるかと中に入って聞くと、カテドラルへ行けと言われる。中をキョロキョロしていると外へ行くように言われたので、向かいにある古い建物に入ってみる。中では何かイベントをやっていて、テレビ中継も入っていた。ここは古い図書館なので、その関係の何からしいがさっぱり分からない。ここにエディスがいて声を掛けてくれる。前の教会が凄く良かったと教えてくれたので、さっき追い出されたけど懲りずにまた行ってみる。

 さっきはスタンプが欲しいと言ったら駄目だったので、今度は入ったら上を見たいという意味で指で上を指したら通してくれた。何でもやってみるもんだ。中には観光客がぞろぞろ居たので、ここも観光名所のひとつだったのが分かった。歴史を感じる大きな教会だった。ジグザグの階段で高い所まで上がり、更にその上には大きな筒状の螺旋階段があって、鐘楼の上まで上がれて同じ色で統一されたサラマンカの町が一望できた。凄く良いところだったのでここを見逃さなくて良かった。カテドラルと同等の価値がありそうだが、ここは無料。教えてくれたエディスに感謝だ。


 スペイン内戦の記念館みたいのがあったので入ってみる(無料)。AAAみたいな目だし三角帽を被った裁判官の人形がいる法廷が再現してあって、内戦時の裁判の様子のようだが分からない。あとでネットで調べたい。昨年「ゲルニカ」と言う映画を見たが、スペイン内戦ってすっごく複雑だったのが分かったが、複雑だったらしいと分かっただけ。隣にはヌーベルモード美術館(?)があったが4ユーロなので無料のお土産コーナーだけ覗いてみる。テレビの何でも鑑定団でも登場したレトロなポスターがいっぱい売られてたので、この絵はスペインだったのかと想像する。

 カテドラルの裏を回って昨日泊まったアルベルゲまで行ってみる。1時だが入り口扉は開いているのに巡礼の姿はなかった。誰か知り合いでもいるかと期待したのだが。

 ホテルで休もうと歩いていたら道端に銀行があったので、まだユーロは200位残っているがキャッシング〆日の26日が近いのでここでやっておこう。そうすれば利息が数日分で済むからが理由だ。サンタンデール銀行では200ユーロが上限だった。これで気がついたが、昨年ポルトガルを歩いていた時に数回サンタンデールでキャッシングしたときはいつも200ユーロしか出来なかったので、物価が安いポルトガルだからだと思っていたが、サンタンデール銀行はスペインでも200しか下ろせなかった。キャッシングは一回ごとに銀行に手数料が取られるのでもうサンタンデールは利用しない方がいいなと思った。


 ここで、サラマンカには貝の家と言う名所があるのを思い出した。調べたらなんと目の前がそうだった。でも実際に見た貝の家はなんてことない建物だった。ただホタテ貝のオブジェが壁一面に張り付けてあるだけ(左)。何で有名んなったのか意味が分からん。近くにあったサラマンカ大学(右)の中にも入ってみる。ここも歴史的な建物が学校になっているようで、スペインの歴史の深さに触れられたような気がした。なんちって。

 観光し始めた時に目にしていたバーガーキングを探してお昼にする。ハンバーガー、ポテト、飲み物で6.95ユーロなのでそんなに安くもないな。飲み物はカップを渡されて自分で好きなのを注ぐスタイルだった。何杯飲んでもいいのかな?分からないので1杯だけにしておこう。町の中で座れるところは貴重だ。店内でのんびりと日記を書くことにする。

 2時過ぎにホテルに戻る。このホテルの良い所は浴槽があるところだ。坐骨神経痛を抱えているので湯船にお湯を張って治療の積もりでゆっくり浸かる。汗びっしょ。効いてくれるといいのだが。

 お湯を抜いてから浴槽の中にお座りして足を入念に洗っておく。いつもはシャワーしかないし、アルベルゲのシャワー室って屈むほどの広さもないから足が洗いづらいのだ。座って体を洗うのがこんなに楽だとは今の今まで気が付かなかった。日本はみんな腰かけて洗っているので、それが当たり前だったから立ったままでしか洗えない世界を知らなかった。

 湯上りにフロントに行って、ホテルの高い缶ビール2ユーロを買う。愛想の良いおばちゃんセニョーラの写真を撮らせてもらったら、逆にムチャスグラシアスと言われた。

 夕方、食料補給のためにスーパーを探しに出かける。マヨール広場を通り越したところに小さなスーパーを発見。めずらしくインド人の店のようだ。ヨーグルト4、バナナ2、オレンジジュースとトロピカルジュースを買う。そしたらナマステと言われたので、確かありがとうの意味だったと記憶しているので、こちらからもナマステと言ってみる。嬉しそうだ。

 昨日の食べすぎがまだ効いていて腹が重いので、夕飯はヨーグルトだけ食べておく。胃が小さくなったのか、いつまでも食べすぎが解消されない。腹が減るのも辛いが食べすぎも辛い。

 セビージャからサラマンカ迄が504km。銀の道は全部で1,007kmあるのでここまでで調度半分歩いたことになるようだ。それなので休養日は良いタイミングだ。一人部屋でゆったりのんびり豪勢な気分を満喫する。あんまり居心地がいいので、2、3週間に1回くらい贅沢してもいいかなな気分になる。アルベルゲは私営の高いのは15ユーロ。このホテルは22ユーロ。ホテルより安いオスタルだとアルベルゲと殆ど変わらない部屋もある。銀の道はアルベルゲと一般の宿の差が幾らもないようだ。

 私はサラマンカ連泊だが、アンドレアは次へ進んで行ったのでもう会うことはないだろう。1日平均40kmも歩くそうだから絶対に追い付けない。ほんわかとする良い出会いだった。代わりでもないけどエディス、ベルギー夫婦、中国系カナダ人の女性がサラマンカで連泊している。宿は別々だけど、このメンバーはちんたら歩くので暫くは付き合えそうで楽しい予感がする。他にも数人の顔見知りと観光中に挨拶を交わすことができた。


銀の道28へつづく