銀の道29   Calsada de Valdundel - El Cubo del Vino 今日も一緒

5月25日
 7時20に出発。ギャエレ達以外全員が既に出発していた。村はずれに来ると早速矢印がなくて巡礼路を見失う。四つ角なので間違った方に行ったら面倒だ。誰か来ないかなーと15分ほど待っていると、やっと村人がやってきたので教えてもらう。私が想像していたのとは別方向を教えるので、タブレットで確認すると今日はGPSの機嫌が悪くて電波が来ない。次の手段はタブレットに入れてあるコンパスアプリだ。これはGPSがあるので使わないだろうなと思っていたが、やっと出番がやってきた。村人が教えてくれた方角が真北だったので、次の村があるサモラ方面だから合っているようだ。勘で歩き始めないで良かった。教えてくれた道をやっと歩き出すことができる。

 ずーっと矢印が現れないので、方向は合っているが巡礼路ではないらしい。1時間ほど歩いてやっと矢印を確認できたので一安心する。歩いてきた方は舗装路で矢印を見つけたのは土の道だった。やっぱり巡礼路ではなかった。きっと出発した村の中で既に巡礼路への矢印を見落としていたのだろう。何気なく歩いてしまうとこんなことが良くある。でも方向さえあっていればいつかは巡礼路と交わるのでそんなに心配することでもない。それからは土の道を歩き続ける。

 1時間半歩いたところにポツンと一軒だけあった私営アルベルゲから巡礼者が出てきたので声を掛ける。泊まったのかと思ったら「カフェコンレチェ」と言ったので、コーヒーを飲んでいただけらしい。そう言えばこの人も一緒に泊まってミサに行ったカナダ人だったかなと思い出した。ネイティブの英語を聞き取ろうとすると難解で気持ち悪くなる。

 久し振りに行く手を沼に阻まれる。小さな沼の向こう岸には巡礼路が続いているのが見えているから、水量が少なければここを渡って行けるのだろう。今日はとてもじゃないが越えられない深さだ。それに水草や葦が生い茂っているので気持ち悪い。こういう場合、普通は少し戻れば迂回路が見つかるのだが近くには渡れそうな所はまったく見当たらない。そう言えば50mほど戻った所に2方向を記した看板があったのを思い出した。そこへ行ってみると、アグア(水)の文字と矢印が描かれてあった。察するに、増水して越せないときは右に行けと言う意味らしい。最初に通りかかったときは本線と思われる方の矢印に従ったので、この看板は気に留めなかったが、こう言うことだったのか。

 矢印に従いグルーッと大回りする。大きな陸橋の上を歩かされて沼と化した湿地帯を上から通り越すことができる。どうせならこのまま舗装路を行ってもいいなと思っていたら、300m程歩いたところに看板があり、今度は左の狭い道に誘導してきた。越せなかった沼を渡りきる所までご丁寧に誘導してくれてたので癪にさわった。これで15分位のロスだ。

 すごく暑い日で、日陰のない同じような道をうんざりするほど歩き久しぶりに見つけた木陰で休んでいたら、その前をギャエレ達が通過して行った。相変わらず少年が先行してギャエレがその後に続いている。ギャエレが「ワンキロメートル」と声を掛けてくれる。あと1キロか、すぐじゃん。

 El Cubo del Vino村の入り口に到達する。暑い日なので水が尽きないか少し心配だったが持ってくれた。二人は村に入る手前にあった大きな看板の私営に行くようで道から外れて行ってしまった。仲良くなったので一緒のアルベルゲがいいが、私は今日も安い公営を目指す。村の中に入って行ったところに第一村人発見。アルベルゲを教えてもらって行ってみると、そこは私営のFyMだった。うーん、ここじゃないんだけどなと本通りに戻ってみたが、暑くて探すのが面倒になったので、もうここでいいやと今来た道を戻ってアルベルゲの中に入っていく。

 日本で言えば「土間」を通り越してすぐの部屋には昨日のカナダ人とベルギー夫婦にエディスまで居たのでテンション急上昇。それに初顔のコリアおばちゃんがいた。みんな揃ってアルベルゲのセニョーラから明日の行程を教わっている最中だったので私も同じテーブルにつく。すぐウェルカム・ドリンクを振舞ってくれた。何が飲みたいか聞かれたので、ビール以外ないでしょう。つまみまでくれた。セニョーラは詳しい良い地図を持っていたので、それを10ページくらいデジカメで撮っておく。でもこの画像を見返すことは一度もなかったのだがちょん。

 シャワー室にはシャンプーのでっかいボトルが置いてあったのでありがたい。手持ちの石鹸ひとつで全て賄っているので減りが激しいのだ。何かと親切なアルベルゲなのはすぐ分かった。ここFyMにして良かった気がした。ただ洗濯だけは大き目のタライひとつでやらなくてはならなかった。水は離れた水道からホースで持ってこなくちゃならないから使いづらいことこの上ない。洗ったのを土間に渡してあったロープに干しておいたら、いつのまにかセニョーラが外の陽の当たる所に全員のを掛け直してくれていた。ほんと親切なセニョーラだ。

 スーパーの場所を聞いたら、すぐ近くにある同じ名前のスーパーFyMに連てってくれた。同じ名前だし兄弟か親戚が経営しているようだ。大好きな1リットルビールはなかったので缶を買う。8Pチーズにコーラ、ヨーグルト4、バケットパン、大きな桃缶に瓶詰めのアスパラで10.9ユーロと大量買い。明日の村には店がないとの情報なので多めに買っておく。今日も安上がりに買った物を受付のテーブルで食べる。ここの受付ルームの天井には今まで泊まった巡礼たちの写真が張り巡らされていた。


銀の道30へつづく