銀の道32 Zamora - Montamarta  カルロス登場

5月28日
 風邪ぎみなので夜中に大量の汗をかく。私は風邪を引くと必ず大量の汗をかくのだ。胸の上に挟んでおいたタオルもびっしょり。このまま濡れたのを着ているのは良くないので着替えることにする。部屋の中には濡れたシャツを干す場所はないが、トイレにタオルの掛かっていないタオル掛けがあったのを思い出す。そこに二つとも干して置いたら朝までにほぼ乾かすことに成功する。朝、その乾いたのをまた着てしまう。シャツは全部で3枚あるが、汗をかくのが分かっているので乾いたシャツは貴重なのだ。この際、少しくらい臭うのなんて問題じゃない。

 アルベルゲでの朝食、たくさんの巡礼が食堂に押し寄せる。食べ物は普通の朝食サービスより少し品数が多かったので嬉しい。今日ベルギーへ帰る夫婦もやってきて私の前に座ったので急いで部屋からマリアカードを持ってきて、漢字とアルファベットで名前を書いて進呈したところ、メルアドも書いてと頼まれる。この夫婦とは何日一緒に過ごしたろか?遡ってみたら半月一緒だった。夫婦は歩くのが遅いので坐骨神経痛でペースダウンした私とピッタンコだった。二人とハグしてお別れ。二人は来年、ここサモラからサンチャゴを目指して歩き始めるのだろうか。エディスともお別れだが、彼女とはコンポステラで再会の可能性があるので「シーユーサンティアゴ、アスタサンティアゴ」と言い合って明るく別れる。

 サモラは古い城砦都市なので道はぐねぐね。サモラの町に入る時には見ることがなかった立派な城壁が現れた。こんなのが残っていたのか。ちょうど一緒に出発した4人のイタリアグループに混ぜてもらって歩き始めたので迷うことなくサモラを脱出。ヨーロッパ人は大体詳しいガイドブックを持っているので、こんなときは一緒に行動すると安心できる。

 次の町の道筋には妙な家があった。普通の民家らしいが脈絡のない妙な置物がやたらと置かれている。フェンスには特大のホタテ貝やバックパックを背負った巡礼らしき像まであるので、巡礼者を楽しませてやろうとの思惑があるらしい。誰かのブログで見たのはここんちだったのか。おかしな趣味の人がいたもんだ。まぁこちらの目を楽しませてもらえたのは間違いない。

 サモラを後にしてから長い時間を歩き続ける。大きな陸橋の下は新設途中の線路だった。線路を作っている所なんて初めて見た。この頃から見事なビヤ樽腹を抱えた巡礼を見かけるようになる。スキンヘッドで服装もなんか巡礼ぽくなくて、そこいらを散歩中の人みたいだ。なのでちょっと近寄りがたかったが、この人はスペイン人のカルロスで、この2日後にも同じアルベルゲになった頃から仲良くなり、結局3週間後にサンチャゴに到着するまでくっついたり離れたりを繰り返しながら、とても仲良くなっていく。

 モンタマルタが近くなった頃に、向こうから女性巡礼がやって来た。サンチャゴから逆に歩いているそうだ。長身でモデルみたいなスタイルで超が付くほどの美人。こんな美人が歩いていたら周りの男がほっとかないだろうが逆走してる人とは一緒に歩くことはできない。

 モンタマルタのアルベルゲは村を外れた所にあった。道路下のトンネルを潜って森の中の坂を上った所にありポツンと一軒だけ建っている。周りには店どころか家の一軒もない。私の好きな、管理人はいないが扉が開いていて好きにしていいタイプだ。一番乗りなので好きなベッドをゲットしてから熱いシャワー。洗濯機と洗剤は自由に使っていいらしいので挑戦してみよう。書かれているスペイン語は理解できないが何とか回すことに成功する。次にコリアおばちゃんが到着してきてカルロスや他の人たちも到着する。

 アルベルゲの庭にはこの村の見取り図の大きいのが立っていたので明日の巡礼路が確認できる。少し離れた村の中には商店があることになっているが今日は日曜だ。だめ元で歩いて行ってみるもやっぱりガチョン。でもバルだけは日曜でもシエスタでもやっているのが強い味方だ。バルの中でビールを1杯飲んでハムとトマトのボカディージョを作って貰い持ち帰る。アイスも買ったので合計6ユーロと少し。アルベルゲに戻って手持ちのスープの素でスープを作り昼兼夕飯にする。今回のVerdurasスープの素は色々入ってて旨いので、見つけたらまた買っておこう。


 このアルベルゲはベッドルームが広い上にキッチンも食堂も立派だった。でも公営アルベルゲにはWi-Fiが無いことの方が多い。Wi-Fi求めてバルまで2往復。バルから水を買って帰るところの韓国おばちゃんとすれ違う。バルで買った水が高かったとこぼしていた。水だけに!?バルにはさっき集金に来ていたオスピタレロが一杯やりにやって来ていた。まさか巡礼から集金した宿代で飲んでんじゃないだろな。通常、アルベルゲの受付ではパスポート番号や氏名・前日の宿泊場所などをしっかり記帳するのに、このオスピタレロはペリグリノとしか記入しないので珍しいなと思っていた。


銀の道33へつづく