銀の道41  Lubian - A Gudina  また迷ういつも迷う

6月6日
 朝飯を軽く食べて6時50に出発。山の中の村だが矢印が途切れがちに加え真っ直ぐな道がなくて脱出するのに少し迷う。それくらいはご愛敬だが村を出てから分岐は注意していた積もりだったが矢印が全然出てこないのでカミーノを見失ってることに気づく。どうやら村の中に分岐があったようだ。少々不安な気持ちを抱えて舗装路を歩き続ける。隣を高速道路が走っているので、いつ歩行者通行禁止になるかとハラハラする。昨年、高速道路に繋がる道とは知らずに歩いて行き、突然「歩行者通行禁止」になった覚えがあるから。

 前方に見える山にドカンとトンネルが通っているようだ。あそこで歩行者通行禁止になるかも知れないなーと不安が増す。でも近くまで来るとちゃんと一般道路用のトンネルも用意されていて、歩きもその中を通れたのでひとまず安心。巡礼路でない所を歩いていて一番困るのは通行止めになるケースだろう。たまーにそういう道があるので戦々恐々だ。山を越えると大きな砕石場があった。でかいでかい、大型ダンプが豆粒のように見える、さすが石の文化の国スペインだ。


 遠くにA candaの町が見えて来た。更にその向こうに小さく見えているのがカミーノ上の村Vilavellaのようだ。あそこで巡礼路に復帰できそうだと期待する。※上の写真右

 Vilavella村は今まで歩いてきた幹線路からは外れていた。村の中に入っていくと、すぐにガリシア州特有のモホンが現れたので巡礼路と確認できる。やったね。迷って歩いた時間は2時間40分だった。まぁGPSさえ機能していればとんでもない方に行くことはないので大体何とかなるが迷いすぎだろ。


 村を出ると突然すごい道になった。細くて険しく道の真ん中に小川まで流れている。こんなところなのに亡くなった人の墓標がひっそりと立っていた。その隣に水飲み場があったので、やって来る巡礼者がここで水が飲めるよう、遺族の意向で作られたのだろうと想像できる。こんなに寂しくやって来る人も殆どいない処で亡くなったんじゃ、さぞ心細かったろうなと気の毒に思う、そんな道です。

 明るい道に出たところで靴を脱いで大休止。オレンジとカステラを2個食べる。こうしてエネルギー補給して休むと歩く力が蘇る。20分ほど休んでいたら、その横を3人のソロ巡礼がブエン・カミーノと言いながら通過して行った。歩き出すと、そのうちの二人を抜かす。


 今日のハイライトのような岩場が現れてきた。荒涼とした岩だらけの丘は、これぞカミーノと思わせるような痺れる道だった。足を挫かないように慎重に上り下りを繰り返す。特に下りは鬼門だ。凄い所はタブレット出す余裕がないのでフェイスブックでは見せられません。

 Canizo村を過ぎたら残りが3.6kmなので気をよくする。高い丘を上りきったら遠くにA Gudinaの大きな町を見下ろせるようになる。しかし巡礼路は直線で町を目指すのではなく、ぐるーっと回りこんで行くようだ。町に入ったらアルベルゲの印を見落とさないように慎重に歩いていくが、そう思いながらも迷ったらしい。地元の人数人に教わってみるが中々決定打に出会わない。

 ブログではアルベルゲは線路の下をくぐった先にあると書いてあったので、同じような場所があったから線路下のトンネルをくぐり、近くにいたおばちゃんに尋ねたら、あそこだと指を指す方向200m先にあるらしいが建物がどれなのか確認できない。でも方向は分かったので今来たトンネルを戻って戻って戻って行ったら町に入った所にA付の矢印を発見する。迷って大分先まで行ってしまったようだ。なんだこんな所にアルベルゲの印があったのか。前だけ見て歩いていたので気がつかなかったよ。時には振り返ってみることも大切なようだと学習する。

 その矢印を追っていくとネットで紹介されていた白く大きなアルベルゲに簡単に到達することができた。初めての土地ってのはこんなもんだ。来る途中で抜き去った爺ちゃん達は既にベッドをキープしていたが、いい位置の下段が空いていた。このアルベルゲは2段ベッドが2台ずつ隙間なくぴったりと寄せられてる強制Wベッド状態だったが、私は壁際のシングル状のベッドを取ることができた。それでも2段ベッドには違いないが。

 私の上段には顔見知りで190cmはありそうな大男がやってきて「OK?」と聞いてきたが、もちろんノーとは言えない。大男なので大イビキをかかなくちゃいいが。

 スーパー探しに出かける。入り口は小さいけど中はそこそこのスーパーを発見。缶ビール2、桃の缶詰、ファンタ、野菜の瓶詰め、スープの素、パン、ミニソーセージにヨーグルト4個で8ユーロと少し。大きなレジ袋がパンパンになる。フルーツ缶詰は時々食べたくなるので買っている。小さいのは滅多になくていつも大きいのを買うが、2ユーロとかそんな程度で買うことができる。シャワー・洗濯してたらイチャツキカップルが到着して来たので気分を害す。なるべく離れたベッドにしてくれ。

 キッチンで瓶詰野菜を入れたスープを作りパンもいっぱい食べたので腹いっぱい。昨日のフランスおばちゃんも隣で質素なお昼を食べだした。電気コンロの使い方が分からないから教えてと頼まれたので、何となくいじって使えるようにして上げる。アルベルゲは安全を考えてか殆どが電気のコンロなので、ガラスの上に表示されてるデジタルの赤い数字を適当に押していると大体使えるようになる。この人は年恰好が似た爺ちゃんと歩いていたので夫婦かと思ったがソロだった。どうもこの人が後で仲良くなって行くリリアンおばちゃんのようだ。

 何度も一緒になる奥さんが細身のデンマーク夫婦が到着してきた。上段が2つ並んで空いているよと教えて上げたが、二人して下段が希望のようで旦那の方がオスタルを探しに出かけて行ってしまった。見つけたと電話が入って奥さんも行ってしまう。この二人は良くオスタルや私営のアルベルゲにも泊まっていたし、安さにはこだわらないようだ。

 大きな桃缶を開けていたら調度ギャエレ達がキッチンにやって来たので大きな皿に2個ずつ載せて進呈する。えっ貰えるの?!みたいな顔をして喜んでくれたので嬉しい。ギャエレは最後に残ったシロップを、少年に飲んでもいい?と断ってから飲み干した。酒も飲むけど甘いのも好きなようだ。私もシロップを全部飲んでカロリーばっちり。

 この町は大きい方なので絵葉書を売ってないかと町を歩き回る。2軒の店に入って聞いてみたら、あるというので店の奥に着いていくとそれは封筒だった。ペケーニョ(小)かと聞くのでその通り。残念ながら葉書は置いてないそうだ。通りの反対側を馴染みのおばちゃんがやって来て、ATMが使えないの~と言っている。この少し先にもあったのを思い出したので案内してあげる。

 オスピタレロが7時過ぎにやってきてチェックインできる。今日は6ユーロ。今日からガリシア州に入ったので、アルベルゲにWi-Fiはあるがスマホの人しか利用できない糞Wi-Fiなので私は使えない。ガリシア州なんとかしてくれ。

 もはや旅の相棒となっているスペイン人のカルロスは私より1才上だったのが分かった。明日は私が12km先行する気がするので、もしかしたら当分会えないかも。


銀の道42につづく