銀の道42  A Gudina - Campobecerros  忘れ物だよ

6月7日
 A Gudinaのアルベルゲ、昨日の食料の残りでスープを作り、パンとヨーグルトを食べて朝飯にする。イタリアの妖精爺ちゃんがバナナを一本くれた。出発の準備をしていたら、隣にいたイタリア婦人二人組のベッド下にサンダルが揃えて置かれていた。あれま、忘れ物だよ。近くのギャエレに聞いてもやっぱりイタリア組のものらしいので今晩早速困るだろう。レジ袋に入れバックパックに吊るして届けてやることにする。何時に出て行ったのか知らないが、おばちゃん二人組なので多分追いつくだろう。

 7時にスタートする。ここは町の中から巡礼路が二手に分かれる。みんなが行く北ルートへ。南ルートにもアルベルゲはあるが行く人はいないんじゃないかな?

 前半は舗装路なので調子よく歩け、遠くまで見渡せる山道でとても気持ちがいい。2時間歩いたところで遠くに二人連れが休んでいるのが見えた。あれ!例のイタリアオバちゃんじゃないのかなと期待しながら近づいて行くとピンポンだった。喜んでレジ袋からサンダルを取り出して見せると意外な返事が!!サンダルは捨ててきたそうだ。なにーっ、捨てるんなら揃えてベッド脇に置かないで貰いたかったよ。ごみ箱に捨ててくれい。でもわざわざ届けてくれてグラチエ、あとでビールを奢るとまで言ってくれたので半分嬉しかった。


 眼下に堰止湖らしいのが見えてきた。なかなかの景色なのでみんな写真を撮っている。少し行くとギャエレとルアンが土の上にべったり座って休んでいる。二人は互いに話すでもなく、ただ体を休めているだけなのでその関係がますます謎だ。年の離れた兄弟に見えなくもないが親子でも可笑しくないかな?いったいどういう関係なのか妄想だらけ。

 後半は凄い上りと凄い下りがあったが谷あいの村Campobecerrosに11時半に到着。今日は20.1kmと手ごろな距離だった。所要時間も4時間半と短めで手ごろ。

 村の小さなバルのテラスでギャエレ達が何か食べていた。ここには泊まらずに次のLazaへ向かうそうだ。ルアンが紙巻タバコを作り出したので、珍しいのでその様子を撮影する。自分で巻けば安上がりらしい。ここから大きな犬が道案内でもしてくれるようにアルベルゲまで付いてきた。到着するとまたノソノソと戻っていく。これがこの犬の日課になっているのだろうか?パンをちぎって上げたら匂いだけ嗅いで食べようとしないので、近くに繋がれていた犬に投げ与えたら、この犬は仕事してないのに食べた。


 アルベルゲはオーストリアのおばちゃんに続いて2番目の到着だった。トイレ近くのはじっこのベッドを確保する。トイレは男女別で1つずつ。洗濯と物干し兼くつろぎスペースは外へ出た屋上だった。私の上になった馴染みのおばちゃんがチョコを3かけらくれた。昨日、ATMを教えてあげたお礼なのか?この辺りからおばちゃんとは親しくなってくる。いちゃいちゃカップルもやって来て相変わらずベッドの上でいちゃついているので気分が悪い。若いんだからもっと先まで行けよ。

 昨晩、日本から持ってきた3色ボールペンを一瞬で無くしてしまい狐につままれたようだった。あらゆる可能性を想定して探すが一向に見つからなかったので、アストゥリアノスのオスタルで貰ったボールペンの出番となる。スペイン製なのでどうかなと思ったが、ちゃんと書けるし書き心地も悪くない。スペイン製をハナから馬鹿にしてはいけないな。結局、3色ボールペンは明日のためにバックパックを用意してたら底にあるのを見つけた。昨日も底まで探した筈だがな?まぁ往々にしてあることか。

 4時40、オスピタレラの登場。私営なので8ユーロだった。渡された紙のシーツと枕カバーは中古だった。私営なので仕方ないか。建物は新しくてキレイだがキッチンなしのWi-Fiなし。だが屋上にはイスとテーブルがあるので買ってきたものを食べることはできるので問題なし。

 欧米の人は太陽が好き。数人で屋上でまったりしていたらサンダルを届けてあげたイタリアおばちゃん(下の写真真中)がバスタオル一枚でやって来た。まぁびっくりするけど欧米の人ってこういうの平気だよな。私たちのテーブルにやってきて楽しくおしゃべりを始めている。タオルがはらりと落ちてもハハハで済ますんだろう。


 アルベルゲ入り口には奇妙な像が立っている。等身大で金ぴか。ピエロのようでもあるが手に鞭を持って振りかざしている。ネットで調べたいがここにはWi-Fiがない。像の前でイタリアと馴染みのおばちゃんとで写真を撮る。サンダルを忘れた方でないおばちゃんは(左縁)足腰に故障が出ているのでボルタレンを貸して上げる。昨日はカルロスにも貸してあげたし、ボルタレン持っていると自分で使う以外にも何かと利用価値がある。

 時間がありすぎるので村唯一のバルへ行ってみる。カルロスがいたので例の像について質問したら、カルロスは良く知っているようで説明してくれるが何しろスペイン語しか喋らないのでほぼ分からない。Wi-Fiがあるよと教えてくれたので、タブレットを取りにアルベルゲに戻る。ネットで検索したら同じ人物の写真が何枚もヒットしたので有名ではあるようだ。暇なのでビール1杯でネットをしながら1時間半ねばる。ビールはカルロスがおごってくれた。小腹が空いてきたのでコラカオとでっかいクロワッサンを食べたら2ユーロと安かった。

 明日の予定を立ててみる。Albergueriaまでが26.9kmで山登りを含む。その手前にはギャエレ達が向かったLasaがあって、そこなら14.9kmだ。私はAlbergueriaを目指す積もり。途中のLasaから10%の上り坂が5km続くのでエネルギー補給を怠らないようにしなくてはだ。Albergueriaには店は無いがバルはあるらしい。カルロスはどこまで行けるか分からないそうだ。無理して膝を再発させない方がいいだろな。


銀の道43へつづく