銀の道46   オウレンセの休日

6月11日
 オスタル泊まりだったので、朝の8時過ぎだけどまだベッドでゴロゴロしてます。英国じいちゃんのトムも隣でネット中。トムは年寄りだけどタブレットにスマホ迄持っているハイテク爺ちゃん。帰ってからメールで写真を送ってあげたら、自分のサイトのURLを教えてくれる。やっぱりカミーノはそこいら中を経験していて歩いた道をサイトで紹介していた。あとリリアンもあちこちのカミーノ経験者だった。銀の道を歩くような人はそんなオタクみたいな人ばっかです。タハハ

 10時にやっとチェックアウト。取りあえず公営のアルベルゲがオープンする時間まで何にもする予定がないのでマヨール広場に行ってみようか。トムはカテドラルの前まで来たら入って行ってしまったので私は朝飯を食べようと通りに見つけた食事も出来るパン屋に入っていく。飲み物とパンがセットになったモーニング・サービスみたいのがあるそうなので、それを頼む。砂糖が掛かった甘いのとカフェコンレチェ。

 パン屋を出たら近くに本屋があったので、ここなら絵葉書があるかなと尋ねると予想通り何種類もの絵葉書が売られていた。文字がいっぱい書けるように一番大きいのを4枚買ってみる。1枚1ユーロ。絵葉書なんだから大きさが違っても同じ切手で届くんだろう。

 広場にリリアンがやってきた。手ぶらなのでバックパックはオスタルに置いてきたようだ。なるほど、その手があったか。マヨール広場ではべスパのお祭りがあるらしく、続々とスクーターが集結してきた。100台くらいは集まったようでなかなか壮観。広場のカフェでお茶してたドイツの夫婦が声を掛けてくれる。奥さんがプラチナブロンドで、二人とも私を見つけるといつも親しく声を掛けてくれるのでありがたい。

 GPSを手にアルベルゲ方向へ歩いていく。旧市街かと思われる地域を通り越して坂を上った高台にアルベルゲはあった。博物館を併設した歴史を感じる建物だ。博物館にアルベルゲが併設されてると言った方が適当か。知らない婦人が3人、入り口で待っていたのでバックパックをその横に下ろす。まだ11時半でオープンは13時だが、さっき買った絵葉書があるので便りを書きながら時間つぶしができる。リリアンがやってきて、そのあとトムもやってきた。二人はカフェへ行くと言ってるが絵葉書を書いているからと言って行かない。コーヒーはさっき朝飯で飲んだしあんまり金使いたくないし。

 ギャエレとルアンもやって来た。これで連泊を約束した全員が揃うことになった。少年のルアンはいつも私を下の名前で呼び捨てにするのが気に食わないがフランス人なので仕方が無い。名前を教えるときにニックネームを教えときゃ良かったな。「みっちゃんと呼べ」と後になって教えてみたが、ルアンはまったく英語を話せないので伝わらなかった。さくらんぼをくれるそうなので喜んで一掴み貰っておく。ルアンはフランス語しか話せないし最初は表情も硬かったが、もう長いこと一緒にいるので親しみを持って接してくれるようになった。このときカルロスが到着してきた。おーカルロス何日ぶりだ!?我々がオウレンセ連泊したお陰で足の鈍いカルロスと再会することが出来た。カルロスとは本当に不思議なほど一緒になる。

 隣の博物館は一部工事中のようだが、何を展示しているのかと入り口の外から覗いていたら、中にいた係りの人から入ってきてと言われたので中を見せてもらう。特に入場料はいらないようだがそうなのかな?ガラスケースに入った展示物などはないようで、建物自体が博物館のようだ。いかにも歴史を感じさせる回廊が一番の売りなのかな?外にでてリリアンとギャエレにも入るといいよと教えてあげる。

 1時にオスピタレロがやって来てチェックインが開始される。愛想の悪いオスピタレロでパスポートのオリジナルを要求される。私はいつも日記帳にパスポートのカラーコピーを貼り付けてあって、大体それで通るのだが、ガリシア州はオリジナルを出せと言われることの方が多い。なにかと面倒ガリシア州。Wi-Fiはロクなもんじゃないし宿代1ユーロ高いし。公営アルベルゲの管理人はほとんどが無償のボランティアと言うのは何度も書いてるが、それだけに無愛想の人がときどきいる。どんな訳でオスピタレロをやってるのか知る由もないが、嫌々やってる人もいるってことか。

 ギャエレに今日もテルマエに行くのかと聞いたら勿論とのこと。今日は3時半に行くことに決まった。なのでシャワーは浴びないでおくことにする。歩いてないから汗も掻いてないし。昨日の洗濯物を洗って窓に干しておく。ここは干すスペースがないので、みんなスティックを窓や階段に渡して工夫して干している。因みにスペインではテルマーと言うらしかった。映画テルマエロマエを見てたので一回で覚えられた。

 近くにティエンダがあるそうなので歩いて行ってみる。割と近くに小さな店を発見する。1リットルビール、トマト2、コーンの缶詰、ナッツ1袋、バナナ2本にクロワッサンで5ユーロと少し。アルベルゲでコーンを入れてスープを作ろうとしたら、食器も鍋も何も無いキッチンだった。ガリシア州のマイナスポイントをもうひとつ思い出したよ。

 ガリシアのアルベルゲにはこういうキッチンが殆どだ。電気コンロや流しは立派なのがあるのに、どこも調理するための道具を置いてないし皿もコップもスプーンもフォークもない無いないずくし。何を考えてるんだガリシア州。困ったなぁと考えてたらギャエレが持ち歩いているキャンプ用のフライパンを貸してくれた。ギャエレは他にも色んなものを持っていて、ガスバーナーまで持っている。そんなの必要か?重たいのに。ナイフも借りてハムを小さく切ってスープに入れる。ギャエレのナイフは型は古いが良く切れたので兄弟船の歌詞のようだ(?)。

 スープの素にコーンとハムを入れて煮込んだら結構うまいのが出来上がった。トムもキッチンにいたので、トムのカップを借りてビールを3杯飲ませたる。ギャエレとリリアンも同じテーブルにいるので二人にも勧めてみたが、ノーサンキューだった。ワインなら飲むのかな?カルロスがやって来たのでテルマエに行こうと誘ったがシエスタするそうだ。やっぱり太っているから疲れるのかな?

 3時半にテルマエ行きのソコトレイン発着所があるマヨール広場に行ってみるが、ある程度集まらないと出ないのか中々出発しない。結局出発は5時になってしまった。早く来たのに昨日と同じか。昨日の温泉に行くのかと思ったが、今日は別の無料テルマエに行くそうだ。ギャエレは色々企画してくれてありがたい。今回は町からずっと離れた温泉で山の中にあった。と言ってもどの温泉も同じミーニョ川の畔にあるので昨日の温泉の前を通り過して行くことになった。

 この温泉は昨日より更に大きな温泉だった。やっぱり100人近い人たちが水着で寛いでいる。中には胸を堂々と出してる婦人も数人いるので国民性と言うか文化の違いと言うかを実感する。坊主頭で白いパンツだけはいた少年がいたけど、良く見たらこの人は若い女性だった。おばちゃんだけじゃなく若い女性も胸を出すのが平気なのがいるようだ。今回も大汗を掻いて腰を温めてみるが効果の程は疑問だ。昨日あんだけ暖めたのに特に何もなくて、相変わらず立ち上がる時は手で補助しないと偉い目に遭う。

 町の中に戻ってきてからみんなで夕飯を食べることに決まった。手ごろなバルを探して5人でウロウロ。今日は日曜なのでどこも凄い人出だ。通りに教会があったのでみんなで入ってみるとミサをやっていた。だが、どういう訳かすぐ出てきてしまう。何を期待して入ったんだろう?

 狭い通りの両側はバルばっか。ここで何度も一緒になる、奥さんが痩せている夫婦とばったり。こちらもあちらも全員が知り合いのようだ。夫婦は公営アルベルゲには居なかったので、今回も私営かオスタル泊まりのようだ。夫婦はすぐそこのテラス席に決めたので、私たちも近くのテーブルに陣取ってビールやワインを飲んでみたが、やっぱり5人じゃ狭いので店内のテーブルに移動する。メニューを出されたが読んでも良く分からない。ギャエレがタコのローストを頼み、これは美味いよと言うので真似する。スペインで茹でタコは何度も食べたことがあるが、ローストは初めてだ。カリッとして旨い。リリアンは茹でタコ、ルアンはステーキ、トムはバカラオと言う名のタラの魚だった。みんな料理が運ばれてきたら写真を撮っているので、その姿が楽しいからこっちからもパチリ。



 飲みものには、さっきビールは飲んだので白ワインを頼む。3人は必ず赤ワインで、私に赤は飲まないのかと聞くので舌の先を指で擦りながら「ベーっ」と言う声を出していがらっぽいとジェスチャーすると伝わってるのか笑い出した。ルアンは少年なのでいつもコーラだ。

 食べだしたところへカルロス登場。まぁこんな広い所なのに良く見つけるもんだね。同じテーブルになってカルロスもタコを注文する。デザートはどうするかと相談始めたので、私は近くにエラード屋(アイス)があるからそこでアイスを食べたいと提案したら、全員で移動することになった。強面のカルロスも一緒になってアイスを買い求めている姿が可愛い。みんなでアイスを食べながらアルベルゲへ帰る。

 思い出に残るオウレンセの休日だった。一緒に過ごす仲間と、特に企画してくれたギャエレに感謝だ。カルロスは一日遅れでオウレンセ2泊するので、また皆とは離ればなれになるが、また会えるだろう。アルベルゲに戻って冷蔵庫に入れといた缶ビールとヨーグルトを食べておやすみなさい。


銀の道47へつづく