銀の道50  Lalin - Bandeira  未来型アルベルゲ

6月15日
 電子レンジを使ってカップでスープを作り、昨日バルで買ってきたミニカステラ2個とパプリカで簡単に朝飯。7時35に出発。もう殆どの人が出た後だ。アルベルゲから出ようとしたら玄関が開かない。防犯のためにときどきこういうタイプがあるのだが、朝はどこから出るのか聞いてなかったので下を探して見たり上に行ったりウロウロと探し回ったら、2階の物干し場から外に出られるのを発見し脱出に成功する。昨日このアルベルゲを見つけられないで通り過ぎてしまい戻るのに利用した舗装路を20分歩き、昨日引き返し始めた地点からカミーノに入る。(ここ説明分かりずらい?)

 賑やかな道路標識が現れた。読んでみたら全部私と馴染みのある地名じゃないか。Ourenseは楽しい思い出が残る温泉の町。Lugoはこの後に歩くプリミティボの道にある城壁の町で、ずっと山岳地帯を歩くプリミティボの道もルーゴまで到達すれば山越えは終わりという情報を持っている。Caldas de Reisは昨年泊まったポルトガルの道にある町でアルベルゲはボロだが居心地が良かった。Santiagoは言わずと知れた全ての道のゴールだ。

 9時45、Silledaの大きな町に入ってきた。朝飯がロクナもんじゃなかったからこの町で何か食べておきたいな。なんて思いながら歩いていたら町外れまで来てしまった。スペインは町や村を通り過ぎてしまうと嘘みたいに何にもなくなってしまうので食いっぱぐれる可能性が高い。これは不味いなと思っていたら、町を抜ける分岐に差し掛かったら運良く通りの反対側にバルを発見。まだ明かりも点いてないし、やってないかとドアを開けたら中にいたセニョーラがオーケーしてくれた。コラカオを頼み、ガラスケースの中のカステラも頼む。本当は実力のあるボカディージョが食べたかったがカステラでも食べられないよりマシだ。支払いになったらコラカオ1.2ユーロでカステラはサービスだった。セニョーラは見た目と違って優しい人で、出る時にはブエンカミーノと声を掛けてくれる。


 野を越え山を越え目的の町Bandeiraに入ってきた。さてアルベルゲはどこかなと歩いていると、道端のテラス席でギャエレ、ルアンにリリアンの3人組がお茶してるのを見つける。これで自分でアルベルゲを見つける面倒がなくなったので気楽モードになる。時間も早いことだし、長い時間ここでのんびり寛がせてもらう。バルの支払いはみんなの分も出したる。でも5ユーロ弱と安かった。

 アルベルゲのオープンは大体どこも13時だ。12時45になったのでぞろぞろと移動を始める。途中にスーパーDiaを見つけたのでいつものように買い物しにゾロゾロと入っていく。ヨーグルト4、袋入りカット野菜、たまには発泡ワインのカバを買ってみよう。ペーストチーズ(これは旨かった)、パン、1リットルオレンジジュース、ビスケット、チョリソー、さくらんぼで10ユーロオーバーの大量買い。ギャエレは二人分なので25ユーロも買ってカードで支払っていた。リリアンまで11ユーロと全員が大量に買い込んだ。

 アルベルゲは滅多に見ないタイプ、と言うか、こんなアルベルゲ初めて見た。管理棟、宿泊棟、シャワー・トイレ、キッチン・食堂などが四角いキューブ型の建物に分散してありそれらが高床式でひとつの区画の中に納まっている。色も青とグレーのツートンで統一されており未来型のアルベルゲという感じだ。とても綺麗だし清潔感もある。ドイツのヨセフ、インゲ夫婦が先に到着していたが、ここには泊まらずに一休みしたら1km先にあるCasa Leirasまで行くそうだ。そこは10ベッドで12ユーロとのこと、ここの倍だ。ここも凄く良いアルベルゲと思うけど、もうサンチャゴが近いので少し贅沢するのかな?

 シャワーのあと洗濯場に行ったら洗剤が置いてあったので遠慮なく使わせてもらおう。固形石鹸1個で洗濯も賄っているので洗剤があると洗濯し易いので嬉しい。

 みんなで昼飯を食べることにする。広くて奇麗な食堂の中でそれぞれ買ってきたものを上げたり貰ったり、私がカバを抜いたらギャエレが「今日は誕生日か?」とギャグを飛ばしてきた。ルアンは酒は飲まないがカバなら甘くないサイダーみたいなモンなので飲むようだ。ルアンがチョコレートをくれたが、むき出しのチョコをテーブルに直に置くあたり日本と本当に違う。さすがバゲットパンを剥き出しのまま持ち歩くフランス人。

 リリアンは1947年生まれだった。私より3歳お姉さんか、体も小さいのに凄いパワーを感じる。ギャエレとルアンの関係は未だに不明だが住んでる所は離れているのだけは分かった。ギャエレはフランス・スペイン国境の町ハカの近くだった。そこはフランスからのサンチャゴ巡礼路で有名なピレネーの町だ。ルアンとリリアンはパリの近くらしい。前にギャエレには和風マリアカードを上げていたので、リリアンとルアンにもマリアカードを上げる。

 夕飯は中庭タイプのテラスでまた4人で食べる。各自残っている食べ物を出し合うが、殆どがギャエレ達の物だったので、どこかで恩返しがしたいな。今頃になってスイス人男性がチェックインしてきたので、この36ベッドもある立派なアルベルゲなのに、やっと宿泊が5人になった。オスピタレラのお姉さんも張り合いがないだろな。ずっとレセプションに詰めているお姉さんにカップに入れたさくらんぼをプレゼントする。


銀の道51へつづく