《バタール》
とかち野酵母+トラディショナル

焼:2019年 9月 22日

前回は原点に立ち返って、ダッチパン(基本パン)を作ったので、それをもとにまた前に進みます。
前回のダッチパンは、ショートニングも使って発酵に万全を期して、一次発酵は成功したのに、二次発酵で失敗して高さは4.5㎝に過ぎませんでした。
原因を考えて、はたと思い当たりました。一次発酵は40度のお湯をはった鍋にボウルを直接つけてうまくいき、二次発酵は同じく鍋の上に「ココットダッチオーブン」を置いていました。お湯は直接当たらず、湯気だけ。直接お湯につけられたらと思いながらも、そんな大きな鍋や器はない、と思っていたら…

 ありました。


 食器洗いの時につけ置きするステンレスの容器。細長い「ココットダッチオーブン」が、ちょうどすっぽり入ります。今回はこれで二次発酵させます。
 発酵しにくいハードパンでは高さ5㎝以上を成功ラインと定めました。フランスパンなのに、前回作った「ダッチパン」4.5 ㎝を上回れるか?
 小型のフランスパン「バタール」をイメージして作ります。


 フランスパンの材料は、本当にシンプル。添加物がありません。今回強いて言えば、モルトシロップかな?

 水分量は、本当に減らしました。すると、固めやすい、こねやすい。それでも、今回のレシピで決めた「15分こねる」は、タイマーで計ってやってみたけど、結構長く感じました。スライム状になってしまうのをいいことに、今までいかにこねをいい加減にやっていたかわかりました。またこれだけ水分が少なく、よくこねると、重力に負けずに、球状を維持します。これは高さが期待できるかも。

 30分ほどで、先端がラップに張り付いてしまいました。球状を維持したまま膨らんだ感じです。大きなボウルを買って、時間をもう少し延ばせば、まだ膨らむかも知れませんが、過発酵する必要はありません。

 バタール特有の、端がとがっている形を再現すべく、でも高さも出したいと考えると、レモンの形状を思いつきました。
 つつきたくなるような、ボリュームのある、かわいい形。
 このあとベンチタイム。

 「ココットダッチオーブン」に入れても、ふっくら、ボリュームある形を維持しています。このまま例のステンレスケースにお湯をはって入れれば、二次発酵は成功するのではないか? パンより先に期待が膨らみます。
 今回は、クープ(切れ目)を入れるタイミングを、正式な二次発酵後にすることにしました。

 二次発酵は40分を予定したので、その間に洗車することにしました。夏の間、あまりの暑さに洗車をサボっていたので、ほんと数週間ぶりです。

 洗車途中、まだ拭き上げ前にタイマーが鳴ったので、洗車は一時中断して、二次発酵の様子を見に行きました。予定通り、40分で十分でしょう。ステンレスケースを使った二次発酵は成功です。
 このあとクープ(切れ目)を入れてみたところ、せっかくぷくっと膨らんだ形がプシューと(音は出ませんでしたが)へこんでしまい、あとの二つはクープなしで焼くことにしました。
 ところで、レモンの形状はほとんど残っていません。先をとがらせていないけど、ま、いいか?

 上のクープを入れたものは、いったんつぶれたのになんとか高さが復活して焼けました。クープは開きませんでした。あとの二つも高さ十分な感じ。

 粗熱を取ります。高さはどうでしょう?「バタール」の形状じゃないけど、今はそれを気にしていられません。

 高さはどれもちょうど5㎝。目標ライン合格です。
 おいしそうな香りと焼き具合。車を拭き上げしている外まで香りが届きました。

 いつも大きなお皿にのせて撮影していますが、どうしても起伏があって収まりに無理があるので、平らな板に乗せて撮影してみました。板の長さが足りませんが、パンの収まりはいいです。

上から下にカットした断面は、きれいな半円形。この断面が、今回目標ラインぎりぎりの高さ5㎝です。

 横にスライスして、さらにトマトものせて、焼きたてをいただきました。パンの厚みだけで5㎝あって、さらに具だくさんにしたので、ぜいたくなサンドです。中はしっとり、外は適度にカリッとしたハードパンの焼きたてサンドが食べられる幸せ。パン好きにはたまらない瞬間。でもすぐになくなってしまいました。
 きれいなクープはないし、「バタール」もどきの形にもなりませんでしたが、味はようやく自分の満足いくものができました。