《乳化剤論争》

書:2019年 9月 14日

パン作りをしていて、前から気になっていたことがありました。
毎日朝食で食べている、パスコの「超熟 国産小麦」は、「イーストフード、乳化剤不使用」と書いてあるのに、自分が作るパンは、ごくわずかだけれど、乳化剤が含まれてしまう。なぜかというと、インスタントドライイーストの原料に乳化剤が含まれているから。せっかくの手作りパンなのに、余計なものは一切入れていないはずなのに、なんか悔しい。日清製粉の「スーパーカメリヤ ドライイースト」でも、「とかち野酵母 インスタントドライイースト」でもそう。
「たった3g~5gのドライイーストの中に含まれる乳化剤なんて、何グラムもないだろう。」と思いつつも、「乳化剤の入っていないドライイーストはないのかな?」と思ってネットを検索してみると、何と、あらぬ方向に検索が引っかかってしまいました。

それは、まさに第2次『乳化剤論争』勃発!。

そもそも「乳化剤」とは、水と油の混ざり合わないものを混ぜ合わせ、しっとりが長持ちする添加物のこと。また一方の「イーストフード」とは、イースト菌が発酵するために必要な栄養源となる添加物のこと。手作りパンでは、砂糖で間に合っていますけど。

話を元に戻して、今起きている『乳化剤論争』と、過去に起きた『乳化剤論争』との違いとは?

まず、過去に起きた『乳化剤論争』。
何年前に遡るのか定かではありませんが、製パン業界トップの「ヤマザキ」に対して、「敷島製パン」や「フジパン」などが次々と「イーストフード、乳化剤不使用」のパンを製造販売して、製品にその表示をして差別化したことです。世間一般に「添加物」はいい印象を持たれません。一般の人までネット上に「ヤマザキ」の乳化剤入りのパンを売り続けることに批判的な書き込みをする人が多くいました。自分は、その当時まで「ヤマザキ」製パンを毎日食べ、ヤマザキ春のパン祭りでは、毎年数枚のお皿をもらう立場でしたが、そんな論争に気が付き、先のパスコ「国産小麦」のおいしさにはまり、今では毎朝の定番となっている訳です。

そして今回の『乳化剤論争』。
仕掛け人は「ヤマザキ」。それも綿密に調査し、満を持して。ネットの記事を要約すると、「乳化剤」の安全性については、世界で認められた事実であること。また、「ヤマザキ」の研究所で調べた結果として、各製パン会社で「イーストフード・乳化剤不使用」と書かれたパンを分析した結果、従来のイーストフードや乳化剤に代わる、同じ働きをするものや、変化するものが含まれるケースがあり、「イーストフード・乳化剤不使用」の表示をやめるよう宣戦布告したことだそうです。各製パン会社では、反発しながらも、その意向に従ったそうです。パスコ(敷島製パン)のホームページにも、「イーストフード・乳化剤不使用に変わりはないが、消費者に乳化剤等が危険なものという誤解を与えかねないので、表示を削除した」旨が書かれていました。
「えっ、ほんと?」と半信半疑でパン袋を調べてみたら、まさに9月がその表示の変わり目でした。消費期限が9月11日のパスコ「超熟 国産小麦」には、まだ「イーストフード・乳化剤不使用」の記載がありますが、9月13日のものには記載がなくなって、表現も微妙に変化していました。

手作りパンは、次の日には、もう味が落ちてしまいます。市販のハードパンの消費期限も多くは翌日までです。日持ちのよいパンはある意味発明で、フードロスを減らす手助けになり、小売店の恩恵も大だとは思います。
でも、せめて手作りパンには余計なものを入れたくはありません。


 2019年9月11日消費期限のパスコ「超熟 国産小麦」。

 9月11日消費期限のものには、いつもながらの「イーストフード・乳化剤不使用」の文字が見られました。

 こちらは9月13日消費期限のもの。

 「イーストフード・乳化剤不使用」の文字がなくなり、文面も微妙に手が加えられていました。言いたいことは伝わってきます。まさに変わり目に立ち会いました。12日期限のものはどうだったのでしょう? 13日期限のものを2つ買い、12日期限のものは買っていなかったので、わかりません。