32)大船山653m・羽束山432m :2017年12月10日 2017年山の記録に戻る 大船山(おおふなやま)は、兵庫県三田市にある標高653mの山。丹波高地に属する独立峰である。地元では大舟山と表記することが多い。兵庫50山 の一つである。三田市の中心部東方に存在する。山頂には祠があり、360度の展望を楽しむことができる。 伝承によると太古には周囲は湖沼であり、船 をつける松があったことからこの名称がつけられたとされる。丹波修験道の修行場の一つであり、山頂近くには、敏達天皇の代に建立されたという大舟 寺が存在したが、1499年に山ろくの松尾谷に移っている。 登山道は、三田駅から神姫バス、十倉停留所もしくは波豆川停留所から登るのが一般的であ る。波豆川からの登山道の途中には室町時代に立てられた地蔵形の道標を見ることができる。 大舟寺の由来であるが、大船山には多くの著名な僧侶が船に乗って訪れ修行をし、なかでも日羅上人は有名で、雨露をしのげる程度の小屋を建て修 行に励んだとされ、「舟寺」と呼ばれ、大舟寺の由来になったと伝えられている。この寺の境内には大きなカヤの木がある。高さ20m、幹根回りは、8mの 大木である。樹形から『三宝のカヤ』と呼ばれ、お寺の象徴になっている。 羽束山(はつかやま、はつかさん)は、兵庫県三田市にある標高524mの山。丹波高地に属する独立峰である。兵庫50山の一つである。香下山とも言う 。三田市の中心部東方に存在する。山頂には羽束神社があり、室町時代以前は、この地域で盛んであった丹波修験道の霊場の一つであった。山頂付 近の展望台からは360°近い展望が楽しめる。 登山道は、三田駅から神姫バスにて、木器停留所もしくは香下停留所から登るのが一般的である。三田 市街地からは羽束山最高峰の山塊と峰続きの「甚五郎山」(413m)の双方が御椀を二つ伏せたような山容であり、その姿が鯨の胴体と尻尾部に見て取 れる姿から「くじら山」の愛称で呼ばれることがある。 新古今和歌集に大江匡房が源頼綱に贈った和歌がある。 詞書: 頼綱朝臣つのくに(摂津国)のはつかといふ所に侍りける時つかはしける 和歌: 秋はつるはつかの山のさひしきに在あけの月をたれとみるらん (巻第十六 01571) (いずれもウイキペディアより引用) @大船山 JR新三田駅(9:05、9:15出発)−十倉 (自治会館駐車場)(210m)(9:30、9:40出発)−峠410m(10:25〜10:30)−コル(530m)(10:45)−大船山山頂 (653.1m)(11:05〜11:20)−コル(530m)(11:30)−峠410m(11:45)−十倉 (自治会館駐車場)(210m)(12:15〜12:25)〜つくしの里(12:30〜13:05)〜大舟寺 (13:15〜13:35)〜移動 歩行時間: 2時間15分 休憩時間:20分 歩行距離:4.49q 累積登高:478m 待ち合わせのJR新三田駅で5人が合流する。駅にあるコンビニでコーヒーを購入し、一息つく。登山口の十倉自治会館まで15分、あっという間に到着す る。寒い朝で、寒さがしみる。大きな道から会館に入る所には、大船山の表示が出ている。しばらく山側に歩けば、獣除けの電線が設置され、開く格好で 山道に入る。このあたり、同じ種類の渋柿が実をつけたままになっている。 獣除けのある入り口風景 少しあがれば、小さな池が次々と現れ、3つ目の池の脇を右方向に歩き、登山道が始まる。落葉と常緑の登山道を進むが、台風の影響かいたるところで 倒木がある。早々に足元は雪が見られる、2〜3日前の低気圧のせいだろう。20分程度歩けば峠に出る。ツルリンドウの赤い実が目を引く。峠からコルま で、緩やかな稜線から、最後は急な坂になる。見晴らしはなく、落葉の中を15分ほど登る。雪は北側ゆえ、溶けずに残っている。コルは、右手に大船寺 350m、左手に大舟寺跡・波豆川バス停の表示が立っている。 雪が残ったコル 山頂までは350mだが急坂である、ややぬかるんだ滑りやすいところもあって、20分ほどを慎重に登る。山頂は、一転、眺望が開ける。祠があり、そばに 、360度方向の山表示が出ている。 また、大船山のいわれも出ており、万葉歌人、柿本人麻呂が明石海峡からこの山を見て詠んだが歌が紹介されてい る。『天離(あまざか)る夷(ひな)の長通(ながぢ)ゆ恋ひ来(く)れば明石の門(と)より大和島(やまとしま)見ゆ』(注) 山頂写真 山頂から羽束山 山頂から見える山並みは、南の六甲山、白髪岳、東には大野山〜剣尾山、反対には羽束山、有馬富士、虚空蔵山等々の山々である。昼には早すぎ、 一旦下山して、つくしの里にて時間を過ごすことにした。十倉からはすぐである。麺類に持参のお昼やおやつで和やかに話が弾む。この後、大舟寺に向 かう。寺の屋根越しに大船山が眺められる。ここは、大きなカヤの木があり、あたりの草地にカヤの実がたくさん落ちている。あく抜きした後、トーストすれ ば美味しいそうだ。古刹だけに、雰囲気いっぱいである。20分ほど見学し、羽束山に向かう。 大きなカヤの木の大舟寺 行程マップ(清水氏より) (国土地理院の地図より) A羽束山 香下寺(280m)(13:45、13:55出発)−六丁峠(410m)(14:12)−羽束山山頂(羽束神社他)(524m)(14:35〜14:55)−六丁峠(410m)(15:10)−香下寺(280m) (15:20、15:30出発)−JR新三田駅(14:40) 歩行時間: 1時間15分 休憩時間:20分 歩行距離:1.86q 累積登高:275m 大舟寺を出発、新三田駅に戻る方向に10分ほどで、登山口のある香下寺の駐車場に着く。登山道の看板があり、12丁の表示がスタートになる。左手に 八王子神社を見ながら広い山道を進む。丁目の石柱は約80mくらいの間隔であろうか、1丁目づつ表示が少なくなっていく。常緑樹と落葉樹の入り混じっ た雑木林の中を進む。羽束神社の参道であり、石畳の階段が続く。大船山ではすぐに雪が見られたが、こちらは全くなしである。緩やかなジグザグの道 を東に向かう。45分で六丁峠に出る。お地蔵さんが置かれ、歴史を感じさせる。 六丁峠 甚五郎山は右手の道になる。左手が羽束山の方向だが、案内役のUさんが、岩尾根を案内してくれる、尾根筋で、麓や遠くの景色が良く見える。よく踏ま れた跡で、人気のコースなのだろう。 岩場からの風景 大きな岩が出て、展望台に着く。看板を逆に見ると、ここから先危険とある。見晴らしはすこぶる良い。眺めを楽しんだ後、羽束山山頂(羽束神社)、観 音堂とあたりを散策する。神社の裏側の小高い樹林のところが最高点だろうか、小さな山頂表示がある。神社前に戻り、温かいコーヒでホッと一息つく。 羽束神社 帰りは正規の参道を下る。樹林帯の中の道で黙々と下る。先の六丁峠に出て、一息で駐車場に戻る。短時間とは言え、本日2山目、そこそこ疲れた。こ の後、新三田駅まで送ってもらい、3人で電車に乗り、それぞれ、乗り継ぎ、駅で別れた。今年最後の例会、無事、1年を終えることができた。 注:万葉集入門より引用 「天路遠い夷の長い道を恋ながら来ると明石の海峡から大和の陸地が見えるよ。」 この歌は、巻三(二四九)の歌などと同じく、柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が詠んだ八首の旅の歌のうちのひとつ。「夷(ひな)」はこの場合 は「異なる世界」という意味でしょうか。もちろん「異国からつながる海の道」との意味もありますが、どちらかというと「死者や魔物などの住む他界」との解 釈のほうが人麿の心情に近いかも知れません。この時代の人々にとって、海は他界と接する場所としての畏れの象徴でもありました。そんな「天路遠い 夷の長い道を恋ながら来ると明石の海峡から大和の陸地が見えるよ。」と、海の航海から戻ってきて故郷である大和の陸地を目にした安堵感と喜びが素 直に表現された一首です。この場合の「大和島(やまとしま)」は海から見た日本の本土との意味ではなく、大和盆地西縁の山脈(生駒、葛城山脈)のこと です。明石の海峡から大和盆地のほうを見ると、妻の居る懐かしい大和の山脈が遠くに見えたわけですね。他界へと近づいてゆくような海路の旅を終え て目にした懐かしい大和の山脈は、人麿たちにとっては黄泉路から現世に帰って来たような喜びとして感じられたことでしょう。 行程マップ(清水氏より) (国土地理院の地図より) 2017年山の記録に戻る 作成日: 2017年12月20日 |