29)雨乞岳(1238m) 鈴鹿派生の山: 2016年8月19日(日)   2018年山の記録に戻る
 
雨乞岳(あまごいだけ)は、滋賀県東近江市と同県甲賀市の境にある標高1,238mの鈴鹿山脈の山。1968年(昭和43年)7月22日に、山域は鈴鹿国定公園指定された。愛知川(神崎川)源流の山である。別称が「白倉岳」、「藤切岳」。鈴鹿山脈の第2の高峰で、東側に東雨乞岳がある。竜ヶ岳と同様に山頂付近はクマザサに覆われたなだらかな山容の山である。山頂にはクマザサに囲まれた小さな池(大峠ノ沢)があり、古くから雨乞信仰の対象とされ、下流域の農民がこの池に登拝していたことが山名の由来となっている。この池には、モリアオガエルが生息している。山腹は天然林と針葉樹の植林地が折り混じりアセビ、クリ、ホンシャクナゲ、ミズナラなどが分布し、ニホンカモシカ、ニホンジカ、マムシ、ヤマビルなどが生息している。山頂付近からは、西方に琵琶湖、東方に鈴鹿山脈を望むことができる。北側のイブネとの鞍部の杉峠および釈迦ヶ岳と国見岳との鞍部の根ノ平峠(標高 803m)を経由して、滋賀県東近江市甲津原と三重県三重郡菰野町千草を結ぶ山越古道は「千種越」(千種街道)と呼ばれていた。1570年(元亀元年)に織田信長がこの千草越の藤切谷(渋川の支流)を移動する際に、杉谷善住坊に火縄銃で狙撃されたが難を逃れていたことが知られている。その周辺に「杉谷善住坊のかくれ岩」がある。杉峠と根ノ平峠にはかつて茶屋があり武士、商人、旅人などが往来していた。幕末から明治にかけて南側の周辺山腹の6箇所の鉱山で、銀・銅・鉛などが産出されていた。杉峠の西側の向山鉱山、東側の御池鉱山、国位鉱山、高晶鉱山、大蔵鉱山があった。御池鉱山付近には飯場があり、明治末期の最盛期には300人余りの工夫が働いていた。その周辺には金山神社と高晶尋常小学校があった。滋賀県側では雨乞い信仰の対象であり、山上にある小さな涸れることない池(大峠ノ沢)で昔神事が行われていた。

登山ルートであるが、以下のように各方面から登山道が開設されている。
 @国道477号の武平トンネルの西にある雨乞岳の登山口武平トンネルからのルート: 国道477号(鈴鹿スカイライン)の武平トンネル 
 西登山口からクラ谷と東雨乞岳を経由するルート
 A稲ヶ谷からのルート : 国道477号の稲ヶ谷登山口から東雨乞岳を経由するルート
 B朝明渓谷からのルート: 朝明渓谷から根の平峠と杉峠を経由するルート
 C甲津畑からのルート 」 甲津畑から林道を進みツルベ谷出合と杉峠を経由するルート、蓮如上人の旧跡がある
 D綿向山からのルート : 綿向山方面からのイハイガ岳、大峠、清水頭を経由する縦走ルートその他
 Eダイジョウ、イブネなどからのバリエーションルートがある。

 整備状況により、クマザサなどのヤブで歩きにくい場合がある。甲津畑からのルートなどでは夏期にヤマビルが現れる。1964年(昭和39年)から34年間、近畿日本鉄道、朝日新聞社及び名古屋テレビが中心となり鈴鹿セブンマウンテンの登山大会が始まり、その一座であった。登山道周辺ではアザミ、アセビ、イワカガミ、イワウチワ、キランソウ、スミレ、センブリ、ツルアリドオシ、ツルリンドウ、トリカブト、ホンシャクナゲ、ママコナ、マムシグサ、リンドウなどの花が見られる。周辺の尾根や東雨乞岳山頂などからは琵琶湖や周辺の鈴鹿山脈の山並みを見渡すことができる。東雨乞岳は雨乞岳と比較して開放的で見晴らしが良い。コクイ谷沿いのコクイ谷出合からクラ谷の区間では道迷いによる遭難が多発していて、滋賀県警察と東近江市山岳遭難対策協議会による注意標識が設置されている。(ウイキペディアより)
 2016年以来の雨乞岳になった。コースもそのまま、武平峠からカラ谷を経由して山頂に至り、東雨乞岳から県界尾根を下った。いっぷく峠の分岐から旧スカイラインに下りた。夏場であったが、ひんやりとして連日の猛暑がウソのようなさわやかな登山になった。好天に恵まれ、山頂からの眺望は素晴らしかった。

守山駅前(7:15)−峠前の駐車場()−武平峠登山口(9:20、9:30出発)−ポイント3(10:19)−クラ谷・コクイ谷分岐(10:40)− 七人山分岐(峠・ポイント6)行程マップのP020(11:20〜11:25)−東雨乞岳(12:10)-雨乞岳山頂(12:24〜13:24)−東雨乞岳(13:35)〜県界尾根〜3人山1014m行程マップのP023(14:04)−小休止(14:20〜14:25)−最後のピーク(14:54)−分岐点(いっぷく峠)(15:00)−鈴鹿スカイライン登山口(15:16 )−武平峠駐車場(15:27、15:40出発)〜守山着
    行動時間:5時間55分 歩行時間: 3時間  

守山駅で大阪からの2人をピックアップし、武平峠に向け出発する。特に混雑することなく、すいすいと進むことが出来た。日曜日とあって、峠は満車が予想され、300mほど手前の、ガードで仕切った駐車場に止める。早々に準備が終わり、登山口まで進む。車は多く、道の脇に多く止めている。8月中旬ではあるが昨日からからりとした天気で、今日も清々しい気温だ。天気は申し分なく、気持ちの良いスタートとなった。

雑木林はすぐにスギ林になり、わかりにくい道を進む。スギ林の境界に沿った形で、山腹を進む。時々沢があり、年ごとに状態が悪くなって行く。滑りやすいところを注意深く進む。迷う人が多いのか、数年前から、山頂まで9ポイントまでの表示があって、緊急時の連絡に利用できるようになっている。50分ほど歩きで最後の結構な坂を登ったところが、帰りの県界尾根がらの合流点になる。しばらくは下りが続き、シダ類の草地を左手に進むと、沢沿いの道となる。ツルリンドウが今にも咲きそうである。
ツルリンドウが今にも咲きそう

先に進む。結構深く切り込んであり、ポイント4地点のクラ谷・コクイ谷分岐に出る。ここで腰を下ろし一休みする。他のグループも休んでいる。
ポイント4地点のクラ谷・コクイ谷分岐

ここまで出発してから1時間10分程度、簡単な沢の渡渉がある。こちらも台風の影響か、崩壊が進んでいる。
赤いテープをたどる

コクイ谷を右に分け、沢を進む。シャクナゲの木も見られる。やがて、右手に出て、沢を左手にアップダウンを繰り返す。簡単な渡渉も何回かある。時々、日が差し込んでくる。沢沿いということもあって、夏とは思えないほど清々しい。クラ谷は雰囲気の良い谷で、気持ち良く歩ける。その後しばらく行くと、陽だまりがあって、ゴマナの沢山咲いたところを通過する。来るたびに白い花を楽しむことができる。その前には紫のトリカブトも少し見えたが、最盛期はまだ先になる。

トリカブト
ゴマナ、東雨乞岳の登りにも多い

やがて谷沿いから離れ、しばらく急な道を進み、見通しが良くなると、7人山への分岐(峠)である。ポイント7の表示がある。
7人山への分岐(峠)、ポイント7の表示

東雨乞岳への最後の登りになる。結構急な道で、所々で視界が広がる。御在所岳〜鎌ヶ岳の山並みが広葉樹の奥に見えるようになる。足元にはクマザサとアケビが現れる。急な坂を45分余りでやっと東雨乞岳である。最後はクマザサの道で、登るにつれ、展望が広がる。東雨乞岳は、平坦なところで草もないところであるが、周りはクマザサに覆われている。一等の眺望場所で、昼食を取りながら景色を楽しむ。コーヒも楽しみ、一息ついたところでクマザサの道を雨乞岳に向かう。10分強で山頂に着く。その途中からは、東雨乞岳、その奥に国見岳〜御在所岳〜鎌ヶ岳、更に南の仙ヶ岳への鈴鹿山脈が一望される。
国見岳〜御在所岳〜鎌ヶ岳

雨乞岳の眺望

山頂では、夫婦がおられ、写真をお願いする。
山頂写真

北から南へと鈴鹿山系の眺望を楽しみながら、次の登山の計画を話す。大峠方向へはクマザサの道が続くが、途中で藪こぎになるようだ。少し先まで行って、大体の行程を確認する。***まではまだまだ長い道のりだ。いつかは踏破したいが、足の確保が大変である。一服した後、気持ちの良い稜線を東雨乞岳にもどる。清々しさは変わらない。絶好の登山日和になったことを感謝する。帰りは、来た方向から逆の県界尾根に向かう。

しばらくはクマザサとアセビの道で、眺めも良い。進行方向全面に御在所岳や鎌ヶ岳が一層近く広がっている。しばらくは見通しの良く、素晴らしい景色が楽しめる。県界尾根は、鎌ヶ岳に向かう格好で進む。
下山開始、見晴らしは抜群

10年くらい前は、テープ表示もなく、かなり注意深く進まないと迷いそうになる道であったが、テープも多くなり、踏み跡もしっかりし、年々分かりやすくなっている。まず迷うことはない。それでも山案内や山と高原地図には出てこない。アセビが多く、治の季節には白い小さな花が楽しめるだろう。県界尾根はアップダウンが結構あり、下山時のつかれた足には少々辛いところもある。東
雨乞岳から40分で三人山(1104mピーク)にでる。明らかにわかるところはここのみで、あとは県界尾根のアップダウンだ。
イワカガミも多くあり、しばらくで立派なシャクナゲの群生する尾根が続く。5月の花のシーズンにぜひ訪問したい。
さらに進み、左折する格好で行くと、前方に鎌ヶ岳が現れ、明るい場所に出る。
鎌ヶ岳が現れる明るい場所

ここからは更に、右にスギの植林、左はブナとミズナラの道を進む。山頂から1時間35分ほどでいっぷく峠(分岐点)に着く。道は右手と左手に別れ、左は登りの道に合流する。右は鈴鹿スカイラインへの登山口で、今日一番の急坂となる。表示も分かりやすくなっている。スギ林の道を15分でスカイラインの出口に出る。
曲がり角のところで、目印になる小さな建物があり、ガードレールには○印と雨乞岳登山口と表示がある。武平峠駐車場には更に10分程度歩かなければならない。
 花の時期は過ぎているが、7人山分岐への途中の沢沿いのいつもの場所にゴマナの群落、、他にはツルリンドウ(今にも咲きそう)、トリカブトが確認できた。駐車場には、初めて見るヒメミヤマウズラが数株あった。
ヒメミヤマウズラ

青空が冴えわたり、気持ちの良い山行になった。

行程マップ

(国土地理院の地図より引用)

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作成日: 2018年10月8日