モサラベの道02,歩きの始まり

3月23日アルメリア出発 リオハへ
今日から歩き始めます。ホステルを出発するときに先輩が写真を撮ってくれました。8時出発。


アルメリアは大きな町なので出るまで相当な時間を歩きました。朝飯を食べられる店を探しながら歩くが、そろそろ町外れかなと思うところにパン屋があったので、甘いパンとコーヒーを買って近くのグリーンベルトでパクパク。コーヒーが意外なほど旨かった。

アルメリアを抜けて二つの町を通り越すと川の中を歩く道が始まった。ネットで見たとおり、川底を延々と歩く行程。川から上がったり丘に登ったり、また川に戻ったりを繰り返して行く。リオハ手前になったらスペイン人二人に抜かされる。本日初めての巡礼者。40代に見える男性で歩くのがとても早くどんどん見えなくなる。
どのカミーノでも初日が一番大変です。歩きに慣れてないので疲れます。


やっとこさリオハに到着、アルベルゲは矢印を追っていくとありました。体育施設の一角をアルベルゲにしているらしく、入り口は暗証番号を入れないと開かないようだが、電話を持っていない私はドアを叩くことしかできません。すると川で追い越して行った一人が中から開けてくれました。オスピタレロはいないアルベルゲで、チェックインの仕方やドアの暗証番号を教えてくれました。スペイン語が読めればどこかに張り紙があるんだろうが、そこまでのスペイン語分からない。残念ながらwi-fiがありません。

食料を求めて買い物に出るが生憎シエスタに入ってしまった。公園に日陰のベンチがあったので休んでいると女性巡礼(バルセロナのグアダルペ)が前を通ったので声を掛ける。アルベルゲより先にバルに行きたいそうだ。私も冷たい物が飲みたいので一緒にトコトコ着いていくが、カンカン照りの中をかなり歩くことになった。どうも体の調子がおかしい。

このあと事件がありました。
日本は雪が降ったのに、ここは真夏の暑さです。
ここアンダルシアは夏には50度を越えるとか何とか。考えたらすぐ南はアフリカですからね。
日本の冬に慣れてる体は汗腺が閉じてるところに真夏の暑さの中を歩いたものだから熱が体から出ていかなかったのか、余りの温度差で日射病になって救急車で運ばれそうになりました。

バルの中で青い顔してやっと立ってるのに気付いた夫婦が椅子に座らせてくれ、巡礼仲間が大きな氷を2個、ティッシュに包んで頭と首を冷やしてくれ、氷水も飲ませてくれました。自分たちのテーブルに座らせてくれた親切な夫婦は糖分が必要とコーラまで飲め飲めと。吐き気もあるけど我慢できるレベルだったので、昔なったときよりは増しだったようです。
ずっと首と脇を冷やしていると徐々に回復したので危機を脱した気になりました。
有り難い夫婦と写真を何枚も一緒に撮りました。


少ししたら5人の男女に囲まれて、その装備からスペインのアンバランシア(救急隊)なのが分かりビックリぽんです。
指先から血液を取ったり酸素濃度と血圧も計られました。
滅多に無いことなので夫婦にカメラを渡してその様子を撮ってもらいました。ふざけた奴と思われたことでしょう。


もう大丈夫とアピールするも、救急車に乗せられてあわや病院に送られそうになったので復活したことを盛んにアピールし、一緒にいた巡礼仲間も大丈夫になったことを伝えてくれてました。病院なんかに連れてかれたら更に面倒なことになるので必死です。
アピールが幸を奏してパスポートだけ撮影して放免されました。
バルの中だから良かったけど、これがソロの山の中だとかなり危険です。明日は水をたんまり持参して注意します。それくらいしか手立てがないし。でも、明日の行程はスペイン唯一のタベルナス砂漠を越えるのに加え、小さい山を三つ越して距離も今日より8キロ長いのです。どうなることやら。

テーブルには具合が悪くなる前に注文したマグロのボカディージョが届きました。ビール混みで5.8ユーロ。食べられるほどに回復したし、親切にしてくれたお礼がしたいので皆でビールを飲もうと提案するも、もう良いそうだ。後からアルメリアのカテドラルで一緒に祝福してもらったカップルもやって来たので再会を喜び合う。この二人も同じアルベルゲにやって来たけど、下段ベッドはひとつしか空いてなかったので男の方は女性の上段ベッドになった。

この兄ちゃんが充電できんしとスマホを持ってきた。差し込みの形状は合っているので慎重に入れたらカチッと入り充電が開始されたのでハイタッチされる。日本人だから電気に詳しいと思ったようだ。
これが、この後ずっとお世話になり、グラナダでは自宅に2泊させてくれるシェーンでした。

今日のアルベルゲで一緒になった全員に持参のマリアカードを進呈する。寒い日本からやって来たので腰痛対策でホカロンを5枚持ってきたが、想定外の暑さなので貰ってもらいたい。スペイン親父二人は1枚ずつ貰ってくれて、カップルは2枚貰ってくれたので残りが1枚になった。やった!少しでもバックパックが軽い方が助かる。

今日の歩数 27,450歩


3/24(日) Albolduy
今日は日曜なので買い物注意報発令中。
5時半から起き出してキッチンへバックパックを持って移動。ゆっくり準備をします。慌てると忘れ物の危険性がぐっと上がりますから。今日もwi-fiがありません。忘れないようにメモだけは取ってます。

昨日の疲れを繰越したままなので調子が出ません。三つの内の最初の一山を越した気になってたら地図ではまだ手前の丘レベルだったのでガッカリ。
本当に一つ目の山を何とか越した次の村のバルで昨日の巡礼七人が勢揃いしました。みんな元気でヘロヘロは私だけらしい。5年ぶりの巡礼だし、年齢も5才取ってるので疲れ方が半端無いです。

普通、バルにはwi-fiがあるんだけど田舎過ぎて需要がないのか、このバルには用意されてなかった。何日もネットで現況報告しないとフェイスブック等で応援してくれてる仲間が心配するだろうから何とかしたい。

歩くのが一番鈍いから最初にバルをスタートして行くと細い路地を車が来ました。脇にドンと衝撃、ついでサイドミラーでも叩かれる。スペインで二度目の交通事故発生です。運転手の黒人は両手を広げて自分は悪くないとアピールしてるようで降りてきもしません。謝ったら負けると思っているんだろ。別に痛くもないのでOKOKと言って離れるが、やっぱり黒人ってこんなのが多いんかなーと人種差別的な事を考えてしまった。日本ならどう考えてもお前が悪いんだからな。

二つ目と三つ目の山を必死になって越えて、やっぱり三つ目が一番ラスボスだった。上りが必死なら下りも必死です。新しい靴で来て良かった。靴底がなめたので来てたら注意してても数回は転んだと思います。下の写真は高低差が分からないだろけど、急な下り坂でびびりました。


村でセマナサンタの行列に出会いました。この時期にカトリック国のスペインを旅してるんだから必ず出会えると期待してました。行列に手を振ったけど無反応だったな。
ここで最後のバルがあったので5人で軽食を楽しんで、鈍い自分が一番に出発したけど、ほどなく全員に抜かれました。涙


やっとこさ今晩の宿があるAlboloduyに到着。宿泊地の村が見えるといつも感激しますが、見えてからが異常に長く感じます。きっと気力がそこでプツンと切れてしまうのも原因のひとつと思います。

シャワーの順番を待っていると着替えが無いことに気づく!!!
やっちまった!前日のアルベルゲの上段ベッドが空いていたので荷物を置いていたのがそっくり積み残しになりました。ジャージの長ズボンと着古したTシャツ2枚。クソーッと思っても自分が悪いのでどうしようもありません。Tシャツとフリースはまだ一枚あるけどズボンは早急に仕入れないとです。まだ巡礼モードに慣れてない初日にやらかすとは。貴重品は必ず出発前に確認するので無くしたことはありません。(そりゃそうだ)
気を取り直して皆でバルに行って嫌なことは忘れよう。
夕飯は買い物が出来ない日曜日なので、管理人が用意してくれた食材でみんなでパスタを作って食べました。これは楽しかった。

今日の歩数 39,734歩


3/25(月) Abla

今日も朝から川の中歩きでスタートです。川から上がると、そこからは凄い山越えになりました。
例えて言えば富士山の8合目のようなハードさですが、あんなに整備されてなくて自然のままなので、うっかり足を滑らせたら真っ逆さまです。余りに危険な所は写真を撮るどころではありません。


やっと危険エリアを抜けたけど辛いのはそのあとのダラダラ道です。また延々と川底を歩きました。付かず離れずの仲間がいるので気力が保ちましたが、それでも体力が枯渇してるので歳取ったなーと実感しました。


今日のハイライト、フランス人のアメリちゃん(写真中)がパーティーに加わりました。グラナダでフランス語の先生をしていて天真爛漫。始終笑わせてくれます。

夕方にAburaの町にヘロヘロ状態で到着。町の入り口の山肌に大きくアブラと書かれていたので、やっと着いたかと思ったが実際の町まではそこから5キロも歩かなくてはならなかった。しかもダラダラの登りが延々と続くので、この坂でトドメを刺された気になった。いつの間にか後ろにやってきた顔見知りのカップルが、私のバックパックを町まで運んでやると申し出てくれるが、そんな情けないことが出来る筈もないので丁重にお断りする。私の後ろ姿がよっぽど頼りなく見えたんだろうか。

私は今日明日の食べ物が買いたいのでスーパーに寄ると言うとアメリも買い物がしたいそうなので一緒にスーパーへ。アメリは色々と気を使ってくれたり食べ物もくれたので、アメリの買い物分も払ってやろうとしたが頑なに拒否される。こういう点でも良い子と言うのが分かると言うものだ。自分が買ったのが大袋一杯になったので元気なアメリが持ってくれると言う。二人で持つのかと思ったが、アメリが一人で運んでくれた。相変わらずの坂道が続いているし、へろへろなので正直助かった。

アルベルゲはそこからもかなり坂を上がらなくてはならなかったが何とか到着すると、ベッドは上下が一台だけ残っていた。先に着いたアメリが私に下段をゆずってくれたのでありがたく頂く。買ってきた缶ビールをみんなに勧めるが誰もいらないそうだ。ただ、ゴロタ(まだゴロタと言ってた)だけが飲むと言うのでキッチンからグラスを2個持ってきてベッドに座って乾杯したので地味に楽しく、心の交流を感じた。

アブラのアルベルゲはNHKの番組「聖なる巡礼路を歩く」に登場した宿なので楽しみにしていた。オスピタレロのサラちゃんにビデオから撮った当時の管理人の写真を見せると、知っている人だった。と言うことは、この町の有志が交代でオスピタレロをやってるのか。珍しくwi-fiがありました。何日振り?


アメリの足が酷いことになってるのでスペイン人が手当してやってるが絆創膏だらけ。昼間はドロタの足をバルセロナの婦人が針で水抜きしてやってて、私の足も同じ事をしてもらいました。みんな平気な顔をして歩いているけど、何かしら足には問題を抱えている。

今日も昨日と同様に全員で食事を作っての楽しい夕飯になりました。これで今日の苦労がチャラになりました。wi-fiまであったし言うことありません。アルベルゲの世話人はサラちゃんの他にドイツの大男アンブレアスがいて寡黙な奴らしいが妙に気があったので翻訳で色々お喋りできた。


今日も夕食はみんなで作って食べて楽しかった。ワインも出たので更に楽しい夜になりました。お陰で夕食シーンの写真を撮るのを忘れた。でも動画では撮っていたので繋げて雰囲気だけは見られるようにしてみました。

今日の歩数 万歩計を止め忘れた


3月26日Hueneja
朝食を頂きました。夕食・朝食が提供されるとは知らずに買った生ハムとチーズを提供したのが好評らしいので嬉しい。ここに来るまで夕飯と朝食が提供されるとは知らなかったので、地元のスーパーで2食分を買って来たが不要になったのでもう一人のオスピタレロのドイツ人男性にカップ麺他をプレゼントする。最低限の食べ物は必要だが荷物になるものは極力持たないに限ります。


出発前に全員ではないが居る人だけで集合写真を撮りました。NHKテレビで見ていた玄関です。前列二人がスピードスターのスペイン人。後列、私の隣がサラちゃんで右がアンブレアス。その隣がマイでいつも翻訳で日本語にしてくれるありがたい存在です。マイはポーズ取るのがいつも上手いな。

出発直後から雨が降り出したので急いでバックパックにカバーを掛けレインウェアを装着。カッパのズボンは持ってないので濡れるのは仕方ありません。この8人チームは歩くスピードがまちまちなので全員一緒には歩きません。私は勿論一番鈍いグループ。小雨だったのがやがて本降りになる。半ズボンなので寒いよ。

少々道に迷ったが次の大きめの町フィニェーナに着いたのでここで長ズボンを絶対に買わなくては。幸いにも用品店を探さなくても通りにあったのでグアダルペ(バルセロナ婦人)が店員さんに何か伝えて先に進んだ。スポーツウェアが何種類かあったが、みんな上着とセットなのでズボンだけ欲しいんだと身振りで伝えると1種類だけズボンのみがあったので好き嫌いなんか言えません。足首にリブが入っていてダサイのが気に入らないがスペインではみんなこの手のズボンをはいているようだ。厚手でXLサイズなので大きいことは良いことだと購入。12.5ユーロでした。

少し歩くと通りにバルがあったので入るとみんながいました。そこで早速ズボンに履き替える。トイレで履き替えればと言われるが半ズボンの上に履くのでどこで履いても問題ありません。雨降りで寒かったので温かいのが本当に嬉しい。また一足先に歩き出して暫く行った先にはドロタとアメリが居て迎えてくれる。


雨が雪になり、やがてアラレまで降ってきた。良かったぁーグッドタイミングで長ズボンになれて。写真はドロタが撮ってフェイスブックで送ってくれました。雪が見えづらいですが、この後がアラレの大群で先が見えないようでした。シエラネバダ山脈下ろしが吹きすさんでいます。
※シエラネバダ山脈ってアメリカとスペインの2カ所にあるようです。

そのうち雪も止んで空が明るくなったので、今日はもう降らないだろうとちょっと安心。お気に入りの一枚を撮りました。ホントに二人とも良いポーズしてる。


小さな村のベンチで三人で休んでいると近所の犬がやってきたのでアメリが盛んにからかっている。パンをちぎって投げ与えているが犬好きのようでからかい方が半端ない。そこから6キロ歩くと今日の目的地Huenejaだが、スタミナが枯渇しているので辿り着くまで大変だった。二人は時々立ち止まって私を待ってくれてるようなので姿が見えなくなることはなかった。ありがたい。

アルベルゲに着くと下段ベッドがまだ3つも残っていたので全員が下段に落ち着ける。取りあえずバルに行くことになったが、アメリはトイレに飛び込みました。出てきて何を言うかと思ったら、両手で尻から何かを発射する真似と大きな声で「ブーッ」と言ってるので下痢だったようだ。面白いことをするもんだと思ったが、この子の羞恥心はどうなってるんだろう?

バルではスペイン親父二人とカップルの二人が迎えてくれてビール大と大皿料理で内容はイカと西洋野菜で9ユーロと安かった。アルベルゲに戻ってシャワーと洗濯。夕飯は私以外は全員が行くようだが、私はもう寝る。マイがGuadixの宿を予約してくれた。マイは何かと日本語の翻訳を使って私の助けをしてくれるので本当に有りがたい。


今日と昨日の歩数合計 81,527歩
ここまでの歩数  148、711歩


モサラベの道03へつづく