14) 峰床山〜八丁平 564m : 京都府第二の高峰    2016年山の記録に戻る

 峰床山は京都北山にある最も奥深い山の1つで、皆子山、鎌倉山、三国岳などと並んだ位置関係になる。最高峰の皆子山が滋賀県との境にあるが、こちらは山頂は京都府である。しかしながら登山には滋賀県側からが便利である。頂上のそばには高層湿原の八丁平があって、この山の特徴である。八丁平は北山では珍しい高層湿原でハッチョウトンボなどで有名であり、貴重な動植物も多く、保護の対象の一つになっている。北の入口にあたるオグロ坂は、福井県小浜市と京都を結ぶ若狭街道の1つで、古くは峠道として知られている。
 峰床山へのルートは、(1)敦賀街道の葛川学校前から江賀谷を遡り中村乗越 から八丁平を経る東ルート、(2)久多下の町からオグロ谷をつめてオグロ坂峠を経る北コース、(3)花背の大悲山口から寺谷川をつめて俵坂峠を経る西コース、(4)大見町から尾越を通り二ノ谷からフノ坂を登り八丁平を経る南コースの4つがあり、四方からアプローチできる。(1)の東ルートから登り、(3)の西ルートを下るコースがポピュラーな登山コースであるが、車での利用では、東ルート利用で、坊村からブナ平〜鎌倉山を経由するコースと組み合わされる設定も多い。  

守山駅前(7:05)〜琵琶湖大橋〜坊村駐車場(葛川市民センターP)(8:00、8:10出発)−林道出合(8:50)−ブナ平(9:20〜9:25)−鎌倉山(10:23〜10:38)−オグロ坂峠(11:50)−少し進み尾根部で昼食(12:05〜12:40)−峰床山(13:10〜13:30八丁平休憩場所(14:15〜14:20)中村分岐(1433)中村乗越(1440)−二股林道終点(16:00)−葛川中学前(1630、1656出発) 

 いつも通り駅前に集合、坊村に向かう。梅雨の時期ながら、今日1日だけの晴天となった。坊村の駐車場には登山客の車が並ぶ。ほとんどすべて、武奈ヶ岳に向かうようだ。身支度を済ませ、橋を渡った先の登山口からすぐに右の急坂を登る。城の峰と書いてある。最初は杉林であったが、登りきればすぐに広葉樹林になる。もみじ坂の尾根筋を進むが結構な登りである。40分ほどで一旦は林道に出る。ここを横切り、なおも急な坂を登る。ブナ平に出るまでに、足元にはギンリョウソウ、見上げれば、その名の通りブナの大木、ミズナラ、ネジキ、その他多くの広葉樹があるが、樹高は高く、風もあって結構涼しい。ブナ平で一休みし、結構長い距離を歩いて鎌倉山に向かう。足元にイワカガミの群落、シャクナゲが続き、白い花をつけたエゴノキが見られるころには鎌倉山はもうすぐである。
 一登りし、山頂に着く。見晴らしは残念ながらないが、緑の葉で覆われた山頂でホッとする。ここからが、想像以上の小刻みなアップダウンが続く。登り下りがしばらくで千年杉に出る。皆に並んでもらい、木の大きさを確認する。その後、嫌になるくらいのアップダウンが続き、鎌倉山から1時間30分弱でやっとオグロ峠に着く。地蔵さんの祠がある。蚊がおり落ち着かない。ここでの昼食をやめ、時間次第でどうするか決めることになっていた峰床山に行くことを決め、その方向に進む。急な右回りの曲り角で、尾根筋らしきところに出る。比較的開けており、ここで昼食とする。35分の昼食タイムで出発する。すぐ先に絶好の昼食ポイントが出てくるが、後の祭りとなってしまった。ここからは、気持ちの良い尾根筋歩きで、いくつかの派生した尾根をやり過ごす。踏み跡らしきものもあり、雪の時期には結構苦労するだろう。峰床山山頂には思ったよりスムースに着いた。山頂は見晴らしが良く、東には比良山系、特に蓬莱山はスキーのリフトですぐにわかる。その左手は武奈ヶ岳だ。南方向には皆子山が目の前で、雲取山などの花背の山々も見える。北には由良川源流の三国岳、天狗峠、小野村割岳、西には丹波高原の山々が連なる。山頂で長めの休憩を取る。チョウもちらほらと見られる。
 山頂から少し下り、左手のクラガリ谷と俵坂峠のT字路に出る。少し登ったところが眺望地点である。しばし眺望を楽しんだ後、クラガリ谷の急坂を慎重に進む。しばらくで平らな場所に出る。八丁平の縁に出る。このあたりはたくさんのエゴノキ、サワフタギ、ウノハナ、オオバアサガラなどの白い花がいっぱいついた木々があり、圧巻である。また、ツルアジサイの大きな木が目を引く。シカが下草や灌木を食べている。シカ害で八丁平も湿原の維持が難しく、あたりはフェンスで保護されている。しばらく湿原を行くと、実のついたクリンソウのある木橋に出る。しばらく行くとベンチのある休憩所に着く。分岐点でもある。八丁平は、標高810m、約5ヘクタールの広さで、周辺は、サワグルミ、ミズナラ、クリの大木が多い。この休憩所から左手に回る格好で進む。タニウツギのピンクが、白い花ばっかりだった周辺に彩を添える。ぐるりと左手をまわり、しばらくで中村乗越の分岐に出る。ここを右手に取りしばらく登れば中村乗越に出る。この峠、滋賀県と京都府の境界で、ここからいよいよ滋賀県側に下山である。周辺はシカもいる。ナツツバキも見られ、プラスチックが幹に巻かれ保護されている。
 江賀谷右股コースは、結構狭く、急な道で注意して下る。杉林が続き、やがて、谷筋に出る。岩の間を慎重に下る。この時期水量も多く、滑りやすい岩の上を、何度か渡渉を繰り返して進む。乗越から1時間20分、最後に二股と言われる最後の渡渉になる。水量が多く、岩と岩の間隔もあり、滑りやすい。滑って足を水の中に突っ込む人、濡れ覚悟でどぼどぼと入る人等々、時間をかけて渡渉し、無事林道終点に出た。Web検索では丸太を渡した木橋を渡ると書いてあるが、そんなものは見当たらなかった。この江賀谷であるが、ヒルが多く、皆、ズボンにまつわりつかれ困ってしまった。立ちとまっていないときでも、いつの間にかヒルがついて、足を吸われた人もでた。このコースはヒルに注意が必要だ。薄い塩水がきくということで持参のベテランに裾をシュッシュッとかけてもらっての下りになった。二股林道終点から、学校のある中村まで2q、右手に深い谷を見ながらの林道歩きである。思ったより良い道で、最後にゲート(簡単に動かすことができる状態)があり、車止めと書いてあるのが不思議だ。林道を30分で、学校に出る。保育園、小学校、中学校が1箇所に集まっている。ここで、同行者に車を回収してもらい、残りの5人は、25分ほどをゆっくりすることができた。帰りの琵琶湖大橋周辺は混んだが、無事に山行を終えることができた。チョウは、ミドリヒョウモン、テングチョウ程度で期待したミドリシジミは全くダメだった。ご苦労様。           

鎌倉山山頂(全員写真) 千年杉 皆子山(峰床山山頂から)
たくさんの花をつけたエゴノキ越しに峰床山山頂からの眺め こちらを見つめ、なかなか逃げないシカ(八丁平) 江賀谷を下る
     
ネジキ サワフタギ ミヤマイボタ

解説
・オグロ坂峠
鎌倉山から峰床山に連なった尾根の低部を越す切り通しの峠である。開き目のV字型に稜線上から切り込まれている。広い尾根なので切通しの部分は結構長く、印象的である。地蔵の祠もあって、歴史を感じることができる。もともと、オグロ坂は、小浜と京都を結ぶ鯖街道のひとつで、根来峠・針畑越ルート(小浜−上根来−小入谷−久多−オグロ坂−大見−鞍馬−京都)にある。元亀6年、朝倉攻めに失敗した織田信長が京に引き返した時、しんがりを務めた徳川家康がこのオグロ坂峠を通って鞍馬に出て京都に戻ったという。歴史の峠である。

コースMAP(同行のKさんより拝借)


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作成日: 2015年6月20日