綿向山は、滋賀県蒲生郡日野町北畑にある標高1,110 mの山である。鈴鹿国定公園内にあり、7世紀頃から山岳信仰の対象として崇拝されてきた。鈴鹿山脈の南西に位置する。山頂には「青年の塔」が建てられている。登山ルートは表参道・北参道・水無山北尾根・竜王山経由の4ルートがある。表参道の5合目には、綺麗な避難小屋がある。頂上には天穂日命社が祀られた大嵩神社があり、毎年4月20日に嶽祭りが執り行われる。頂上からの眺めは、東に雨乞岳を中心に鎌ヶ岳につづく鈴鹿山脈・伊勢湾をはじめ、秋冬の澄んだ日には遠く北アルプス穂高岳・木曽御嶽山・恵那山・南アルプスの塩見岳なども望見できる。山頂に設置されている展望図盤によってそれらを確認することができる。西には近江盆地が眼下にひらけ、琵琶湖の向こうに比叡山から比良山地が連なっている。11月10日は、山の高さにちなんで綿向の日として、登山会が開催される。霧氷で有名で、冬の時期はとりわけ人気の山である。
雪は少なく三月の陽気との事前情報であったが、7合目からの冬道は霧氷が満開だった。霧氷越しの霊仙山や御池岳の眺望は青空に映えて見事だった。山頂は風もなくポカポカ陽気で楽しい昼食になった。竜王山周辺もがらりと変わった雰囲気で思わぬ歩きに大満足だった。
駐車場(8:50、9:00出発)-登山口(ヒミズ谷避難小屋、9:15)−3合目あずみ小屋(9:53〜9:58)-5合目避難小屋(10:15)−7合目(10:26)-竜王山分岐(10:55)−綿向山頂(10:57〜11:45、昼食)−竜王山・イハイガ岳分岐(1080ピーク)(11:56)−962mピーク(12:23)−鞍部(12:37)−917mピーク(13:29)−送電鉄塔842m(13:12〜13:20)−竜王山826m(13:32〜13:37)−竜王山登山口(林道)(14:00)‐駐車場(14:27、14:37出発)
行動時間:5時間27分 、歩行距離 9.4q 、累計高度差 :986m
週日だが、晴れの予報で駐車場はそこそこ埋まっていた。準備を整え、出発する。年によっては川沿いの道も雪が積もっているが、田んぼの日陰にもなかった。ヒミズ谷避難小屋で上着を脱ぐ。寒くもなく、風もない。杉林のなかを九十九折に登る。いつもの通いなれた道で、全く雪がない。三合目で一度林道に出、左に出てあずみ小屋で小休止をとる。昨年から通せん望になっている。五合目まで同じような道が続く。小屋で一鐘ついて元気付けをする。比良山の蓬莱ゲレンデ、比叡山、三上山が眺望できる。雪は道にはなく、日陰の雪だまりに少々だった。五合目からは直線的で、最初は杉、そのうちブナ林に変わる。七合目(行者コバ)は冬道の分岐点になっている。期待の霧氷が始まる。心配には及ばずだった。上部や谷間は霧氷だらけだった。吹く道は、勾配もきつくなり、踏み固められた雪が残っている。アイゼンで砕かれていた、無アイゼンでも行けそうだった。ストックもアイゼンも使わずに行くと決め、一歩一歩慎重にかつ、頻繁に撮影した。登るにつれ、霧氷が深くなる。青空を背景に素晴らしい風景だ。霧氷のブナ林の中を進む。所々で大きな霧氷が現れ、撮影に忙しい。雪はほんの少し、滑らないように気を付けるだけだ。樹間からは、霧氷越しに御池岳〜霊仙山の白い山並みが見える。派生する尾根筋も霧氷で見ごたえ十分だ。
霧氷の冬道
場所によっては頭をかがめ、霧氷のトンネルの中を進む。竜王山への尾根分岐を分けるとすぐに山頂だ。山頂付近は雪がほとんど消え、地肌がむき出しだ。それでも下の霧氷越しに、雨乞岳、鎌ヶ岳につづく鈴鹿山脈が展望できる。北方向には、御池岳が見える。
山頂からの風景
山頂は雪無し
温かいお日さんの下で昼食にする。穏やかで風もなく3月の陽気、最高の昼時である。登山客も多い。カップ麺、スープ、ブドウ、コーヒー等々でゆっくりと楽しむ。会話も弾む。
記念写真をとり、少し戻って竜王山方面に出る、先の分岐のピークからは綿向山が真白い霧氷の稜線の奥に素敵な姿を見せる。
竜王山へ向かう、後方は御池岳〜霊仙山
振りかえれば綿向山
ここからの下りがなかなかに手ごわい。積雪はほとんどないが、寒さで硬くなっていてロープがなければとんでもないところだ。一旦下り、少し登ったピーク962mから先の急坂はいよいよ本格的だ。ロープをつかみ、一歩一歩足場を確かめながら下る。一部、凍ったところがあって冷っとする。3度の急坂を下り切り、鞍部に出る。ここから登るとシャクナゲの群生地になる。花芽も多い。御池岳方向が見える。さらに下って登り切った先が917mピークだ。以前の三峰山の表示はどうなったのだろう。このあたりアセビも多く、落葉樹林帯の雰囲気ががらりと変わる。穏やかな歩きやすい道である。アップダウンは少しあるが、しばらくで送電鉄塔に出る。見晴らしが良く、綿向山が良い姿を見せる。北方向や湖南平野も一望できる。少し下り、第2の鉄塔で少し時間を取る。風景は変わらない。
綿向山が遠くに見える
ここから12分で竜王山である。竜王山への稜線上は雪は全くない。記念撮影のあと、急な階段を注意深くおり、気持ちの良いブナ林の千畳平を過ぎるとやがて林道登山口に出る。更に30分弱で駐車場に戻った。楽しい大満足の1日だった。
コースMAP
(国土地理院の地図を引用)
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作成日:2021年2月7日
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