26)鍋尻山838m :2021年3月27日 2021年山の記録に戻る 、2021年チョウのページへ戻る2021年花・鳥・その他に戻る
 鍋尻山は、多賀町にある山。河内の風穴がその下に続いている。芹川権現谷の南に位置し、その山容が鍋を伏せたような形から名付けられたと思われる。山頂部付近は急峻で、南東部分にはススキの原になっており、東側は御池岳など鈴鹿の山を眺望できる。春には、フクジュソウが楽しめる山である。登山コースであるが、最短コースは保月地区からで、登山客のほとんどがこのコースを登る。他には、河内の風穴(河内宮前)からのルート、芹川権現谷入口にある妛原(あけんばら)地区からのコースがある。

 ミスミソウの季節になり、河内の風穴付近から山頂を目指した。保月に下山し、林道を戻った。お目当てのミスミソウは昨年の株ほどの花の数ではなかったがまずまずといったところ。もう一つのフクジュソウは山頂付近の斜面では最盛期が過ぎていたが、撮影はできた。下った先の保月ではいくつもの群生地があった。旬だった。スギ林からの登りでは、テープから離れて急斜面を直登した。辛い登りであったが、ヤマシャクの小群落2か所を確認した。大きなつぼみが開花を待っていた。P696からの山頂への登りも左手の急斜面を歩いた。けもの道がいくつもあった。途中の霊仙山の眺望が特にすばらしい。帰りの8㎞程の長い林道歩きだが、谷筋は結構な景観を楽しめる。まずはミネザクラの多いこと、対岸から山肌は赤い部分が目を引く。マメザクラとダンコウバイのピンクと黄色のコラボが絶妙だった。タチツボスミレ、ミヤマカタバミも多かった。特筆は、ミスミソウの群落が何ヶ所もあったことだ。チョウにも出会えた。中でもスギタニルリシジミは久しぶりでうれしかった。ルリシジミのブルーが綺麗だった。保月の集落ではホオジロとヤマガラが多かった。

 自宅-権現谷入口妛原登山口道路沿い駐車場所(8:45、8:52出発)-河内の風穴合流点(9:12)-スギ林の地蔵?(9:34)-P696(10:12)-末端展望所(10:15)-岳の峠(10:22)-鍋尻山(10:44~10:56)-展望台(11:02)-フクジュソウ群生地(11:04、5分)-保月集落(11:50、12:06散策)-林道アサハギ谷分岐(12:37)-昼食(12:40~13:08、昼食)-権現谷林道(13:31)-妛原登山口道路沿い駐車場所(15:09、出発)-自宅

   行動時間:6時間17分  歩行距離:11.1km 累積登高:841m
 
自宅を出発、霊仙山への通いなれた道を走る。土曜日とあって朝は車が少ない。s307号線から離れ、河内の風穴を過ぎた所から権現谷の道へ入る。たくさんの車が霊仙山に向かう。谷沿いの道はそこそこの広さで、集落に沿って進む。すぐに川にかかった鉄の橋が登山道への入り口で、その先の路端に駐車する。今日は車が多い。河内の風穴と霊仙山への登山であった。

橋を渡り、川に沿って左手に少し進む。踏み跡があり、しばらくで急坂に取りつく。スギの植林帯で、すぐに急な坂をつづら折りに登っていく。20分ほどで河内登山道の稜線と出会う。広葉樹林帯になりエチガ谷の急峻な谷を右手眼下に望みながら高度を上げてゆく。細尾根の部分は石灰岩がむき出しで、目的のミスミソウが見られる。タチツボスミレも多い。岩場が過ぎると、スギ林になり、ここから先は一旦緩やかな登りに変わる。スギの落葉が敷き詰められ歩きやすくなる。スギの樹林帯はそこそこ踏み跡もあって、迷うことはない。ピンクのテープもある。前面に山肌が立ちふさがり、道は反時計回りに踏み跡がある。次第に岳の峠方面へと斜めに登るようになる。

今回はP696 に寄ろうと考えていたので、地図ナビを頼りに斜面を直登する。岩や枝、倒木でまっすぐには行けないが、ほぼ考えていた通りに行けた。途中、ヤマネコノメソウ、蕾の状態のヤマシャクの小群落2ヶ所を確認できた。この斜面の登り、約25分弱だった。汗が出る急な登りだった。
P696は小高くなっていたが、表示はない。霊仙山方向に末端部分まで行く。樹林越しではあるが堂々たる山容を確認できた。フッキソウがびっしりとしく詰められた場所だった。明るい落葉の広い尾根筋を鍋尻山への方向に進む。

P696末端から霊仙山

左手に三国岳~烏帽子岳が確認できる。木々が刈り取られ、地肌がむき出しが岳の峠になる。その後、枯れたシダ、芽を出し始めたトリカブトが多くなる。峠から山頂へは、南方向に進む。
しばらくで急峻な斜面である。テープは右の方の樹林帯に付けられているが、左手の岩がごつごつとした斜面を直登する。石灰岩が露出し、登山道はない。けもの道や歩きやすいところを選びながら適当に息を切らせながら登る。左手はひらけ、鈴鹿の北部分、三国岳~烏帽子岳=焼尾山が見える。また、振り返れば霊仙山が間近に見える。岳の峠から25分ほどで山頂だが、長く感じられた。
霊仙山

三国岳~烏帽子岳~焼尾山

山頂は広くなっているが、樹間からの眺望でイマイチだった。大きな石灰岩があって、苔むした岩が雰囲気を醸し出している。何回も来ている山なのですぐに先を進む。
後方は霊仙山
山頂の広場
山頂から先に進むと、御池岳を中心として鈴鹿の山々の絶好ポイントになる。保護のため、ロープが張ってあったり、網がかけらりたりで雰囲気は良くない。すぐその下がフクジュソウの群生地になる。保月から登ってきた2人連れの話では、上のこの群生地は最盛期は過ぎ、むしろ保月集落のあたりが良く咲いているとのことだった。綺麗な花を中心に撮影し、岩場の急な坂を下った。

上部が小学校跡

すぐに落葉広葉樹林帯で、しばらくで植林になった。平坦な部分では、ミヤマカタバミが多くなり、その中によく見るとトウゴクサイゴクサバノオの花株があった。金剛山以来であった。フクジュソウも元気で、アセビの木も多かった。ここからは広い道になり、保月の集落の神社が見えだし。集落へ下った。廃村ではあるが、何かを育てているのであろう、作業している人や、鎌をもって行く人がいて、登山者以外の車もあった。
保月廃村風景

小高い小学校後の斜面にはあちらこちらでフクジュソウが綺麗に咲いていた。あたりを散策する。昼の時間であったが、先を進むことにした。舗装道の林道歩きが8㎞ほど続く。道端にはスミレが咲いている。谷の方向にはフサザクラが多い。チョウも飛んでいる。止まった個体を撮影する。後からの確認するとスギタニルリシジミであった。ルリシジミとはブルーがやや違ったようにも見えたが、翅は何しろ白というより薄い茶色であった。
アサハギ谷から権現谷の林道に入る。ずっと下り坂の道で、車や歩く人もいる。少し小高くなった岩・石が多い場所で昼食にする。フサザクラが多く、対岸の山腹も赤くなるほどフサザクラが多いく。そこそこの時間を取って昼食を楽しむ。最後はコーヒーで締め、再び歩き出す。崖の下には雪が残っている。先には霊仙山の近江展望台・西南稜が垣間見える。権現谷は見所の多い谷筋で、切り立った谷崖が続く。右手も切り立った絶壁のようで、リョウシなどの派生する山塊への取り付きもある。マメザクラもあり、ダンコウバイが鮮やかな黄色を見せる。谷向こうには2種のコラボが美しい。大きな岩の下から水が出ている。谷筋が大きな岩で塞がれ、下から出ているのだろうか。右手の山腹は一気に花が現れる。ヤマルリソウ、中にはピンク色のものもある群落、タチツボスミレも出てくる。更に、ミスミソウの群落が続く。これほどたくさんのミスミソウがあるとは驚きだった。長い道のりも一向に苦にならない。撮影に忙しい。大杉を過ぎると登山口近くの駐車場所に戻った。残った車は少なくなっていた。思いがけなくたくさんお花に恵まれた1日になった。


         
 ミスミソウ タチツボスミレ キケマン ダンコウバイ
         
ヒトリシズカ   ヤマルリソウ  スミレサイシン  シハイスミレ タネエツケバナ
         
 ミヤマネコノメソウ  トウゴクサバノオ  ミヤマカタバミ  フクジュソウ カテンソウ 
         
オニシバリ  ヨゴレネコノメソウ       
鳥他
         
 ヤマガラ  ホオジロ  シカの毛?    


チョウ
         
 スギタニルリシジミ  ルリシジミ  アカタテハ  ヒオドシチョウ  テングチョウ
岳の峠ではモンシロチョウが飛んでいた。このあたり、ウスバシロチョウが多い。

クロヒカゲ

甲賀市の観光案内より引用
河内登山道の稜線と出会うと、エチガ谷の急峻な谷を眼下に望みながら高度を上げ、樹林帯に着きます。始端には、杉の大木が二本、杉の樹林帯を抜けると岳の峠の急峻に取付きます。岳の峠の北側には「岳の畑」と称されるな、だらかな潅木帯があります。ガス時に入り込むと、方向性を失い遭難の恐れがありますので注意が必要です。峠から山頂へは、石灰岩の露出する急峻です。登山道はありませんが、獣道や足場のいいいところを辿りながら山頂に立ちます。


コースマップ(YAMAPより引用)

(国土地理院の地図を引用)

2021年山の記録に戻る 、2021年チョウのページへ戻る2021年花・鳥・その他に戻る

作成日: 2021年4月2日