30)鎌ヶ岳1161m・長石谷 : 2021年4月10日
 2021年山の記録に戻る2021年チョウのページに戻る2021年花・鳥・その他に戻る

 鎌ヶ岳(かまがたけ)は、三重県三重郡菰野町と滋賀県甲賀市にまたがる鈴鹿山脈南部の標高1,161mの山。鈴鹿国定公園内にあり、関西百名山及び鈴鹿セブンマウンテンのひとつに選定されている。山全体が花崗岩からなり、一部斜面では風化が進んでいる。鈴鹿山脈で最もアルペン的な山容の飛騨山脈の槍ヶ岳に似た鋭く尖った山容で、南側の水沢岳へと続く痩せ尾根は、鎌尾根と呼ばれている。「鈴鹿の槍ヶ岳やマッターホルン」と呼ばれることもある。三重県側の濃尾平野からや御在所ロープウェイからも、その三角錐の山容が望める。北側と南側からは均整のとれた三角形の山容で、東の一角から均整が崩れて湾曲した形に見えることが山名の由来とされている。別称が「冠ヶ嶽」。歴史であるが、古くは「冠峰」や「釜嶽」と呼ばれ、和歌や漢詩に詠まれていた。伊藤冠峰(いとうかんぽう、1717年(享保2年)-1787年(天明7年))の号「冠峰」は鎌ヶ岳の山名を意味し、鎌ヶ岳の鋭峰を詠んだ漢詩の石碑が御在所岳の山頂に建立されている。俳人の山口誓子が鎌ヶ岳を俳句に詠んで、その石碑が1961年(昭和36年)8月13日に御在所岳の山頂に建立された。
環境だが、ニホンカモシカが周辺の鈴鹿山脈の山域に生息、国の特別天然記念物の指定を受けている。北東斜面にはブナの天然林があり、「鎌ヶ岳ブナ原始林」が県の天然記念物の指定を受けている。山頂付近では、アカヤシオやシロヤシオ、ミツバツツジなどが多く見られ、山腹や谷筋ではシャクナゲ、山桜、イナモリソウ、イワカガミ、ショウジョウバカマ、バイカオウレン、ダイモンジソウなどが見られる。一部では、イワウチワ、イワザクラなども見られる。日本海側多雪型の植物のオオカニコウモリ、ハイイヌガヤ、ヒメモチなども分布している。
登山であるが、伊勢菰野藩の第10代藩主土方雄興が、「冠嶽記」の紀行文を残している。登山ルートであるが、多くの登山道が開設されている。
最短ルートは、武平峠からの鈴鹿山脈の主稜線のルートで、花崗岩の登山道は風化が進み溝状となっている箇所があり、山頂直下北側に急な岩場には鎖が設置されており、山頂直下の西側に新たに巻道となる迂回路が開設された。利用者が少ない、バリエーションルートもある。
・鈴鹿山脈縦走路 国見岳 - 国見峠 - 御在所岳 - 武平峠 - 鎌ヶ岳 - 岳峠 - 水沢岳 -武平峠 湯の山温泉 - 御在所山ノ家 - 御在所岳表道分岐(覚明行者修行跡) - 武平峠 - 赤ガレ - 鎌ヶ岳
・三ツ口谷 湯の山温泉 - 御在所山ノ家 - 三ツ口谷出合 - (大滝)- 武平峠出合 - 鎌ヶ岳
・長石尾根 湯の山温泉 - 長石谷登山口 - 長石尾根 - 鎌ヶ岳
・長石谷 湯の山温泉 - 長石谷登山口 - 犬星ノ滝 - 岳峠 - 鎌ヶ岳
馬の背尾根 湯の山温泉 - 三岳寺 - 馬の背尾根 - 雲母峰分岐 - カズラ谷分岐 - 岳峠 - 鎌ヶ岳
・雲母峰(きららみね)からの稜線ルート 雲母峰 - 馬の背尾根分岐 - カズラ谷分岐 - 岳峠 - 鎌ヶ岳
・カズラ谷 宮妻峡ヒュッテ - カズラ谷 - 岳峠 - 鎌ヶ岳尾川沿い(滋賀県側)
(ウイキペディアより引用)

花の開花が随分と早い。目的のイワザクラは今が旬、イワウチワもアカヤシオも充分だった。鎌ヶ岳の山頂のアカヤシオはさすがにまだ蕾だった。鳥はエナガ、チョウはコツバメが撮れた。477号線の開通もあってトルネル周辺は車で溢れていた。花も人も満開、この上もない晴天の1日を楽しんだ。長石谷の下りは渡渉あり、ガレ場ありの変化にとんだ歩きになった。登りの方が幾分ましかもしれない。

  自宅−477号線−旧鈴鹿スカイライン−武平峠滋賀側道路脇駐車(8:20、8:24出発)−武平峠(8:31)−展望岩場(9:07)−鎌ヶ岳山頂1161m(9:22〜9:32、昼食)−鎌尾根−長石谷分岐(9:43)−犬星ノ滝(10:31)−昼食場所(イワザクラ群生地)(11:05〜11:41)−長石谷登山口・447号線(12:14)−分岐・登山道(12:18)−三ツ口谷分岐(12:41)−武平トンネル・三重県側(13:08)−駐車場所(13:15、13:25出発)−1号線−自宅  
   歩行時間:6時間16分、歩行距離:7.5q、累積登高:909m

 順調に走るが土曜日とあって、武平トンネルの駐車場は満車、三重県側が特にひどい。滋賀県側で道路横に並んでいる間に何とか場所を確保した。まずは武平峠に向かう。6日に来たばかりの登山道を進む。峠付近は人が多い。御在所からの登山客も多そうだ。鎌ヶ岳を目指す。鎌ヶ岳に向かう。初めは緩やかだった道も次第に急坂になる。ショウジョバカマ、アカヤシオが咲いている。梢に白い鳥が頻りにさえずる。エナガだった。日陰では、霜柱があり、冷え込みがきつかったことが分かる。花こう岩があり、歩きにくい。高度を上げるにしたがって視界が広がる。展望のきく岩場では、御在所岳が目の前に見える。左手には雨乞岳が続き、陰に隠れて見えなかった綿向山も見えるようになる。急な坂では、ロープや岩につかまりながら慎重に登る。ざらざらと風化した花こう岩で滑りやすい。そこそこの難所だ。展望所は2か所ほどある。
 ガレ場の道は今は通りづらくなっている。右手に山腹を巻く格好に進む。最後の一登りで山頂に着く。南側は、鎌尾根が続き、水沢岳から仙ヶ岳〜能登岳の稜線が一望できる。東には、伊勢湾が望まれ、工場群が目につく。
鎌ヶ岳から北縦走路

 細長いが山頂スペースは結構ある。中心に祠が鎮座している。この祠、水沢の人たちが、石の祠(ほこら)に堅固な玉垣をめぐらし、 石鳥居まで建て伊勢の神を祭っていた。昭和28年の台風により南側の急斜面が大崩壊を起こし、 祠も鳥居も深い谷へ崩れ落ち、その代わりの祠だけが大岩のかげに祭られていた。その後、修復され写真のように回復された。5月3日は特別な日とあって、祠には刀が添えられ、お供えもあるそうだ。備えられていたお神酒は集落の方から登山者に振る舞われた。山頂直下の東側には、県の天然記念物指定の「鎌ヶ岳ブナ原始林」がある。このブナ林は、太平洋側の代表的な林となっているが、まっすぐな巨木の根元には、日本海側の多雪地植物のヒメモチ、ハイイヌガヤなども見られ、寒暖両地帯の植物が仲良く住み分けている珍しい植物相を見せているのだそうだ。北側の岩場に入り込むが登山客で一杯である。マスクもしないアジア系の家族や友人が集まってくる。これはダメだと早々に立ち去る。
 左から綿向山〜雨乞山〜イブネ〜御在所岳
 

山頂からは今回の目的である長石谷の分岐に向かう。特徴的な北鎌尾根で、まずは岩場の急坂を下る。さすがは北尾根と思ませる特徴ある尾根筋が通っている。
北鎌尾根

アセビが多い。長石尾根分岐を過ぎ、長石谷の分岐表示から急坂を下る。
長石谷の分岐

すぐにアセビの葉にとまったコツバメが現れる。その後は岩場の登山道が続く。下る人は少数派であろうか、続々と登り客が来る。花を撮影しながら、足場を確認しながら慎重に下る。ショウジョウバカマ、イワウチワ、と続く。谷は次第に深くなり、両方とも切れ立っている。谷は渡渉が何回かあるが、小さな子供も登ってくる。登りに比べ、下りは道が分かりずらい。適当に歩くところも出てくる。谷を過ぎればイワザクラの花があると聞いていたが、花も多く撮影にも力が入る。まず、聞いていたミツバコンロンソウが見つかった。エンレイソウも開花している。谷分岐から50分で犬星大滝に着く。大きなグループが滝の前で休んでいる。
犬星大滝

撮影を済ませ、渡渉と岩場歩きを重ねさらに30分でやっとイワザクラの群生地に着く。まずは花の撮影をする。急な崖の上にも花があり、踏み跡をたどって上部に出る。不安定な足場だが何枚間の撮影をする。イワタバコの芽が出てきていた。登山道に戻り、花の前で昼食を取る。他の登山客と一緒だった。谷向こうには、アカヤシオ、クロモジの花も見える。
イワザクラが綺麗だった。

最後にコーヒーを飲み出発する。その後もイワザクラは見られる。イワウチハは数が多い。ミツバツツジ、タチツボスミレ、ヤブツバキなどを撮影しながら慎重に下る。分岐を過ぎ、昼食場所から30分で477号線に出た。有料の駐車場がいくつかあり、車で一杯だった。再び登山道に入り表示に従って三ツ口谷分岐を過ぎ、武平トンネル前に着く。谷筋は、アカヤシオが綺麗で、ミツバツツジも多い。スミレの花も見られる。トンネル内を歩いて、駐車場所に戻った。

ピンクの花がとりわけ多かった1日だった。
サラサドウダン  バイカオウレン ミツバコンロンソウ イワウチワ  タチツボスミレ
   
ホオジロ キランソウ ミツバツツジ アカヤシオ


エナガ

コツバメ

行程MAP



(国土地理院の地図を引用)


021年山の記録に戻る2021年チョウのページに戻る2021年花・鳥・その他に戻る

作成日:2021年5月1日