31)御嶽(三岳・多紀連山) 793m : 2001年5月20日 関西百名山、関西百名山に戻る

御嶽(みたけ)は、兵庫県篠山市にある標高793mの山。篠山市の最高峰、多紀連山(解説を参照)の主峰である。三嶽(三岳)とも表記する
。兵庫50山の一つである。御嶽は小金ヶ嶽(726m)、西ヶ嶽(727m)の三山からなる多紀連山の最高峰である。石室のある東峰、三角点のあ
る西峰からなる。山頂からは素晴らしい展望が望め、秋にはしばしば雲海がみられる。多紀連山は鎌倉時代から室町時代にかけては、丹波
修験道場の中心地として栄え、御嶽はその中心であった。現在でも御嶽山頂から600m離れたところに当時の修験道の拠点であった大岳寺
の跡や、東の峰には役行者を祀った石室が残されている。最盛期には大岳寺のほか、数ヶ所に堂が建ち、東の小金ヶ嶽の頂上には蔵王堂
、その南側直下には福泉寺ほか数々の寺院群や里坊なども存在した。しかしながら、丹波修験道は1482年、大峰山に代表される大和修験
道との争いに敗れ、主峰御嶽の南側直下の大岳寺などは焼き払われた。毎年5月には山開きの行事が盛大に行われる。
 登山コースであるが、篠山口駅から神姫バスにて草山温泉方面行きのバスに乗り、栗柄口或いは栗柄奥から登るルートと、大たわ峠から
登る2ルートを中心として多くのルートがある。栗柄ルートは、 御嶽北側の栗柄(330m)から西ヶ嶽〜御嶽の中間の650mの前山をたどるルー
トが一般的。八柱神社横に案内板あり。登山道にある愛染窟は自然の岩穴で、修験道「胎蔵界」の行場の一つであり、女性杜氏の半生を描
いたNHK連続テレビ小説「甘辛しゃん」(1997年放映)のロケ地にもなった。暗い内部には役の行者にも見える愛染明王が祀られ、隠微な雰
囲気に満ちている。洞窟内の湧き水は諸病に効くといわれ、地元で崇められている。
@大たわルート 大たわ峠駐車場(512m)から標高差280mを登る、手軽なコース。
A藤岡ダムルート 御嶽南側の藤岡ダムから奥池、さらに西ヶ嶽を経由し御嶽に至るコース。山頂までの所要約2.5時間。
B黒岡川ルート 藤岡ダムルート同様、御嶽南側の篠山市丸山集落沿いの黒岡川を遡流し、西ヶ嶽との中間地点鞍部を経由するコース。

今回は、多紀連山の3山を縦走するコースを選び、小金ヶ岳(725m)〜三嶽(御嶽793m)〜西ヶ嶽(727m)と歩いた。3つのピークの登り下りは
結構ハードで、登り応え十分であった。

守山駅(7:36)〜尼崎(8:36、8:43乗り換え)〜篠山口(9:41、9:48バス)〜本篠山(10:10、10:12バス)〜小金ヶ岳口バス停(10:30、10;35出発)−小
金ヶ岳(12:00〜12:20、昼食)−大タワ(12:55〜13:00)−三嶽(13:37〜13:47)−西ヶ嶽(14:20〜14:30)−藤岡ダム分岐(14:40)−栗栖口(15:17、
バス15:42)
    歩行時間: 4時間2分(休憩時間45分含まず)
 
守山駅を出発、尼崎で宝塚線に乗り換える。JR篠山口駅からバスに乗り、本篠山で火打岩線のバスに乗り換え終点の火打岩のひとつ手前の
小金口で降りる。停留所横の橋を渡り、橋の先の分岐を左折する。少し進み、出合った車道を右に折れ、やや細く分岐した道(停留所から
500m)に入る。すぐ左手に登山道の表示がある。林の中を歩く。3人での長い縦走が始まる。登山路は渓流の右沿いを行く。しばらくで谷に下り
、石の上を歩く。石の間からは、白い花が顔を出している。谷から、再び道に沿って右に上る。次第に傾斜は大きくなり谷から離れてゆく。一旦
平になる。その上は、広い平坦地で、案内板に三嶽修験道場の遺構のひとつ、福泉寺跡であると記載されている。この福泉寺跡からはほぼ平
な道が続き、畑山を巻く格好で、コルになった大タワ分岐にでる。ここから、山頂への急な登りが始まる。山肌は、チャートの露岩が連続し、断
崖が現れる。左手のチェーンを頼りに、崖を巻き岩の上に登りきる。振り返れば目の前に、篠山盆地が望まれる。その奥には、山並が連なって
いる。途中、三嶽方向が望まれる。クサリ場を過ぎ、最後に坂を登りきれば小金ヶ岳山頂である。山頂には、昔、蔵王堂があったためか、そこ
そこの広さである。方位盤が設置され、展望は東多紀アルプス三嶽より良い。
  小金ヶ岳山頂

山頂から、北と東方向は眺望もよく、方位板で大江山や長老ヶ岳を確認する。縦走後方には、峠山や八ケ尾山の山々が繋がっている
。特に、八ヶ尾山〜雨石山〜櫃ヶ山と直線的に並ぶ姿は壮観である。山頂で
昼食と記念撮影を済ませ、多紀アルプスの核心部、岩稜下
りになる。随所に鎖があり、注意深く急な岩場を下る。前方が開けると、三嶽の風格ある姿と稜線の小金ヶ嶽西稜の荒々しい岩尾根
が多紀アルプスと呼ばれるのにふさわしい景観をつくり、抜群である。やがて岩稜を離れ、杉林の中を下れば大タワ峠に着く。峠で
は最近、杉林の中にフィールドアスレチックの施設を建設されている。
山頂から大タワまで35分、まずまずのペースである。大タワで小
休止を取り、三嶽へ向う。高度差280m、40分弱の一気の登りである。広葉樹の林には、背丈ほどもあるミヤコザサが生えており、登山道は、そ
の中を進んでゆく。アセビが目を引く。コンクリートと木で組み合わさった階段がずっと続く。傾斜はきつく、特に中間点は急である。急なところで
は、クサリやロープが張られている。これを頼りに進む。傾斜が緩くなり、リョウブの林が広がる。リョウブの新緑が眩しいくらいである。岩場に
出ると、西ヶ嶽を見ることができる。ここまで来れば山頂はもう直ぐになる。岩を背に石室がある。石室には、開山されたとする役の行者が祀ら
れている。この近くの岩場が眺望の好適地になる。南には北摂の山々、西に白髪岳を主にした山並み、北には丹後の山々が、そしてはるかに
若狭の山々と若狭湾が眺められる。ここを過ぎれば三嶽山頂である。標高793m、多紀連山の最高峰である。山頂には大きな方位盤が設置さ
れている。無線中継所もある。1等三角点、かっては眺望を誇った山も、植林で展望がきかない。山頂で10分の休憩を取る。のどを潤す。

  三嶽山頂

最後の山、西ヶ嶽に向かう。山頂を出ると、新緑の西ヶ嶽が目に入る。起伏に富んだ稜線が山頂に集まり、なかなかの景観をつくる。新緑の急
坂を下る。コルまでは、こぶを3つばかり越す。3つ目のコブからは西ヶ嶽が見える。思ったよりこじんまりとした山だ。分岐の手前に、層状チャ
ートのオブジェが立っている。コルからはまた急な登りになる。コブを何度か登り返し、時にはササを持っての登りになる。三岳から33分、西ヶ
嶽山頂に着く。3山の登り、相当に疲れる。山頂には鉄の杭に板が張られ、「西ヶ嶽」の表記がある。コナラ、ネジキなどの雑木で囲まれて、木
々の間からわずかに眺めることができる。西は比較的よく、鋸山、三尾山、その先に笠形山・千ケ峰などが望める。奥には氷ノ山の稜線が見え
るそうだが、確認できなかった。さすがに疲れ、10分の休憩を取り、西ヶ嶽から栗栖口に向かった。山頂を少し西に向かい、急な坂を下る。や
がて階段になり、花の時期が過ぎたヒカゲツツジも見られる。尾根道の樹脂製階段もやがてケヤキの林になり、スギ林に変わりと守護岩が見
える。ここまで来れば、栗栖口は一息だ。25分のバス待ちで、神姫バスに乗り、篠山口駅に出た。

行程マップ

(国土地理院の地図より引用)

解説
多紀連山(たきれんざん)は、京都府から篠山市、丹波市にかけて高い岸壁状に連なる500m〜700mの山々の総称で、旧多紀郡にちなみ多紀
アルプスとも呼ばれる。主峰は御嶽(793m)で西ヶ嶽(727m)、小金ヶ嶽(725m)の3つの峰が中心となっている。主峰は御嶽(793m)を西ヶ嶽か
ら望む。愛染窟篠山盆地の北方に連なる標高600〜800mの連峰で多紀連山県立自然公園を形成する。古生層の岩質は珪岩である。南方に
緩やかに、北方に急峻な地形であり、水系としては日本海へ注ぐ由良川水系と瀬戸内海に注ぐ加古川水系とに分かれる中央分水嶺となって
いる。多紀連山では、鼓峠が最も標高の低い分水嶺である。植生が豊かであり、西紀町のシンボルでもあるシャクナゲやツツジが多く自生し、
オサシダ、イワカガミなど高山植物に分類される植物も多く見られる。麓の一部を除き自然林でありケヤキ、ナラ、カエデなど秋を彩る樹木が多
く紅葉も美しい。多紀連山も含め四方を山に囲まれた篠山盆地では秋頃からしばしば「丹波霧」と呼ばれる濃霧が発生し、朝には雲海が観察
できる。多紀連山は、平安時代末期から中世にかけて修験道行場として栄えたが、1482年(文明14年)に大峰山(大和修験道)の僧兵の来襲
により、寺院はことごとく焼失した。現在も、大岳寺(みたけじ)跡、福泉寺跡、水飲場などが見られる。また「東の覗き」「不動岩」「西の覗き」「愛
染窟」など、行場らしい地名も残る。現在は、県立自然公園に指定されており、山野草、高山植物、鳥獣なども多く見られ、登山道の整備も行
われている。春季にはヒカゲツツジ、シャクナゲなどが新緑の山々を彩り、秋季には雑木林が全山紅葉する。また、山頂からは神戸の六甲山
や淡路島までを遠望できる。
・御嶽(三嶽)(793m):主峰であり、古くは藍波ヶ峰(らんばがみね)と呼ばれ、頂上は東西2つの峰に分かれており、西側が最高峰で三角点が
あり、東側には石室がある。南側直下には修験道場の本山新金峰寺大伽藍大岳寺跡がある。さらにかつては数ヶ所の堂が建ち並んだという。
頂上からは360度の展望が開ける。現在でも毎年5月には山伏による山開きの行事が行われる。北には大江山、長老ヶ岳、東に京都の愛宕山
、大阪の生駒連峰、南には六甲山や播磨灘、西に但馬の栗など周辺の主要な峰が見渡せる。
・西ヶ嶽(727m):雄大な山形をしており、南側に多くの尾根を持ち、北面は山頂から絶壁となっており無数の岩場が点在する。岩場に咲くシャク
ナゲが美しい。崖が落ち込んでおり歩行には危険な箇所が少なからずある。雲海のかかる。
・小金ヶ嶽:3つの山の中では、最もアルペン的風貌を持ち、奇岩露出の印象的な山容。岩は荒い珪石質である。古くは蔵王堂があったところ
から蔵王ヶ岳と呼ばれることもある。視界は開け、展望も良いが足場は急峻な馬の背状になった箇所も多く、鎖場もあり危険も伴う。古くは蔵王
道があったことから、蔵王ヶ岳と呼ばれることもあり、修験道場の山である。頂上には蔵王堂をはじめ、南側直下に福泉寺をはじめとする寺々
、麓には里坊も存在した。
登山コースであるが、丹波地方の登山コースでは現在でも非常に人気が高い。登山の歴史は古く修験道場として鎌倉時代から室町時代には
修験者の入山が後を絶たず一体の山々には咆哮する法螺、錫杖、念誦の声葉遠く里にまで響き渡ったという。修験道としての行では、表裏の
2ルートに分かれており、表ルートは篠見四十八滝から峰峰を西進し御嶽の行者堂へ。これを金剛界廻りと称す。裏は御嶽頂上から西進し、西
ヶ嶽を通過し養福寺に下り、滝の宮で水行を行い終了する。これを胎蔵界廻りと称す。 (ウイキペディアより)

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作成日:2017年10月17日