本誌・フルーツバスケットの感想
2002年20号
「邪推…ってヤツですよ。それは」
諸々の事情が相俟って、更新作業が思うように進んでおりません。
その事情はいずれ何処かでお話することになるかと思いますが、
こんなサイトへ遊びに来て下さっている方に申し訳ない!!と心の中で
謝罪し続ける今日この頃。
それでも、本誌の感想はサイト開設当初から続いているコンテンツの
一つですので、今回も張り切って(?)書かせていただきます(苦笑)
という訳で、相変わらずなハイテンションで思ったことを書き連ねるだけの
感想ですが、どうか今回も最後までお付き合い下さいませ〜☆
今回も大学近くの某書店で、何時もの如く人目を忍んで「花ゆめ」を
購入。
万が一、知り合いに見つかった時のことを考え、言い訳のバリエーション
を常時腐る程、頭の引き出しに仕舞い込んでいる私ですが、
幸いなことに、まだ一度もその恐るべき事態は、発生しておりません(笑)
あぁ・・・もう少し若かったのなら、堂々と本誌が買えるのに(無念)
立ち読みをする時間がない為、誰もいないことを確認すると
地下鉄の構内でいそいそと本誌を繙く自分。
今回こそ、ぐれさんとはーさんが出てるといいなぁ、でもあの展開だと
無理だろうなぁ、などと複雑な気持ちを抱きつつ、淡い期待を持って
ページを捲っていると・・・・・・
な・な・何と、ちゃんと御座しますではありませんか!!二人揃って!!
あぁ・・・これで漸く邪な感想が書けるぅぅ!!と心の中で
私が感涙したのは云うまでもありません。
そのまま家までスキップして帰れそうな勢いでした(←危険人物)
フルバ万歳!はとり×紫呉万歳!!
高屋先生、2人を登場させてくれて、本当に本当に
ありがとう御座います〜!!!
<フィルターありの邪な感想>
■扉&64話■
「僕の新刊は、いつ出るんだろうねぇ?はーさん」
「・・・・・・知らん」
いっ、やぁぁぁぁぁぁんっっ!!!(ハート乱舞)
はとり×紫呉fanの方は必見です!!
このセリフを私の頭は、瞬間的に
「僕らの新刊はいつ出るんだろうねぇ?はーさん」
と書き換えて「僕らの新刊って何!?」と一人興奮していた私ですが、
そんなことはもう、どうだって良いんです!!
問題は、煙草を吸おうとしているはとりに、紫呉が火を灯したライターを
差し出しているトコロvv
念のため。
はとりはちゃんと、右手にライターを握っているのですよ。
それなのに、敢えて紫呉から火を貰おうとしているはーさんが素敵。
もう邪推してくれと云わんばかりの美味し過ぎるシチュエーション。
例えば、紫呉さんがもう少し着物を着崩してくれて、鎖骨などの
チラリズムがあったらもっと良かったとか。
例えば、はとりさんの方に煙草の火が点いていて、その火を
煙草を銜えた紫呉さんがちょっと屈んで、目を瞑りながら移して貰う
シーンだったら益々萌えたとか。
欲を云えば、キリがないのでこれ以上云うのは止めますが、
それでも、この絵をオカズにあと一ヶ月は、創作活動に励めそうです(爆)
・・・で、問題は内容。
実は私、扉を見た瞬間、この64話こそ、あの16話のような
はぐれチックな話に違いない!!と思ったのです。
ところがページを捲るにつれて、徐々に雲行きが怪しくなっていくでは
ありませんか!!
紫呉がさり気無く慊人に嫌味を云うシーンまではまだ良かったのです。
慊人が紫呉さんが自分に優しくしてくれないというのも、
苦笑しながら読んでました。
私の余裕が一瞬にして吹き飛んだのは、あの決定的な慊人の一言!!
「おまえ・・・やっぱりあの女の・・・ことを」
天国から一気に地獄へ叩き落されたような気分になりました。
「あの女」って・・・「あの女」って・・・一体誰なんですか!?紫呉さん!?
その方が貴方が昔云っていた「大好きな人」なんですか!?
貴方の手に入れたいものは、「恋愛感情」じゃなかったんですか!?
あぁぁぁぁ・・・・・・(苦悩)
はーさんがどうも繭子先生と「良い感じ」になってしまい、
紫呉さんだけは・・・!!と思っていたのに、貴方まで・・・!!
前の「五月さん」じゃありませんけど、またあんなパッと出の女性に
紫呉さんを任せるなんて、絶対に嫌です(号泣)
「五月さん」は冗談で済みましたが、今回ばかりはそう上手く
行きそうにないかもしれません。
よくよく考えてみれば、紫呉さんの"過去"は未だ明かされて
いない訳ですし。
女性絡みのエピソードの一つや二つ、彼なら持っていても不思議では
ありません。
正直、突っ込みたい所など山程あります。
でも、最後に、紫呉さんにあんな顔をされたら、何も云えなくなって
しまうじゃありませんか!!
166頁の見返りぐれさんにご注目。
目茶目茶カッコ良いです。惚れ直しました。
目の前であんな顔されたら、腰砕けですね。
慊人に対する無言の威嚇なんでしょうが、こういうカッコ良さと
可愛さを同居させている紫呉さんに、私はやっぱりメロメロなようです(死)
今回、はーさんの出番がなかったのが残念ですが、何時か2人の
ラブラブっぷりが拝めることを信じて、私は(多分)これからも
暴走し続けることでしょう・・・(遠い目)
<フィルターなしの普通の感想>
■透、十二支の優しさに感動する■
別荘へ来てからずっと透に寂しい思いをさせてしまったお詫びに、
最後ぐらいは花火をして楽しい思い出で締め括ろうと透に云う由希。
ちょっと照れた表情でソッポを向く燈路と透の腕をキュッと握る杞紗が
可愛いですvv
それにしても、本当に透は素直で良い子ですねぇ(しみじみ)
些細なことでも、本当に嬉しそうに喜ぶことが出来る素直な気持ちを
そのまま大切にして欲しいと思います。
しかし、由希も夾も透が好きだと自覚しながら、透に今まで通りに
普通に接している所が或る意味凄いかも。
私的には3人の関係に微妙な変化が生まれるのではないかと
やや懸念を抱いておりましたが、どうやら杞憂に終わりそうです。
■自分たちは間違っているけれど、それでも透が好きだと云う紅葉■
夾は此処に至って、漸く十二支が慊人から透を守っていたことに
気付くのですが、紅葉はその云い方を次のように否定します。
「そういう・・・言い方は、ボク達がまるでとても『良い事』を
しているみたいだ・・・でも違うよ。ボク達が・・・ボクが間違ってるんだ
・・・そもそも。それでもトールと過ごす想い出を作りたがるボクは勝手。
トールのことを大好きなボクは・・・勝手」
十二支と透の間には何の上下関係もないのだと、暗に示す紅葉。
透を呪われた草摩家へ深入りさせているのは自分だと、
それで結果的に透が傷付くことになるかもしれないと解っていながら、
それでも透の側に居たいと思う気持ちを、紅葉は己のエゴだと思って
いるのかもしれません。
それでも私は矢張り、透は巻き込まれたのではなく、
関わるべくして草摩に関わった人間だと思いますね。
透は自分の意志で草摩に関わろうとしている、だけどそれによって
透が傷付くことを十二支は恐れている、それでも十二支は透の側に
居たいと、救われたいと願っている・・・そんなところでしょうか。複雑です。
■自分も十二支の為に、もっと変わりたいと思う透■
さて、由希と夾がこの別荘へ来て、少しずつ変わりつつあることで、
自分は何か変わったのだろうかと一人思い悩む透。
何だか2人に置いてきぼりにされたような思いが透の中にあるのかも
しれません。
もっと十二支の為に何か出来るのなら・・・と現状に甘んじず、
常に向上心を持てる透はとても良い子だと思うのですが・・・・・・
個人的には今のままの透君で在って欲しいですね。
「紫呉・・・・・・さん。呪いって・・・なんですか・・・・・・?
私は・・・私は何かしなくていいのですか・・・?」
「・・・・・・・・・君が、君でいることだよ」(コミックス2巻・123・124頁参照)
紫呉の言葉をそのままの意味で捉えるのであれば、
透が透で在ることが呪いを解く鍵に思えてならないのですが・・・
こればっかりは何とも云えません。
"呪い"そのものについても、まだ透には話されていない訳ですし。
私的には、もうそろそろ話されても良い頃だと思うのですが・・・
如何でしょう?
■慊人、紫呉が気に食わないと云う■
さて、これまでの明るいホノボノとした雰囲気とは打って変わって
お先真っ暗モード。
室内に居るのは紫呉と慊人。
或る意味、最強最悪コンビ(?)のお出ましです。
今回、他人の目に触れさせるのも嫌な程のお気に入りの紅野を
何故同伴させたのかと問う紫呉に、最近調子が悪いから、
少し休ませてあげようと思っただけと素っ気無く答える慊人。
そこでさり気無く「ストレスでも溜まってるんじゃないですか?」と
嫌味を云う紫呉さんは、とても強いです。
そりゃ、四六時中慊人と一緒に居れば、ストレスも溜まりますよねぇ。
そんな紫呉に、ストレスが溜まっているのは自分の方だと言い張る慊人。
解っているくせに敢えて訊く紫呉さんの意図が私には解りません。
だって、貴方、自分が慊人に信用されていないと解っているんでしょう?
「・・・・・・紫呉が気に食わない。おまえ優しくないんだよ、全然。
全然優しくない」
おぉ!!流石慊人さん!!ちゃんと気付いていたんですね。
そりゃ、ねぇ。どんなに鈍くても気付きますよねぇ・・・普通。
あの怪しげな作り笑いからして。
言葉の端々にも、微妙な棘がありますし。
それでも尚、「・・・優しくしてるじゃないですか」と云う紫呉さんは
兵です。
やっぱり貴方は、徹底した傍観者を装いながら、自らが選んだキャストを
手の平の上で泳がし、自分は陰でほくそ笑むタイプなんですね(涙)
はとりが「味方にはならないが敵にもまわらない」と云うのも納得出来る
気がします。
慊人より紫呉の方が、よっぽど恐ろしいのかもしれません(苦笑)
「もっとだよ!!もっと、もっと・・・昔はもっと優しかった。
僕だけを見てた。もっとちゃんと、もっと・・・・・・・・・
おまえ・・・やっぱりあの女の・・・ことを」
ほぉ。昔はもっと優しかったんですか。
素直なぐれさんを(ちょっと恐いですが)是非、見たいものです。
しかし、この時の紫呉さんの双眸。
氷のように冷たくて恐い・・・かも。
この人が慊人の前でこういう態度を取るのは、若しかして
初めてなんじゃないでしょうか。
そして、此処でまた新たなる謎(?)が登場。
しかし、フルバの謎って・・・解決しているようで、
実は増える一方なんじゃ・・・・・・(汗)
謎:【あの女】とは誰のことなのか!?
推測その@紫呉の小学校時代の先生
いきなりぶっ飛んだ仮説で申し訳ありません。
恐らく「・・・は?」と思われた方が多いか、と。
今回、このようなドロドロした状況下で不自然に現れた一コマの絵。
あの繋がれた手を見て、フと思ったのです。
紫呉さんには過去に、物凄く尊敬と愛情を抱いた(所謂母親のような)
年上の女性が居たのではないかと・・・
「夢みた朝を憶えてる?僕も君もあーやも泣いたあの朝。
君達にはそれがつらいものになってしまったけれど、僕は
僕の胸にはまだ残っている」(コミックス3巻・113頁参照)
あの頃から、既に紫呉さんは黒かったように思います。
これは飽く迄、推測ですが、絵を見る限り私にはあの頃の紫呉は
小学生(12歳くらい)に見えます。
そしてその頃、はとりと綾女と紫呉に共通する女性・・・
というと、学校の先生くらいしか思い浮ばないのですよ。
例えば新卒で直ぐに学校の先生になったとして、22〜23歳。
紫呉との歳の差は11歳。
若しも現在38歳でまだ独身であるならば、紫呉が想い続けるには・・・
少し無理があるなぁ(苦笑)
ただ、その女性は何らかの理由で(最悪死んでいるのかもしれませんが、
例えば過去に既に記憶を消されているなど)、既に慊人が手を出せない
場所に居ると思います。
だってそうでなければ、あの計算高い紫呉さんが自分の"大好きな人"に
危害が及ぶような行動なんて取らない・・・筈。
推測そのA呪いが解けたら必ず迎えに行くと過去に約束した女性
例えば、マブダチトリオがドロドロしていた高校時代に居た女性とか。
いずれにしろ、年上のような気がするのですが・・・
でも若しも、そんな人が居たら凄く嫌・・・ですね。外れて欲しいです。
今回、慊人にそのことがバレたのは紫呉の計算外だったとか
そんな間抜けなオチだったら泣きます。
推測そのB透
ストレートに「あの女」=「透」と解釈してみましょう(現実逃避)
慊人は此処で、改めて紫呉の目論見を再認識したのかもしれません。
また、紫呉が自分に優しくしてくれなくなったのは、透が来てからだと・・・
そんな嫉妬心も一方であったのかもしれませんねぇ。
そして前々から(夾の一件もあることですし)良い印象を抱いていなかった
透に「思い上がりもいい加減にしろ」と忠告しようとした・・・という考えも
確かに出来ないことはないか、と。
でも、だったら何故あそこまで紫呉さんがムキになるのか、という
疑問も残りますが。
・・・というところでしょうか。
多分、全て外れてます(苦笑)
まぁ、それを承知の上で書いてますので、どうか寛大な心を持って
お読み下さい(汗)
■慊人、紅葉に八つ当たりをする■
あぁ・・・慊人さん。帰ってしまうのですね。
いや、貴方は帰っても全然構わないのですが、貴方が帰るとなると
必然的に、はとりも帰ってしまうのですよ(涙)
いや、此処で私情を挟むのは止めましょう。
閑話休題。
兎に角、本家で問題が起こったらしく、慊人は帰ることになります。
・・・で、八つ当たりも兼ねて、透に会おうとした所を紅葉に止められるの
ですが・・・
そこで、慊人は紅葉を殴ります。
慊人が紅葉に暴力を奮ったのもショックだったのですが、慊人の中で
「理解」=「見下し。自分が優位に立てる理屈で他人を定義づける」
となっているのは、さらにショックでしたね。
確かに、慊人の云っていることは酷いけれど、或る意味真実なのでは
ないかと思ったこともあります。
ただ、実際にそれを使ってみようとは思いませんし、受け容れる
ことも出来ません。
だって、"言葉"というものは、本来、差別的、攻撃的な意味で使う
ものではありませんから。
だから、慊人の言葉を聞くと、同じ言葉を使う人間として
とても哀しい気持ちになりますね、何時も。
■透、慊人を止めようとする■
紅葉が慊人の暴力を受けている処を偶然発見した透は、
血相を変えて止めに入ります。
「・・・・・・・・・『やめて』・・・?僕に命令する言葉だ・・・」
「ひどい・・・ひどい」
「君・・・嫌な人だね・・・」
いや、「嫌な人」とか「失礼な態度」を取っているのは、寧ろ
弱者に暴力を奮う貴方だとか、突込み所が満載なシーンなのですが、
取り敢えず「何処かで頭冷やしておいで」と云いたいですね、私的には。
「君に伝えたいことがあるんだ・・・」などと云いながら、透に乱暴を
しようとする慊人を見て、誰かを呼びに行く(?)紅葉。
そして、紅葉の居ない間、一体何が起こっているのか解らない
透に、慊人が真実を話します。
「・・・教えてやるよ。夾はね。高校を出たら幽閉・・・だよ
(略)十二支はみんな・・・同じ処で、同じ場所で、同じ速度で
生きていくんだ。奪うことはなく、奪われることもなく、いつまでも・・・
変わることなく。倖せな未来。終わり無き宴・・・不変。
でもおまえは仲間に入れてやらないよ」
不変が倖せだとは思えません、個人的に。
これを聞いて透が何を想っているのかは解りませんが、
彼女が由希と夾の運命をすんなりと受け入れるとは到底思えませんね。
十二支の一人一人が「慊人」や「草摩」に執着しないで、流動性を
身に付けることが先ず、必要なのではないでしょうか。
・・・と云っても"呪い"がある限り、難しいかもしれませんが。
余所者を「内」に引き入れ、一人一人が飛び出して行き、
「異質」と付き合うことが常識化して、初めて「変化」することが
出来るのだと思います。
少なくとも、私にとっては不変より可変の方が魅力的ですね。
さて、今回は少し個人的な希望的観測ばかりを書き過ぎたような
気も致しますが所詮、ただの感想ですので、苦笑しながら
読み飛ばしてやって下さると助かります。
尚、ご意見・ご感想はBBS2の方にて承っておりますので、
宜しかったらカキコしてやって下さいなん。
突然、次回予想!!
次のフルバは21号!!そんなわけで(?)それまでに、勝手に予想を
立ててしまおうという無謀な計画パート9。
つーか、本気で外れ過ぎ。
もっと真面目に考えましょう、自分(でも、やる気なし/苦笑)
希望予想その1.幸か不幸か、紅葉が呼んで来た人物は
慊人を不機嫌にさせた張本人・紫呉だった。
次回、紫呉の隠された過去が明らかに・・・!!
希望予想その2.機嫌の悪い慊人が透に会いに行くことを知って
心配していたはとりは、彼の後を追って、透たちの居る別荘の
近くまで来ていた!!
透が慊人の暴力の犠牲になっている現場を目撃したはとりは・・・
最悪予想その1. 紅葉から透が大ピンチ!!という知らせを聞いた
十二支たちは、慊人を止めることに。
ところが、それに怒った慊人が・・・・・・
最悪予想その2. それまで雲隠れをしていたリンが、突然紫呉と
紅野の元に現れた。彼女の真の目的とは一体・・・
・・・・・・さて、果たして結果は・・・・・・?(←どれもハズレそう) |
2002年19号
「繰り返し、繰り返し、必ず咲く」
何だかもう、随分と長い間フルバを手にしていなかったような、
そんな錯覚すら抱いてしまった私ですが、それでも試験を終えると、
眠い頭を引き摺りながら本屋へ・・・
で、家へ帰って一通り流し読みをして、唸ること数秒。
今回紫呉さん、一言も喋っていないのですよ。
はーさんは登場さえしておりませんし(涙)
いや、脇キャラ故に、こうなることは覚悟していたのですが・・・
でも寂しい。
次回こそ、彼らが登場してくれることを願って、以下感想です〜!!
<フィルターなしの普通の感想>
※今回は、かなり私的予想を交えた感想になっております。
そのことを了承の上で、どうか寛大な心を持ってお読み下さい(願)
★扉★
「人知れずひっそりと咲く小さな小さなタンポポ。
まるで透のように・・・」
またまたカラーですっ!!!
ボロボロの姿で、目に涙を浮かべながら、ソッと小さなタンポポに
触れる夾の姿を見ていると、痛々しいというか、切ないというか、
何とも云えない気分にさせられます。
因みに今回は、花ゆめを手に取った方なら、もうお解りでしょうが、
本誌の表紙も由希&夾のカラーなんですよ!!
一番の見所は、世にも珍しい(?)夾のチャイナ服姿でしょうか(笑)
対になる感じで描かれているのですが、何だかとっても絵になる
二人。このカメラ目線が良いのかもしれません・・・
★夾、透が好きだと自覚する★
自分が透のことを特別な存在だと感じ始めたのは何時からだろう
と回想する夾。
脳裏に浮かぶのが、透の屈託のない笑顔ばかりというのが
またいいんですよねぇ・・・(しみじみ)
何時からこんなに好きでたまらなくなってたんだろう、と
あるように、本当に、何時の間にか夾の中で透はとても大きな存在に
なってたんですね。
特に、母親から真実の愛情を注いで貰えなかった夾は、
異性というよりも、寧ろ理想の母親への思慕に近い想いを透に抱いて
いたのかもしれません。
「でも、ま、訳もわからず、気がついたら『咲いてた』ってのも
あるからなぁ」(注:コミックス4巻・182頁参照)
此処に至って、漸くうおちゃんの予言(?)が的中したという
ところでしょうか。
何れにしろ、仮令、透のことを好きだと気付いても
その想いを透に告げることは叶わないというのが、由希と夾の
辛いところでしょう。
★夾、慊人に嘘を吐く★
「『好き』なの?本田透のこと・・・
だったら傑作。『化け物』が『化け物』を好きになるなんてさ」
慊人らしいセリフです。
何時もの夾なら、此処で慊人を殴っていても怪訝しくない・・・
と私は思ったのですが(と云うよりも、夾が拳で慊人を諌めて
くれることを期待していたのですが)結果は逆でした。
透のことを悪く云われて思わず睨んだ夾を殴る慊人。
悪いのは夾と部外者のくせに大きな顔をしている透だと叫ぶ慊人に、
それなら何故透を紫呉の家に住むことを許したりしたんだと詰め寄る
夾ですが、此処で夾は慊人が透を利用していることに気付くことに
なります。
やがて、紫呉もまた別の意味で透を利用していたと知った時、
彼らはどんな反応を示すんでしょうねぇ・・・
一番悪いのは誰だ、と慊人に問われ、「俺だ」と答える夾。
だけど透にも非はある、と云いかけた慊人に、自分は透を好きなんかじゃ
ないと必死で否定する夾は、見ていてとてもイタイです。
此処で、若しも夾が慊人に「透が好きだ」と答えていたら、透は慊人の
制裁の犠牲者になっていたかもしれません。
俺は一生誰も好きにならない、とそう自分に云い聞かせる夾は
何処かはとりを髣髴させる所があります。
詰まる所、夾もまた、繊細な優しい心の持ち主なのでしょう。
「・・・好きだよ?本当は夾のこと大好きなんだよ?」
透を選ぶことを諦めた夾に、慊人が勝ち誇ったように微笑むこのセリフ。
この語尾のクエスチョンマークに違和感を感じるのですが、
これが慊人流の、最大限の蔑みの表現なのでしょうか。
しかし、如何して慊人の表情は、こうもコロコロと変化するんでしょうねぇ。
「・・・そうやってすぐ、僕を悪者扱いするんだね・・・」
という被害者ぶった慊人の二面性も、気になる所です。
★由希、慊人に嘘を吐く★
さて、夾の出方を心配していた由希は、化け物に触りすぎて
気持ち悪いと手を洗い流している慊人を発見。
夾が本当に透のことを嫌っているのかどうか、由希に再確認する慊人
ですが、由希は敢えて「多分」と曖昧に答えます。
慊人が去った後、「・・・嫌いなことあるわけないだろ・・・」と訂正する
由希は、何も起こらなかったことに、ホッとしているのかもしれません。
★夾、過去を回想する★
(いつだって俺は傷つけることばかりで・・・どうして母さんは
俺を殺してくれなかったんだ。俺を殺せばよかったんだ。
なのに、どうして俺は生きてるんだろう。おめおめと、今も)
十二支を形振り構わず、恐怖と云う名の愛情で引き付ける慊人に
対し、自らを拒絶しながらも、自然体の愛情を求め続ける夾。
それが、今の夾が最も苦しむことになる最大の要因でしょう。
「それでも、おまえがそうして生きているのは、希望を捨てていない
からだろう?この世に生きる総ての他人が、お前を拒絶するわけでは
ないことを知っているからだろう?」
他人の犠牲の上に成り立つ自分の存在を憎み、今さらこんな小さな
花を守っても仕方がないという夾を、諭すように宥める藉真師匠。
希望なんてないと花を踏み潰す夾に対して、怒る訳でもなく、
落とすように、静かに彼の進むべき道を示そうとする藉真さんが
個人的にはとっても好きだったり。
助言者という点から考えると、紫呉さんと藉真さんは、何だかとても
近い位置にいるように感じられます。
「どんなに抗おうと踏みつけようと、絶望は幾度となく襲いくるように
それと同じように、希望もまた訪れる。繰り返し、繰り返し、必ず咲く」
その師匠の言葉に、今ならわかると、回想を始める夾。
が、しかし、しかーし!!!
此処で、衝撃(?)の事実発覚!?
いや、これはもうずっと前から巷で噂になっていたことなので
覚悟はしていたのですが、此処にきて今日子さん登場!!
「寂しいね」,「おいでジャリガキ」,「男の約束」,
「あの子には悲しい想いをさせてしまったと思ってる」
「あたしの宝物」,「あの子もきっと寂しい」
彼女のセリフはバラバラなので、繋がっておりませんが、
此処から推測するに、夾は幼少期にどうやら何度も(?)
今日子と会っていた模様。
時期からして、夾の母親が死んだ直後、くらいでしょうか。
「あたしの宝物」という所で、夾は幼少期の透の写真を実際に
見ております。
つまり、夾は以前から透を知っていたことになるのであり、
矢張り1巻で夾が最初に透のことを(まるで以前から知っていたかの
ように)「こいつが・・・」と云ったのは、その伏線だったのかもしれません。
そう考えると、6巻で「あの子と暮らす事になったのが、偶然にしろ
必然にしろ、おまえにとって癒しになるなら」と云った師匠のセリフも
すんなり入ってくるように思えるのです。
因みに、透と夾が異母兄弟(或いは異父兄弟)というような説も、
実際には出回っているようですが、今回、これに関しては
敢えて言及しません。
今日子の旧姓が「草摩」で、彼女が本当に草摩の人間であったか
どうかは解りませんが、今回のエピソードによって、今日子が何らかの
形で草摩に関わっていたという線は、ますます濃くなったか、と。
個人的には、夾の母親と、今日子が友人だったという説も、
まだ捨てきれないのですが・・・
「許さないから」
今回、3回出てきた、或る意味キーワード的なこの言葉。
この言葉と共に、血塗れになって倒れている女性が誰なのか
非常に気になる所です。
シャツから推測すると、夾の母親というよりも、寧ろ透の母親・・・
のような気がしてならないのですが、実際には如何なのでしょう。
この女性の死に夾が深く関わっていることは、彼の深い自責の念からも
明らかだと思うのですが・・・
ただ、今一つ、私が確実に云えることは、この女性は
3巻の88頁に出てきた人物と同一人物であった、ということだけです(涙)
★夾、残された時間だけは、透と共に生きることを誓う★
(もう何も奪いたくない。踏み躙りたくない。二度と・・・
どこかでずっと、一緒にいてくれたらとか望んだりもしてたけど
もう、望まない。俺だけのものにしたいとかそんなこと望まない。
望まないから、お願いだ。せめて、せめて、残る時間だけは側に)
十二支が誰かに恋愛感情を持つことは、タブーである筈。
夾は、はとりの優しさと同じベクトルを持った、自分の本性で
誰かが傷付くことを恐れる、あまりにも優しすぎる
人間であると思います。
透と夾の会話は、ほのぼのとしていて、一見倖せそうに見える
その光景も、夾の複雑な胸の内を知ってしまっている読み手には
どこか哀愁を帯びたものに映ってしまうのではないでしょうか。
今回の別荘編、由希も夾も、「閉じた蓋を開ける」ことに、或る意味
成功したのかもしれませんが、それは終幕へ向けての悲しいスタート
だったのかもしれません・・・
<フィルターありの邪な感想>
今回の感想、テーマが重かっただけに、暗かったです。
明るい感想を期待して下さった方、本当に御免なさいっっ!!
そして邪・・・
邪推するにも、無理があり過ぎる展開ですねぇ・・・(滝涙)
あのたった一コマで、何を如何、妄想しろというのでしょう・・・
せめて、せめて・・・一言でも喋ってくれたのなら・・・!!!
というのが本音ですが、一コマ出てきただけでも、良しとしなければ
ならないのかもしれません。
本来、彼らはメインキャラではない訳ですし・・・
・・・ということで、取り敢えず、前回に引き続き、今回も
パスさせてやって下さい(平謝り)
そして、再びオマケをつけます。勇気のある方のみお読み下さい。
設定は、今回の本誌に出来るだけ沿うことが出来るよう努力したつもり
ですが、管理人が未熟故本誌とやや矛盾する所があるかもしれません。
ソコの所は、どうか、目を瞑ってやって下さいませ〜
因みに、ナニシーンは敢えて曖昧に書かせていただきました。
足りないところは、どうか行間を読んで想像で補ってやって下さい(苦笑)
――――――――――――――――――――→蝉時雨
窓から差し込む日差しの角度が変わって、紫呉は思わず目を細めた。
蝉は相変わらず、羽を震わせるのを止めようとしない。
それでも、痛い程に降り注いでいた日差しは、
幾分か柔らかくなっていた。
見渡す限りの青い海に、真綿のような雲が悠然と浮かんで
いるのを見たのは一体、何時のことだったのだろう。
周りの景色の変化にも気付かない程、自分は本に没頭してしまって
いたのであろうか。
先刻まで青かった空は、何時の間にか朱を透かし込んだような
色に変わっている。
まだ夕暮れには暫しの間があるものの、長い夏の日は
疾うに盛りを過ぎて、太陽は少しずつ、それでも確実に
西を目指して動き始めていた。
安楽椅子から僅かに背を浮かし、紫呉は頁を繰るのを止めると、
左手は挟んだままで、膝の上に本を置いた。
徐に顔を上げ、顔を窓へ圧し付けるかのように、外を覗くと―――
反吐でも吐きかねない様子で去って行く夾の横顔が、硝子越しに映る。
と――――
「・・・如何した?紫呉・・・」
「―――え?」
自分の前に座って、それまで黙って本に視線を落としていた男が、
唐突に顔を上げた。
はとりの問い掛けに、辛うじて自分の喉を滑り出たのは、
間の抜けたような言葉。
今、自分がしている表情は多分、真新しいアスファルトの亀裂から
地上へと姿を現した蝉が、戸惑いを隠すことが出来なかった
表情にも似ているだろう。
唇に笑みを帯びたのは、半ば無意識に表れる何時もの繕いだった。
「・・・いや、何も起こらなくって良かったねぇ。
夾君、ちゃんと由希君の忠告を守ったみたいだよ」
継がなければ、折角の呼吸が合わない。
しかし、其限黙り込んでしまったはとりを、
紫呉は腑に落ちない面持ちで眺めた。
一体、自分に何を云って欲しかったのだろう。
はとりは無言のまま、眼鏡を外して洋卓の上に置いた。
カタリ、という硬質な音だけが、張り詰めた部屋の中に響く。
暗い部屋の中へ通う光線が、幽かに床の上へと落ちた。
光の差し込まない、海を映したような双眸が、此方へ向けられる。
はとりの瞳は、底知れない奥深さを感じさせる半面、
何所か淋しげだった。
「・・・慊人に天下を取らせる為に、別荘へ呼んだ訳じゃないだろう・・・?」
「――――!!」
琴線に、触れた。
はとりの声は、静かなる大気をひやりと斬った。
自分を偽るなど、総てを見透かすその深い濃紫の瞳の前では、
無力にも等しいと解っているのに――――
それでも自分は、彼に応えることが出来ない。
瞬間――――
フワリ、と暖かい体温を感じた。
自分を抱き締めてくれるはとりの腕は、余りにも優し過ぎた。
抱き締められたその腕の隙間から、短い悲鳴とも取れる鳴き声を発して、
木から地面へと転がり落ちる蝉が、紫呉の視界に映る。
「・・・・・・あ」
地面を転がるその蝉は、手足をばたつかせながら、
それでも必死に起き上がろうとしていた。
此処ヘ来る途中、道端に落ちた無惨な蝉の死骸を幾つも見たが―――
あの蝉もまた、傷ついた羽を震わせながら死んで行くのだろうか。
蝉の寿命は、短い。
生涯の大半を土の中で過ごし、漸く外へ出たかと思うと
命の総てを捧げるかのように鳴いて、七日間程で死んでしまう。
ポタリと呆気なく落ちる、命の抜け殻。
「蝉は・・・何の為に、鳴き続けるんだろうな」
自分の発した短い呟きに、気付いたのだろう。
視線はその蝉を捉えたままで、ポツリとはとりが零した。
独り言とも取れるような言葉。
それでも――――
声の限り、命の限り、何事にも妥協せずに鳴き続けるその蝉に、
紫呉は人知れず納得するものを感じて、自嘲した。
「―――本望なんだよ」
周りから見れば、それは愚かなことなのかもしれない。
しかし、それがどんなに不幸の連続であったとしても、
我武者羅に鳴き続けてその生を終える時、多分その充実感は、
言葉では表現しきれないものが、あるのではないだろうか。
「―――そうかも、しれんな。ところで、紫呉・・・」
鳴かせたい蝉が居るんだが、と云うはとりの言葉に、
何となく嫌な予感を覚えて顔を上げると――――
彼は、悪戯めいた瞳を湛えて、此方を見ていた。
先程までの深刻な表情は、微塵も感じられない。
「・・・はーさん。何か今、ヤラシイこと考えてるでしょ・・・」
先刻もシタばかりなのに、と口を尖らせ、
咎めるような視線を向けると、はとりの暖かくて大きな手が、
自分の首筋に触れた。
その擽ったさに、思わず身を捩る。
「安心しろ―――最後までは、しない」
低く掠れた声でそう囁かれて、紫呉は諦めたように首を振った。
ソロリと手を伸ばして、はとりを求める。
その指先に。頬に。睫毛に。少しでも触れたくて――――
紫呉は自分から、はとりの唇を塞いだ。
刹那。
命を削りながら鳴き続ける蝉の声が―――止んだ。
ゆっくりと、瞼を閉じる。
あぁ・・・こうしてまた、一つの命が、暗い土の中へと還ってゆくのだ。
緑一つない造形の世界で、自分の生きる道を把握するのは
難しいかもしれない。
それでも、己の存在に気付いて欲しくて、蝉は鳴くのだ。
「―――ん、っふ・・・あぁ・・・」
はとり、と名前を呼んだ。大丈夫。
この手は、その髪の感触も。広い背中も。厚い胸板も。
自分を抱き締めてくれる、腕の強さも、暖かさも、全部記憶しているから。
多分、嫌になるくらい、キミの存在を刻んでいるから。
優しさだけが、降り注ぐ。
遠くで鳴くツクツク法師の声が、一際大きくなった。
今年の夏も、もう終わりだ。
はとりの腕に抱かれながら、もう直ぐ秋風が吹くだろうと紫呉は思った。
了 ←――――――――――――――――――――
突然、次回予想!!
次のフルバは20号!!そんなわけで(?)それまでに、勝手に予想を
立ててしまおうという無謀な計画パート8。
例によって、当たったことのないこの企画。
どうか読んで、大いに笑ってやって下さいませ(苦笑)
希望予想その1.人目を避けるようにして慊人の別荘へ辿り着いた
リン。しかし、そこでリンを心配していた由希とはとりに見付かってしまう。
不可解な行動を取るリンに、紫呉は・・・?
次回、リンの本意が明らかに・・・
希望予想その2.ひょんなことから、紅野と透が出会うことに。
しかし、それを発見した慊人が、勝手な真似をした二人に激怒。
それに気付いた紫呉とはとりは、慊人を止めるが・・・(←何としてでも、
はとりと紫呉を登場させたい自分/笑)
希望予想その3.何とありさと咲が、別荘の近くまで遊びに来ていた!?
ありさはそこで、紅野が草摩家の一員であることを知ることに・・・
最悪予想その1. 紫呉の目的は自分が第二の慊人になることなのか?
次回、紫呉とリンの計画が明らかに・・・(←こればっかりじゃん。自分)
最悪予想その2. 突然別荘編終了。
新学期がスタートするが、新生徒会のメンバーの中には、
草摩家に関する秘密を探り出そうとするスパイが潜んでいた。
由希に迫る、彼の目的とは一体・・・!?(←『彼』って誰だよ、おい)
・・・・・・さて、果たして結果は・・・・・・?(←どれもハズレそう) |
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