2004.11〜14号までの感想




本誌・フルーツバスケットの感想




2004年18号


「・・・誰よりも弱くて 誰よりも脆くて臆病な 慊人の為に


此処のところ本誌の感想しか更新されていないYO!!
という嘆かわしい事態が起こっておりますが、管理人である私も
更新出来ないという状態はとても辛くて・・・・・・
このままではいかん(!)ということで、少し遅めの夏休みを
いただきました。
これを機に、少しはリフレッシュ出来るといいなぁ。あはははは・・・(壊)
いっそ何処か遠くへ行ってしまいたいと弱音を吐きつつ、
以下、本誌の感想です。

<フィルターなしの普通の感想>
■フルバ情報■
前回も書きましたが、コミックスフルバ最新15巻が9月17(金)に
発売されます。
コミックスには応募者全員サービス『めちゃ人気図書カード第2弾』の
応募券つきとのことで、嬉しさ倍増!?
どうも図書カードには、透と由希(鼠)と夾(猫)のイラストが入っている
模様。可愛いんですが、確かに可愛いんですが・・・・・・辛いなぁ。
これがマブダチならば迷うことなく購入したんですが、ねぇ。
ほんの数週間だけ期待して、叶わぬ夢を見た私が愚かでした。(涙)

■扉■
「瞳の奥に宿す人物の名は―――

幾つモノ羽が舞う真っ白な世界。
冷たい蒲団をぺたぺた触りながら、不安になって
「・・・紅野?紅野どこ?」と必死に彼を探す慊人。
他方、慊人に黙って本家を抜け出した紅野は、今、正に
自分の意思で選んだ道の最初の一歩を踏み出そうとしていました。
ゆっくりと近付く人間の足音に、逃げて行った鳥たち。
振り返った透の視線の先には、複雑な表情で手を差し伸べる
紅野の姿がありました。
悩んで悩み抜いた末に出した答を胸に秘めて。

■"呪い"から解放されて■

「鳥が紅野さんから離れていってしまいました・・・」

"物の怪憑き"であるならば勝手にやってくるはずの動物。
紅野から逃げるように飛び立ってしまった鳥を呆然と眺めながら、
透はかつて由希や夾、紫呉が云っていた言葉を
冷静に思い出していました。

「勝手に寄ってくるんだから仕方ないだろ」「寄ってくるんだ。戌は犬。
子は鼠が」「『異性』に抱きつかれると変身してしまう」

透が紅野に感じた違和感は、果たして的中していました。
哀しそうな表情で、そっと確かめるように透を抱き寄せる紅野。
この時点で、彼は透に自分の秘密の全てを打ち明ける覚悟を
決めていたのでしょう。

「・・・俺はもう、違うんだ。変身もしない。俺の呪いはもう解けてる。
今の君よりもう少し若かった頃に。だからもう、十二支の仲間じゃない」

彼の呪いが解けたのが中学生くらいだとしたら、
それからもう、十年以上、彼は慊人のために嘘を吐き続けているわけで。
紅野の腕の中で、頬を高潮させながらも驚く透の顔が妙に新鮮でした。
「他の十二支とも交流ねぇんじゃん?」とさして紅野に
興味を示さなかった夾に、「十二支だとも思えない」と紅野を
一蹴したリン。
「おまえにはわからない」とかつてリンが云ったように、
十二支の間にもまた、透(他人)には解らない強い絆が
あるのでしょう。
だからこそ逆に、幾ら紅野が隠していても、仲間には
薄々解ってしまうんでしょうね。彼と自分たちが違うということに。
「もう飛べない・・・」と空を仰いだ紅野の背中は、
心なしか淋しそうにも見えました。

「どうして・・・っ」

如何して勝手に居なくなったのかと、紅野の部屋を荒らす慊人に、
如何やって呪いを解いたのかと、紅野に詰め寄る透。
"呪いの解き方"は透だけでなく、読者全員が気になっているコトだと
思うのですが、何だか上手い具合にはぐらかされてしまったように
感じるのは、私の気の所為なんでしょうか。
だってその時は〈突然〉だったかもしれませんけれど、
もうあれから十年以上経過しているわけですし。
紅野は紅野なりに、呪いに対する回答を見つけているような
気がしてなりません。

「急に視界が開けた気がして、自分の中には"自分"しかいなくて。
追い立てる存在も無くて。空は青かった。あの空をもう飛ぶ事は
できないんだって思ったら哀しくて嬉しかった。嬉しかったよ・・・」

これが、呪いから解放された時の紅野の率直な心情なんですが・・・
正直、この言葉だけでは、何故、呪いが解けたのかは
さっぱり解りませんね。
勿論、"神様"と"酉"(十二支)の立場が引っくり返ったことで
呪いが解けたという考え方もあるんでしょうが、些か単純過ぎるような
気もしますし。
ただ、引っ掛かるのは、「自分の中には"自分"しかいなくて」という
彼の言葉でしょうか。
これは裏を返すと、物の怪憑きであった頃には自分の中に、
自分を追い立てるようなモノがあったと云うことで。
喩えるなら、夾が本来の姿を隠していたように、
他の十二支の中にも(異形の姿にはならないにしろ)
それぞれの物の怪が潜んでいるのかもしれません。
ようやく"人間"なれた気がして嬉しかったと涙を流す若き日の紅野。
しかし、紅野の中に流れ込んでくる人としての感情は、
彼に間違った選択をさせてしまったように感じられます。

■紅野の出した"こたえ"■
それでは一体紅野は、何から解放されていないのかと問う透。
しかし、紅野は無言のままで。
無情にも透にDVDを返します。
透の善意を無駄にすると解っていながら、それでも彼が選んだ
選ばなければならなかった答。

「ありさとは会わないよ。俺はこれからも、慊人の側にいるから」

うおちゃんの云う"淋しそうな笑顔"を浮かべ、慊人を選ぶと
透の前で宣言した紅野。
「このまま会わずに終われば、ただの些細な思い出になって
いつか消えて無くなる」と。
透から目をそむけ、自分の本当の気持ちに嘘を吐いた紅野。
小さなてのひらを紅野の頬に当て、此方を向くよう促した透の瞳には、
一杯の涙が溜まっていました。
目を合わせて。私の目を見ても同じことが云える?
だってそんなの嘘でしょう?会いたいんでしょう?
勿論、透はそんな言葉は口にしません。
口にはしませんけれども、言葉よりも雄弁な彼女の瞳は、
あの瞬間、確かに紅野の心を突き動かしました。

「会いたい・・・(中略)・・・"人間"になった自分が自分で好きだと思った
女性だったけど・・・っ。いくらでも、本当は抱きしめられる。俺はもう
物の怪憑きじゃない。他の十二支が今も苦しんでいる呪いから
安々と解放されてる。俺だけ、俺だけ自由でどこにだって行ける。
誰だって愛せる。だけど、だけど、だからこそ慊人の側に、
側にいてあげなくちゃダメなんだ・・・っ」

堰を切ったように溢れ出したうおちゃんへの想い。
"会いたい"という想いほど、苦しいものはないけれど、
それを実行しないのは、紅野の弱さなんでしょうね、やっぱり。
今の紅野を縛り付けているのは、あくまで彼自身。
もう無い"絆"にしがみついていても仕方ありませんし、
それは慊人のためにも自分のためにもなりません。
矢張り、紅野は呪いが解けた時点で慊人から離れるべきだったと
思います。

「どうして解けたんだよ・・・!!」

呪いが解けた瞬間、迫り来る恐怖に絶叫した慊人。
駆け寄ってくる女中に「来たら殺す」と鬼のような形相で叫んだ慊人。
ただの和室ではない特異な部屋で、
紅野が遠い目で自分を見るとパニックに陥った慊人。
「僕を見捨てないでぇ!!紅野ォ!!」と泣き叫ぶ慊人の言葉は、
今、まさに己から離れようとしている魂を繋ぎ止めんとする
最後の呪縛となったのかもしれません。

■誰よりも弱くて臆病な"君"のために■
それでも、矢張り紅野は慊人を突き放すべきでした。
仮令、慊人にとって十二支との絆が総てだったとしても。
神様が十二支無しでは成り立たなかったとしても。
側に居るなんて、安易に誓ってはいけなかったと思います。

「それで慊人がもう、泣かずにすむなら。他の十二支を騙して
鳥に憑かれたままのフリをして、それで慊人が泣かずにすむなら」

かつて由希と春は「"守る"というのは簡単じゃない」と云いましたが。
紅野の守り方は間違っていると思います。
あの時、確かに慊人は紅野の言葉で救われた気分になったでしょう。
でも結局、紅野が嘘を吐くことで、誰かが傷つくことになるんです。
十二支は全部揃ったと信じている"誰か"。
五月ママンはその時、その事実に耐えられるでしょうか。
燈路は紅野を恨まずにいられるでしょうか。
飛び散った羽は氷の刃となり、迷う紅野の心を貫きます。

「同情したの?だってもう、呪いは無いんだろう?
突き離すべきだったんじゃないかい?慊人さんの為に。
その時も。今も。」

紫呉は紅野をただ嫌っていたのではなく、きっと心底、
彼を軽蔑していたのでしょう。
紛い物の倖せにしがみついていても、何時か終わりが来ると
そう紫呉は云いたかったのかもしれません。
同情で慊人を抱くのは優しさでなくて、紅野自身の自己満足に
過ぎないと思います。

「誓った・・・誓ったんだ。側にいるって。慊人が俺を必要としなくなる
その日まで。ずっと・・・っ。壊れそうなほど泣いてすがった
この女の子の為に。生きていこうって・・・・・・誰よりも弱くて
誰よりも脆くて臆病な慊人の為に。哀しい女の子の為に・・・」

ラスト。鏡に映った風呂上りの慊人を見て、「ムネ(胸)ーーー!!?
チチ(乳)ーーー!!?」と叫んだ方、いらっしゃったのでは
ないでしょうか。(←下品で済みません/苦笑)
何を隠そう私もその一人・・・そして、未だにそのショックから
抜け出せません。
透もこの事実には、さぞかし吃驚したんでしょうねぇ。
驚きの余り、涙止まってますし。
もういきなりアダルト的(しかもヘビーな)ストーリーになってしまって、
如何感想を書いて良いのやら、私自身、途方に暮れて
いるのですが・・・・・・
紅野には慊人のためでなく、自分のために生きて欲しい、と。
最後にこれだけを主張して終わりたいと思います。
だって、そうでも云わなければ、同情で彼に抱かれた慊人も
浮かばれませんし、況してやそんな紅野を好きになってしまった
うおちゃんが余りにも哀れですもの。
紅野は己の中に棲まう臆病者の自分に気付かない限り、
決して先へは進めないでしょう。
彼はもう、飛べないかもしれませんけれど。
ちゃんと二本の足があるんですから。
何時までもフラフラしていないで、確り大地に足をつけて
歩いていって欲しいですね。

・・・というところでしょうか。
こんな展開は望んでいなかったというのが本音なんですが、
嘆いても現実は変わりませんし、だったら潔くそれを受け入れて
しまうより他ありません。
次回の予告の煽り文句。
「透の前に現れた紅野が語る衝撃の真実!!」とあるんですが、
これよりも衝撃の真実ってあるんでしょうか、と突っ込みを入れつつ、
以下、テンションの低い邪な感想(愚痴とも云う)です〜!!

<フィルターありの邪な感想>
今号のフルバは、慊人が実は女だったと云うあの驚愕の真実は、
腐女子の夢を根底から覆すような事件でした。
高屋先生はホモを認めていらっしゃらないので、
きっと慊人の設定は、最初からそう決まっていたんでしょう。
あれだけ十二支(異性)とベタベタしていて、嫉妬深くて、
しかも性別が曖昧(中性的)で、不思議な色気と来たら幾らなんでも
気付きそうなものなのですが・・・・・・
否、仮令気付いていたとしても認めたくなかったんでしょう。
出来るなら慊人には、何時までも頂点でいて欲しかったです。

し・か・も。
ノーマルCPでしかも本誌で紅野×慊人が認められてしまったとなると、
その余波を必然的に紫呉とはとりも受けることになるわけで。
特に紫呉と慊人では情事の後みたいなシーンが、
数えるのも嫌になるくらいわんさかありますし。
はとりだって、勿論例外じゃないと思います。
何せ彼は佳菜でなく慊人を選んだくらいですから。(トホホ)
医者である以上、慊人の裸を何度も見てるはずですし、
紅野属性の彼は、慊人に誘われたら、そのままずるずると
流されてしまいそうで・・・・・・
あぁぁぁ、嫌だ。考えるだけで鬱になりそうです。(しくしく)
真逆、慊人と交われば呪いが解ける、とか阿呆なこと考えて
いないでしょうねぇ。(←そんなことを考えるのはお前くらいだっつーの)

三十路間近の男たちが、あの環境の中、よくも我慢出来たと
今まで感心していたのですが、それが・・・それがっ!!!
選りに選ってこんなオチだったなんて・・・っっ!!!
下品な云い方をすれば、彼らは慊人とにゃんにゃんすることで、
すっきりしていたわけですから、これは由々しき事態です。
このままいくと慊人を真ん中に置いて、紫呉とはとりでガチンコ勝負(?)
をやりかねません。
紫呉やはとりに彼女が出来るというのは(何せ少女漫画ですし)
ある程度仕方ないと思って割り切っていたんですが。
これはいただけない展開です。えぇ。

何だか天国から一気に地獄へ突き落とされたような気分ですが・・・
私は・・・私はこんなことで、負けませんよう!!!
このまま本誌に流されず、起死回生・逆転一発ホームラン(?)を
狙って最後の最後まで足掻きますので・・・っっ!!
世界の"はぐれFan"の皆様、共に頑張りましょう!!!


           突然、次回予想!!

次のフルバは19号!!そんなわけで(?)それまでに、勝手に予想を
立ててしまおうという無謀な計画パート42。
立て続けにショッキングな事実が発覚して、最早瀕死な状態の
管理人ですが、こんな時こそ妄想パワーでGO・GO・GOーーー!!

希望予想その1.紅野が語る衝撃の事実に驚く透。
そこへ、「こんな所にいたのか紅野。早く戻れ!!」と
はとりが紅野を連れ戻しに来て・・・・・・
次回、慊人の魔の手から逃げる紅野と透をお楽しみに!!!

最悪予想その1.紅野が本家から居なくなったことでパニックになる慊人。
そんな彼を宥めにやってきた紫呉は、遂に禁句を口にして・・・・・・
次回、はとりと紫呉が慊人の双子の姉・レンとご対面・・・!?

・・・・・・さて、果たして結果は・・・・・・?(←もう、ヤケクソです/涙)










2004年17号


「疎む気持ちがありながら 愛着心も拭えないから?


(本誌を)袋に入れて下さい、と頼んだら、透明な袋に入れられて。
もう、思わず泣き出したいような、今直ぐにでも走って
その場から逃げ出したいような衝動に駆られたとある日の昼下がり。
忙しいコトは十二分に承知しているけれど、せめてその隣に置いてある
茶色の紙袋に入れて欲しかった、と。
皆様はこんな経験をしたこと、ありませんか?

どうも大変ご無沙汰しております。みのるです。
またまた感想が遅れてしまって、申し訳ありません・・・っっ!!(平謝り)
此処のところ、日記すら真面に更新出来なくって。
お越し下さる方に、手を付いてお詫び申し上げたい気分です。
茹だるような暑さが続いておりますが、今年の夏風邪は本当に
しつこいですので、どうか皆様も充分、健康管理にはご留意下さいませ。
・・・と時候の挨拶(?)を終えたところで以下、本誌の感想です〜!!

<フィルターなしの普通の感想>
■フルバ情報■
その@「第2回『フルバ』キャラクターコンテスト開催!!」
つ、つつつつ遂にやって参りました!!!
キャラコンですよ、奥さん!!(誰)
何でもフルバのキャラコンは、数年ぶりだとか。
第1回では参加出来なかったので、今度こそは(!)と
私のように気合を入れている方も多いのではないでしょうか。
私的予想(フィルター無)では、第1位:草摩夾,第2位:草摩由希,
第3位:本田透,第4位:草摩紅葉,第5位:草摩はとり,第6位:草摩紫呉,
第7位:草摩撥春,第8位:草摩綾女,第9位:真鍋翔,第10位:草摩楽羅。
妄想ありVer.なら勿論、はとり&紫呉が同点1位に決定です♪
ところでこれ、一人一票なんでしょうか・・・?(素朴な疑問)

そのAコミックスフルバ最新15巻が9月17(金)に発売予定です。
まだ表紙のイラストは出ておりませんが、紅野ときたら矢張り次は
慊人でしょう。それとも、意表を突いて学園防衛隊のメンバーが
続くんでしょうか。
あと、まだまだ先の話ですが、16巻は是非、今日子&勝也の表紙に
して欲しいですねぇ。
しかし、このままの勢いでコミックス化するとなると、最後の方は
師匠とかも表紙になったりするのかしら・・・?(わくわく)

■扉■
久し振りの巻頭カラーです〜!!
向日葵のカーテンが夏らしくって、◎。
メンバーは春、夾、透、紅葉、由希の5人なんですが、
この組み合わせって、結構珍しいかも。
どの子もチェック柄が良く似合っていると思いますvv
こうして見ると紅葉も随分大人びてきて、益々、将来が楽しみな
今日この頃なんですが。
個人的に一番、クリティカルヒットだったのは、春の笑顔ですね。
若いって、素晴らしい・・・・・・
カメラ目線&爽やか青年(?)万歳!!!

■神様の"わがまま"■
由希の一言がショックで、正月以来ずっと臥せっている慊人。
そんな我が儘な神様の面倒を看ているのは、
心此処に在らずというような表情をしている紅野でした。
彼が慊人の部屋の窓から冬空を眺めているのは、無意識に
自由になりたいと、そう願っているからなのかもしれません。
そんな紅野に向かって「寒いよ・・・」と呟く慊人。
寒いのは躰なのか、心なのか。
慊人もまた、十二支の心が徐々に自分から離れつつあると
薄々気付いているのでしょう。
紅野はあんな性格ですから、もっと近くに居てくれと手を伸ばし、
「ずっと、僕の側に居てくれるよね・・・?」と懇願する慊人を
跳ね除けることなど、きっと出来ないのでしょうね。
昔を懐古しながら、弱った慊人を抱き締めて「うん・・・」と応える
紅野の姿が、何だか見ていてとても切なかったです。

そしてほぼ同時刻。
紅野と同じように、ぼんやりと寒空を眺めて物思いに耽っているのは、
彼の想い人でもあるうおちゃんでした。
透に声を掛けられて、「空は青いのに寒ィよな」と答える彼女は
或る意味、詩人なのかもしれません。
で、本当に如何でもいいコトなんですが。
個人的には、透の後ろでポニーテールをしている
はなちゃんがツボでした。
勿論、「バカは風邪ひかないって本当ね・・・」と云って
ふふ、と笑う髪をおろした彼女も最高なんですが。
こういうシリアスシーンを和ませてくれるキャラは、
やっぱり大事ですよね、うん。(一人納得)

さて、話は透の回想でお正月まで遡ります。
座って眠っていたのに、目が覚めたら横になって寝ていたことを
訝しむリン。
師匠が横にしたのではと云う透の問い掛けに、
誰かが触ったらアタシは絶対に起きると断言するリンですが、
一人だけ、彼女が心を許している相手がいました。

「撥春さんでも・・・ですか?」

「春は・・・・・・違うけど」

可愛い・・・っっ!!此処でつられて答えてしまうリンが
すっごく可愛くて。あぁ、やっぱり意地っ張りでも、
春のことが大好きなんだなぁ、と改めて実感。
「なんでおまえが春とのコトを知ってるんだ・・・!!」
とムキになって怒るリンも良いです。
透には”女の勘”という大層なモノが備わっているようには見えない、と
あっさり切り捨ててしまうリンですが。
最後の「・・・別れてるんだから」の一言は切なかったです。
きっとリンは今でもすごく春のことが大好きなのに、必死で堪えて
自分の気持ちにブレーキをかけているんでしょうねぇ。
早く二人が元サヤに戻ることを、祈っております。

「慊人に・・・歯向かっちゃった。そしたらガツンと・・・・・・
内心・・・実はビクビクものだったけど。でもちょっとがんばった・・・でしょ?」

新年の挨拶に来た由希の額を見て驚く透。
額の傷は男の勲章、とも云わんばかりの表情で、
嬉しそうに話す由希を見て、昔、慊人に逆らった時のことを思い出す
透の表情がとても好きです。
こう、何処か人をホッとさせるような、あったかい笑顔。
最近、透&由希は、益々良い感じの仲になってきてますよね。
以心伝心って、ステキですvv
そして。「ボクもホメて」と、紅野にDVDをプレゼントしたことを
早速、透に報告する紅葉。
小さな手を合わせて、二人で紅野がみてくれますように、と
お祈りする姿が印象的でした。

■神様の"お気に入り"■
机に片肘をついて煙草を吸いながら、臥せっている慊人を憂うはとり。
その後ろで寝転がって本を読みながら、不貞腐れたように
「由希君に反抗されたのが、よっぽどショックだったんでしょ。
由希君に責任もって看病させたら」と云う紫呉ですが、
そんなことを実行したら、どうなることかくらい解りそうなものなのに。
紫呉にとって自分以外の他人は、本当に如何でもいい存在なんですね。

「僕があの由希にひどい事言われた時、どうしてすぐ側に
こなかったんだよ。どうして紫呉はそうなんだよ。どうして僕を
いつだって一番に選ぼうとしないんだよ!!」

だって、アナタ。そりゃあ無理でしょう。
何せ、紫呉の一番は何時だって"自分"ですから。
でも、慊人の云うことも一理あって。
此処のところの紫呉は、少しばかり冷たいような気もします。
恐らくあれが彼の本来の姿なんでしょうが、透が本家に来てから
あの彼特有の甘い仮面が、徐々に剥がれつつあるのは確かでしょう。
人はみんな誰でも、多かれ少なかれ演技をして生きている
生き物だと思いますが、紫呉ほど二面性の激しい人は珍しいですね。
それにしても。何だか慊人が段々、女の子っぽくなっているように
見えるのは、私の気の所為・・・なんでしょうか。

「よく言う・・・慊人こそ、紅野を選んだくせに」

ある特定の十二支だけを特別扱いし、贔屓する、
そんな一種の選民思想のようなものが、慊人の中にあったのか
どうかは解りませんが。
はとりはそれを「神様にでもお気に入りぐらいできる」と
そう結論付けています。
十二支の中で、一番神に近い存在である由希に嫉妬して。
自分から冷たくしたくせに、慊人が紅野を選んだことに嫉妬して。
一体、紫呉は何をしようと企んでいるのでしょう。
透からをも殴られる可能性のある、手段を選ばない彼の目的・・・・・・
案外、紫呉は第二の慊人(神)に成り代わろうとしているのかも
しれません。

「だけどはとり。十二支達は覚えた事がないかい?紅野に違和感を」

他の十二支とは違う、何か特別な匂いを紅野に感じた紫呉。
この時、はとりは何も云いませんでしたが。
紫呉以外にも、紅野の存在を怪しく思っている十二支は居ました。
そう。リンです。

「紅野はダメだ。慊人の言いなりで使いモノにならない。そもそも
胡散臭い。あいつを十二支だとも思えない」(コミックス14巻・149頁参照)

彼女はもう、ずっと前から紅野のことを疑っていたのですね。
そして彼に会って確信したのでしょう。
紅野と自分達は決定的に異なっている部分があることに。

「認めないかい?怖いから?哀しいから?疎む気持ちがありながら
愛着心も拭えないから?"絆”に?狡いね」

否定しないところを見ると、はとりにとって、この紫呉の言葉は
図星だったのかもしれません。
はとりは消極的ながらも、この理不尽な"呪い"を受け入れているように
感じられます。
疎んでいるのか、好いているのか、恐れているのか、抱き締めたいのか
それすらも解らない"呪い"。
人間と物の怪の二つの姿を持ち、両方の間で絶えず
揺れ動いている十二支。
目に見えぬ"糸"で、半ば自由を拘束する"絆"。
考えれば考えるほど、謎は深まるばかりです。

「そうデス。僕は力も無く、器も小さく、くだらない。最低な男なんデス」

「僕は別段、慊人に信頼されている訳ではないし、特筆した存在でも
ない。力も無く、器も小さく、くだらない最低な男だよ」(コミックス14巻・
18〜19頁参照)

かつてリンに云ったことを、再び、はとりに向かって繰り返す紫呉。
余裕綽々な今の彼には、怖いものなどないのかもしれません。
「おまえの最も最低な所は、それを自覚していながら微塵も
"悪い"とは思っていない事だ」と、目も合わさずに冷めた表情で
呟くはとりの口振りが、何だか突き放すような云い方だったので、
余計に哀しかったです。
勿論、彼は彼なりに紫呉に説教している積りなんでしょうが、ね。
通じてないんですよ、全然。(涙)

■神様への"裏切り"■

"ひとりでみてね"と書かれた一枚のDVD。
観たいような、観てはいけないような・・・・・・
紅野も複雑な気分なんでしょうね。
そんな彼の背中を押したのは、「生きている限り、願いは
起こり続けるから・・・っ」と云うあの透の台詞でした。
きっと、彼女のあの言葉は紅野の魂を強く揺さ振ったのでしょう。
だからこそ彼は、透からのプレゼントに興味をもったんだと思います。

(鳥になれるって、どんな気分?あの空を自由にとべるってどんな気分?
たのしい?ワクワクする?いいなぁ、いいなぁ、紅野。
僕も鳥になれたらよかった)

PCでDVDが再生されると同時に、若かりし日の紅野の記憶も
再生されることに。
ベンチで足をブラブラさせながらニッコリと笑う慊人の顔が
とっても可愛くて。
思わず手から、本を取り落としてしまいそうになりました。
子供の頃の慊人って、本当に無邪気で明るい子だったんですねぇ。
眩しいくらいの、曇りのない笑顔を慊人に向けられ、
紅野もさぞかし嬉しかったことでしょう。

「会いに来いコラー!!!」と叫ぶうおちゃん。
「僕を見捨てないでぇ!!」と叫ぶ幼年時代の慊人。
伸ばした行き場のない手を宙に彷徨わせたまま、
うおちゃんを選ぶべきか、慊人を選ぶべきか
二者択一の間で苦悩する紅野の姿は、何処か若い頃の
はとりを彷彿させます。
朽ちてゆく椿の花弁は、まるで、はとりと佳菜のあの悲恋を
再現しているかのようでした。

(慊人よりも彼女を選べた事。俺は、駄目だったから)(コミックス2巻・
165〜166頁参照)

紅野が選ぶのは慊人か、それともうおちゃんなのか。
どちらも愛しい存在であることに変わりはないのでしょうが、
彼もそろそろ柵から解放されることを願っているのかもしれません。
苦悩の末、透が同居している紫呉の家へ電話を掛ける
紅野の〈痛み〉を慮るだけで心中複雑な気分になります。
「はい、はい、はい」と本を読みながら笑顔で電話に出た紫呉の表情が、
少しずつ強張って最後に冷笑に変わったのが、個人的には哀しかったり。
紫呉って、此処まで紅野のことを嫌っていたんですね。
「紫呉兄さんにも話すべき事があるのかもしれない・・・」と思い詰めた
様子の紅野に、「やっとかよ」と吐き捨てる紫呉。もう、本性全開です。

でも・・・でもね。
透を巻き込むのは、止めて欲しいというのが本音だったり。
紅野と透を引き合わせてあげようとか、多分、そういう感情的な理由で
紫呉は動くような人間ではないので。
透と逢わせる条件で、恐らく何かしらの取引を紅野としたんでしょうが・・・
そんなことは何も知らずに、ただただ無条件に紫呉を信じて
「行って参ります・・・っ」と頼まれた封筒を買いに行く透が、
あのほのぼのとした笑顔が、何だか無性に切なかったです。
「行ってらっしゃい」と何かを企んでいそうな表情で透を送り出す
ブラック紫呉を見て、私は初めて紫呉を「最低な男」だと思いました。
矢張り、リンや繭の云う通り、今の紫呉にとって透(他人)とは
そこら辺に落ちている紙切れや本と同じ位の価値しかないのでしょう。
紅野とうおちゃんが、はとりと佳菜の二の舞にならないよう
心から祈ります。

さて。紫呉が自分を利用しようとしていることに全く気付いていない透は、
歩きながら頭の中で買い物リストを作っていました。
その時、彼女の前に現れたのは人懐っこい雀。
透は可愛らしい雀に目を奪われて、紅野が自分を見ていることに
まだ気付いていません。
そして。遂に、紅野が動き出します。
彼らの二度目の邂逅は、決して偶然という言葉で片付けられるような
ものでなく、明らかに仕組まれたものでした。

(君さ。もしかしたら、解放されているんだろう。呪いから)

若しも紅野が十二支の酉であるなら、此処で透に懐いていた
雀たちは彼の元へ集まったでしょう。
ところが、人懐っこいはずの雀は、彼を置いて一斉に
飛び立ってしまいます。
紫呉の予言が、確信へと変わった瞬間でした。

(あっけなく訪れた。終わりと始まり。それは解放と呪縛)

なんと・・・っっ!!もうずっと昔に、紅野だけ呪いから
解放されていたとは・・・っっ!!
既に冒頭に大きな大きなヒントがあったと云うのに。
最後の紫呉の台詞を聞くまで、この事実に気付かなかった私は
若しかしなくても相当の間抜けなんでしょうか。
慊人の"劣っている"発言からずっと引っ掛かっていた違和感が
此処にきて漸く解りました。
幼い頃、呪いが解けてしまった紅野を見て恐怖する慊人。
彼の絶叫が何を意味するものかはまだ解りませんが、
此処で慊人は呪い返しにでもあったのかもしれません。

由希はかつて「何が悲しかったのか、悔しかったのか。
それは突然、訪れた。慊人はある日、捩じれた」と回想しました。
そこから推測するに、慊人が捩じれた原因は、紅野の呪いからの解放に
あったとみてまず、間違いないと思います。
呪いからは解放されても、神(慊人)の呪縛の元で生活することを
選んだ紅野。
それは慊人の本質に、紅野が逸早く気付いていたからかもしれません。
振り向いて欲しいから、見捨てられたくないから攻撃(反抗)をする慊人。
"見捨てられるかもしれない"という漠然とした不安が、
あの痛々しい攻撃にカタチを変えるんでしょうね。
勿論、暴力は決して許されるわけではありませんし、
弱者を攻撃した慊人を心の底から許すことなんて出来ないと
思いますけれど。
若しかすると慊人の心の奥底には、ただ「愛されたい」想いだけが
あったのかもしれません。

さてさて。
クライマックスに向けて、いよいよ話が大きく動き始めたフルバから
ますます目が離せない今日この頃。
今回はちょっと某御方に対して厳しいことばかり云ってしまいましたが、
それも愛故の発言ですので。
どうか、そんな管理人の心情を酌んでやっていただけると幸いだったり。
というわけで、以下、邪な怒りの感想(?)です〜!!

<フィルターありの邪な感想>

綾瀬:「ブラック紫呉は時々出るから面白いのに・・・!!!
これじゃ、ただのウザイ男じゃない!!!えーん!!!
私の紫呉を、あの頃の紫呉を返してよう!!!」(号泣)

紫呉:「・・・一体、今回の僕の何処がお気に召さなかったのさ?」

綾瀬:「アンタの『慊人こそ紅野を選んだくせに』発言が許せェェェん!!
それでじゃ、慊人が自分を選ぶんなら、自分も慊人を選ぶってコト!?
紫呉が選ぶのは、何時だってはとりのはずでしょ!?
慊人が紫呉に嫉妬するまでは理解出来るけど。
何で紫呉が慊人に嫉妬しなきゃいけないワケ!?
うぉぉぉ!!!納得いかんぞ。ていうか、いただけません。この台詞」

紫呉:「・・・その様子だと、他にもまだ何かありそうだね」

綾瀬:「・・・もうダメ過ぎて、口にも出したくない」(落ち込み)

はとり:「そうやって、勝手に"紫呉像"を作ろうとするから
そのギャップに苦しむことになるんだ」

綾瀬:「そういうはーさんは、紫呉があんなんでも平気なの!?」

はとり:「・・・あいつはあいつだ。今更、騒ぎ立てることじゃない。
俺は紫呉の、ああいう処も全て含めて・・・・・・」

綾瀬:「・・・含めて?」

はとり:「好きなんだ。それに・・・」

綾瀬:「・・・それに?」

はとり:「こいつは、本当は誰よりも人間味があって・・・」

綾瀬:「・・・あって?」

はとり:「誰よりも温かい男、だ」

綾瀬:「うっわ。アンタの口からそんな台詞が聞けるなんて・・・・・・」(絶句)

紫呉:「はーさん・・・っっ!!はーさんだけは、僕のことを
解ってくれてるって信じてたよ!!!」(抱きつき)

はとり:「寄るな、暑苦しい!!」(蹴りッ)

綾瀬:「・・・・・・やっぱアンタ達って、ただのバカップルだわ」(溜め息)


           突然、次回予想!!

次のフルバは18号!!そんなわけで(?)それまでに、勝手に予想を
立ててしまおうという無謀な計画パート41。
仮令、もう直ぐ次号が発売されようとも、そんなことは
気にしちゃいけません。
何時でも何処でも、妄想全開で突っ走るのみ!!!

希望予想その1.思いがけない紅野の登場に驚く透。
そんな彼女に、紅野はDVDを返して・・・・・・
次回、今明かされる紅野の過去に、乞うご期待!!!

希望予想その2.紅野が本家を抜け出すためには、
はとりの協力が必要だと、そう紫呉から連絡を受けたはとりは、
慊人の注意を自分に引きつけるために・・・・・・
次回、はとりは全てを知っていた!?をお楽しみに☆

最悪予想その1.「うおちゃんに・・・どうかうおちゃんに会ってあげて
下さい!!」と紅野を説得する透。
ところがそこへ慊人がやって来て、透に暴力を・・・っっ!?
次回、紫呉の嫌がらせ、紅野への報復をお見逃しなく。

・・・・・・さて、果たして結果は・・・・・・?(←当たるんでしょうか、ホント/涙)










2004年15号


「そうなの僕ってムラムラなの


う、うぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!(半狂乱の叫び)
ホームの真ん中で愛を叫ぶ(?)とは、正にこのこと。
(変質者と間違われるといけないから、良い子は真似しないよーに/笑)
如何しよう!!!!もう、いっそこのまま本誌を抱えて
国外逃亡しようかしらん、などと公共の場で真剣に悩んでしまった
私でしたが。
電車の中で、この日ほど頬の緩みが止まらなかった日はありません。
まぁ、この私の弾けっぷりで、大半の方は何が起こったのか
一目瞭然でしょうが・・・・・・
今回の本誌を買わずして、"真のはぐれ"を語ることなかれ!!!
と明言しつつ、以下、本誌の感想です〜♪

<フィルターなしの普通の感想>
■扉■

「遠い日の記憶は、いつまでも心の奥のかさぶたとなって
忘れた頃に痛み出す―――

忘れたくても忘れらない記憶。忘れてはならない記憶。
遠い昔、自分の膝に縋って泣いた幼子の記憶を、
自らの手で消してしまったというはとりの苦い思い出は、
未だ胸の奥で燻り続け、彼を苦しめているのかもしれません。
・・・と、最初だけ真面目に語ってみましたが。(苦笑)
つ、遂に・・・遂にやって参りました!!!
扉絵を飾ったのは、今年の主役(?)草摩はとり。
はとりがメインのお話って、ホント何年ぶりでしょう。(感涙)
舞衣装姿も素敵なんですが、このはとり特有のクールな視線に
私は釘付け。
ど、どどど如何しましょう。
もう、あまりのカッコ良さに、そのまま倒れそうな勢いなんですが・・・っ!
わ、私、今回最後まで冷静でいられるか、ちょっと不安です。

■宴の始まりは穏やかで■
師匠宅で透が「ふつつか者ではありますが・・・」とやり始めた時には
何事!?と思ったのですが。
確かに由希の云う通り、保護者(紫呉)が居ない以上、
一日とは雖も夾と透を二人きりにさせるのは拙いかもしれません。
でも、だったら去年の正月は如何なんだ(二人きりは駄目でも
三人はいいんかい!?)と思わず突っ込みを入れたくなったのですが、
それはさておき。
今年のお正月は、珍しく由希が素直に本家に帰ると云いましたね。
もう逃げるのは嫌だと、そう思ったのかもしれません。
大人になった由希が少しだけ眩しく見えたのは、
私の気の所為でしょうか。
個人的には、夾を見て「ケ・・・っ、ケダモノ・・・っ!!」と叫ぶ紫呉が
ツボでした。(笑)うぅーん。久し振りにフルバらしいシーンを
見たような気がします。こういうホノボノ感が堪らなく好きだったり。

「透さんも一緒だと、嬉しさも一入だろう?」

紫呉がとったケダモノの魔の手から透を守る策とは、
意外にも彼らを藉真の家へ預けることでした。
本当は嬉しいはずなのに心中複雑な夾を見て、
「何かあったな」と勘付く師匠は流石第二の父親。鋭いです。
でも真逆、リンまでそこに居ようとは・・・っっ!!
これは想定外でした。いやぁ、相変わらずの美人さんですねぇ。
感激した透が思わず抱きつきたくなる理由も良く解ります。
尤も、リンはそんな透の抱き締め攻撃(?)を、ひらりとかわしますが。
それでも、やっぱり透が周囲に与える影響というのはすごいですね。
最近では、リンがとても親しみやすいキャラになりつつあります。
彼女は良い意味で、昔よりもずっと、性格が丸くなりましたね。

「お2人は仲がお悪いのですか・・・?」

「いえいえ仲が悪い訳ではないんです。仲がよくないだけで」

どう違うんだよ!!と思いっきり突っ込みを入れたくなりましたが。
昔、リンと夾が睨み合っていたのは、二人で藉真を取り合っていたから
なんですね。微笑ましい・・・・・・(笑)
きっと何処か人を安心させるような雰囲気が、藉真にはあるんだろうなぁ。
優しくて、落ち着いていて、でも何気に腹黒くて。(笑)
パートナーとしては、或る意味理想の男性かもしれませんね。

■宴の後に、事件発生■

「とりさん!!素晴らしい舞いだったよ。紅葉の幼気さと、とりさんの
渋さが相まって絶妙な旨味を漂わせていたと言わざるを得ないが、
あえて具体性を持たせるのであれば・・・抱かれたいね!!!

相変わらず無意味にゴージャスですね、綾女さん・・・・・・
何と云うか、フルバのキャラの中で薔薇を背負えるキャラは、
彼くらいだろうなぁ、きっと。
しかも舞の感想が、何だか料理の批評のように感じるのは、
私の気の所為でしょうか。
不覚にも、「抱かれたいね」のくだりでは、大きく頷いて
しまいましたけれど。(笑)
今回の一件で、りっちゃん(彼の登場は久し振りですね)が
綾女に心酔していることはよく解りました。
舞を終えて疲れ果てているはとりが、綾女のこの台詞を聞いて
さらに疲れたことは云うまでもないでしょう。
「これ以上、やるせない気持ちにさせないでくれないか・・・?」と、
遠い目をして呟くはとりがいっそ哀れでした。(そこが面白いんですけど)

「お疲れ、はーさんっ。気の重た〜い"舞い"が終わって良かったねぇ。
次の年も担当だけどねっ」

さてさて。そんなお疲れモードのはとりを揶揄る役目は、
勿論、紫呉です。
この人のことだから、はとりがくだらない行事でウンザリしてるのを
本気で楽しんでるんでしょうねぇ。
その後ろで「2人揃って"抱かれ隊"さ!!」とすかさず叫ぶ
綾女の言葉に、大爆笑。
この辺を見ていると、マブダチトリオの学生時代が益々気になります。
馬鹿がこれだけ揃っていると、突っ込みを入れるはとりも大変ですね。
紫呉の口から飛び出した繭の言葉に、「縒りを・・・戻したのか?」と
驚くはとりの表情が新鮮で。
「・・・だっ、大丈夫・・・っ。心配ない・・・っ」と笑顔で手を振りながら
「なぁに、なぁに?そんなに仲が進展したの?どーなの?」と
興味津々で喜ぶ紫呉が可愛いです。
はとりと繭の仲、一体何処までいっていることやら。(溜め息)

さて、はとりと紫呉が意味深な会話を交わしている傍ら、
紅野は何やら物憂げな表情で慊人と由希を見ていました。
最初、慊人は由希が自分の処へ帰ってきてくれたことで
ご機嫌だったのですが、核心迫る由希の一言で態度が急変。

「・・・僕も、慊人を許すよ・・・(中略)・・・俺、誰かのせいにするのは
もう嫌だ。俺にだって、悪いトコロや改めていかなきゃいけないトコロが
たくさんあるんだって事を、ちゃんと自覚していかなくちゃ。
いつまでたってもバカなままだ。誰かの、何かのせいにしてたら
いつまでたっても変われない」

由希は自分の悪いところを改めていかなければ、と云っていますが、
この言葉はそのまま慊人に通ずるものがありますね。
此処で、「嫌、いかないで」と、若い頃の紅野が慊人の回想(?)で
出てくるんですが・・・これは一体、何なのでしょう?
慊人は決意に満ちた由希の瞳を見た時、彼が自分を置いて
離れて行ってしまうことを、確信したのでしょうか。
66頁のワンシーンは、籠の中の鳥が逃げて行ってしまうイメージを
見事に演出していると思います。

「慊人にも、改めていかなきゃならないところがたくさんあるんだ」
声にこそ出しませんでしたが、由希はそう云いたかったのでしょう。
その由希の真意が解ったからこそ。
あそこで慊人は切れたのではないでしょうか。
ありのままの気持ちをそのまま慊人に伝えれば、
彼の不興をかうことは解りきっていたのに。
由希は如何しても、云わずにはいられなかったのですね。
「あやまれ」と花瓶で由希の頭を殴りつける慊人を見て、
怯える楽羅と杞紗が可哀想で仕方なかったです。

「死んではいけない由希!!死ぬ時は一緒だとセーヌのほとりで誓い
合った日に見た夕陽は、今もこのボクの胸で輝きまくっているよ!!」

涙あり、笑いありとは正にこのことで。
こういう重苦しいシリアスなシーンを一瞬にして吹き飛ばしてしまう
綾女さんには、ただただ脱帽。
彼の場合、計算しているわけじゃなく素でやっているから、
余計に笑えるんですよね。
個人的に、由希をお姫様抱っこする綾女の図は、
良かったと思います。(笑)

■行く年来る年、それぞれの小さな祈り■

「心のどこかではとりを責めてたかもしれない。ずっと。
はとりだって・・・傷ついてたのに。ごめん・・・子どもで」

手当ての後で、ぽつりと由希が零した優しい言葉。
幼い頃、漸く出来た"ともだち"の記憶が、はとりによって
消されてしまった、その事実を変えることは出来ないけれど。
歩み寄ることは、きっと出来るから・・・・・・
はとりとの間に出来てしまった溝を、由希は埋めようとしたのでしょう。
「はとりは由希に負い目があるから」と指摘したのは紫呉で。
『雪みたいに冷たい』と漏らした慊人の一言を甘んじて受け入れ、
絶えず自分を責めることでしか自分を保てなかったはとり。
由希の勇気は、はとりの心の底に積もっていた雪を
そっと溶かしたのかもしれません。

「優しいな・・・おまえは・・・ありがとう」

由希の髪をくしゃくしゃと撫でて、一瞬だけ目を細めて微笑む
はとりのこの表情が、個人的にはとても好きです。
だって、はとりって滅多に笑わないんですもの。
「兄には似るなよ」とはとりに云われ、「似ないよ・・・っ。似れないよ」と
半眼でぼやく由希の顔もナイスでした。
そして・・・「兄」の言葉に反応して「呼んだかい!?」と
意気揚々とカーテンを開ける綾女の耳は、きっと地獄耳。(笑)

「慊人もなぁ・・・・・・さっさと思い知ればいいのになぁ・・・」

そこでブラック降臨ですかい、紫呉さん。
「先生ってすごいムラッ気あるよね、気分に」と春に云われ
「そうなの僕ってムラムラなの」と数分前まで笑っていた人物と
同一人物とはとても思えません。
肚の中では、きっと”ざまあみろ”とか思っているんでしょうねぇ。
由希はもう、暗い部屋に閉じ込められ、膝を抱えていた頃の
由希ではないと、十二支は慊人から離れつつあると。
あくまで傍観者を気取りながら、自分の思惑通りに駒を進めようとする
紫呉の本性、此処に見たり。

(去年は由希君と夾君が仲良くなって下さいますようお願いしました。
でも今年は呪いを解くことができますよう。倖せが訪れますよう。
ほんのささいなきっかけでもいい。変化が訪れますように)

場面転換で、師匠宅。
テレビを見ながら寛ぐ夾と透のカップルは、何だか見ていて
微笑ましかったです。
最近、心なしか夾の瞳が優しくなってきたような気がするのは
私の気の所為?

紅葉が「プレゼント」と云って紅野に文化祭のDVDを渡すシーンとか。
疲れて眠るリンを、春が包み込むようにそっと抱き締めるシーンとか。
一つ一つのコマが映画のワンシーンのように鮮やかで。
読んでいて、胸が熱くなりました。
彼ら一人一人のささやかな、それでいて深い祈りがきっと通じますよう
私も心から願っております。

さて、今回は重くて軽い(?)或る意味フルバらしいお話でしたが、
皆様は如何でしたでしょうか?
未だ冷めぬ興奮を胸の内に抱えつつ、以下、
平生よりも暑い・・・否、熱い邪な感想です〜!!!

<フィルターありの邪な感想>
夢じゃない・・・っっ!!!
現実ですよ、ちょっと奥さん!!!(誰)
とうとう!!とうとう、念願の登場です!!!
この日を・・・この日を、一体どれだけ夢見たことか・・・っっ!!!

あんなにラヴラヴで本当に良いのかしらん、と疑問に思ったほど、
いちゃつきまくってくれたはとり&紫呉。
個人的には、舞が終わってぐったりしているはとりの背中に
伸し掛る紫呉、の構図(59頁2コマ目)がツボでした。
あぁぁ、なんでもう、こんなに仲良しなんでしょう。
やっぱり、はとりにとって紫呉は背中を許せる相手なのねっvv
二人で一人じゃないけれど。
やっぱり私はこの二人が大好きだと、と改めて再認識しちゃいましたよ。
ご馳走様です。(悦)

勿論、そんなはとりを見て堂々と、「抱かれたいね!!」と叫ぶ
綾女にも大爆笑です。
ていうか、りっちゃんまで、何気に「はい!!」とか云ってるし。
これではとり×りっちゃんというCPまで成立したら如何しようなんて・・・
お姐さん、ちょっとドッキドキ。(←馬鹿)
周りがあんな連中ばかりで哀愁漂わせるはとりの姿に、
少しだけ同情してしまいましたよ。

でもって、「繭と縒りを戻したのか?」とはとりに訊かれ、
嬉しそうに「・・・だっ、大丈夫・・・っ。心配ない・・・っ」と手を振る
紫呉も可愛くて、可愛くて。もうメロメロ。
実は思っているほど二人の仲が進展してないことに
喜んでるでしょう、アナタ。
なんで三十路間近の男が、こういう表情出来るんでしょうか・・・ねぇ。
その上、「僕ってムラムラなの」とサラッと春に云ってしまったんですから。
そんなに溜まってたんですか、紫呉さん!?
(←激しく意味を違えております/苦笑)

さ・ら・に。忘れちゃいけません!!!
可愛いだけじゃなく、一癖も二癖もあるのが紫呉なんです!!
「はとりは由希に負い目があるから」発言は勿論のこと、
春を見送った後、一瞬でブラックに変化してしまう紫呉は
矢張り、只者ではありません。
さり気に非道いことを云っているのは間違いなく紫呉だよなぁ、うん。
よーは、慊人に一泡吹かせてやりたいというのが
彼の本音なんでしょうが。
弁舌爽やかに、他人を動かすことで目的を達成しようという紫呉が
何時か足許を掬われるのではないかと、日々ハラハラしているのは
私だけなんでしょうか、ねぇ。

ということで。
益々、格好良くなったはとりと、一層可愛くなった紫呉を記念して(?)
拙いながらも久し振りにSSなんぞ書いてみました。
内容は・・・・・・何とも罰当たりな話でございます。(冷汗)
ただ、その前に一言。一言、叫ばせてくれい!!
何でこのくそ暑い最中に、極寒の季節の話を
書かなきゃならんのじゃーーーー!!!(叫)




―――――――――――――――――――――→除日



誰も居ないはずの部屋の中で、
微かに衣擦の音がしたような気がした。

火の点いていない煙草を手の中で遊ばせながら、
ゆっくりと足を運ぶ。
先刻から降り始めた雪で、薄汚れた障子は薄らと明るい。
そこに映った仄蒼い影を見た瞬間、
動悸が一気に高まって―――
はとりが障子に手を掛けると、茫然と
佇立していた男はその動悸を聞きつけたかのように、
上半身をビクリとさせて振り返った。

「何をやっている?」

「あら、やだ。はーさん。もう戻って来たの?」

呆れたような視線を投げると、悪戯がばれた子供のような表情で
ペロリと舌を出しながら、紫呉は大きな瞳を此方に向けた。

雪明りは、しめやかに闇に沁み出して。
蒼白い照明装置スポットライトを浴びた紫呉は
先刻まで自分の羽織っていた衣を頭から被って、
今から舞でもするような仕草をして見せた。

「はーさんの舞の衣装、気に入ったから借りてきちゃった。
如何?似合う?」

にっこりと笑った歯が、白い。
不思議な男だと思う。
無邪気に人を揶揄って楽しむ悪趣味な奴かと思っていたら、
そうではないと、彼の瞳の中に存在する剣呑な光が牽制をかける。
氷のように冷たい態度を取ったかと思えば、
時折ふと柔らかな温もりに包まれていることに気付いて、
戸惑うことがあった。
掴み所がなさそうで、掴み取ろうとすればするほど、
底のない沼に引き込まれて行きそうな不思議な男、
――それが、紫呉なのだ。


「勝手に人の物を持ち出すな。慊人の処へは行かなくて良いのか・・・?」

お前は人のご機嫌を取るのが上手いからな、と
調戯からかい半分な口調で答えると、案の定、
紫呉は拗ねたような表情をした。
似合うと、一言そう云って欲しかったのだろうか。

「それ・・・さっき、はー君にも同じコトを云われたよ。もう、ウンザリ」

「・・・で、行かないのか?」

「如何して何時も、僕ばっかり貧乏籤引かなくちゃいけないのさ」

金糸や銀糸の刺繍が交じった衣が、ふわりと落ちる。
電燈の光が揺れて、着物の黒地に滲んだ。



「行かないよ。慊人の処へは――もう、行かない」


そう告げた紫呉を見た瞬間、髪の間から血を流す由希の姿が
脳裏に鮮やかに浮かんで。
やがて、あの頃の自分が甦ってくるのを、微かな痛みで知覚した。



由希の友人の記憶をこの手で消してから約十年間―――
慌しい時間の濁流に押し流されながら諾々と生きてきたが、
何時も何か過去に落し物をしてきたような落丁感に付き纏われていた。


――ごめん。はとりだって・・・傷ついてたのに・・・子どもで。


彼の言葉は、長い間抛り出しておいた自分の義務と、
行き場を失って空中分解した想いを、そっと掬い取るには充分だった。
由希は、あの頃の由希とは別人のように大きくなっている。
きっともう、心配する必要はないのだろう。
役目は、終わったのだ。



ゆっくりと手を伸ばし、俯き加減になった紫呉の髪に
指を滑り込ませる。
不図、紫呉が顔を上げた。

「でも、良いな・・・羨ましいよ。あーやは素直で」

少し戸惑いを混ぜて、小さく紫呉が笑った。
その唇を指でなぞりながら、囁く。

「なんだ。お前も抱かれたいと思ったのか?」

「全部、解ってるくせに。意地悪だなぁ、はーさんは・・・・・・」

紫呉の唇には、まだ苦笑が残っていた。
僅かに捲れた着物の裾からは、白い肌が露になっている。
吐息のような、それでいて珍しく素直な声が、
鮮明に自分の耳を打った。

「舞を舞ってるはーさん・・・多分、自分では気付いてないと思うけど
凄く綺麗で格好良くって・・・・・・」

「なんだ?惚れ直したのか?」

「・・・ううん。悔しかった。みんなの視線、はーさんに釘付けだったし。
でも、好きだと――そんなはとりが、とても好きだと思ったから」

胸の昂ぶりを無理に押さえつけているのか、
帯が微かに漣だっている。
愛しい、と思った。
そんなお前がとても愛しいと、自然のままにすらりと垂れた
彼の左の手を取って、そこに唇を寄せる。
途端、伏目がちに凝乎じっとしていた紫呉の細い首筋から頬までが、
みるみる朱の色に染まった。


――僕も”抱かれ隊”に入隊して・・・いい?」


唇に、温もりが触れる。
熱い息に含まれたその声は、低くくぐもって、直に咽喉から
さらに躰の奥底まで流れ込み、やがてはとりの胸に
微かな火気ほとぼりを残した。


雪は音もなく、ただ障子に影だけで流れている。
片腕だけで、雛鳥のように腰にしがみついてくる紫呉を
そっと押し倒すと、艶のある黒髪が畳へ波打つように広がった。
命を賭してでも守り通したい相手を強く、抱き締める。

寒夜に響く除夜の鐘は煩悩を洗い流すと聞いていたけれど、
今はただ、古い俤だけが如何にも目に沁みて仕方なかった。




        了 ←――――――――――――――――――――


           突然、次回予想!!

次のフルバは17号!!そんなわけで(?)それまでに、勝手に予想を
立ててしまおうという無謀な計画パート40。
ところで多分、殆どの方が気付かれていないと思いますが。
前回の私の「希望予想その1」、何処となぁぁく、
今回の本誌に近いものがあると思いません?
勿論、私の贔屓目だと云われてしまえばそれまでなんですが、
それでも、自分の思惑通りの展開になったというのは
何処か嬉しいものがありますね。
これまでの空振りも満更無駄ではないのかもしれないと思いつつ、
以下、次回の予想です〜!!

希望予想その1.由希に云われた一言がショックで鬱状態の慊人。
その上、紅野までが自分を裏切ろうとしたことを知った彼はとうとう・・・・・・
次回、暴走した慊人を止めるはとりと紫呉を見て、
読者も大興奮!?(←するのは、お前だけだっつーの)

希望予想その2.歩み寄る春に心を許すようになったリン。
一方、紅葉から貰ったプレゼントの蓋を開けた紅野は、
とうとう彼女に合うことを決意して・・・?
次回、ボロ泣きする魚ちゃんをお見逃しなく☆

最悪予想その1.十二支の心が自分から離れつつあることを
恐怖する慊人は、遂に最終兵器を持ち出すことに。
彼らは果たして、生きて草摩家から出ることが出来るのか!?
次回、あの"レン”の正体が遂に明らかに・・・っっ!!!

・・・・・・さて、果たして結果は・・・・・・?(←次回も当たりますよーに/笑)