毎度毎度、本誌を手に入れるのに一苦労している私ですが、
今回は運の悪いことに女子高生の帰宅時間と重なってしまいまして。
書架に陳列されたフルバの本誌を立ち読みしている彼女らの前に、
如何しても割り込む気が起こらず、波が引くまで暫く本屋を
ウロウロしていました。
結局、何時まで経っても埒が明かないので、3・4人の女子高生の間に
申し訳なさそうに手を差し入れ、本誌をゲットしましたが。
彼女たちから見れば、私のような年増が未だにこんな少女漫画を
読んでいるなんて、さぞかし滑稽なんだろうなぁ、と。(トホホ)
せめてあと5年生まれるのが遅かったら、堂々と本誌が読めたのに。
嗚呼、若かりし日のあの頃に戻りたいと、情けないことを願いつつ、
以下、本誌の感想です。
<フィルターなしの普通の感想>
■扉■
(とてもとても小さかった頃、世界は、慊人と母と障子越しに見える
景色が総てだった)
フルバの中で、過去編オンリーの話と云うのは、珍しいですが。
(主人公、一度も登場していませんし/笑)
何となく、この扉(?)を見た時点で覚悟してました。
でも、下手に現在と過去を行き来するより、却ってこの方が
由希の心情に、より深く迫れるという点で良かったと思います。
■見えない"絆と、見えない"呪い"■
物語は由希の幼年時代、生まれて初めて慊人と対面するシーンから
始まります。喘息持ちのため咳をする由希に、咳をするなと云う母親。
何故かムカつく婆や。(というか、この人、ほんとに苦手なんです/苦笑)
前当主、もう死んでしまっているようですが、やっぱり居たんですね。
となると、かつて紫呉が云っていた「僕も君もあーやも泣いたあの朝」
=「前当主が亡くなった日」=「慊人が生まれた日」、という可能性が
一段と濃くなりそうですが。
この件に関しては、またいずれ・・・と云うことで。
「ま・・・っ、まぁ何?何泣いてるの由希っ。失礼でしょう!?」
優しく微笑みかける慊人の姿に、自然、涙を零す幼い頃の由希。
次から次へと勝手に溢れてくる涙は、まるで遠い昔の彼らの関係を
象徴しているかのようで。
その時のことを、由希は、「自分の知らない胸の胸の胸の奥で
何かが叫ぶ」と表現しています。
(会いたかった/会いたくなかった。抱きしめたい/逃げ出したい。
愛しくて/憎らしい)
何を意味しているのかはまだ解りませんが、恐らくこの相反する感情が、
物語の重要なポイントなんでしょうねぇ。
しっかし、此処で登場する幼い頃の慊人・・・・・・
この可愛さは何なんですか?犯罪でしょう?
思わず襲いたくなるような愛くるしさです。
「やっと会えたね。僕の、物の怪・・・」
先に抱きしめたのは、幼い頃の慊人でした。
「僕の」辺りで、今の慊人と相通ずるものを感じさせますが、
この頃の慊人は、時折、癇癪は起こすものの、
まだ今のように歪んではいなかったようです。
あの慊人が泣いている姿なんて、今では想像もつきませんけど。
ただ、泣いている慊人を、抱き上げてあやす紫呉の姿を見ていると、
何故、今でも慊人が紫呉にベタベタしているのか、ほんの少しだけ
解ったような気がしました。
きっと幼年時代、はとりも同じように慊人に接していたんですね。
あぁ、何だ。慊人も普通の子供だったんだと思うと同時に、
外見だけが成長して、心が少しも変わっていない慊人に、
恐怖すら感じました。
慊人の中での時間は、まだあの頃のままなのかもしれません。
「鼠はね、十二支の中で一番えらくて、神様に一番近い存在なんだ」
な、なんと!!
これまで何故慊人が、由希を自分の傍に置きたがるのか
ずっと気になっていたんですが。
これはあの民話に基づいていたんですね。
子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥・・・
この順番が、十二支と慊人との距離を表していたとは・・・!!
余りにも当たり前過ぎて、今まで気付きませんでした。
ただ、そうなってくると一つの疑問が浮上してきます。
それは、何故(慊人にとって)紅野が一番劣っているかと云うこと。
これは一体、どう考えたらいいんでしょうねぇ。(困)
■壊れた"こころ"と、望まぬ"邂逅"■
「お前は僕の玩具なんだよ。おまえの母親が僕にくれたんだ。
ははっ。おまえ捨てられたも同然なんだよ。そろそろ気づけよバカ。
鼠は嫌われ者なんだよ・・・(中略)・・・僕がかまってやらなきゃ、
お前が存在る価値なんて無いんだよ!!」
「僕の世界は、まっ暗だ」と云いながら、部屋に墨を塗る慊人。
由希は、何が悲しかったのか、悔しかったのか、慊人はある日
突然捩じれたと、そう回想で語っていますが。
あんなに可愛かった慊人が、何で突然、豹変してしまったんでしょう?
推測その@:悪いものでも食べた。
→うわ、ありがちな馬鹿馬鹿しい回答だなぁ、自分。
でもこれでは道理に合わないので却下。
推測そのA:紫呉に変なことを吹き込まれた。
→あ、ありそう。(汗)紫呉ならば、やりかねませんね。
あまり、あって欲しくないことですが・・・・・・
推測そのB:慊人は双子だった!!よって、かつて由希と遊んでいた
大人しい慊人と、捩じれた慊人は別人であーる。
→や、ふざけてるわけじゃないんですよ、決して。
まぁ、個人的願望が入っていることは否定しません。
どれも全然見当ハズレな、突拍子もないことを書いてしまいましたが、
あまり深く考えないでやっていただけると助かります。(苦笑)
私的見解としては、慊人を極度に甘やかす環境(彼らを取り巻く
大人たち)が、彼を、ああいう形で追い込んだのではないか、と。
でも、切ないじゃないですか。
「一緒なんかじゃない、僕はいらない存在なんかじゃない」って、
まるで由希の気持ちを代弁するかのように、叫ぶ慊人って。
時々、慊人は十二支と、"痛み"や"心情"を共有しているんじゃ
ないかなぁ、と思うことがあるんですよ。
若しかすると慊人は、十二支の暗い影を背負い、それをそのまま
彼らに投げ返しているだけなのかもしれません。
ただ、だからと云って、彼の暴力を容認することは出来ませんが・・・・・・
(俺は他の十二支と口をきいた事もなかったんだ。いつも慊人の側に居て
兄といわれる人とすら言葉を交わした事がなかった)
上座と下座(?)という関係でしょうか。
慊人にとって、由希と紅野は、矢張り<特別>なんですね。
正月に慊人の元へ集まってくる殆どの十二支は、幼くなっても変化なし、
でしたが。(笑)
紅葉に甘えられて、困った表情をしているはーさんがとても好きvv
あとは、88頁・4コマ目の紫呉&綾女。腹黒コンビ万歳!?
蔑むような綾女の眼差しが、ちょっと痛いですが。
あーやは何処かで幼い由希に、嫉妬していたのかもしれません。
さて、宴も酣。
だけど他の十二支に馴染むことが出来ない由希は、途中でそっと
部屋を抜け出し、偶然、大人たちの会話から、猫憑きの"夾"が
本家の直ぐ近くまで来ていることを知ります。
真逆、会ったこともない夾が、自分のことを殺したいほど
憎んでいるとは、思ってもみなかったんでしょうねぇ。
で、案の定、興味本位で夾に近寄った由希は、彼に恫喝されます。
「おれはおまえをぜったいゆるさないからな・・・っ。ネズミがぜんぶわるいんだ・・・(中略)・・・おまえなんかこの世から、いなくなればいいんだ!!」
先に溝を作ったのは、やっぱり夾からだったんですね。
「自分なんかいらない存在」と落ち込む由希に、
追い討ちをかけたのは、彼の両親、兄、そして慊人でしたが。(苦笑)
それでも。
誰も責められないように出来ている、この仕掛け自体(呪いの連鎖)が、
憎らしくて堪りません。
■初めての"ともだち"と、消された"記憶"■
例の事件が起こった由希の小学校時代。
制服を着用しているところから察するに、如何やら彼は、
私立の小学校へ通っていた模様。
所謂、お墨付の"お坊ちゃん"だったのでしょう。
お抱え運転手付きの車に乗った由希が車窓から見たのは、
ランドセルを背負って、楽しそうに公立の小学校へ通う夾、春、紅葉、
それに楽羅の姿でした。きっと羨ましかったのでしょう。
由希が現在、公立の高校へ通っているのは、この時のことが
少なからず影響していると思います。
「ともだちになろっ」
他人とどうやって接していいのか悩んでいた由希に、
初めて掛けられた嬉し過ぎるほどの言葉。
この後、頻りに「浮かれていたんだ」という言葉が繰り返されていること
から、由希はまだ、女の子に注意を払うことを忘れていた自分を、
責めているのかもしれません。
「おねがい、けさないで。"ともだち""ともだち"なんだ。はじめてできた」
だから、十二支の秘密が露見して。
慊人の命令で、はとりが動くことになった時。
何とかはとりを止めようと、必死で膝に縋りつく由希と、
そんな彼を、苦しそうな表情で見詰めるはとりの姿が、
哀しいほどに痛いです。
因みに、由希に抱きついた女の子=透ではないかという説も
ありましたが。
如何やら違うことが、此処で明らかになりました。
う〜ん・・・そうだったら面白いなぁ、と思っていただけに、ちょっと残念。
その後。
まるで最初から"由希"という存在などなかったように。
平然と彼の横を擦り抜けていく、かつてのともだち。
失意のどん底のまま、学校からの帰り道をとぼとぼと歩く由希の前に、
飛んで来たのは・・・・・・そう!!なんと、あの帽子だったのです!!
帽子の持ち主は、意外なことに(?)夾でした。
真逆、此処で第7話の伏線が消化されるとは思っていなかったので、
ちょっと吃驚。でもこれで、夾があの帽子に拘っている理由が
漸く、解りました。
偶然帽子を拾った由希は、それを夾に返そうとしたのですが。
困ったことに夾はそれを受け取らず、走り去ってしまったのです。
一人取り残されたまま、帽子を抱きしめて泣きじゃくる由希。
(欲しかったモノがある。抱きしめてくれる両親。帰りたいと願う家。
みんなが笑っている場所。みんなが離れていかないような自分)
今回の84話と、コミックス4巻・第20話が読者の中でダブります。
自分など要らない存在だと思い込んでいた彼に、光を与えてくれたのが
幼い頃の透であったことは、もう云うまでもない話ですが。
由希にとって透が、昔からどれほど大きな存在であったかが
ここから解るのではないか、と。(ただ、それなら第24話で、由希が
『透』=『ボンヤリとした意識の存在』と結びつけるのは、個人的に
納得いかないんですが/苦笑)
いずれにしろ、由希は過去の"可哀想な自分"から抜け出さない限り、
前に進めないと思います。
無論、それは由希だけでなく、夾を含む十二支全体、ひいては透にも
云えることでしょうが。
何時までも甘えたままでいるのではなく、彼らが歯を喰いしばって
立ち上がっていく姿が、早く見れることを期待しつつ・・・・・・
以下、邪な感想です。
<フィルターありの邪な感想>
いやぁぁぁぁん!!!可愛い!!可愛い過ぎるよぉぉぉ!!!!(叫)
と、最初から飛ばしておりますが。
高校時代のマブダチトリオ、最高です!!!
冒頭で、例の婆やが「お生まれになられた物の怪憑きの方々も
(慊人に会って)お泣きになられました・・・」と云ってますが。
そ、そそそそれはつまり、あの紫呉も泣いたと、
そう解釈しても宜しいんでしょうか!?
幼年時代の紫呉が泣いている姿を想像しただけで、
萌え萌えです!!(お姐さん、ドッキドキ)
で、沸騰しかけたこの頭をどうにかするために、現実へ戻りますが。
今回登場した彼らは、18歳くらいだと思われます。
でもその割りに、はーさんの顔が大人びていて。
あぁ、こいつはこの歳で、色々経験してるに違いねえと、
阿呆なことを思ったのは、私だけ!?(共感者求む)
87頁のはとりを見た瞬間、躍り上がりそうになった上、
88頁の黒い紫呉を見て、鼻血を吹きそうになったんですが。
辛うじて、堪えました。(偉いぞ、自分!!/笑)
勿論、外してはいけない102頁・2コマ目、はとりの表情も最高です!!
今度、高校時代の彼らが登場したら、もう自分を抑える自信が
ありませんよ、私。
何だか今にも妄想ワールドに突入しそうな勢いなんですが、
現在、書かなきゃいけないものが溜まっているため、
また何時か、何処かで彼らの高校生活を書いてみたいなぁ、と。
無論、二人がデキている、と云う設定で。(爆)
突然、次回予想!!
次のフルバは1号!!そんなわけで(?)それまでに、勝手に予想を
立ててしまおうという無謀な計画パート29。
さてさて、どんな予想を立てようかしら。(ニヤリ)
希望予想その1.感傷に耽るなんて柄じゃない、と云う奴等の登場です。
由希が学校で思い出に浸っている時、本家では綾女も交え、
マブダチトリオの密会が・・・っっ!!
次回、彼らの野望が遂に明らかに!!(←明らかに希望的観測じゃん)
希望予想その2.さぁ、告白ターイム!!ということで、話は突然現在へ。
翔と話を終えた由希は、生徒会室に戻る途中、透とバッタリ。
彼女に自分の想いを伝えるには今しかない(?)と判断した由希は、
透を連れて屋上へ。
次回、透と由希の青春時代をお楽しみに。
最悪予想.真っ暗な頃の由希に光を与えたのは、何と透ではなく・・・・・・
次回、主人公は何処へ消えた!?脇役と主役が逆転す!!
・・・・・・さて、果たして結果は・・・・・・?(←本当に、あたるんですか?)
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