17)南アルプス遠征(白根三山縦走、北岳〜間ノ岳〜農鳥岳):8月5日〜8月7日、  
    2016年山の記録に戻るチョウのページに戻る花・鳥・その他に戻る
 

行程
@8月5日 北沢峠〜二股〜肩ノ小屋(泊)
A8月6日 肩ノ小屋〜北岳〜中白根山〜間ノ岳〜西農鳥岳〜農鳥岳〜大門沢小屋(泊)
B8月7日 大門沢小屋〜奈良田温泉〜(バス)〜広河原〜バス〜北沢峠・こもれび山荘(泊)
次の8日は、それぞれ分かれて、甲斐駒ヶ岳、アサヨ峰の登山となった。

8月5日
JR守山駅(8月4日、21:30出発)−仙流荘横の駐車場(1:00着、仮眠、6:05バス)−北沢峠(6:55着、7:20発)−広河原(7:55、8:05発)−
〜大樺沢コース〜二俣(10:40〜11:20、昼食)〜合流点(13:20〜13:30)−小太郎尾根分岐−肩ノ小屋(14:13着、泊)

夜に守山駅集合、車で長野県伊那の仙流荘へ移動、駐車場にて仮眠後、バスで北沢峠、乗り換えて広河原へ向かう。バスの始発は5:15だが、夜が明ける4時半頃よりバス停には人が並びだす。4:45頃より列に並んだが、広河原まで行く人は列からでてベンチで待つよう指示があった。列から出たのは、我々と他に1組程度、どうやらほとんどが北沢峠から甲斐駒、千丈を目指すようだ。北沢峠での乗り換えに合わせて、始発ではなく、6時ころのバスで約1時間、北沢峠に到着した。広河原へはあまり待つことなく、7:20のバスで出発し、8時前に広河原到着する。バスは待っている人数に応じで手配されるようすであった。広河原は賑やかで、準備を整えて8時すぎに、いよいよ出発する。天気は晴れ。つり橋を渡って山荘の横から山道に入る。谷の奥の北岳はガスで見えなかった。山小屋の荷揚げをしているらしく、ヘリが行き来する。コースは傾斜の穏やかな大樺沢をいくこととした。沢沿いの道を進む。このあたりでフタスジチョウに出会った。しばらくは林の中を歩き、再び沢に出て2時間ほどで、雪渓が見え始める見晴らしの良いところに出る。そのまま進み右股と左股の分かれる二股に着く。左股は”八本歯のコル”を経由する。我々は肩ノ小屋を目指す右股コースになる。このあたり、一面お花畑が広がり、涸沢が目の前にある。登山客のほとんどがここで足を止め、思い思いに休んでいる。早朝の出発、お腹もすき、昼食にする。瀧井さんがお湯を沸かし、持参のコーヒーをふるまってくれる。珠玉のお休みタイムだ。ミヤマハナシノブ、ハクサンフウロ、クガイソウ他たくさんの花が見られる。その中を、クモマベニヒカゲが飛んでいる。ミネラルを求め、同行の瀧井さんの手に止まる。数も多い。写真に忙しく、40分ほど休憩をし、右俣を登る。急登でつづら折りの道だ。道沿いは、緑が多く花がたくさん咲いていて、蝶が飛び交っている。少し歩くと樹林に入り、下にはトウゲブキの大きな群落だ。二股から1時間すこし歩きつづけたあたりから軽く雨が降り始め、雨具を着る。止んだり降ったりで、そのうちやんでしまう。白根御池小屋からの道にやっと合流する。花もそこそこで撮影も忙しい。小太郎尾根分岐を過ぎ、気持ちの良い稜線が続く。イワヒバリも見られ、右手の斜面に沿った形で進む。両側はお花畑でアオノツガザクラ、タカネツメクサ、タカネヤハズハハコなど、特に岩場にはコバノコゴメグサが敷き詰められたように咲いている。気持ち良い風が吹き、しばらくで肩の小屋に到着する。14時は過ぎていた。2号館と呼ばれる殺風景な小屋の2階が今夜の寝床、混雑しており、とりあえづ、場所を確保するため布団を広げる。しばらくして、小屋から出て歓談している内に天気が回復、白鳳3山やそれに至る縦走路、仙丈ケ岳などが現れる。小屋から見下ろす大樺沢、道中には見られなかった花が小屋の石垣からテント場に向かう両脇に花壇としてしつらえてある。咲き方も見事だ。登山客はその後も続々と到着し、小屋周辺は賑やかである。北岳も青空に映えるようになる。明日はきっと良い天気になりそうだ。その後、夕食、しばらく外で過ごした後、小屋に入った。狭い寝床だったが、疲れのせいかわりと寝むれた。夜にトイレに行き、星空を見た。天の川、星々もよく見えた。肩にあるだけに、満点の星空が頭上に広がるというわけにはいかなかった。小屋の1Fは韓国勢が占めていたが、さすがに深夜はおとなしく寝ている。明日は長い縦走が待っている。

     
 仙流荘前のバス停  いよいよ橋を渡る。後方は北岳t 気持ちの良い樹林帯大樺沢コース分岐へ今しばらくで
     
  目の前に二股と雪渓が 小太郎尾根   肩ノ小屋、ガスが晴れ晴れ間が出てきて


8月6日
肩ノ小屋(5:15出発)−北岳山頂(5:45着〜6:05)−八本歯のコル(6:25)−分岐(6:47)−北岳山荘(7:10〜7:20発)−中白峰山(7:55〜8:05)−間ノ岳(9:05〜9:20)−農鳥小屋(10:15〜10:25)−西農鳥岳(11:10〜11:45、昼食)−農鳥岳(12:25〜12:45)−下降点分岐(13:12)−大門沢小屋(15:45、泊)
         行動時間:10時間30分

夜明け前の4時半ころ、雲海の上にに富士山が浮かぶ。多くの登山客に混じり、ご来光の瞬間を写真にとらえ、満足して食事に戻る。早く並んだ順で、そこそこの朝食を味わう。暗いうちの早出も多いが、我々3人は、5時15分、十分明るくなったところで出発する。天気は快晴、今日の長い一日の始まりである。ここしばらく、腰の不調で、長い道を歩き通せるか不安の中の道中である。北岳には、岩の多い道を進む。目指す山頂は、真近に見えるピークのさらに奥、30分ほどかけて北岳山頂に到着する。山頂に近ずくにつれ広がっていた眺望が、360度の大パノラマになる。1昨年以来であるが、その時には十分な眺望は得られなかった。これから行く間ノ岳が、縦走路の先に堂々たる姿を見せる。足元から下るその先には北岳山荘の赤い屋根が見える。すばらしい稜線が続く。急な岩の道を慎重に下りる。所々に花が現れる。シコタンソウのの群落が目を引く。前方から登ってくる人も結構多い。北岳山荘から来るひとらしい。昨夜はすし詰め状態だったようだ。肩ノ小屋はまだましだったのか。アップダウンがあり、登りと下り、所々で花が楽しめる。シコタンソウ、イワギキョウ、少し時期遅れのミヤマダイコンソウ、キンロバイなど、おなじみの花が出てくる。7時10分に北岳山荘に到着する。なかなかにきれいな山荘だ。瀧井さんがお土産になるようなものが無いか見てくると言って小屋に入る。モンベル印のTシャツを購入した。小屋を出てしばらくすると、イブキジャコウソウ、イワギキョウの花、鳥のイワヒバリ、クモマベニヒカゲの好アングルと楽しみが次々と出てくる。8時前、稜線上に大きく立ちはだかるピークにたどり着く。中白峰山3055mとある。これが間ノ岳?、すぐに着いたなと一瞬勘違いする。間ノ岳は、この先の大きい山塊で、大きなな岩の塊が待ち受ける。道端の花は少なくなり、ハイマツ交じりの道にある。更に1時間で間ノ岳山頂だ。9時過ぎ、中白峰山からちょうど1時間、この間3000mの稜線歩きが続いた。富士山はシルエットにプラス程度で霞んでいるがここまで来るとずいぶん大きく見える。山頂の眺望は本当に素晴らしく、振り返った縦走路は格別で、北岳、甲斐駒ヶ岳、千丈岳から塩見岳の南ア縦走路が一望である。眺望を十分楽しみ、先を進む。このあと、下りも結構長く、緑の無い岩ばかりの道で、アップダウンが続く。ずっと見えている農鳥小屋につくまで、1時間弱かかった。小屋の主人は一風変わりものらしく、面白い(不愉快な)会話になる。ここでコーラを買う。あまり美味しくない。もっと我慢してから買えばよかった。500円と高額である。持っていくには重いので、残りは捨てた。次は西農鳥岳のやや尖った山容が目の前に立ちはだかる。11時10分、西農鳥岳到着する。ここで昼食、昨日に続き持参のレギュラーコーヒをふるまってくれる。今日のコーヒーは更に美味しい。感謝・感謝である。山頂は結構切り立っていて、存在感がある。これから向かう農鳥岳は、岩場の切り立った奥に見えるやや平坦な奥が山頂である。すこし雲がかかってきているが、今の時間なら十分視界があるうちに到着しそうである。間ノ岳を過ぎてからは、花も少なく、岩場の連続である。遠くに見えた山頂も40分で到着した。白根三山の縦走はこれで終わり、あとは下るのみとやや安易に皆が考えた。ここまで来た感慨にふけ、長めの休憩を取り、12時45分に今日の宿、大門沢小屋に向け出発する。山頂と、急坂を下った平坦なあたりで、広河原から出発してきた、ランナーが多くなる。大会ではなく、格好のコースだとか。小さなリュック、水だけが入っているのだろう。あっという間に見えなくなる。このあたりからガスで先が見通せない。ガスがかかった中に飛び込んでいくような格好である。しばらくで下降点の鉄の標識があり、本格的な下りが始まる。この下りが、結構急で、疲れもあって辛い時間になった。急傾斜に加え、景色もとくに見るものは無く、ひたすら樹林帯の中を下る。あとの二人が遅れ気味になり、スピードダウンする。途中で何組かも疲れた様子で休んでいて追い抜く格好になった。ここらで休んでやや遅れ気味の2人を待とうかと思ったが、あとから来た単独行の人が、もうすぐ小屋ですよと声をかけてくれた。そのまま小屋まで行くことにした。15時45分に大門沢小屋にたどり着いた。人だかりである。水は豊富、冷たい水でのどを潤す。夕食は、Webに出ていた如く、ヤマメの甘露煮にのみ、その辺の山菜が少し添えられていた程度の極悪の食事、今時こんな食事を出す小屋が残っていたとは驚きだった。小屋の前のベンチはあまり大きくなく、道具を広げた人が占拠し、入る余地がない。小屋は本当に混雑しており、寝床も通常の半分のスペース、常にとなりの人と接触し、快適とは程遠い。まあ、寝られなくても、明日はこもれび荘で快適だと言い聞かせ、横になる。

     
 白鳳三山越しのご来光 夜明けの 富士山、雲海の上に  北岳の影、後方は中央アルプス
     
北岳 山頂、後方は仙丈ヶ岳  間ノ岳〜農鳥岳に続く3000mの縦走路  甲斐駒ヶ岳、左手に鋸岳
     
 北岳を背景にクモマベニヒカゲ  間ノ岳への最後の登り、北岳を振り返って  間ノ岳
     
農鳥岳に向かう(農鳥小屋が)   中央の奥に最高峰、農鳥岳に向かう  農鳥岳
     
大門沢沿いに下る道すがら   キンロバイと中央アルプス  


8月7日
大門沢小屋(6:30、出発)−大岩(6:55着、7:20発)−沢(7:55、8:05発)−林道登山口(発電所2.2q、奈良田4.3q)(9:10)−第一発電所(9:45)−奈良田温泉(10:15、13:30バス)− 広河原(14:10、15:00発バス)− 北沢峠(15:25着)〜こもれび荘泊
荘(11:46)
 
                 行動時間:3時間45分   

今日はゆっくりで良いということで、5時にタマゴかけごはん程度の粗食の朝ごはんを食べ、人気の少なくなったお布団でしばらく横たわり、6時30分に出発する。この日はずっと下りで、登りがないから幾分ましである。樹林帯の沢沿いの道を行き、大岩と表示のあるポイントを過ぎ、道は柔らかい森の中を通っている。昨日とは全然違う印象である。結構怖い丸太の橋がある。半分折れた橋、崩れた橋、慎重に渡る。この丸太の橋は、昨日もあった、折れ曲がり、滑りやすく、結構気を使わされる。林道がある登山口には2時間40分ほどかかった。結構な歩きになった。登山口から奈良田までは4.3q、舗装道路の嫌な歩きが待っていた。救いは途中、チョウが結構いることだ。スミナガシは綺麗な固体だった。キチョウ、ジャコウアゲハ、スジグロシロチョウ、ミドリヒョウモン、ウラナミシジミなどなど思った以上に出会った。。発電所までおりると、温泉まであと少しらしい。途中、発電所を過ぎ、川沿いでミスジの大きな固体が飛んできた。オオミスジ?と勝手に解釈し、追っかける。だが止まってくれない。返す返すも残念だった。10時15分ころ奈良田温泉到着、古民家を綺麗に直した天井の高い平家の建物で、とてもよい雰囲気だった。温泉はぬるめでとても良かった。1時間ほどゆっくりお湯につかり、風呂上りに山梨名物ほうとうをいただく。最高に美味しかった。この温泉はまた来たいものだ。元気も一気に回復、13時30分のバスで広河原へ戻る。甲府駅行のバスには200人以上が並んでいて、バスロータリーは大変なことになっていた。反対方向の北沢峠へ戻るバスに乗り、こもれび荘に到着。この日の宿は、一人で布団も使え、食事、サービス、いろいろ面で快適でとても良かった。翌日の8月8日(月)は、甲斐駒、千丈、アサヨ峰のどれかに行こうという予定だった。同行の2人はアサヨ峰、私は十数年ぶりに甲斐駒ヶ岳にする。夜はよく眠れた。
今回、二百名山の農鳥岳を新たに加え、238の三百名山を達成した。

     
 丸太橋を渡る  発電所近くから登ってきた南ア  奈良田温泉のほうとう定食

チョウ
クモマベニヒカゲ スミナガシ スミナガシ
ジャコウアゲハ ミドリヒョウモン フタスジチョウ
花・鳥
     
 イワヒバリ  ミヤマハナシノブ  ミネウスユキソウ
     
 シコタンソウ(群落が次々現れる)  キンロバイ  イブキジャコウソウ
     
 イワギキョウ  ミヤマシオガマ  二股のお花畑

コースMAP
 
(国土地理院の地図を引用) 
2016年山の記録に戻る、チョウのページに戻る、花・鳥・その他に戻る 

作成日: 2015年8月25日