10)高島トレイル(三重嶽974m〜大御影山950m)  :2017年5月2日 2017年山の記録に戻る
 高島トレイル(たかしまとれいる)は、福井県境嶺南と滋賀県高島市の分水嶺に連なる尾根を結ぶ登山道である。福井県と滋賀県より直接山頂へ通じる登山道を始め尾根伝をトレイルランニングやトレッキングで縦走できる。範囲は、愛発越から三国岳まで高島トレイルの山々が含まれ、順に乗鞍岳、三国山、赤坂山、大谷山、大御影山、三重嶽、武奈ヶ嶽、二の谷山山頂の高島トレイルの標識、二の谷山、行者山、若狭駒ヶ岳、百里ヶ岳、三国岳となる。その間の高島トレイルの峠であるが、愛発越、黒河峠、粟柄越、抜土、近江坂、水坂峠、桜峠、搦谷越・小原越、横谷峠、駒ヶ越、池河内越、木地山峠、根来坂、おにゅう峠、ナベクボ峠、地蔵峠、岩谷峠と続く。(ウイキペディアより)
 一方、NPO法人高島トレイルクラブには、以下の説明記事が出ている。
 『マキノの愛発越(あらちごえ)から今津の山を経て、朽木の三国岳へ至る約80kmに及ぶ道は、水と緑、人のいきかう日本列島の日本海側と太平洋側を区切る中央分水嶺の中央部にあり、東西南北の気候や植生を合わせ持つ類い稀なエリアです。 トレイルを歩けば、あちこちから望むことができる琵琶湖と若狭湾は、このトレイルが中央分水嶺であることを教えてくれます。この高島トレイルは、藪に埋もれていた古道やかつて使われていた山道を活かしたもので、各地で地元の人がこつこつと整備してきた登山道を5町1村の合併とともにつなぎあわせて誕生しました。高島トレイルには、乗鞍岳、三国山・赤坂山、大谷山、大御影山、三重嶽、武奈ヶ嶽、二の谷山、行者山、駒ケ岳、百里ヶ岳、三国峠、三国岳といった山々があります。 環境の時代の原点というべき琵琶湖水源の森から中央分水嶺に立ち、こうした名山に登りながらトレイルを歩くのは楽しく、意義深いことです。 さあ私たちといっしょに、この夢のトレイルを歩いてみませんか。』。 このクラブでは、年間を通じてトレイルの企画があり、トレッキングを楽しむことができる。
現在トレイルの未踏部分は
@大谷山〜抜土〜近江坂分岐
A大御影山〜大日尾根〜三重嶽
B桜峠〜行者山〜横谷峠〜池原山分岐
である。
今回は、最も長いAのコースを歩いた。河内谷林道は現在は落合から進んだところにゲートがあって、かってのように本谷橋の登山口まで車では入れない。従って、トレイル詳細マップ(NPO法人高島トレイルクラブ発行)の点線で示したルートを登り下りで利用し、その他は、トレイルを歩くことにした。
登りは能登又谷口、下山は本谷口である。河内谷林道ゲート前に駐車して、三重嶽〜大御影山の尾根筋を一周縦走して戻る長い道のりである。

守山駅(7:00出発)〜161号〜箱館山〜落合〜河内谷林道ゲート−河内谷林道ゲート前(8:35、8:45出発)−三重嶽登り口(能登又谷登山口)(9:02)−(シャクナゲの群生地)−本谷ルート合流点(10:42〜10:47)−三重嶽(11:19〜11:29)−P943m(11:58)−昼食点(12:00〜12:32)−P887m(12:51)−P889m分岐(13:16)−P858m(13:33)−大日尾根分岐(13:39)−P780m(14:18)−大御影山(14:56〜15:06)−P857m(15:32)−河内谷林道下山口(本谷口)(16:12)−林道ゲート(17:03、17:13出発)
       歩行距離 : 15.14Km  所用時間 8時間19分(休憩時間を含む)

 駅に集合、登山口のある河内谷に向かう。連休中であるが、道は意外なほど空いていた。石田ダム経由でなく、箱館山のそばを通る峠越えにした。箱館山スキー場(旧)のそばを通り、「家族旅行村ビラデスト今津」の分岐を過ぎると道はにわかに厳しくなり、崩れてきた岩や、倒木が邪魔になる。慎重に進み、更に石田ダムからの合流点からは未舗装のこちらも結構厳しい道となる。最後に結構なぬかるみの道を通り抜け、河内谷林道ゲートに着いた。通行禁止、施錠されており、行けるところまでと思っていた皮算用が裏切られる。準備し、出発する。橋を渡り広い林道を進む。左手の谷向こうにはシャクナゲが綺麗だ。道は大変に綺麗で、何故通してくれないのか疑問に思う。15分ほどで、橋を渡ったところに高島トレイル三重嶽登山口が出てくる。本谷橋登山口まで行かず、この能登又谷口から登山を開始する。
河内谷林道ゲート 能登又谷口テープを頼りに

スギ林のわかりにくい急坂をテープを頼りに登りだす。樹林帯の中にテープで目印があり進む。急坂で、所々に補助ロープが張られている。このルートはあまり利用されていない様子で、踏み跡が分かりにくいところがある。テープが頼み綱だが、随分と前につけられたようである。木々の成長で木をかき分けるところも結構出てくる。そのうち、足元にはイワウチワがたくさん現れる。20分ほどで更に、「しゃくなげ」の群生地の中を進むことになる。花の時期にドンピシャ、30分の長い時間帯、シャクナゲ尾根を歩く。見事な花に、撮影のため、何度も足をとめる。結構厳しい尾根道が続いたが、花のおかげでそれほど苦痛に感じなかった。


左手の尾根筋の谷には残雪が筋状に残り今年の雪の多かったことを思い起こさせる。ブナ林も素晴らしく、新芽が美しい。

やがて勾配をややましになり、***ゴケが目立つようになると本谷橋からの登山道に合流する。ここまで登山口から1時間40分であった。低木も多く、落葉樹の明るい雰囲気が続く。少し道をはずれ、枯れたシダ類のところを行くと、琵琶湖が一望できる。竹生島に伊吹山、なかなかに素晴らしい眺望である。足元には所々残雪があり、この残雪の表面を取り除き、白い雪の部分を口に入れる。好天で汗が結構出ていたが、何とも美味しく感じられる。ミツバオウレンのかわいらしい花も見ることができる。
伊吹山と竹生島

上手前に、「本谷橋1.7q」、「落合4.3q」分岐の標示が出てきて、すぐに三重嶽頂上(974m)に着く。山頂からは琵琶湖も眺められる。以前は、櫓が立っていてこの上からしか見えなかったのだが…。

三重嶽山頂

しばらく休憩し、トレイルを進む。三重嶽山頂から、西方向にしばらくで、武奈ヶ嶽と大御影山との分岐があり、標示には「大御影山まで6.1km」、いよいよ、縦走路の稜線歩きに入る。右手方向に北尾根を進む。先の山肌は大きな雪渓を形成している。まだ新芽が出そろっていなくて、明るく気持ちの良い道が続く。目の前の943mピークで12:00、ここでの昼食を考えたが眺めが思ったより良くないため少し下った先で休むことにした。琵琶湖や大御影山の稜線が良く見える。コーヒも味わいゆったりとした気分である。そばの稜線に、キンキマメザクラの小さなピンク色の花弁が目を引く。30分余りの休憩で、出発する。
キンキマメザクラ
昼食場所から見た風景。
手前は大御影山、後方は乗鞍岳、琵琶湖

早々にカタクリが現れる。このカタクリ、大御影山まで、更に、本谷の下山途中までずっと見られる。所々で群生になっている。イワウチワモずっと同様に見られる。こちらの群落は密度も濃い。ミツバオウレンも色どりを添える。三重嶽から大日尾根分岐まで3.6q、P943m 、P887m、P889m、P858mとアップダウンを繰り返す。この間1時間30分、気持ちの良い稜線歩きである。見晴らしも良い。P943〜P889 の間は幾重にも別れたブナが多く、特にP889mとP858mでは曲がりくねった木が印象的である。
P858mの曲がりくねったブナ

根元には、イワナシが可憐な花を咲かせている。P858を過ぎるとすぐに大日尾根分岐に着く。これからは、道は広く、落葉もあって歩きやすくなる
大日尾根分岐、三重嶽3.6q、大御影山2.5q

広い稜線を好きに歩ける感じである。かっての近江坂、人々の生活の道だった。鞍部まで下り、大御影山まで登り返しとなる。カタクリは相変わらず多い。切り通しのような道もある。結構長い、それなりの勾配の道をゆっくりと登っていく。大日尾根分岐までの稜線から見たヤマザクラが右斜面上に現れる。結構大きなきで、花一面である。登り切ったと思ったその先に反射板が見え、右手に踏み跡らしき道を大日尾根分岐に直接向かう。後続の3人は途中でコシアブラを採り、トレイルマークに沿って稜線に出て、すぐに電波塔に到着した。そこから派生した尾根が本谷コースで、分かりにくいが小さな表示がある。一旦は大御影山に向かう。すぐである。山頂からは、乗鞍岳のトレイルが良く見える。その奥には、恐らく冠山〜能郷白山の山並みがあり、所々に残雪が目立つ。大御影山で一休みする。
山頂写真 

乗鞍岳のトレイル、奥に冠山〜能郷白山の山並み

反射板に戻り、左手に尾根を下る。古いテープを目印に尾根を下る。カタクリは相変わらず見られる。低木の見やすい尾根筋がしばらく続く。歩きやすい広い尾根筋で、テープを確認しながら下る。ブナ林、イワウチワの群落、ユズリハの群生地、最後に急なスギ林を下り、河内谷林道に出た。山頂から1時間5分ほど、すぐに本谷橋の登山口に出る。林道を50分歩き、ゲートに戻った。途中、コシアブラを追加した。
本谷登山口

帰りは石田ダムに向かった。林道は倒木、落石で荒れ果て、慎重の上に慎重に車を走らせた。ダムに出てホッとした。八重桜が満開であった。朽木を経由して守山に戻った。道はそれほど混んでいなかった。この上ない晴天、花々、残雪、新緑、歩き応えのある素晴らしい1日だった。

花々
シャクナゲ  ショウジョバカマ  イワナシ  キケマン スミレサイシン
   
 ミツバオウレン  ミヤマカタバミ イワウチワ  タムシバ  エンゴサク
         
カタクリ   キンキマメザクラ      

シジュウカラ

行程マップ(栢さんより拝借)

(国土地理院の地図より引用)



解説:
近江坂
近江坂は、若狭の「能登野」と近江の「酒波(さなみ)」を結ぶ長い峠道である。なだらかな稜線を持つ大御影山を越えていく道である。30qにもおよぶ馬道で江戸時代の以前から生活の道として歩かれた古道である。明治以降、軍の地図に「近江坂」の名が出て以来、このように呼ばれるようになったそうだ。

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作成日:2017年5月5日