16)霊仙山 1083.5m : 2018年5月12日 2018年山の記録に戻る2018年チョウのページに戻る2018年花・鳥・その他に戻る

 霊仙山(りょうぜんざん、りょうぜんやま)は、滋賀県の犬上郡多賀町と米原市にまたがる鈴鹿山脈の最北に位置する標高1,094 mの山。山の東山腹は岐阜県大垣市上石津町と不破郡関ケ原町に属する。北側には伊吹山が対峙している。『花の百名山』として花の多い山であることが知られていて、シーズン中は多くの登山者が訪れる。正式な読みは「りょうぜんざん」であるが、「りょうぜんやま」と読まれたり、「霊仙」と略称されることも多い。
 歴史:近江国坂田郡(現・米原市)を根拠地とする地方豪族・息長氏の出身とも伝えられる平安時代前期の法相宗の僧であり、日本で唯一の三蔵法師である霊仙を、名祖(なおや)とする。「霊仙三蔵堂」が麓の醒井養鱒場の脇に建立されている。明治以前には「霊山」と呼ばれていて、祖先の霊が籠る山であることが山名の由来であるとする説もある。奈良時代に山頂に「霊仙寺」が建立されたと伝えられているが、現在はその痕跡は見られない。榑ヶ畑コースの登山口付近には、第二次世界大戦には約50戸、160人の榑ヶ畑集落があったが、1957年(昭和32年)に廃村となった。現在は緩やかな山の斜面に民家の石垣が残され、ユキノシタが見られる。経塚山(北霊仙山)に役小角の修行所があり、宣教大師が山麓に7つの寺院を建立したと伝えられていて、松尾寺がその一つである。672年(白鳳元年) - 704年(慶雲元年)と2度に渡り、山頂に霊仙寺が建立され、そこで研いだ米の水が溜まって山頂の北側にある「お虎ヶ池」となり、それが流れ出して「漆ヶ滝」ができたという伝説がある。1950年(昭和25年) - 琵琶湖国定公園の特別地区に編入される。1998年(平成10年)- 台風で霊仙山の山頂北東の避難小屋が倒壊した。2003年(平成15年) - 霊仙山の山頂北東の避難小屋が再建された。
 自然環境:山体は石灰岩からなり、なだらかな山の上部にはカレンフェルトやドリーネなどのカルスト地形が見られ、「近江カルスト」の一角をなしている。山頂部には窪みが多数あり、「お虎ヶ池」はドリーネにたまった池とみられている。南西の山麓には河内風穴の鍾乳洞がある。多賀町の北東部に位置している山頂からは近江盆地と琵琶湖が一望できる。南西尾根の近江展望台から望む霊仙山の頂上部、石灰岩が散乱する稜線で、フクジュソウやヤマシャクヤクの群生地がある。スキー場などの大規模開発がほとんど行われていないため、豊かな自然が残っている。比較的登りやすいなだらかな山であり、登山道も整備されているため、登山初心者を始め登山客に人気が高い。山頂部にあるお虎ヶ池には霊仙神社がある。冬には、日本海側の若狭湾方面からの季節風の影響を受け雪雲が流れ込み易く、山頂部は1 mを越える積雪となることが多い。
 動物:
山中には、アズマヒキガエル、ニホンジカ、ニホンリス、アカゲラ、イヌワシなどが生息している。夏場や湿度の高い時期にはヤマビルが多い地域であるため、事前の情報収集やヒル対策が必要である。登山道では花を吸蜜するウスバシロチョウ、キアゲハ、スジグロシロチョウなどが見られる。山頂直下にある「お虎ヶ池」では、アキアカネやオニヤンマが見られる。
 植物
山頂部にはカエデ属のオオイタヤメイゲツ、クマザサやススキなどが分布している。中腹下部では炭焼きに利用されていたブナなどの広葉樹林の二次林があり、下部一帯はスギの植林地となっている。田中澄江により『花の百名山』に選定されていて、その著書で代表する花として「ヒロハノアマナ」が紹介された。春には石灰岩質の西南尾根にフクジュソウ(福寿草)の群落やニリンソウ、ベンケイソウ科のヒメレンゲ、ヤマシャクヤクなどが見られ、夏から秋には山頂一帯にイブキアザミ、イブキトラノオ、トリカブトやリュウノウギク、リンドウなどが咲き。山頂部直下北側にあるお虎ヶ池ではヒルムシロが見られる。登山道の周辺では、春から初夏にかけてアカモノ、イチリンソウ、エビネ、キツリフネ、サワギク、スミレ、チゴユリ、バイケイソウ、ハシリドコロ、ヒトリシズカ、ヒロハノアマナ、フウロソウ属のヒメフウロ、ホウチャクソウ、ミスミソウなどの花も見られる。
 登山:
登山家の内田嘉弘は1957年に霊仙山へ登ったことがきっかけとなり、その道に進んだ。花の百名山、ぎふ百山、関西百名山に選定されている。登山コースとしては各方面からの以下の登山道がある登山道は地元の住人らにより整備されている。山頂部は高い樹木が生育できず、石灰岩が点在し360度の良好な展望がある榑ヶ畑コースが最短のコースで、よく利用されている。
@榑ヶ畑コース - 醒ヶ井養鱒場の林道の先の廃村となった榑ヶ畑が登山口から、山小屋かなや、二合目の汗拭き峠、五合目の近江見晴らし台、お猿岩、お虎ヶ池と霊仙神社、経塚山を経て山頂に至るコースである。登山口に休憩所が設置されている。
A谷山谷コース - 上丹生集落の先の天野川の支流の丹生川に沿ったコースで、谷山谷沿いには屏風岩、コウモリ穴、くぐり岩、漆ヶ滝がある。谷山との鞍部で柏原からのコースに合流し、経塚山を経て山頂に至る。途中に山腹を巻く枝道がある。
B今畑コース - 廃村となった今畑から宗金寺、笹峠、近江展望台、南霊山を経て最高点の至る西南尾根に沿ったフクジュソウなどの花の多いコース。近江展望台からは琵琶湖などの展望が良い。
C柏原コース - JR東海の東海道本線柏原駅からの北東の尾根に沿ったコースで、四合目と経塚山手前に避難小屋がある。谷山(標高993 m)の北側斜面を巻き、山頂避難小屋と経塚山を経て山頂に至る。
D梓河内コース - 天野川の支流の梓川に沿った梓河内の集落からの北側の尾根に沿ったコースで、柏原からのコースの七合目で合流する。
他にバリエーションルートがある。(ウイキペディアより引用)

霊仙山は花百名山で知られた山である。4月上旬にはフクジュソウが咲き、その後、花百名山の由来となったヒロハノアマナが咲く。これらは鈴鹿の山に咲く花として良く知られている。5月には、今回の訪問の目的となるヤマシャクヤク、ヒメレンゲ、エビネが楽しめる。ウスバシロチョウにも出会えた充実の1日となった。
今畑登山口から笹峠に出て、近江展望台に登り、山頂に向かう。その後は、汗ふき峠から落合に下る周遊コースを取った。

守山駅(8:15)−落合駐車場所(9:50、57出発)−今畑登山口(10:00)−笹峠(10:50,10:57)−近江展望台(11:10〜20、ヒメレンゲ撮影)‐1020m地点(11:58〜12:24 昼食)−霊仙山(14:07〜14:20)−お虎ヶ池神社8合目(14:45〜14:50)−お猿岩7合目(14:58)−5合目見晴台(15:13)−4合目(15:21)−汗ふき峠(15:35〜48)−落合(16:33、16:43出発)−守山駅(18:20)
     行動時間 7:50、 歩行距離約14.35km、累積登高765m

守山駅に集合する。日曜日の天気が思わしくないため、1日早めた。そのため、参加者が大幅に減り、3人での例会になった。守山駅から、今畑登山口まで50q以上だが、渋滞にあうことなく予定通りの時間で到着した。駐車場所に苦労すると予想していたが、すぐ近くに止めることができた。登山客の多くが榑ヶ畑登山口を利用していた。後で調べてえっと驚いたことだが、米原市のHPには霊仙山の登山について次のような注意があることが分かった。
 米原市の注意:霊仙山登山道は一部通行できません(平成30年5月現在)
 
・上丹生登山口からの谷山谷登山道・榑ヶ畑登山道の汗拭峠から落合(多賀町方面)
 ・危険防止のため通行しないでください。 
 ・平成24年9月の大雨の影響により、土砂崩れが発生し通行できません。
 ・当面復旧の見込みはございません。復旧され次第、当ページにてお知らせいたします
このためと思われるが、実際には、歩くことができるようにテープやロープが張られ、榑ヶ畑登山口の利用者もかなりの人が周遊コースを利用し、この谷を通っている。事前のヤマレコのネット調べでも、周遊コースが出ている。
 
 10時前には出発し、今畑登山口から植林のスギ林を登る。つずら折りの道には早々にクリンソウが咲いてある。少し登った廃村付近、更に登った先は、群生地になっている。花の色も綺麗で、今が最盛期だ。幸先が良いと喜びながら、通りなれた道を登る。キランソウもたまに出てくる。
クリンソウ、何箇所か群落が得てくる

最初は急な坂であるが、次第に穏やかになり、ごつごつとした岩が出てくる。広葉樹林帯になり、新緑を通して左手に近江展望台への急な山容が見られる。ややうす暗い林床には、花の姿も見える。約50分ほど歩き、右手のスギ林が切れ、明るい草地が見える。BS放送で出ていた、これから先の近江展望台への全容が見える場所に出る。

チョウが飛んでいる。アサギマダラとすぐわかる、その後、ウスバシロチョウも現れる、1匹は遠くに飛んで行ったが、もう1匹は、真っ白にたくさんのh名をつけた木にとまり仕切りに吸蜜している。レンズを望遠に替え、何回もシャッターを押す。後で拡大し、何とかものになった。
ウスバシロチョウ
ここから林に入るころから足元にエビネが数株集まって咲いている。笹峠周辺で、岩のそばや、木の幹近くにもおおい。これから先、近江展望台への急坂(こちらは日あたりが良く、やや彼気味)にも咲いている。これほど見られるとは予想外だった。
エビネが美しい

花やチョウを楽しんだ後、いよいよ急坂を登る。良く踏み込まれた跡もあるが、岩と岩の間をそれぞれ好きに登ってゆく。下ってくるひとも多い。小さな花もよく見られる。丁寧に写真を撮る。スミレ、ハタザオ、イチリンソウ。きつい坂を休み休みで登る。時折、ウスバシロチョウがかすめてゆく。高度をあげるにつれ視界が広がり、鈴鹿の南が一望できる。御池岳の右手に2日前に登った竜ヶ岳から静ヶ岳の稜線が見える。左手には琵琶湖も良く見える。

近江展望台表示には登山口から2時間9分、やっと着いたといったところだ。南方向は素晴らしい展望だ。その先に展望台の表示があるが、まずは右手のヒメレンゲの撮影に移る。石灰岩のごつごつとした岩の間に黄色の絨毯が敷き詰められたようになっている。あちらこちらに群落があり、規模も相当なものだ。花の色も美しい。一応撮影を終え、表示に戻るまでに10分以上は経った。充実の撮影だった。ヒメレンゲはこの後、この稜線の端まで数百mは続く。黄色のヒメレンゲに混じってハクサンハタザオの白い花も目を引く。

 ヒメレンゲ
   

     

時間は12:20、お昼だが、稜線の左にあるヤマシャクヤクを見てからにする。歩き難い岩の上を越え、左手の樹林の中へ入る。日のあたった場所は花びらが落ちた株であるが、ほとんどは日陰で、十分見ごたえがある。1ッ1つの花も美しいが、群落の咲きっぷりが見事だ。進むほどに、群落が現れ、一帯が大群落である。かなり下まで群落が続くが、上のほうだけでも十分である。咲き終わるピークまで約40分、苔むした岩や木々の間を歩き回る。やっと13:00前にお昼にする。
     
     

お昼は、ヤマシャクを見ながらの贅沢なものだった。セセリチョウが何度も現れ、撮影を試みたがなかなか止まらない。止ままりそうになるともう1頭が現れ、勢力争いする。よく観察した結果、アオバセセリだと分かった。こんなところにもいるのだと、感心した。
昼食タイム

花越しに山頂写真も撮ることができた。昼食場所周辺にもヒメレンゲがあって、こちらは木や岩についた苔の上に生えている。趣は抜群である。
     

コーヒを飲んだ後、出発する。すぐに本来の道に出るのではなく、左の稜線を進む。山頂に向け、踏み跡があるように見える。あまり遮るものもないところだから行こうと思えば、ショートカットが出来そうだ。
右手が本来の登山道、左手を進む。

少し進んで右手に行き、本道に出る、かってあった池はなくなり、それを遠巻きにする格好で合流した。岩場から砂まじりの道に出る。綺麗なイチリンソウや花はないがヒロハノアマナなどが見られる。ここからの眺望も一級品だ。振り返れば近江展望台からの稜線越しに鈴鹿主稜線が見える。
近江展望台からの稜線
藤原岳〜御池岳〜雨乞岳、静ヶ岳〜竜ヶ岳、手前は鍋床山

登り切ったところからは北方向に伊吹山〜ブンゲン山〜金糞岳などの山々が展開する。表示があり、左手に山頂を目指す。カルスト地形が美しい。その地形越しに歩いてきた稜線、その先に南の鈴鹿主稜線が一望される。
 従来だと最高峰を登り、山頂に行く道だけであったが、いつの間にか左手に巻いたかたちで踏み跡がある。時間
結構立っており、山頂周辺は寂しくなっている。迷わず巻き道を進む。下からいくつかの道が合流している。左手に大きく回ってくることを避け、ショートカットで直接山頂に出る人があるらしい。巻き道は草も多く、イチリンソウやスミレも見られる。

コバノミミナグサ


イチリンソウ

一旦は下まで降り、登り返せば山頂に出る。いつもながら山頂からの眺めは素晴らしい。北には伊吹山〜金糞岳、東には琵琶湖、長浜、南は鈴鹿山脈主稜線、西には奥美濃の山々、と、大パノラマが広がる。

北の伊吹山〜ブンゲン山〜金糞岳

山頂写真

山頂からは元来た道を引き返し、左手に下る。下までおりたところから、**山へは登り返さず、細い沢に沿って進む。残雪のころにはここには雪が積もり、そのうえを歩くことになる。このあたりの斜面は何もなく山頂から一気に下りることもできそうだが、登山道を歩くことが植物の保護になる。登り返せば鳥居の立った「お虎ヶ池」の霊仙神社である。毎年、春にはお参りがある。8合目、米原市になっている。

「お虎ヶ池」の霊仙神社から見た霊仙山

カルスト地形の素晴らしい景色を見ながら進むと10分もしないうちにお猿岩7合目に着く。どれがお猿岩なのかよくわからない。大きな岩がお猿の顔に見えなくもない。
お猿岩7合目

ここからは下りになる。しばらくは見晴らしが良く、足元にキン??バイソウやニョイスミレ、***などが少ないながら見られる。その後は、樹林帯の急な道になるが、新緑で美しい。5合目見晴台、4合目と表示が出てくる。登山道が深くえぐれたところに来れば、しばらくで汗ふき峠である。ここからは右手に出れば榑ヶ畑の登山口である。峠には2人が休んで板が、女性の方は青白い顔をして、いかにも疲れたといった雰囲気だった。ここで長い休憩を取る。足元の不安定な急坂を注意深く下る。しばらくで、谷筋に下りる。前と特に変わったところはなかった。落合から榑ヶ畑に帰る登山客と出会う。皆、疲れた顔をしている。挨拶を交わす。歩いている谷筋も、しばらく行くと倒木があり、谷が荒れていることが一目でわかる。進むにつれ荒廃がひどく、崩壊している。
崩壊した谷、その後渡渉を余儀なくされる。
やむなく渡渉して逆に出る。またわたり直す。谷を出るところには、堰の工事が行われている最中だった。かなり大掛かりで、注意して工事現場を過ぎる。道は工事車両用に大きく削られ変わり果てている。やっと神社横に出てしばらくで、右手から分かれた道奥に落合の駐車場がある。外来者用の駐車場だ。これからはここに止めればよい。しかしその先で、工事中の文字、通行止めと書いてある。土日は良いが、週日の工事があるときはどうなるのか心配だ。
車の止めてあるところはすぐで、靴を履き替え、帰宅する。途中、山際の比較的広い草地で、サルの一家に出会った。赤ちゃんを抱いた母親、そのそばで年齢の違う3匹の子供、道の反対には立派な体格のオスが何やら口に入れていた。車からの撮影で、サルは逃げようともしなかった。
赤ちゃんを抱いている

オス

その後は、交通事情も良く、予定通り守山駅で2人と別れた。花花の素晴らしい1日だった。

その他の花の写真
     
タチツボスミレ ハクサンハタザオ  ツボスミレ(ニョイスミレ)
     
ツルキジムシロ?  キランソウシ タチツボスミレ
     
タニギキョウ    
     
ヒトリシズカ   オドリコソウ オククルマムグラ 
     
フタリシズカ ニオイタチツボスミレ   

チョウの写真
前回撮影できなかったコツバメを撮影した。シャクナゲの花の中に深く入り込み吸蜜するところを撮影できた。
     
 スジグロシロチョウ    ??ガ

行程MAP


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作成日:2018年5月15日