15)霊仙山 1083.5m : 2019年5月12日 2019年山の記録に戻る、2019年チョウのページに戻る、2019年花・鳥・その他に戻る 霊仙山(りょうぜんざん、りょうぜんやま)は、滋賀県の犬上郡多賀町と米原市にまたがる鈴鹿山脈の最北に位置する標高1,094 mの山。山の東山腹は岐阜県大垣市上石津町と不破郡関ケ原町に属する。北側には伊吹山が対峙している。『花の百名山』として花の多い山であることが知られていて、シーズン中は多くの登山者が訪れる。正式な読みは「りょうぜんざん」であるが、「りょうぜんやま」と読まれたり、「霊仙」と略称されることも多い。 歴史:近江国坂田郡(現・米原市)を根拠地とする地方豪族・息長氏の出身とも伝えられる平安時代前期の法相宗の僧であり、日本で唯一の三蔵法師である霊仙を、名祖(なおや)とする。「霊仙三蔵堂」が麓の醒井養鱒場の脇に建立されている。明治以前には「霊山」と呼ばれていて、祖先の霊が籠る山であることが山名の由来であるとする説もある。奈良時代に山頂に「霊仙寺」が建立されたと伝えられているが、現在はその痕跡は見られない。榑ヶ畑コースの登山口付近には、第二次世界大戦には約50戸、160人の榑ヶ畑集落があったが、1957年(昭和32年)に廃村となった。現在は緩やかな山の斜面に民家の石垣が残され、ユキノシタが見られる。経塚山(北霊仙山)に役小角の修行所があり、宣教大師が山麓に7つの寺院を建立したと伝えられていて、松尾寺がその一つである。672年(白鳳元年) - 704年(慶雲元年)と2度に渡り、山頂に霊仙寺が建立され、そこで研いだ米の水が溜まって山頂の北側にある「お虎ヶ池」となり、それが流れ出して「漆ヶ滝」ができたという伝説がある。1950年(昭和25年) - 琵琶湖国定公園の特別地区に編入される。1998年(平成10年)- 台風で霊仙山の山頂北東の避難小屋が倒壊した。2003年(平成15年) - 霊仙山の山頂北東の避難小屋が再建された。 自然環境:山体は石灰岩からなり、なだらかな山の上部にはカレンフェルトやドリーネなどのカルスト地形が見られ、「近江カルスト」の一角をなしている。山頂部には窪みが多数あり、「お虎ヶ池」はドリーネにたまった池とみられている。南西の山麓には河内風穴の鍾乳洞がある。多賀町の北東部に位置している山頂からは近江盆地と琵琶湖が一望できる。南西尾根の近江展望台から望む霊仙山の頂上部、石灰岩が散乱する稜線で、フクジュソウやヤマシャクヤクの群生地がある。スキー場などの大規模開発がほとんど行われていないため、豊かな自然が残っている。比較的登りやすいなだらかな山であり、登山道も整備されているため、登山初心者を始め登山客に人気が高い。山頂部にあるお虎ヶ池には霊仙神社がある。冬には、日本海側の若狭湾方面からの季節風の影響を受け雪雲が流れ込み易く、山頂部は1 mを越える積雪となることが多い。 動物:山中には、アズマヒキガエル、ニホンジカ、ニホンリス、アカゲラ、イヌワシなどが生息している。夏場や湿度の高い時期にはヤマビルが多い地域であるため、事前の情報収集やヒル対策が必要である。登山道では花を吸蜜するウスバシロチョウ、キアゲハ、スジグロシロチョウなどが見られる。山頂直下にある「お虎ヶ池」では、アキアカネやオニヤンマが見られる。 植物:山頂部にはカエデ属のオオイタヤメイゲツ、クマザサやススキなどが分布している。中腹下部では炭焼きに利用されていたブナなどの広葉樹林の二次林があり、下部一帯はスギの植林地となっている。田中澄江により『花の百名山』に選定されていて、その著書で代表する花として「ヒロハノアマナ」が紹介された。春には石灰岩質の西南尾根にフクジュソウ(福寿草)の群落やニリンソウ、ベンケイソウ科のヒメレンゲ、ヤマシャクヤクなどが見られ、夏から秋には山頂一帯にイブキアザミ、イブキトラノオ、トリカブトやリュウノウギク、リンドウなどが咲き。山頂部直下北側にあるお虎ヶ池ではヒルムシロが見られる。登山道の周辺では、春から初夏にかけてアカモノ、イチリンソウ、エビネ、キツリフネ、サワギク、スミレ、チゴユリ、バイケイソウ、ハシリドコロ、ヒトリシズカ、ヒロハノアマナ、フウロソウ属のヒメフウロ、ホウチャクソウ、ミスミソウなどの花も見られる。 登山:登山家の内田嘉弘は1957年に霊仙山へ登ったことがきっかけとなり、その道に進んだ。花の百名山、ぎふ百山、関西百名山に選定されている。登山コースとしては、各方面からの以下の登山道がある登山道は地元の住人らにより整備されている。山頂部は高い樹木が生育できず、石灰岩が点在し360度の良好な展望がある榑ヶ畑コースが最短のコースで、よく利用されている。 @榑ヶ畑コース - 醒ヶ井養鱒場の林道の先の廃村となった榑ヶ畑が登山口から、山小屋かなや、二合目の汗拭き峠、五合目の近江見晴らし台、お猿岩、お虎ヶ池と霊仙神社、経塚山を経て山頂に至るコースである。登山口に休憩所が設置されている。 A谷山谷コース - 上丹生集落の先の天野川の支流の丹生川に沿ったコースで、谷山谷沿いには屏風岩、コウモリ穴、くぐり岩、漆ヶ滝がある。谷山との鞍部で柏原からのコースに合流し、経塚山を経て山頂に至る。途中に山腹を巻く枝道がある。 B今畑コース - 廃村となった今畑から宗金寺、笹峠、近江展望台、南霊山を経て最高点の至る西南尾根に沿ったフクジュソウなどの花の多いコース。近江展望台からは琵琶湖などの展望が良い。 C柏原コース - JR東海の東海道本線柏原駅からの北東の尾根に沿ったコースで、四合目と経塚山手前に避難小屋がある。谷山(標高993 m)の北側斜面を巻き、山頂避難小屋と経塚山を経て山頂に至る。 D梓河内コース - 天野川の支流の梓川に沿った梓河内の集落からの北側の尾根に沿ったコースで、柏原からのコースの七合目で合流する。 他にバリエーションルートがある。(ウイキペディアより引用) 霊仙山は花百名山で知られた山である。4月上旬にはフクジュソウが咲き、その後、花百名山の由来となったヒロハノアマナが咲く。これらは鈴鹿の山に咲く花として良く知られている。5月には、今回の訪問の目的となるヤマシャクヤク、ヒメレンゲ、エビネが楽しめる。運が良ければチョウの出会いも期待できる。 今回は初めて汗ふき峠からの時計回りの周回を取った。峠から5合目までの間に2回のヤマシャクの群生地があり、ここを確認したかったため時間にゆとりを持たせた。西南稜のヤマシャクはまだまだこれからだった、ヒメレンゲもこらからが旬の様子だった。晴天に恵まれ充実の山行になった。 守山駅(7:10)−落合駐車場(8:35、45出発)−汗ふき峠(9:25〜9:35)−3合目(9:38)−729mP前(10:00〜10:15、ヤマシャク撮影)− 5合目(10:24〜10:37、ヤマシャク撮影)−お猿岩7合目(11:08)−お虎ヶ池神社8合目(11:18)−稜線合流点(11:43)−霊仙山(11:48〜12:28)−陥没地(12:38)−登山道稜線P1038(12:43)−ヤマシャク群生地探索/ヒメレンゲ撮影−近江展望台(13:33〜38)−笹峠(14:26)−今畑登山口(15:05)−落合駐車場(15:15、15:30出発)−守山駅(17:20) 行動時間 6:33、 歩行距離約10.2km、累積登高1279m 守山駅で2人をピックアップする。空は雲ひとつ見えない快晴で期待が持てる。5月の10連休の後の日曜日とあって、車も少なく快適に進む。多賀神社の傍のコンビニでコーヒーを買い、1時間25分で落合最奥の駐車場に着く。今日は、725mPと5合目でのヤマシャクの撮影を予定しているため、いつもとは逆の歩きに決めて出発する。谷筋の道を進む。テングチョウやコミスジが現れる。1昨年の台風の影響で、川が損壊し、今年の今が大規模な補修工事中である。足元に気を付けながら谷筋を進み、最後に渡渉をして、対岸に出る。 足元に気を付けながら渡渉 しばらくは緩やかなスギ林の道を歩くが、やがてスギ林の中の急な道を登りきると汗ふき峠に着く。新緑の緑が目にも鮮やかである。 汗ふき峠 新緑の林の道を進む。レンゲツツジ、マルバアオダモが美しい。子供づれのグループ、若い人のグループとにぎやかである。木立の中の道でさわやかである。今日は30度近くになるとの予報であるが、吹く風もさわやかに感じる。予め印刷していたヤマシャクの撮影場所に気をつけながら、3合目を過ぎ、P729mの手前で出会った登山者に聞くと、すぐ先の派生した尾根筋を下って行けばということを確認し、登山道を離れる。およそ40mくらい下った先の尾根筋の左右に群生地があるが、上から見て右の崖に株が多い。花も今が時期で綺麗だった。残りの2人は登山道で待機し来る様子もないことから、大急ぎで撮影を済ませ駆け戻る。群生地はかなりの急坂にある。撮影を済ませ、次のポイントに向かう。さらに10分歩いた5合目の左手は大きなヤマシャクの群生地になっている。こちらは登山道のすぐそばで、見学する人、写真を撮る人で賑わっている。 ヤマシャクの群生地 休憩を兼ね、10分強時間を取る。写真の枚数もかなりになる。イチリンソウ、ヒトリシズカ、イワギキョウも見られる。ここから先は登りもきつくなる。ブナ林の中を、いくつかの花々(キランソウ、ハクサンハタザオ他)を見ながら30分ほど登る。登り切った開けた先がカルスト台地の始まりになるお猿岩7合目である。ここからの歩きは一気に視界が開け、竹生島が一望できる。前方に経塚山、右手に霊仙山を見ながら草原を歩く。カルスト台地を10分でお虎ヶ池神社8合目に着く。ここまで、ニリンソウ、タチツボスミレ、ツボスミレが多い。 お虎ヶ池神社8合目 撮影を済ませ先に進むが今まで何度も通った道、今回は、本道を離れ、経塚山を通らないショートカットを選ぶ。谷に沿った道で、バイケイソウが大きく伸びている。イチリンソウの7枚花、ツボスミレを楽しむ。しばらく進んだのち、谷筋風の道を離れ、山頂に向かって踏み跡らしき道をとる。本道には登山者があちらこちらで見られ、活気にあふれている。これらの登山客の多くは榑ヶ畑登山口を利用していた。 スミレやイチリンソウの花がなくなり、岩の多い道に出てひと登りで最高峰と霊仙山への分岐に出る。右手に進むとすぐに山頂で、たくさんの登山客であふれている。北の伊吹山から金糞岳方向は霞んで見えないが、南方向の鈴鹿山系や西の琵琶湖方向は素晴らしい眺望がえられる。2人連れの一人に頼んで記念撮影をお願いする。 藤原岳〜御池岳〜雨乞岳、静ヶ岳〜竜ヶ岳、手前は鍋床山 時間は予定のお昼前、日影のないところであるが腰を下ろす。キアゲハが時折姿を見せ、とまっては飛び立つ。40分ちょうどで、先を進む。先の稜線を避け、山腹を巻いた形で下る。草原の中を下っていき、時には踏み跡のないところを進む。下った先には陥没地がありそっと覗く。 下が空洞になっており、陥没したのだろうか。ここからは西南稜の端に向かって適当に登る。5分ほどで、P1038付近に出る。南〜東方向に視界が開け、西南稜が見渡せる。昨年はヒロハノノアマナを見つけたところだが、今日は、何も見つけられなかった。山頂からここまで結構なショートカットのなった。西南稜の岩場を岩伝いに進む。岩の間から、ヒトリシズカ、オドリコソウなどが楽しめる。 一旦は岩がを離れ、また岩場を歩く。ごつごつとした岩場の西側は広大なヤマシャクの群生地だが皆つぼみの状態でまだ1週間はかかりそうである。そんな中で、稜線の日のよく当たる部分では1区画だけ花が咲いている。何とか写真を撮り、すぐ先の近江展望台に向かう。やがて、岩と古木に密生したヒメレンゲを見ることができた。東斜面の岩の間にも見られるが、まだまだ満開にはなっていない。 ヒメレンゲ ヤマシャク群生地探索やヒメレンゲの撮影で思ったよりも時間を使い、ショートカットしたにも関わらず、山頂から1時間かかって近江展望台に着いた。しばらく鈴鹿山系の稜線を眺めたのち下りにかかる。岩場と滑りやすい砂地の部分が交互に現れ、慎重に下る。登りも長いが下りも結構時間がかかる。時折景色を楽しみながら、やっと樹林帯に入る。ここはエビネの多い場所で、岩そばに点在する。開花の様子からまだこれからである。しばらく進んだのち、登山道を離れ、明るい小高いところを通過する。ここのエビネはちょうど旬であった。 振り返るかえれば近江展望台への急坂が眺められる場所でもある。 近江展望台 エビネ しばらくで笹峠、樹林帯の中の道を下る。枯葉が敷き詰められ結構歩きやすい道が続く。峠から20分ほどでクリンソウの咲く場所に出る。かっては家屋のあった場所であるが、湧水が寂しく出ている。少し道を離れ、クリンソウを撮影する。ここを過ぎればすぐに今畑の登山口である。10分弱歩いて駐車場に戻った。途中、クサノオウ、シャガ、ミヤマキケマンなどを見ることができた。帰り支度をして車を出した。朝見かけたサルのいた所にはもうサルを見ることはなかった。 出会った花々
チョウの写真 コミスジ 他にはテングチョウ、西南稜ではセセリ(昨年はアオバセセリだった)、キアゲハ、ヒオドシチョウ、スジグロシロチョウなど 行程MAP (YAMAPより引用) (国土地理院の地図を引用) 2019年山の記録に戻る、2019年チョウのページに戻る、2019年花・鳥・その他に戻る 作成日:2019年5月15日 |
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