23)霊仙山 1083.5m : 2020年4月6日 2020年山の記録に戻る、2020年チョウのページに戻る、2020年花・鳥・その他に戻る 霊仙山(りょうぜんざん、りょうぜんやま)は、滋賀県の犬上郡多賀町と米原市にまたがる鈴鹿山脈の最北に位置する標高1,094 mの山。山の東山腹は岐阜県大垣市上石津町と不破郡関ケ原町に属する。北側には伊吹山が対峙している。『花の百名山』として花の多い山であることが知られていて、シーズン中は多くの登山者が訪れる。正式な読みは「りょうぜんざん」であるが、「りょうぜんやま」と読まれたり、「霊仙」と略称されることも多い。 歴史:近江国坂田郡(現・米原市)を根拠地とする地方豪族・息長氏の出身とも伝えられる平安時代前期の法相宗の僧であり、日本で唯一の三蔵法師である霊仙を、名祖(なおや)とする。「霊仙三蔵堂」が麓の醒井養鱒場の脇に建立されている。明治以前には「霊山」と呼ばれていて、祖先の霊が籠る山であることが山名の由来であるとする説もある。奈良時代に山頂に「霊仙寺」が建立されたと伝えられているが、現在はその痕跡は見られない。榑ヶ畑コースの登山口付近には、第二次世界大戦には約50戸、160人の榑ヶ畑集落があったが、1957年(昭和32年)に廃村となった。現在は緩やかな山の斜面に民家の石垣が残され、ユキノシタが見られる。経塚山(北霊仙山)に役小角の修行所があり、宣教大師が山麓に7つの寺院を建立したと伝えられていて、松尾寺がその一つである。672年(白鳳元年) - 704年(慶雲元年)と2度に渡り、山頂に霊仙寺が建立され、そこで研いだ米の水が溜まって山頂の北側にある「お虎ヶ池」となり、それが流れ出して「漆ヶ滝」ができたという伝説がある。1950年(昭和25年) - 琵琶湖国定公園の特別地区に編入される。1998年(平成10年)- 台風で霊仙山の山頂北東の避難小屋が倒壊した。2003年(平成15年) - 霊仙山の山頂北東の避難小屋が再建された。 自然環境:山体は石灰岩からなり、なだらかな山の上部にはカレンフェルトやドリーネなどのカルスト地形が見られ、「近江カルスト」の一角をなしている。山頂部には窪みが多数あり、「お虎ヶ池」はドリーネにたまった池とみられている。南西の山麓には河内風穴の鍾乳洞がある。多賀町の北東部に位置している山頂からは近江盆地と琵琶湖が一望できる。南西尾根の近江展望台から望む霊仙山の頂上部、石灰岩が散乱する稜線で、フクジュソウやヤマシャクヤクの群生地がある。スキー場などの大規模開発がほとんど行われていないため、豊かな自然が残っている。比較的登りやすいなだらかな山であり、登山道も整備されているため、登山初心者を始め登山客に人気が高い。山頂部にあるお虎ヶ池には霊仙神社がある。冬には、日本海側の若狭湾方面からの季節風の影響を受け雪雲が流れ込み易く、山頂部は1 mを越える積雪となることが多い。 動物:山中には、アズマヒキガエル、ニホンジカ、ニホンリス、アカゲラ、イヌワシなどが生息している。夏場や湿度の高い時期にはヤマビルが多い地域であるため、事前の情報収集やヒル対策が必要である。登山道では花を吸蜜するウスバシロチョウ、キアゲハ、スジグロシロチョウなどが見られる。山頂直下にある「お虎ヶ池」では、アキアカネやオニヤンマが見られる。 植物:山頂部にはカエデ属のオオイタヤメイゲツ、クマザサやススキなどが分布している。中腹下部では炭焼きに利用されていたブナなどの広葉樹林の二次林があり、下部一帯はスギの植林地となっている。田中澄江により『花の百名山』に選定されていて、その著書で代表する花として「ヒロハノアマナ」が紹介された。春には石灰岩質の西南尾根にフクジュソウ(福寿草)の群落やニリンソウ、ベンケイソウ科のヒメレンゲ、ヤマシャクヤクなどが見られ、夏から秋には山頂一帯にイブキアザミ、イブキトラノオ、トリカブトやリュウノウギク、リンドウなどが咲き。山頂部直下北側にあるお虎ヶ池ではヒルムシロが見られる。登山道の周辺では、春から初夏にかけてアカモノ、イチリンソウ、エビネ、キツリフネ、サワギク、スミレ、チゴユリ、バイケイソウ、ハシリドコロ、ヒトリシズカ、ヒロハノアマナ、フウロソウ属のヒメフウロ、ホウチャクソウ、ミスミソウなどの花も見られる。 登山:登山家の内田嘉弘は1957年に霊仙山へ登ったことがきっかけとなり、その道に進んだ。花の百名山、ぎふ百山、関西百名山に選定されている。登山コースとしては、各方面からの以下の登山道がある登山道は地元の住人らにより整備されている。山頂部は高い樹木が生育できず、石灰岩が点在し360度の良好な展望がある榑ヶ畑コースが最短のコースで、よく利用されている。 @榑ヶ畑コース - 醒ヶ井養鱒場の林道の先の廃村となった榑ヶ畑が登山口から、山小屋かなや、二合目の汗拭き峠、五合目の近江見晴らし台、お猿岩、お虎ヶ池と霊仙神社、経塚山を経て山頂に至るコースである。登山口に休憩所が設置されている。 A谷山谷コース - 上丹生集落の先の天野川の支流の丹生川に沿ったコースで、谷山谷沿いには屏風岩、コウモリ穴、くぐり岩、漆ヶ滝がある。谷山との鞍部で柏原からのコースに合流し、経塚山を経て山頂に至る。途中に山腹を巻く枝道がある。 B今畑コース - 廃村となった今畑から宗金寺、笹峠、近江展望台、南霊山を経て最高点の至る西南尾根に沿ったフクジュソウなどの花の多いコース。近江展望台からは琵琶湖などの展望が良い。 C柏原コース - JR東海の東海道本線柏原駅からの北東の尾根に沿ったコースで、四合目と経塚山手前に避難小屋がある。谷山(標高993 m)の北側斜面を巻き、山頂避難小屋と経塚山を経て山頂に至る。 D梓河内コース - 天野川の支流の梓川に沿った梓河内の集落からの北側の尾根に沿ったコースで、柏原からのコースの七合目で合流する。 他にバリエーションルートがある。(ウイキペディアより引用) 霊仙山は花百名山で知られた山である。4月上旬にはフクジュソウが咲き、その後、花百名山の由来となったヒロハノアマナが咲く。これらは鈴鹿の山に咲く花として良く知られている。昨年の5月には、ヤマシャクヤク、ヒメレンゲ、エビネが楽しめた。チョウとの出会いもあって充実した1日だった。 4月の霊仙山は、8年ぶりになった。フクジュソウの群落がすごいとの情報を得ていたが、なるほど期待通りの花を楽しむことができた。お虎が池では大きな蛙(ニホンアカガエル?)、3匹の歓待を受け、また初めて草原を駆けるシカを撮影した。落合を目指した車道では、サルの家族を目撃した。スミレ、ミヤマカタバミ他の花も多く、晴天に恵まれた充実の山行だった。コースは、今畑登山口から笹峠に出て、近江展望台に登り、山頂に向かう。その後は、久しぶりに経塚山(9合目)に寄ってから汗ふき峠に出て落合に下る周遊コースを取った。 自宅(7:30)−落合駐車場所(9:33、9:43出発)−今畑登山口(9:49)−笹峠(10:40)−近江展望台(11:28〜11:33)−西南稜にてフクジュソウ撮影‐1020m地点(12:12〜12:45 昼食)−霊仙山最高峰(13:16)−霊仙山(13:27〜13:32)−教塚山・9合目(13:41)−お虎ヶ池神社8合目(14:02〜14:07)−お猿岩7合目(14:16)−5合目見晴台(14:45)−4合目(15:21)−汗ふき峠(15:05)−落合(16:33、16:43出発)−守山駅(18:20) 行動時間 5時間57分、 歩行距離約10.7km、累積登高986m 自宅を出発、登山口の落合に向かう。通勤時間帯で、2時間程度もかかり、落合最奥の駐車場に着く。週日にも拘わらず駐車場はほぼ満杯、準備を整え、出発する。舗装道沿いにはいくつかの花が咲いている。ヤマルリソウ、キケマン、ハタザオ、ハタザオ等々。今畑登山口から植林のスギ林を登る。つずら折りの道には、クリンソウがだいぶ伸びてきている。ミヤマカタバミもひっそりと咲いている。少し登った廃村付近、更に登った先は、クリンソウの群生地になっている。キランソウもたまに出てくる。 最初は急な坂であるが、次第に穏やかになり、ごつごつとした岩が出てくる。広葉樹林帯になり、左手に樹間から近江展望台が見える。岩ばかりの急坂が続いている。少し進んだ先で、。正面には近江展望台への急な山容が見られる。ややうす暗い林床には、花の姿も見える。約50分ほど歩き、右手のスギ林が切れ、本道を離れ草原に出る。カルスト地形だ。BS放送で出ていた、これから先の近江展望台への全容が見える場所に出る。 近江展望台への全容 ここから林に入るところにエビネが数株あったが、まだ新芽は出ていない。笹峠周辺は、岩が露出し少し緑の新芽も見られる 。 いよいよ近江展望台への急坂を登る。良く踏み込まれた跡もあるが、花を目当てに岩と岩の間を好きに登ってゆく。下ってくる人もいる。スミレや小さな花も見られるが、まだまだの様子だ。かってはミスミソウも見られたが、今は全くない。急な坂に加え、岩の道、一歩一歩ゆっくりと登る。高度をあげるにつれ視界が広がり、振りれば鈴鹿南部が一望できる。御池岳の右手には竜ヶ岳から静ヶ岳の稜線が見える。綿向山から雨乞岳も見慣れた山容だ。琵琶湖も良く見える。 御池岳の右手には竜ヶ岳から静ヶ岳の稜線が見える。綿向山から雨乞岳も見慣れた山容 近江展望台表示には登山口から1時間45分だった。南方向は素晴らしい展望だ。撮影を済ませ、眺望を楽しんだ後先に進む。岩場の間にはヒメレンゲがあるがもちろん花は1ヶ月も先になる。 岩伝いに稜線を歩く。歩き辛い岩の上を越え、左手の樹林の中へ入る。フクジュソウの大群落だ。下ったり、上がったり、時には戻ったりと忙しい。緑の苔との対比も見所になる。所々で、5月に咲くヤマシャクヤクの芽が出てきている。こちらも群生地に変わる。何枚も何枚も写真を撮る。先の御池岳とは違い、今が旬といったところだ。1ッ1つの花も美しい。群落は途切れず続く。苔むした岩や木々の間を歩き回る。下にも続いているが、上だけでも十分だ。 稜線の最初の山塊の端までくると一旦は下りにかかる。左手先には小さな池もある。この下りのところで昼食にする。これから進む最高峰や霊仙山山頂が一望できる。これを見ながらのランチタイムで、定番のカップ麺にコーヒ−、菓子パンを楽しむ。 ゆっくりと休んだ後、出発する。最近はシュートカットを繰り返していたため、今日は最高峰、経塚山を経由することにした。西南稜の岩場を歩く。左手の樹林帯の林床には先ほどではないが、フクジュソウが見られる。左の下った先の低地には池があり、今日は水がずいぶんとある。岩場の端まで来ると山頂が広がる。岩場から砂まじりの道に出る。花はほとんどなく、期待のヒロハノアマナも見られない。しかしここからの眺望も一級品だ。振り返れば近江展望台からの稜線越しに鈴鹿主稜線が見える。 登り切ったところからは北方向に伊吹山〜ブンゲン山〜金糞岳などの山々が展開する。左手の山頂方向はカルスト地形が美しい。その地形越しに歩いてきた稜線、その先に南の鈴鹿主稜線が一望される。さらに進み、最高峰に至る。伊吹山が目の前に見える。 ここからは一旦下る。登り返して、下山の時の分岐に出るのだが、ここは巻いた形で踏み跡を進む。大きなアセビ越しに西南稜や鈴鹿主稜線が展開する。下って、登りにかかるところでは、ニリンソウが多いところだが、まだ時期的に早いようだ。登り切った先が、山頂になる。13:30、山頂周辺は寂しくなっている。360度の眺望を楽しみ、写真も何枚か撮る。いつもながら、山頂からの眺めは素晴らしい。北の伊吹山〜金糞岳、東には琵琶湖、長浜、南は鈴鹿山脈主稜線、西には奥美濃の山々、と、大パノラマが広がる。 山頂。琵琶湖が一望 鈴鹿山脈主稜線 山頂からは経塚山を目指す。広い稜線を戻る格好で進み。分岐から一気に下る。今日はここからさらに経塚山へ登り返さす。経塚山もカルスト地形の真ん中、良い格好の岩が突き出ている。伊吹山は一層近い。9合目である。 経塚山、後方に伊吹山 しばらく休んだ後、平原を歩く。平坦な道を進み、登り返せば鳥居の立った「お虎ヶ池」の霊仙神社である。毎年、春にはお参りがある。8合目は米原市になっている。池をふと見ると、ニホンアカガエルであろうか、3匹のカエルが水面に顔を出している。時々、潜っては顔を出す。愛嬌がある。 「お虎ヶ池」の霊仙神社 8合目 3匹のカエルが水面に顔 カルスト地形の素晴らしい景色を見ながら進み、左手の谷向こうの山腹にシカがいる。初めて見ることができた。第一陣はチャンスを逃すが、第二陣は撮影に成功する。カエルに続き大満足だ。 しばらくでお猿岩7合目に着く。どれがお猿岩なのかよくわからない。大きな岩がお猿の顔に見えなくもない。ここを過ぎると下りになる。しばらくは見晴らしが良く、日当たりも良く、もう少し先になれば花を楽しむことができる。 その後は、樹林帯の急な道になる。新緑にはまだ1月はかかりそうである。5合目の見晴台に着く。平野も見られるところである。岩場の間にはヤマシャクヤクがたくさん見られる場所である。様子をうかがうため、しばらく時間を取る。紫っぽい新芽が顔を出し始めた。1月のすれば清楚な花を楽しむことができる。先を進む。4合目と表示が出てくる。登山道が深くえぐれたところに来れば、しばらくで汗ふき峠である。ここからは右手に出れば榑ヶ畑の登山口に行く。峠には2人が休んでいる。峠で短い休憩を取る。 足元の不安定な急坂を注意深く下る。しばらくで、谷筋に下りる。谷は水量が多く、うねっている。谷筋も、しばらく行くと倒木があり、谷が荒れていることが一目でわかる。進むにつれ荒廃がひどく、崩壊しているため、複数回の渡渉が必要になっている。谷を出ると、立派な林道に出る。堰の工事が終了し、見違えるようになっている。最後に橋を渡り、神社横に出る。右手の道奥の落合駐車場に戻った。 道中、ジョウビタキのメス、ヤマガラなどを撮影した。 出会った花々
トリの写真 ジョウビタキ ヤマガラ 行程MAP (YAMAPより引用) (国土地理院の地図を引用) 2020年山の記録に戻る、2020年チョウのページに戻る、2020年花・鳥・その他に戻る 作成日:2020年4月12日 |