13)北アルプス(蓮華岳2013m〜針ノ木岳縦走1987m) 三百名山: 2008年7月18日〜7月20日
山の記録に戻る(2008年) 2008年チョウに戻る、2008年花・鳥その他に戻る。
蓮華岳は、北アルプス北部、富山県と長野県とにまたがる山であり、標高2,799mである。後立山連峰が南へ延び、針ノ木峠で高度を下げてから一気に
大きくそびえるのが蓮華岳。いわゆる後立山の南端の山である。登山者にとっては大町の山で、登山道も大町から針ノ木峠経由になる。山頂部は
ゆったりと広く、輝石安山岩の砂礫に覆われ、コマクサの群落がすばらしい。若一王子神社の奥宮が祭られているのも里とのつながりを感じさせる。
天正12年に雪の佐良佐良越えをした佐々成政は、針ノ木峠を越えたという。歴史にも関わる山だ。この山から南は主稜線が複雑に屈曲し、風化、
崩壊が激しい。北葛岳、船窪岳、不動岳、南沢岳などを経て烏帽子岳へと続く。北アルプス主稜線の中でも、登山者が少ないエリアになっている。
登山道はアルペンルートの扇沢から針ノ木大雪渓を針ノ木峠に登り、さらに頂上へと辿ることになる。
針ノ木岳も同じ富山県と長野県にまたがる標高2,821 mの山である。中部山岳国立公園内にあり、後立山連峰の最南端の山である。針ノ木峠を
挟んで蓮華岳と対峙している。大町側からは、蓮華岳が手前にあるため、針ノ木岳の方がやや標高が高いにもかかわらず、見ることができない。
ピラミッド型の端正な山容で、日本二百名山及び新・花の百名山に選定されている。東西の主稜線は同じような勾配であり、白馬岳のような後立山
連峰の特長である非対称山稜は見られない。高瀬川の支流である篭川の上流部に日本三大雪渓の一つ、針ノ木大雪渓がある。針ノ木岳の源流部の
厩窪(マヤクボ)沢にはカール地形がみられる。山体は濃飛流紋岩型の溶結凝灰岩からなる。
蓮華岳のコマクサ群落を求め、扇沢の大雪渓を登った。その日に新越山荘までの長い1日になった、翌日は天気が悪く、爺ヶ岳往復をあきらめ、
扇沢に下山した。前に、鹿島槍ヶ岳から爺ヶ岳を縦走しているため、これで繋がった。
コース
@2008年7月19日
扇沢〜針ノ木大雪渓〜針ノ木峠〜蓮華岳〜針ノ木峠〜針ノ木岳〜赤沢岳〜鳴沢岳〜新越山荘
A2008年7月20日
新越山荘〜扇沢分岐〜柏原新道〜扇沢
@2008年7月19日
菩提寺SA20:00−扇沢ターミナル(0:30、5:30)〜針ノ木大雪渓〜針ノ木峠(9:13、10:00)〜蓮華岳(11:15、11:25)〜針ノ木峠(12:15、12:40昼食)
〜針ノ木岳(13:40)〜スバリ岳(14:40)-赤沢岳(16:15)-鳴沢岳(17:20)-新越山荘(18:00) 合計タイム11時間30分(休憩時間含まず)
大阪からのKさんの車にICで乗せてもらい、扇沢バスターミナルの駐車場には深夜到着した。早々にKさんのテントを借りて眠るが、もちろん熟睡は
無理だった。夜明けとともに起床、朝食を取り、関西電力通路の左側の登山口より入山する。夏の季節は黒部立山アルペンルートへの信州側の
出発地点になっており、駐車場も非常に混雑している。扇沢バスターミナルは標高1425mに位置し、目的地の針ノ木小屋までの標高差は約1100mになっている。
すぐのところから、針ノ木大雪渓が見える。30分ほどで広場に出て、針ノ木自然道から樹林帯の中をゆるやかに登る絵。鳴沢に出て、沢を2本渡れば
大沢小屋だ。文人・百瀬慎太郎ゆかりの小屋で、良き山の時代がしのばれる。さらに緩やかな登りが続くが、篭川の左岸に出ればいよいよ雪渓が始まる。
白馬大雪渓、劔沢雪渓とともに日本三大雪渓の一つである。半分を過ぎるころから傾斜がきつくなり、つらい登りに変わる。針ノ木峠の近くに来ると、
チングルマやコイワカガミ、ミヤマダイコンソウなどの花たちが出迎えてくれる。花に元気付けられて最後の登りを頑張る。3時間30分ほどかかって針ノ木峠に
着く。針ノ木小屋から蓮華岳の往復は、約2時間ほどで出来る。花の鑑賞や写真撮影次第だ。蓮華岳周辺はコマクサの大群生地で、北アルプスを背景に
素敵な写真が撮れる。山頂からは、槍.穂高連峰や立山・劔岳、そして薬師岳や針ノ木岳などの展望にも優れ、北アルプスの主だった山々が見渡せる。
道中は、チングルマ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、コマクサ、コイワカガミ、ミヤマダイコンソウ、ヨツバシオガマ、コバイケソウ、イワキキョウなど
たくさんの花でいっぱいだ。特に針ノ木小屋から針ノ木岳への登山道には数多くのお花畑が見られる。峠に戻り、昼食を終えた時間が12:40、明日の
天気も気になり、予定を変更して新越山荘に向かう。
針ノ木岳へは、約1時間かかる。足元のお花畑に見とれながらの登りだった。晴天んで、360°の大眺望はすばらしいの一言だった。でした。針ノ木岳からは
急な岩場の下りとなる。ここから、小屋までが大変だった。すでに8時間が経過しており、なおも、4時間は必要だ。針ノ木岳からスバリ岳の下りまでは比較的
アップダウンの多い縦走路が続くが、スバリ岳の下りを過ぎると、快適な尾根道の登山道が続く。快適なはずの尾根道の縦走だが、体にムチ打っての歩行だ。
スバリ岳は遠目で見るよりはるかに迫力のある山で、山頂でも眺望は素晴らしい。立山黒部アルペンルートは扇沢から針ノ木随道を通り、黒部ダムまで
トロリーバスが走っているが、この赤沢岳と鳴沢岳の中間地点の真下を走っている。赤沢岳山頂からは黒部湖や黒部ダムの周辺が良く見え、この地にダムを
作った人間の偉大さがしのばれる。赤沢岳から鳴沢岳にかけては、安曇野側は鋭く切れ落ち、足下から鋭角に谷底へと落ちている。谷には雪渓も随所に残って
おり、安曇野側からのガスの吹き上げと共に、緊張の場面もある。ここまで来るとさすがに小屋目前となり、緊張がゆるむ。気持ち的にも余裕が出て来た。
鳴沢岳からは、40分で新越乗越の新越山荘につく。鳴沢岳から小屋への登山道も高山植物が豊富で、特に安曇野側の日当たりの良いところにチングルマ、
ハクサンフウロ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、クルマユリなど多くの高山植物が見られる。夕刻になり、やっと新越小屋についた。長い縦走の疲れが残る
体をゆっくりと休めた。明日の天気がイマイチのため、年相応の無理をしたが正解だった。Kさんと体を休めながら、夕食を食べ、きょう1日の歩きを
互いにねぎらった。
針ノ木峠からの眺望(中央が槍ヶ岳) |
針ノ木岳から先の縦走路 |
針ノ木大雪渓 | 槍ヶ岳・穂高連峰 | |
雪渓の風紋 | コマクサ群生地 | |
蓮華岳への縦走路 | 針ノ木岳、先の縦走路(蓮華岳からの帰り道) | |
針ノ木岳山頂 | 針ノ木岳から北の縦走路 | 黒部ダムを見下ろして |
A2008年7月20日
新越山荘(6:20)〜岩小屋沢岳〜種池山荘(8:55、9:10)〜柏原新道〜柏原新道登山口(11:35)〜扇沢(11:50)
合計タイム5時間5分(休憩時間含まず)
5時30分に起床し、小屋の食事をとって、小雨〜曇りの中を出発する。しっとりと濡れた高山植物はなかなかに良いものである。出発して種池小屋まで
2時間30分、ガスがかかった登山道をすすむ。昨日とは打って変わって、眺望がない。岩小屋沢岳に着く前からは雨もあがったが、眺望は依然きかない。
足元の花が楽しみになる。当初、種池小屋から爺ヶ岳往復を予定に入れていたが、こちらはあきらめ、小屋からすぐの扇沢への分岐を右折し、柏原新道を歩く。
左右には高山植物がたくさんだ。下りであったため、昨日のような辛さはない。2時間30分を要し、扇沢に戻った。この後は、北回りで大阪方面に戻った。
初日は、長い1日だったが、晴天に恵まれ、素晴らしい眺望と花に恵まれた。チョウも、久方ぶりにタカネヒカゲに出会い、ミヤマモンキチョウも見ることができた。
岩小屋沢岳山頂 | 柏原新道 |
チョウ
タカネヒカゲに出会うことができた。鷲羽岳以来のことだ。ミヤマモンキチョウだろうか。触覚がピンク色だ。他には、クジャクチョウ、キタテハと
山にお馴染みのチョウたち。ヒメアカタテハがこんな高山にいるとは思わなかった。それも白いコマクサに吸蜜している。なかなかのチャンスだった。
クロヒカゲもいた。
タカネヒカゲ | キタテハ | クジャクチョウ |
ミヤマモンキチョウ?(触覚がピンク) | 白いコマクサに吸蜜するヒメアカタテハ | 白いコマクサの花が良くわかる |
花
花真っ盛りのこの時期、多くの花に出会った。タカネバラの群落には驚いた。それにしてもたくさんの花に出会えることができ大満足だった。
コマクサ | イワベンケイ | ミヤマオダマキ |
白いチシマギキョウ | タカネバラ | シラネアオイ |
クガイソウ | キバナノ | キヌガサソウ | コイワカガミ | チングルマ |
ハクサンシャクナゲ | ヨツバシオガマ | ミヤマキスミレ | ||
ヒメイチゲ | ミヤマダイコンソウ | ヤマハハコ | イワ | ハクサンイチゲ |
ハクサンフウロウ | イワギキョウ | アオノツガザクラ | ミヤマニンジン | ミヤマキンポウゲ |
トウヤクリンドウ | イブキジャコウソウ | シナノキンバイ | ||
チシマギキョウ | ヨウラクツツジ | タカネシオガマ | ハタザオ | |
イワヒゲ | タカシマラン | |||
ミツバオウレン | ハクサンチドリ | サンカヨウ | ||
エンレイソウ | キヌガサソウ群落 | ミズバショウ | ナナカマドの群落 | マイズルソウ |
その他
ライチョウは、19日、20日両日ともに出会うことができた。
ライチョウ(メス) | ライチョウの幼鳥 | イワヒバリ |
山の記録に戻る(2008年) 2008年チョウに戻る、2008年花・鳥その他に戻る。
作成日: 2013年11月23日