11)東北の山々 森吉山 白神山地 大平山 いずれも三百名山 : 2008年8月13〜16日
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@森吉山(1452m) 三百名山 : 2008年8月14日
 森吉山(もりよしざん)は、秋田県北秋田市に位置する標高1,454.2mの古い火山である。高山帯では多くの高山植物が咲乱れるため「花の百名山」に
選ばれている。向岳(むかいだけ)、秋田山(あきたやま)ともいう。冬は樹氷 群を巡る銀嶺の世界が広がる。 奥森吉は小又峡、クマゲラの森、桃洞・赤水渓谷の
桃源郷。 奥阿仁は立又渓谷と中ノ又渓谷の名瀑めぐりなどが知られている。BS放送で、渓流遡行で取り上げられた。
日本百名山には選ばれていないが、『日本百名山』の後記には「森吉山、姫神山、船形山など、いい山ではあるが少し背が足りない」と書かれている。
日本百名山は標高1500m以上の山を選んだものであるが、森吉山は46mほど不足している。 初めの噴火で外輪山の一ノ腰、前岳、石森等ができ、
2度目の噴火で向岳(森吉山)ができたとされている。噴火の歴史的記録はない。地元の人からは「秋田山」と呼ばれるほど馴染み深い山である。
江戸時代の北前船は森吉山を見て、方向を知ったとも言われている。また、山頂稜線の一ノ腰、前岳、石森等は残雪時には乳牛の斑点を思わせる模様ができ
「マダラベコ」(ベコは方言で「牛」)といわれる。前岳近くにある森吉神社の裏には、奇妙な形で積み重なっている巨岩がある。この巨石は冠岩と言われ、神社の
ご神体である。巨石の前には江戸時代の学者である菅江真澄の歌碑がある。巨石には坂上田村麻呂に追われた蝦夷の首長の大滝丸が積み上げたとする伝説
が残されている。史実では坂上田村麻呂はこの地には到達していない。また、大滝丸の伝説は太平山などにも残されている。森吉神社の由緒書には「森吉山の
岩山に住み、参拝人に鬼神として恐れられていた大滝丸を、坂上田村麻呂が退治した。それを顕彰するために大同2年807年に神社を創立した」と書かれている。
冠岩には隙間があり、胎内潜りができる。
 裾野にはブナ林を中心とした広葉樹林が広がり、標高1,000mを超すとオオシラビソが優占する。この広葉樹林は樹齢約250-350年に達し、ツキノワグマや
ニホンカモシカ等の哺乳類、クマゲラやイヌワシなどの鳥類の希少種の生息地となっている

登山口(7:20、7:35出発)→一ノ越(8:40、5)→森吉神社避難小屋(9:10〜9:20)→山頂(10:00 - 10:10)→森吉山避難小屋(10:35、5)→森吉神社→
一ノ越→登山口(12:15)  歩行時間:4時間20分(休憩時間含まず) 行程:10.6q 様田コース

前日、伊丹空港からに入り、森吉ダムサイト、クマゲラエコーライン沿いにある近くの宿をとった。早めの朝食を頼んで、登山口のコメツガ山荘に着いた。もっとも
簡単なコースは、スキー場のある阿仁ゴンドラで一気にあがり、すぐに山頂に着くコースだが、さすがにこれはショートカット過ぎる。三百名山の本に書いてある
コメツガ山荘の往復にした。山荘には、大きな駐車場があり、われわれ1台だけの駐車だった。裏手の登山口から出発する。あいにくの曇り空で眺望は期待でき
そうもない。スキー場ゲレンデを横切り、林の中を歩く。再度ゲレンデを横切ると、急登になる。コメツガ、オオシラビソ、ブナが生い茂る。1時間ほどで一ノ越に着く。
天気が良ければ視界が広がるところだが、残念ながらガスがかかっている。森吉神社に着くころには、パラパラと雨模様になった。雲嶺峠に着くと木道が敷かれ
ている。時期が遅いとはいえ、花が咲いている。最盛期は6月で、7月にかけ、花百名山が楽しめるのだろう。前岳に建つ森吉神社のそばの避難小屋で一息入れる。
天気は回復方向とのことだが、その気配はない。小さな池塘をを過ぎると森吉山避難小屋が現れる。ここからは、ササと草原の平坦な道で、難なく山頂に着く。
見通しもなく、阿仁スキー場だからの夫婦づれと二言三言言葉を交わし、避難小屋に戻る。雨は止んでいるが、見通しは悪いままだった。この後、往路を戻った。
一ノ越あたりで、野ウサギに遭遇した。茶色が強く、精悍な感じだった。駐車場には、12:15に着いた。明日の予定、白神岳に向かった。着くころには、天気も良くなり、
白神の周辺、十二湖めぐりをした。チョウは、ルリシジミのみ。

     
 コメツガ山荘  森吉山頂 様田コースを往復 

岩崎村の岩崎ねぷたと十二湖めぐり

     
 移動時の海岸風景  同行したYさん  移動時の海岸風景
   
 十二湖(青池)  岩崎村のねぷた  岩崎村のねぷた

A白神岳  1,235m 三百名山 : 2008年8月15日 曇り時々晴れ
 白神岳は、青森県にある山で、一等三角点の標高は1,231.9mである。世界遺産登録の白神山地にある。山頂付近は偽高山帯で森林限界となっている。山頂からは
白神山地核心地域の雄大な景色を望める。山頂にはトイレと避難小屋があるが、世界遺産登録以降は登山客が増えオーバーユースが懸念される。白神山地の
最高点は、白神岳の北東約4kmにある標高1250mの向白神岳であるが、登山道はない。白神岳に対して向白神岳は「女嶽」とも表記され、一対として捉えられていた
という説がある。
 白神岳が初めて記録に残されているのは、1645年弘前藩が幕府に提出した「陸奥国津軽郡之絵図」である。この図では白神岳は「しらかみの嶽」と表記されている。
江戸時代の紀行家であった菅江真澄は白神岳を「白上山」や「白髪山」などと表記している。秋田県八峰町からは春の白神岳山頂の雪形が「上」の字に見える頃があり、
真澄はこのため「白上山」と呼ばれるのではないかと記している。白神山地全体の説明は、白神山地の項を参照のこと。世界遺産についてなど詳しく書かれている。
白神岳は、白神山地の2番目に高い山であるが、白神山地は青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がっている標高1,000m級の山地(山岳地帯)のことをいう。
白神山地は、屋久島とならんで1993年(平成5)12月、日本で初めてのユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録された。そこには「人の影響をほとんど受けていない原生的な
ブナ天然林が世界最大級の規模で分布」(世界遺産登録理由)している。白神山地の名称は、昭和29年発行国土地理院地勢図で使われている。また、世界遺産登録以前
には弘西山地とも呼ばれていた。

登山口(6:40、6:50出発)→二股分岐(7:30)→最後の水場→蟶(マテ)山分岐(8:50〜9:00)→主稜線・大峰分岐(十二湖コース)→山頂6.5q(10:45 - 11:15)→
マテ山分岐(12:35)→最後の水場→二股分岐(13:30)→登山口(14:05)  歩行時間:6時間40分

 前日は、森吉山を登り、岩崎村の料理民宿に泊まった。折から、お盆んで岩崎ねぷたの雰囲気で出し物を楽しんだ。料理は特別メニューを注文し大満足であった。
6時前には朝食を準備してもらい、登山口に向かった。登山口では、登山カードの記入場所やトイレが設置されている。身支度も早々に出発する。緩やかな
樹林帯を進む。二股分岐までは、青森ヒバなどの木が茂っている。見通しはなく、根が出た登山道を進む。特に歩きにくいわけではない。最後の水場では冷たく
美味しい水を飲むことができる。主稜線はブナが立ち並び「ブナ街道」と言われているが、長い稜線歩きになる。主稜線・大峰分岐(十二湖コース)の急坂を登る。
ガスってなければ素晴らしい展望が見られるが、残念ながら期待外れになった。マテ山分岐からの稜線は、2時間、本当に長く感じた。山頂は人もなく、静かだった。
眺望はごらんのとおり、ダメだった。帰りも同じ道をたどったが、ガスは晴れなかった。
 下山後は、次の予定地、大平山に向かった。途中の温泉で汗を流した。チョウは、普通種ばかりだったが、9種類の写真が撮れた。花もそこそこだった。

     
 ブナ林が続く  マテ山分岐付近、わずかに眺望が  山頂、ガスに囲まれて視界はなし
     
 下りもガスがかかって    

白神岳行程(マテ山コース)


出会ったチョウ(普通種ばかり)

         
ルリシジミ  クロヒカゲ  ヒメジャノメ  ヒメキマダラヒカゲ   サトキマダラヒカゲ
         
ダイミョウセセリ  コミスジ  ヒメウラナミジャノメ  イチモンジチョウ   初めて見たガ

         
 ハクサンシャジン  ハクサンシャジン      
         
   オオアキノキリンソウ      

B大平山  1170m 三百名山 : 2008年8月16日 晴れ

太平山(たいへいざん)とは、秋田県中央部、秋田市と上小阿仁村とにまたがる山である。太平山を中心として太平山県立自然公園に指定されている。
秋田市内の各地から望むことができるため、市のシンボルのひとつとして校歌などに歌われることも多い。秋田市中央部に近い側から前岳、中岳、
鶴ガ岳、剣岳、宝蔵岳、弟子還岳、太平山(奥岳)、旭岳など多数の山頂が連なる。稜線続きの馬場目岳馬蹄型の山塊を形成している。
 その懐中には、林野庁が指定した「仁別国民の森」があり、森林博物館や樹林見本園、自然研究散策路などがある。また県立自然公園にも指定されている。
 付近一帯は、天然杉の巨木がうっそうと茂り、その上部は美事なブナの樹海が続いている。また、カモシカの大生息地として全国的にも有名。
 地形は、第3紀の隆起山地としては壮年期にあたり、渓谷が深く浸食され、V字状をなす。特産植物としては、コアニチドリ、リシリシノブ、ヒロハシラネガンピなどがある。
 太平山は今から約1300年前、役小角(えんのおづぬ)の開山で、坂上田村麻呂が東征の折、三吉神社の社殿を再興したという。山頂にはは太平山三吉神社の
奥宮があり、信仰の山として広く知られており、開山中は大いに賑わう。また奥宮参籠所(山小屋)があったが、2008年(平成20年)9月22日に火災のため焼失した。
このとき、奥宮の被害はなかった。参籠所は再建工事が終わり2009年(平成21年)9月1日より利用可能となっている。江戸中期の紀行作家、菅江真澄(すがえますみ)が
『月のおろちね』で往時の信仰登山の様子を紹介している。
 登山コースは数多くあるが、一般的には国民の森経由で旭又キャンプ場から登るコースが山頂まで3時秋田市内から気軽に行ける山で、路線バスでかなり近くまで近づけ、
ハイキングコースとしても人気のある山である。山名の由来は太平の後背に位置する事からである。太平は「オイダラ」に字を当てたもので、由来は「大江平」「狼平」など
多数語られているが、一説によるとアイヌ語で「山の麓の動揺する地」の意ともいう。

旭又キャンプ場駐車場(7:40、7:50出発)→御手洗地蔵(9:33〜9:43)→山頂(10:30 - 11:35)→御手洗地蔵(11:50〜12:03)→御滝神社(12:55)→駐車場(13:28) 
   歩行時間:4時間48分

 登山口は41号秋田昭和線、15号秋田八郎潟線を進み、仁別集落にある案内板に従い、旭又林道を9q進むと仁別国民の森に至る。林道は舗装されているが道は細く、
対向車には細心の注意が必要だ。国民の森には森林博物館や、遊技施設、散策路が整備され、大自然のアウトドアを堪能できる。更に、舗装された道路を旭又キャンプ場に
進むと、50台位は駐車可能な終点となる。駐車場は標高380m地点で、トイレがあり、水はキャンプ場炊事場のパイプより常に天然水が流れ出ていて利用できる。駐車場より
旭又川にかかる橋を渡ると、登山道を示す標柱が2本あり、左は馬場目岳、右は太平山登山口と書いてある。太平山をめざしての歩き始めは平坦な幅の広い道で、
周辺は秋田杉に覆われており、以前は森林軌道に使われた道だとのこと。間もなく、左に、赤倉岳3.4qを示す標柱を過ぎ、さらに進み、沢からの流れと旭川を渡る橋を
連続して渡る。両側が杉の大木でやや登りの真っ直ぐな登山道となり神社仏閣の表参道を歩く気分になる。途中には周回コースを示す、奥岳、宝蔵岳と記され、岩場あり要注意、
の案内板を見ながら直進し、直接奥岳に登るコースへと進む。太平山とは一帯の山々の総評で目的の太平山と呼んでいる山は、案内板などでは奥岳と記されている。駐車場より
1780mの標識より、階段を弟子還沢に下り、最近作られた橋を渡り、御滝神社につく。この御滝神社までは、緩やかな登りが続き、丁度良いウォ−ミングアップとなる。
 神社前には、ベンチもあり、これから登るあやめ坂の急登にそなえ休息できる場所で、標識には御手洗60分+奥岳40分と記されている。あやめ坂は植物保護のため、
ところどころロープが張られ、木の根などを利用して登る急登が続き、鞍部に降り少々登ると水のせせらぎの音を聞くと、湧き水のある御手洗神社の広場に出る。広場はブナの
天然林が美しく、また湧き水あり、菅井真澄の標柱、石碑、御地蔵さんや対面できるベンチが備え付けられ、、休息の格好の場所である。一休みしたら、いよいよジグザクの
急登になる。道は、ゴロ石の道となり、汗だくで展望の開ける萩形コースの分岐点の尾根にたどりつく。分岐点には標柱の鐘が吊されており、鐘を鳴らす。良い音色で響き渡る。
山頂を確認しながら、展望の良い尾根を歩き、間もなく金属の大鳥居に来る。ここから、三吉神社のある山頂が見える。一登りで山頂につく。山頂には、神社や、避難小屋、
方向掲示板、鳥居などがある。鳥海山を初め奥羽山脈の山々、間近に日本海を見渡すことができるそうだが、そこまでは見えなかった。しばらく休み、早い昼をとって
もと来た道を戻る。
今回の登山、天然杉からブナ林への変化などが楽しめる。チョウも普通種ではあるが、8種、オオウラギンスジヒョウモンが久しぶりだ。花も、キツリフネ、ハクサンシャジン、
キバナアキギリなどを楽しめた。

     
 秋田杉の美しい林  ブナ林が続く  鳥居越しに山頂の三吉神社
     
 山頂の三吉神社  山頂からの眺望  
     
 山頂から鳥居越しに登山道を見る  キンコウカの群生地  御手洗の地蔵


         
オオウラギンスジヒョウモン   スジグロシロチョウ(メス) キアゲハ  ヒメキマダラヒカゲ  ゴイシシジミ 
         
  スジグロシロチョウ(オス)   サトキマダラヒカゲ  ルリシジミ  クロヒカゲ

その他の昆虫、鳥

         
         
         
         

         
   キツリフネ ハクサンシャジン   ハクサンシャジン  オオバギボウシ 
         
 キバナアキギリ    コバギボウシ    


旭又キャンプ場コース


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作成日:2013年12月8日