5)北海道遠征 : 2017年5月11日〜5月18日 2017年チョウのページに戻る、2017年山の記録に戻る、2017年花・鳥・その他に戻る 1.登山 2.チョウ撮影 1.登山 @5月17日 アポイ岳 811m 花百名山 アポイ岳(アポイだけ)は、様似郡様似町かつ日高山脈支稜線西南端に位置し、一等三角点で標高810.5mである。山の名の由来はアイヌ語の「アペ・ オ・イ」(火のあるところ)である。山が「幌満橄欖岩」と呼ばれているかんらん岩でできており、特殊な自然体系となっていることにから、1952年に高山植 物帯が「アポイ岳高山植物群落」として国の特別天然記念物に指定された。1981年には日高山脈襟裳国定公園の特別保護区となった。、海岸からわず か4キロにそびえるアホイ岳は、海からの濃い霧がたち込め、気温を低下させ、2000メートル級の高山と同じ条件を作り出している 。周辺は「幌満カン ラン岩体」と呼ばれ、マグネシウムや鉄を多量に含んだカン ラン岩で構成された特殊な地質である。これら濃霧と特殊地質の影響により、「蛇紋岩植物 」が生育する高山植物の宝庫として有名で、80種以上が確認され、花の百名山となっている。世界中でここしか見ることのできない固有植 物も多数あ る。(ウイキペディア他より) 宿(7:30)−登山口駐車場(7:43、7:50出発)−登山届場所(7:55)-三合目()−五合目小屋365m(9:10〜9:15)−馬ノ背(9:43)−幌満分岐点-すぐ−八合 目(952)−九合目−アポイ山頂(10:15〜10:20)−幌満花畑(10:35〜10:40)−分岐点−馬ノ背チョウ撮影(11:10〜11:55)-七合目(11:57)-五合目小屋( 12:15)−三合目(12:33)−登山届場所(13:08)-登山口(13:18、13:28出発) 歩行時間 5時間20分 前日は、様似の美須々に宿泊した。ビジネスホテルとあるが、3人ゆえ、和室になった。部屋はそれほどきれいではないが、料理屋を併設(2Fが宿)し ており、夕食は、お客さんと一緒になった。朝抜き夕食付の部屋代が6000円、食事内容は抜群であった。朝は7:30からということで、出発予定に合わず 、前日に近くのA-COOPの店で朝食と山での昼食を購入した。翌朝、7:30に出発、アポイ岳ジオパークビジターセンターの登山口を8:34にスタートする。こ のセンターは、2013年4月リニューアルオープンされ、チョウの様子や、現在咲いている花が写真入りで紹介されている。チョウの様子は、前日に確認を すると良い。駐車場には綺麗なトイレも設置されている。自然保護の方、数名が簡易トイレ、日高のバッチ(ヒダカソウがモチーフ)、案内を手渡してくれ る。すぐ先で、登山届の提出を済ませ歩き出す。 川を渡り、山道に入る。早々にピンク色のエゾオオサクラソウが華やかな姿を見せる。よく観察すれば白のヒメイチゲや、フイリミヤマスミレが足元にひ っそりと咲いている。新道は荒廃し、旧道が山道になっているが、分岐は分からなくなっている。表示は1合目からあり、ずっと続く。団体ツアーもあって 賑やかだ。林の中の道が続く。 エゾオオサクラソウの群落 1時間20分ほどで、五合目小屋に着く。これまで所々に休憩場所があり、アポイ岳の特徴を説明している。鐘やドラムが設置され、クマ除け対策がされて いる。四合目から五合目小屋への登りは結構急である。小屋前で小休止、水分補給をする。ここまで良い天気で青空だった。そのうちしばらくでガスが かかり始める。前回、小屋付近ではカラフトタカネキマダラセセリやシロオビヒメヒカゲが飛んでいたが今日は見えない。馬の背を目指す。キジムシロや アポイアズマギクが現れ始める。白いアポイアズマギクに混じって、ピンク色が時々見られる。このあたりから森林限界になり、ハイマツが中心になる。 岩場が現れる。急な坂を登り、30分で馬の背に着く。ガスがかかり、やや肌寒である。我々がポイント1番乗りになった。ヒメチャマダラセセリは見えない 。サマニユキワリも多い。私は2人を残し、山頂を目指す。ここからは花が多くなり、6〜7月は花の楽園になる。サマニユキワリ、アポイタチツボスミレを 始め、そこそこ花が見られる。岩場が続き、更に幌満コースへの分岐を過ぎる。八合目あたりでは岩の間からヒダカイワザクラ、エゾキスミレが足元に 咲いている。 ヒダカイワザクラ サマニユキワリ このあたり、新芽はまだまだである。足元はササが茂っている。低い樹林帯を抜けると山頂に着く。馬の背からやや早足で30分である。山頂には 10:15に到着する。ガスは時々途切れるが、山頂までが続いていて、見晴らしもない。途中、追い抜いた2人の女性が山頂に着く。写真を頼み、早々に下 山にかかる。 山頂はガスがかかっている 下山は、幌満花畑のほうに回る。チシマササの茂った尾根筋の急坂道を下る。足元からコヒオドシが飛び立つ。写真は撮れなかった。こちらはガスが晴 れてきている。15分ほどで幌満お花畑に出る。日当たりが良いのか、こちらではアポイキンバイが咲いている。ガスは晴れ、東〜北東の日高山系南部 が見渡せる。西方向には様似の漁港やコバルトブルーの美しい海が見える。馬の背方向はまだガスが残っている。かってはヒダカソウが見られる花畑 であったが、盗掘やハイマツの成長で全く見られなくなった。幻の花となってしまった。この山域のどこかには残っていると思われるが、一般の我々には 知る由もない。 幌満花畑から北〜東の日高山系 幌満花畑から様似と海岸線 アポイキンバイ ここからは、ほぼ水平の登山道を、8合目に向かう。エゾオオサクラソウやヒメイチゲが見られる。樹林帯の中のあまり歩いてない道である。結構長く感 じる道を進み、長靴を履いた人とすれ違う。馬の背付近でヒメチャマダラセセリ保護のため、ハイマツを切っていた保護員の1人だろと思われた。分岐点 が見える頃には晴れあがり、眼下にエゾムラサキツツジが綺麗な花を咲かせている。8合目を過ぎ、馬の背が見渡せるとカメラを持った数名の動きが慌 ただしい。ヒメチャマダラセセリを追っての撮影だろう。こちらも足早に下り、皆に合流する。時々現れては、サマニユキワリやアポイアズマギクで吸蜜す る固体や岩の上で休む個体を追って忙しく動く。天気とはゆえ、肌寒で心配したが無事撮影できた。ポイントに残った2人は、ガスもかかってチョウも見え ず、心配したらしい。一旦撮影すれば、海岸の眺望を楽しむ余裕ができる。 撮影場所の馬の背、奥にアポイ山頂 サマニユキワリで吸蜜 アポイアズマギクで吸蜜 一旦は、昼食にする。チョウが現れ、人の動きで食事もままならない。持参のコーヒを味わい、更に撮影を続ける。12時前には切り上げ、下山することに した。ほかの撮影者はまだまだこれからだといった様子である。下山は同じ道を戻る。撮り残しの花を見つけ、1時間20分ほど外登山口に着いた。途中 、登山届付近でミヤマセセリを見ることができた。無事写真も撮れ、後半の広尾町、幕別町忠類に向け早々に出発した。 チョウ(ヒメチャマダラセセリ)
その他の花
2.チョウ撮影 −全般− 今冬の関西は、特に積雪が多く、シーズン券を購入している琵琶湖バレイでも最終日の4月2日でも十分な積雪であった。撮影時期は毎回頭痛の種に なっている。北海道の正規の航空運賃は直前では高く、いつも2月前の安いチケット購入になる。 今回の遠征は、2014年と2016年の北海道遠征時と同 じメンバ−になった。時期は5月、未撮影のチャマダラセセリとエゾヒメシロチョウが主な目標になった。アポイ岳にはヒメチャマダラセセリが発生し、登山 を兼ね挑戦した。この時期に見られるヒメギフチョウ、ジョウザンシジミ、アカマダラ春型、オオモンシロチョウにも狙いを定めた。具体的な日であるが、北 海道の撮影回数が数十回になるYさんに助言を求め、5月15&16日の土日を挟んだ前後7日間に決めた。私は予約の関係もあり、11日出発し、残りの 2人を12日に空港でピックアップした。発生の早いヒメギフチョウを前半、ヒメチャマダラセセリを後半にした。登山装備のいるアポイ岳のヒメチャマダラセ セリは、天気の関係で予備を含め2日をあて、天気次第で予定の微調整をすることにした。具体的なポイントは、多くはYさん、宿泊したペンション山の上 、メンバーの個人的なつながりから入手した。期間中の天気であるが、12日〜14日は晴れ、15日曇り〜時々雨、16日曇り、17日〜18日晴れということに なった。15日までは比較的低温予報であったが、晴天で何とか撮影できた。成果であるが、狙い通り前半の3日間でチャマダラセセリ、ヒメギフチョウ、ス ギタニルリシジミ、ジョウザンシジミ、後半の2日間でエゾヒメシロチョウ、アカマダラ春型、オオモンシロチョウを撮影することができた。今回で北海道遠征 3回目になる気心の知れた3人の紀行は、十分過ぎるほどの成果で無事日程を終えることができた。今回の遠征で、新たに2種を追加し、合計239種になった。中でも、ヒメギフチョウのピリカテール型を撮影できたことは、幸運意外の何ものでもない。 日程 5月12日(晴れ) 音更 里見が丘公園〜ぬかびら温泉(泊):チャマダラセセリ(新) 5月13日(晴れ) ぬかびら温泉〜層雲峡山の上立ち寄り〜愛別、岩尾内付近道〜層雲峡山の上(泊):ヒメギフチョウ(ピリカテール新)、スギタニル リシジミ、ミヤマセセリ 5月14日(晴れ) 留辺蘂町(旧・常呂郡留辺蘂町)花丘地区〜幌加〜里見が丘公園〜長流枝内周辺〜帯広周辺〜帯広(泊):ジョウザンシジミ、チャマ ダラセセリ(新)、 5月15日(曇〜時々雨) 野草園(帯広)〜明治なるほどファクトリー十勝見学〜帯広(泊):キビタキ、ゴジュウカラ、アオジ、オオバナノエンレイソウ、ニリ ンソウ 5月16日(曇) 音更神社〜西札内〜幕別町虫類〜岩尾町〜襟裳岬〜様似(泊):アカゲラ、オオルリ、エゾリス、観音山の花(カタクリ、シロバナエンレイ ソウ) 5月17日(晴れ) アポイ岳〜岩尾町〜幕別町虫類〜帯広(泊):ヒメチャマダラセセリ、ミヤマセセリ、エゾヒメシロチョウ(新) 5月18日(晴れ) 百松沢林道〜駒里:エゾヒメシロチョウ(新)、オオモンシロチョウ、アカマダラ春型(新)、 @5月12日(晴れ) 音更 里見が丘公園〜ぬかびら温泉(泊):チャマダラセセリ(新) フライト予約の都合で、私は11日に北海道に入り、近辺をウロウロとした。空港に着くと、少し雨が降ったのか道は濡れていた。曇り空で、結構肌寒い 。周辺では、モンキチョウとエゾスジグロシロチョウが見られる程度であった。それでも、カラス科のカササギの写真が撮れただけでも良かった。花はこ の時期、エゾエンゴサク、ミヤマエンレイソウ、ニリンソウだった。ミヤマエンレイソウ意外はこれから毎日のように見ることができた。その夜は千歳駅前 で宿泊し、近所のイオンで買い物をして明日に備えた。12日の昼食のみ、翌日の朝方に近くのコンビニで購入した。 12日は目覚めると好天気で予報通りであった。2人は広島空港から10:30に到着である。少しばかり時間があり、駒里に様子を見に行く。15日までくら いまではやや肌寒いとの予報もあって、モンシロチョウとエゾスジグロシロチョウくらいである。時間に間に合うように、空港に向かう。2人に出会い、予定 通りで出発する。途中、高速のSAで小休止する。時間的にもお昼で花畑のそばで昼食にする。鳥の観察の一行が盛んにシャッターを押している。ベニ マシコのメスとのことであり、早速仲間入りをする。帰宅して確認した鳥は***であった。腰痛予防のため、これ以降、Iさんに運転を代ってもらう。途 中、日高山系に入るころからガスがかかり、通過してもガスがかりの曇り空で、しばらくは不安になる。池田あたりを過ぎるころから青空になる。車の外 温は結構低いままである。200q以上を走り、音更町里見が丘には14:00に到着した。Yさんからあらかじめ教えてもらっていたポイントを探す。最初の駐 車場所の道端で早々にチャマダラセセリに出会う。早々に撮影が済みホッとする。やや肌寒で、チャマダラセセリの動きも緩慢で撮影には向いていた。 簡単に撮影でき、たくさんの出会いが期待されたが周辺にはモンシロチョウ、ルリシジミ、エゾスジグロシロチョウといったところであった。と全く見当たら ない。キジムシロがいっぱいあり、黄色い花盛りである。これ以上は諦めて、ほかの2箇所を探す。こちらもさっぱりで、ルリシジミが飛び交っているのみ であった。元の撮影ポイントに戻り、撮影する。固体は2匹、寒さのせいだろう。時間も16:00になり、今日の撮影を終了する。今日の宿泊地、ぬかびら温 泉に向かう。北海道には、チョウ撮影以外に登山やスキーで数多く訪れているが、ぬかびら温泉は重要拠点になっている。その夜は、最初に目標を達 成でき、ゆっくりと温泉に入った。 チャマダラセセリ 花 ミヤマエンレイソウ サクラスミレ 鳥 カササギ ベニマシコ(メス) A5月13日(晴れ) ぬかびら温泉〜層雲峡山の上立ち寄り〜愛別、岩尾内付近〜層雲峡山の上(泊):ヒメギフチョウ、ヒメギフチョウ(ピリカテール新)、スギタニルリシジミ、ミヤマセセリ 7時に朝食を取り、8時過ぎに出発する。今日の宿泊は層雲峡山の上である。前日、宿の主人に朝方に寄り、ヒメギフチョウのポイントを確認する約束 をしていた。Yさんのポイントはあらかじめ聞いていたが、できればあまり北でない岩尾内湖の周辺に絞っていた。途中、三股で石狩岳の写真を撮る。 1時間弱で層雲峡に入り、主人から、途中の愛別のICからほど近い花が多いポイントを紹介され、ここから始めることにした。40qほどを走り、川沿いの 小高い山裾に着く。民家の空き地に了解を得て駐車する。花園と紹介されただけあって、それほど広くない場所ではあるが、カタクリ、キクザキイチゲ、 オオバナノエンレイソウ、エゾノリュウキンカが咲いている。カタクリやオオバナノエンレイソウが咲く斜面からヒメギフチョウが下りてくる。下の枯草や葉に はとまってくれるがお目当ての花との組み合わせは一向にかなわない。近くに花を栽培していると聞いて行ってみるがそれらしい様子もなく、また戻る。 翅を開いた姿が目標だったが、ここで切り上げ、帰りに再度寄ることにした。 ピリカテール型(注)ヒメギフチョウ(幸運に恵まれた) 辺の風景や花 川沿いにリュウキンカ エゾエンゴサク キクザキイチゲ カタクリの可憐な花 チョウ
2時間余り撮影し、中心地に戻り、コンビニで弁当を購入する。コーヒも購入、30q先の岩尾内湖に向かう。車中、ダニを発見、車を道路わきに止めて 、服、手荷物、車内を総点検、一応の結論で先に進む。幸いにもこの遠征中、ダニを見たのはこの時のみだった。時期的に早いのであろうか、昨年の 7月とは大分様子が違った。途中、時間も昼を過ぎたため、適当な空き地でお弁当を広げる。最初のポイントは、キャンプ地を過ぎた林道である。しばら くで車止めにあたる。ポイントは、車止めからほど遠くない場所と、その先にある。ちょうど林道を戻ってきた中年男子が施錠している。山野草か林道監 視かと思われる。キーナンバーを教えるとのことだったが、歩くことにした。あたりの気温も上がり、早々にヒメギフチョウが飛んでいる。20分ほど奥に入 る。右手の小川沿いに拓けたところが出てくる。ポイントはその先の崖のところであった。うまくとまってくれと願いながら撮影する。しばらくして先の拓け たところに戻る。白っぽいルリシジミばかりであった中に、スギタニルリシジミを見つけることができた。うまく翅を広げてくれ、期待通りの撮影ができた。 他のチョウも見られる。1時間弱、出会った個体は数匹である。次に、ダムに向かい、あたりの林道で撮影する。小高くなったところからはダム湖が一望 できる。また、振り返った新緑の風景は、なかなかに見ごたえがある。ここでもヒメギフチョウが飛んでくる。少し早めに切り上げ、ダム湖にかかった橋の 袂から、林道に入る。ポイントはあまりはっきりしないが、ヘアピンカーブのあたりと聞いたので、カーブで車を止め、40分ほどあたりを散策する。走って いる車からもちらちらと飛ぶ姿が見えたが、降りてよく見れば、崖上や崖下にも確認できる。ヒメギフチョウの多くは崖下だが、林道脇にも止まってくれる 。撮影は順調である。コツバメ、エルタテハなども止まってくれる。3か所で十分な数の撮影を済ませ、周辺での撮影を切り上げた。
帰りに先のポイントに寄り、再度挑戦することにした。花に吸蜜する翅を開いた姿が目標だったが、念願かなって撮影できた。1時間余り撮影し、切り上 げた。 吸蜜するチョウたち
十分な結果に満足し、ペンション山の上に戻り、一息ついた後、温泉に入る。私はアルコ-ルはダメだが、2人は楽しんだ。主人から明日のポイントを聞 いた。今日1日、日差しが強く、みれば直ぐわかるほどに日焼けした。2日目も順調に終わった。後日のチェックで、数多く撮影した中にヒメギフチョウのピ リカテール(注)型を発見し、驚いた。 (注) ・ピリカテール: 北海道昆虫同好会の菱川会長が2003年発行の日本蝶類学会会誌に以下のように報告してる。 「後翅内縁肛角紋が高い確率で美しいオレンジイエロー色をしていることだ。この特徴は、誰言うとなく「美しい尾」「ピリカテイル」の名で呼ばれるようになった」。 このような情報を今回の遠征でもあ世話になったYさんからお聞きした。 B 5月14日(晴れ) 留辺蘂町(旧・常呂郡留辺蘂町)花丘地区〜幌加〜里見が丘公園〜長流枝内周辺〜帯広周辺〜帯広(泊):ジョウザンシ ジミ、チャマダラセセリ(新) 7:30の朝食を少し早めにお願いし、8:30前に出発する。昨日と今日は、天気予報ではあまりよくなかったが、北海道の東と西に低気圧、北の中心部に 高気圧という配置で、層雲峡のあたりは今日も素晴らしい天気になった。今日は帯広に向かうが、南の方まで高気圧が張り出していることを期待した。 南に向かう前に、アカマダラが見られるという留辺蘂町花丘地区の伐採地に向かった。30号線を走り、教えてもらった場所はすぐにわかったが、肝心の チョウはエゾスジグロシロチョウのみであった。長居をせずに来た石北峠を戻り、大雪湖から、273線をぬかびら温泉に向かう。途中、雪を抱く山々の写 真も撮影する。 30号線〜273号線分岐近くからの風景 南方向は、天気があまりよくないとの予報から主人には、もう一度愛別に行ってはと薦められたが、行けども行けども天気は快晴である。朝方、主人か ら途中の幌加のジョウザンシジミのポイントを教えてもらい、こちらに寄った。期待半分、心配半分であったが、数匹のジョウザンシジミに出会えた。近接 撮影は見事成功、景色を背景の写真も撮れたが、何しろ個体が小さすぎて、思ったほどではなかった。前回のジョウザンシジミの撮影は、半ば翅が閉じ られていたが、今回は見事に開翅してくれた。1時間ほどで目的終了、もう一度里見が丘公園に寄ることにした。 ジョウザンシジミ 昨日の山の上で、東京からの採取者がキャンプ場で1匹何とか取れたと聞き、ポイントを確認したためである。キャンプ場の駐車場付近であるが、タンポ ポで黄色の絨毯が敷き詰められている。残念ながら、チャマダラセセリは確認できなかった。もう一度、一昨日の最初の撮影場所に行くことにした。今回 もまた、駐車場のすぐ横で撮影できた。花にも止まってくれ、いいタイミングで撮影できた。今日も、他の人には出会わなかった。時期的に少し遅れ気味 だったのだろうか。 チャマダラセセリ 時間的に昼近くになり、公園の先のコンビニでお弁当を購入する。音更ICから池田ICまで高速を利用し、長流枝内のポイントに向かう。かなり南方向に なり、時間の経過とともに曇り空になった。5月の長流枝内訪問は初めてだったが、今回も空振りに終わってしまった。チョウの種類、数ともに昔の面影 がないようだ。今日の天気も影響しているのだろう。花の写真を何枚か撮り、いま来た林道を進み、突きあたった道を右折し、ゴルフ場の横を通る形で 帯広に向かった。帯広一帯は、昨年の夏台風3個で、河川の氾濫、ひどく荒廃したと聞く。今回のエゾヒメシロチョウポイントもダメになったと聞いた。音 更川河原に立ち寄ったが、こちらでは爪痕はあまり感じられなかった。途中の河川は、倒木、流木で当時の様子をうかがい知ることができた。夜は駅前 の立派なホテルになった。夕食はホテルから結構歩いた中華飯店にした。お店はお客さんで一杯であった。大阪とは違い、結構高い割にはおいしくない 内容だった。店内はたくさんのお客さんで賑わっていたのが不思議だった。今日も成果が上がり、気持ちよく眠ることができた。 ? 5月15日(曇〜時々雨) 野草園(帯広)〜明治なるほどファクトリー十勝見学〜帯広(泊):キビタキ、ゴジュウカラ、アオジ、オオバナノエンレ イソウ、ニリンソウ 天気予報では今日は曇りのち時々雨、チョウ撮影はお休みである。オオバナノエンレイソウとニリンソウが一杯咲いている野草園に行くことにした。ホ テルから数q、すぐのところである。駐車場に止め、歩き出すとエゾリスが姿を見せる、早速の撮影である。園内の林床は白い花で覆われている。先に 進むと大きなレンズを持った一団がいた。鳥の撮影に来ているのだ。鳥の居場所を見つけることは結構難しい。独特の目が必要である。飛び回る鳥の 動きに注意し、かつ、ピントを素早く合わせることも大切である。場所と名前はこれらの専門家に任せ、撮影に参加する。キビタキ、ゴジュウカラ、シジュ ウカラはおなじみの鳥だ。アオジもよく見られる鳥だ。野草園の園内は、白いオオバナノエンレイソウが敷き詰められている。ある一帯ではニリンソウの 絨毯である。シラネアオイも見事である。所々で申し訳なさそうにリュウキンカの黄色い花がある。花の付きはそれほどでなくここではわき役である。園 内を一周し、水滴のついた花々を鑑賞する。1時間ほどで切り上げる。 キビタキ ゴジュウカラ アオジ ?? シラネアオイ 林床のオオバナノエンレイソウ エゾリス ホテルの冷蔵庫で置き忘れた飲料を取に戻る。この頃から雨模様になる。外を歩くことも躊躇われる。ガーデンめぐりを諦め、昨日、駅の観光センター で聞いた、明治なるほどファクトリー十勝の見学に行くことにした。ここから10qほどで、11:25分には工場前に着く。入り口で確認したところ、電話での予 約が必要とのことで聞いた電話番号に予約を入れる。時間は1時30分から、70分ほどの見学である。近くにある回転すし店を聞き、時間まで昼食とする 。見学は我々3人と、2人連れ2組の7人である。設備は手作り感覚の機会が並ぶ。牛乳と塩の仕込み、攪拌、水切り、自重を利用した圧縮、切り出し、ナ チュラルチーズの製造工程を見学した。牛乳に塩を加え、固めて酵素で発酵させたものがナチュラルチーズである。発酵度合いで糸引きのよいモッツア レラチーズ、次に風味豊かなチェダーチーズ、コク深いゴーダチーズと続く。今回はチェダーチーズ行程だった。この工場はバルクの生産で、それぞれ 北海道だけでも9工場ある加工工場に送られるのだそうだ。加熱処理したものはプロセスチーズで長期間保存できる。前のナチュラルチーズは1〜3ヶ月 だそうである。見学の後、3種類を試食、お土産ももらって見学を終了する。説明も丁寧で気持ちの良い見学になった。 展示室 等身大の乳牛(明治なるほどファクトリー十勝) 今日の予定はここまで、北帯広のYHが今夜の宿となった。何年か前、一人旅行で泊まって以来である。お婆さんであったラプラドールは2年前に亡くなっ たそうである。出会いを楽しみにしていたが、残念だった。このYH、食事も良く、小奇麗である。今日は中休みの1日になった。 ? 5月16日(曇) 音更神社〜西札内〜幕別町忠類〜岩尾町〜襟裳岬〜様似(観音山、港)〜様似(泊):アカゲラ、オオルリ、エゾリス、観音 山の花(カタクリ、オオバナノエンレイソウ、ニリンソウ) 天気予報も、朝起きての様子は、予報通りの曇り空だった。チョウに出会えれば儲けものと、期待半分あきらめ半分で出発した。帯広の案内書をいく つかもらっていたが、その一つにエゾリスのいる神社として音更神社が小さく取り上げれられていた。同行のMさんの慧眼、立ち寄ることにした。期待通 り、エゾリスが活発に動き回る様子を見ることができたが、これにに加え、アカゲラ、オオルリ、シジュウカラを撮影できた。立派な神社で、公園が傍設、 鳥撮影のメッカでもあった。たくさんの鳥撮影者と話をしながら1時間ほどの滞在になった。なかなかに充実の1時間であった。動き回る人馴れしたエゾリ スにも親しみが持てた。 音更神社 アカゲラ コガラ オオルリ シジュウカラ エゾリス 今日はこれから、明日のアポイ岳の拠点になる様似までの行程である。昨年のチロロ川で出会った帯広在住の方にも情報をいただいていた。1日前に 、予定を組換え、17日にアポイ岳を再設定した。幕別の忠類は、北海道の昆虫同好会のブログに出ていた地名で、どんな様子かの下見になる。西札内 は、丁寧な案内をもらい、スムースに到着した。あらかじめ聞いていた通り、昨年の台風の爪痕が残っていた。川には流木が残り、護岸工事が続けられ ていた。車止めの先も、大きな岩が道路に落ち、倒れた木が重なりあっている。荒廃した様子に驚いた。空は雲がかかり、まだ肌寒い。チョウの姿も見 えない。しばらく歩いた後、次の目的地に行くことにした。中札内を素通りし、無料の高速道を利用して、幕別町虫類にある道の駅に向かった。到着はお 昼過ぎ、お昼にすることにした。この道の駅、お客さんは、自家製のパンをたくさん買っている。興味を引かれ、昼食にと買ってみて食べる。特に取り立 てるほどではないが、良心的な値段である。この虫類、マンモスが見つけられたところで博物館がある。帯広駅の案内所でも薦められた。先は長く、立 ち寄るところも多いため、こちらは省略して、名前の出ていた東宝あたりに行くことにした。公園を横切り、白銀台スキー場がある辺りに着く。ゲレンデそ ばは雰囲気がある。チョウは普通種、時間が許せば、17日、アポイ岳のあと、寄ることにして先に進んだ。天気は依然曇り空、チョウ観察には向いてい ない日である。岩尾町までは更に号線を南下する。場所はすぐにわかるが、こちらは更に気温も下がりチョウどころではない。せっかくの機会なので、大 丸山森林公園の展望台に行く。車で少し登ったあたりからガスがかかる。斜面には、エゾオオサクラソウが多い。一方通行で、山を反時計回りに車道が あり、進むと展望台に至る。見通しもなく、ガスがひどくかかりそのまま通過して元に戻った。 エゾオオサクラソウ 襟裳岬には行ったことがないとのことで、見学をすることになった。途中の海岸線で流れついた昆布を集めている二人を撮影した。安い日高昆布になる のだろう。 打ち上げられたコンブの収穫 襟裳岬はガスがかかり、風はいつもながらの強風、震えながら駐車場から岬に向かった。突端まで行くのが躊躇され、歌詞の石碑と岬表示の前で写真 を撮り、早々に車に戻る。様似には目につく岩が海に顔を出し、岬からの眺望もなかなかに見ごたえがある。少し先に進んだ観音山はこの時期、カタク リ、ニリンソウ、オオバナノエンレイソウが一杯に咲いている。展望台からの眺めも抜群であるが、今日は曇り空で遠くは見えなかった。港を見学、岩に びっしりとついた白い花とカモメの写真を撮った。しばらくで、すぐ先の宿である美須々に落ち着いた。和室はそれほどきれいではないが、料理屋を併設 (2Fが宿)しており、夕食はなかなかにご馳走で、朝抜き夕食付の部屋代が6000円と、驚きの価格であった。明日に備え、早い時間に消灯した。 観音山展望台から様似港 港の岩山、岩にびっしりとついたカモメと白い花 E5月17日(晴れ) アポイ岳〜岩尾町〜幕別町忠類〜帯広(泊):ヒメチャマダラセセリ、ミヤマセセリ、エゾヒメシロチョウ(新)、 アポイ登山とチョウ観察は登山の項を参照。13時過ぎには下山でき、13:30に出発する。幕別町の東宝が行先になる。通り道である岩尾町に寄ってみる 。天気は良く絶好の日であるが、モンキチョウが見えるばかりだった。そのうち、白いチョウが姿を見せ1人が追っかける。残念ながらエゾスジグロとわか りがっかりする。長居もできず、車を走らせる。14:00過ぎには幕別町に到着する。昨日に目星をつけていた場所を3人が別れて探す。飛び方からエゾヒ メシロチョウと思われる個体も見られるがなかなかとまる様子がない。現れては消えを繰り返すうちに、16:00を過ぎる。1匹に狙いをつけ、追いかける。し ばらく飛び回った後、ササの中でお休みに入った。ここでやっと写真を撮ることができた。時間も過ぎ、今日の撮影を終了し、帯広に帰った。 エゾヒメシロチョウ F5月18日(木、晴れ) 百松沢林道〜駒里:エゾヒメシロチョウ(新)、オオモンシロチョウ、アカマダラ春型(春型は新)、 この遠征も最後の日になる。快晴で、帯広のホテルから日高山系が一望される。長い距離が待っている。ホテルを早めに出発する。当初予定にはな い百松沢林道を午前中、その後、空港近くの駒里に行くことにする。210q以上の長い距離の移動になる。帯広芽室ICから高速に入る。途中、日高山 系の素晴らしい様子をカメラに収めた。何年か前に登った芽室岳が広がっている。懐かしい山容に思い出すことも多い。 ホテルからの日高山系 高速からの日高山系 12日に通った高速を進む。北広島ICでおり、すぐのコンビニで今日の昼食を購入する。まだまだ50q先になる。何度も右折、左折を繰り返しながら愛山 渓に向かい、号線を進む。昨年来ただけにあたりの様子も覚えており、迷うことなく、駐車場所に着く。大きな網を持った研究者風の若い男性と声を交 わす。カミキリムシの採取だとか、盛んにネットを振っている。忠告に従い、左手の林道に行ってみることにした。ルリシジミ、コヒオドシ、クジャクチョウが 観察される。先には開けた崖があるとのことであったが、引き返し百松沢林道に入る。橋の先のやや湿った先までとおおよその計画で進める。道すがら 、蝶以外の昆虫も写真に撮る。崖下のダム湖には、オシドリとコガモがスイスイと水上を行ったり来たりしている。期待したジョウザンシジミは見られなか ったが、ルリシジミ、クジャクチョウ、シータテハなどが見られた。昨年見られたミヤマカラスアゲハの吸水場所を最後に車に戻る。蝶以外にも、何種類か の花も見られた。虫は同行のIさんに名前を確認した。今日はこの遠征で最も熱く、日差しも強い。木曜日ではあるが、おじいさんを含めた家族、車も数 台とまり賑やかであった。駐車場所で、お昼を食べ、次の目標に行くことにした。 シータテハ ルリシジミ オシドリ、 コガモ エゾアオカメムシ イタドリハムシ エゾアナアキゾウムシ クルマバソウ 駒里を目指す。14時を少し回ったころにポイントに着く。初めはエゾスジグロシロチョウ、モンシロチョウ、モンキチョウと期待を裏切るものだったが、や がて、オオモンシロチョウが現れる。なかなかシャッターチャンスにならないが、やがて、何回かの飛来で目の前に止まってくれる。そのうち、アカマダラ の春型も撮影できた。携帯が鳴り、エゾヒメシロチョウが見つかったと連絡が入る。3人が広がって探していたが、急いで駆けつける。オス・メスの絡み写 真、メスの産卵場面が撮影できた。思いのほかの幸運で、予定の3種を無事撮り終えることができた。16:00前にはここを出発し、数q先のレンタカー返 却先に戻った。ワールドネットレンタカー、ここ最近はこの店利用だ。空港に送ってもらう。広島行きの2人はANA、大阪行きの和はJALで、別れの挨拶を して左右に進む。JALのカウンターに16:15分、ジャストタイミングで16:45の便に変更することができた。キャンセル待ち3人目、16:25にカウンター前に2人 が現れない。お土産を買う暇もなく搭乗した。席は右側、山岳写真は撮れなかった。これだけは残念だったが、遠征は大成功に無事終了した。同行の 2人に感謝するばかりである。北海道は、キタアカシジミのが残された。
2017年チョウのページに戻る、2017年山の記録に戻る、2017年花・鳥・その他に戻る 作成日: 2017年5月29日 |