WUTHERING HEIGHTS「FAR FROM THE MADDING CROWD」デンマークのエピック・パワーメタル03年作。アイリッシュトラッド風味のフレーズをたんまり詰め込んだ、変幻自在の展開を見せるファンタジックでドラマティックな楽曲に、新加入のNILS PATRIK JOHANSSONのDIO風の熱いVoが楽曲の濃密さに負けない絶唱を繰り広げる様は、ケルト化したBLIND GUARDIANかRHAPSODYという趣。悶絶なメインフレーズを、組曲のようにアレンジを変えて随所に挿入する事によって、あたかもコンセプトアルバムかのような全体の統一感が保たれています。メチャ格好良いです。
ANDRE MATOS「TIME TO BE FREE」元ANGRAのVoのソロ・プロジェクト07年1st。"BOHEMIAN RHAPSODY"的と本人も語る、VIPER時代の名曲バラード"MOONLIGHT"のリメイク"A NEW MOONLIGHT"が示唆する様に、明らかにVIPER〜ANGRA初期への回帰路線が見て取れる作風。クラシカルなインスト"MENUETT"から気品と憂いを撒き散らしながら疾走するメロディック・パワーメタルチューン"LETTING GO"へと展開する序盤から、新鮮味は無いもののクオリティの高い楽曲が続きます。個人的なハイライトは"HOW LONG(UNLEASHED AWAY)"で、ANGRAスタイルとは趣をやや異にする正統派HMチューンですが、哀愁のサビメロが余りにも秀逸&悶絶。JOURNEYの"SEPARATE WAYS(WORLDS APART)"のカヴァーはやや蛇足気味かも・・・。
VOICES OF ROCK「MMVII」MICHAEL VOSSとCHRIS LAUSMANNが共作した楽曲を、様々なシンガーが歌うというドイツのメロディアスハード・プロジェクト07年作。参加メンバーにはANGEL SCHLEIFERやTOMMY DENANDERの名がクレジットされています。 JAMES CHRISTIANによる"VOODOO WOMAN"は、タイトなGtリフが構築するスケールの大きい楽曲に、渋さと陰りを兼ね備えたメロディを載せたミドルテンポで、良いハマリ具合。JEAN BEAUVOIRによる"WILD THING"は、ファンク路線には走らず、コンパクトでキャッチーな哀愁メロハー曲。TERRY BROCKによる"NIGHTINGALE"は、彼の円熟の歌唱を存分に活かした泣きのパワーバラード。 意外な人選のDAN REEDによる"OVER AND DONE"は、楽曲スタイルも意外でハートウォーミングな産業ロック。これがまた結構ハマってます。JOHNNY GIOELIによる"PHOENIX RISING"は、欧州的な憂いをしっとりと含んだ叙情的なミドル。良い曲ではあるんですが、彼には切れのあるHRを歌って欲しかった・・・。HARRY HESSによる"IRRESISTIBLE"も、欧州的な哀愁メロを配した重厚なミドルですが、サビメロでは何となく彼らしい個性が顔を出しているような気がします。 GORAN EDMANによる"CHINA IN YOUR HANDS"は、軽快で朗らかなメロディのハードポップ。うーん、こういう曲を歌わせても勿論素晴らしいんですが、彼の真骨頂は泣きのバラードのような・・・。夫婦で参加のROBIN BECKによる"UNDERLOVED"は、アメリカンなムード漂うカラっとした軽快な楽曲。ハスキーな彼女の歌唱には合ってますが、楽曲の出来は一番低いかな・・・。 STEVE OVERLANDによる"SLIP AWAY"は爽快さと仄かな憂いが同居した伸びやかなメロディに、80年代的なKeyサウンドが彩りを加える楽曲で、FMでの彼のキャリアを思い起こさせる佳曲。GARY BARDENによる"LOVE IS BLIND"は、1曲目の"VOODOO WOMAN"と同系統の欧州的なミドルで悪く無いんですが、本編ラストを締める曲として相応しいかというと疑問。ボートラはMICHAEL VOSS本人による"MANIAC"のHRバージョンのカヴァー。まあこの曲はどんなアレンジでも格好良いわな。 個人的にこのテのプロジェクトには食指が動かないんですが、流石に楽曲のクオリティは押し並べて高く、十分及第点クリアの出来でした。
DELAIN「LUCIDITY」元WITHIN TEMPTATIONのKey率いるフィメール・ゴシックメタル07年作。ゲストVoにSHARON DEN ADELとLIV KRISTINEが参加しています。シンフォニックなアレンジとメタリックなGtリフを組み合わせた、重厚でゴシックフィーリング溢れる楽曲は、WITHIN TEMPTATIONと殆ど区別が付かないくらい同系統の楽曲。歌メロこそ、本家が「SILENT FORCE」等で聴かせてくれた神懸かったレベルには到達していないものの、このテの楽曲して存分に楽しめる出来なのは間違い無いです。 |