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2007年8月後半

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07.8.28 - 9.1 (tue - sat)
STILL REMAINS「THE SERPENT」アメリカのメタルコア07年作。と書いてみたものの、聴いた感じはあんまりメタルコアっぽさは感じられず、クリーンVoの比重の高さや比較的軽いサウンドが、エモ/スクリーモ系がメロデスと取り込んだようなスタイルに聴こえますが、これがなかなか新鮮な感覚。イントロになる1曲目のタイトルトラックで、まるでMUSEかと思うようなKeyアレンジが飛び出しますが、随所に導入されたKeyが更に個性を際立たせている印象です。Gtリフの刻み方やブレイクから疾走パートに移行する時のリズムチェンジなんかは割とありがちな雰囲気もあるんですが、何より歌メロの出来が非常に良く、没個性なメタルコアのとりあえずクリーントーンで大らかな歌メロ歌っときゃ良いか的な単調な歌メロでは無く、しっかり聴かせるキャッチーnメロディが常にフィーチュアされているのが好印象。これはかなり気に入りました。LOUDPARKが楽しみ。

LAST AUTUMN'S DREAM「II」MIKAEL ERLANDSSONとANDY MALECEKが組んだメロハープロジェクト04年2nd。基本的な方向性は前作同様、叙情的なメロディをフィーチュアしたメロハーですが、今作では若干ハードさが増した印象。1曲目の"FIRE WITH FIRE"がアップテンポなHRチューンなんですが、何故かいきなりボーナストラックという異色の配置で、何となく「HRとして売るんだ!」というレーベルの意向を邪推させます。個人的にはMIKAEL ERLANDSSONの濃密な哀愁メロを堪能したいと思っているだけに、どちらかというと"BRAND NEW LIFE"のような超泣きメロウチューンの方が、これぞ彼の真骨頂!という感じがして好きなんですよね。全体的には清涼感の中に仄かな憂いを滲ませた割とアッサリしたメロディが中心かな。しかし、この薄っぺらい酷い音質は何とかならないものか・・・。

LANA LANE「COVERS COLLECTION」アメリカの女性シンガーのカヴァーソングを集めた企画盤02年作。比較的マニアックな選曲ながら、LANA LANEらしいファンタジックでシンフォニックなアレンジの似合う佳曲がピックアップされているのは、流石ERIK NORLANDERと唸らせます。全体的にバラード/スローチューンが目立つ中での"HOLD YOUR HEAD UP"がちょい浮き気味ですが・・・。中でも"SOARING"(AVIARY)、"INNOCENCE"(ENUFF Z'NUFF)、"I'LL SEE YOU IN MY DREAMS"(GIANT)、"WEEP IN SILENCE"(URIAH HEEP)といった辺りの選曲とアレンジのセンスは秀逸過ぎ!

TLC「ORIGINAL SIN」アメリカのインディ・メロハー91年作。切れのあるGtリフとシリアスで憂いを帯びた歌メロをフィーチュアしたDOKKENタイプのメロハー。インディものにしてはかなりクオリティが高く、なかなか格好良い楽曲が揃っています。

SHELTER「S.T」カナダのインディ・メロハー91年作。後にJ.T.SHELTERと名を変えます。適度にハードなGtリフに、程良く彩りを加えるKeyと清涼感のあるハーモニーを絡ませた爽快な歌メロを乗せたメロハー。これといったキラーチューンはありませんが、押し並べて出来の良い楽曲が揃っています。個人的な趣味の問題かもしれませんが、やや哀愁味に欠けるせいか、全体的に淡白な印象が無きにしもあらず。

07.8.27 (mon)
MACHINE HEAD「BURN MY EYES」アメリカのHM94年作。ヘヴィなGtリフが生み出すグルーヴ感と咆哮型のVoは、モロにPANTERA以降のHMの典型的なスタイル。名曲と言われる"DAVIDIAN"も僕の耳にはPANTERAの亜流としか思えない・・・。ただ、"A THOUSAND LIES"でのある意味キャッチーな歌メロ、"NONE BUT MY OWN"や"I'M YOUR GOD NOW"のダークでメランコリックなメロディ、"BLOOD FOR BLOOD"でのスラッシーな疾走感等、結構良いなと思った曲がそれなりにあったのも事実。

07.8.26 (sun)
LOVE MACHINE「HUNGRY FOR YOUR LOVE」イタリアのKey入りインディ様式美HRの92年作。非常にチープな演奏で、キメパートがグダグダにズレてたりするアマチュア臭さが感じられるんですが、叙情的な陰りを帯びた様式美チューンの出来は切り捨てがたい魅力があります。LAメタル的なパーティチューンもあり。

LABAN「CAUGHT BY SURPRISE」デンマークの男女ハイテクAORの86年作。キラキラした厚みのあるKeyアレンジに、透明感のある爽やかかつ仄かに憂いを含んだ北欧感漂う歌メロを乗せた楽曲は、ノルウェーのAVALANCHEから哀愁を少し抜いたような雰囲気。ポップな好盤です。

MARK SCHULTZ「STORIES & SONGS」アメリカのCCMシンガーの03年3rd。BROWN BANNISTERプロデュース。爽やかなメロディに清涼感溢れるコーラス絡めてポップに聴かせるAOR。爽快な高揚感が気持ち良い"YOU ARE A CHILD OF MINE"、切々と歌い上げるピアノバラード"LETTERS FROM WAR"、心に暖かいものが込み上げてくるホーリィで美しいゴスペル"TIME THAT IS LEFT"、軽やかなタッチのピアノとENOUGH Z'NUFFのようなキャッチーなメロディが印象的なポップロック"RUNNING JUST TO CATCH MYSELF"、繊細な憂いを帯びたメロディがストリングスと共に大仰な盛り上がりを見せる"HE WILL CARRY ME"等々、非常にクオリティの高い楽曲揃い。

07.8.24 - 25 (fri - sat)
PHENOMENA「PSYCHO FANTASY」イギリスのメロディアスハード・プロジェクト06年4th。O'RYANが制作を進めていると思ったら、いつの間にかメンツから消えていて、いつも通りTOM GALLEYのプロデュースでした。参加Voは、GLENN HUGHES、KEITH MURRELL、TONY MARTINといったあたり。1曲目"SUNRISE"の、ダークでヘヴィなGtリフと抑揚の無いヴァースを聴いた時は、「PHENOMENAよ、お前もか・・・」と思ったものでしたが、確かにダークなトーンで終始一貫してミドルテンポでじっくり聴かせる地味な楽曲ではあるものの、数回聴くうちに、なかなか味わい深いメロディを聴かせてくれてるんじゃないの?と思える様になってきました。多分に素晴らしい歌唱のマジックかもしれませんが・・・。しかし、いずれにせよ彼等の作品の中で最もメロハー的な魅力に書ける事だけは間違いがありません。

07.8.22 - 23 (wed - thu)
SONIC SYNDICATE「ONLY INHUMAN」スウェーデンの若手メロデスの07年2ndです。04年デビュー時には平均年齢20歳という若さだったようで、偉大なメロデスの先達の美味しい部分を取り込んだ楽曲になっています。

1曲目の"AFTERMATH"は、イントロのKeyがモロにCHILDREN OF BODOMを彷彿とさせますが、比較的聴き取りやすいデスVoと明朗なクリーンVoを組み合わせたVoパートや、モダンなエフェクトを加えたメタルコアっぽい楽曲展開は最近のIN FLAMESの影響が濃いようで、COBのキラキラした疾走感とIN FLAMESの楽曲をミックスさせたような印象の格好良い佳曲に仕上がっています。"BLUE EYED FIEND"は更にIN FLAMESっぽい楽曲で、適度なドライヴ感を保ったGtリフとフューチャリスティックな音色のKeyアレンジに、スケールの大きいサビメロ。"PSYCHIC SUICIDE"もIN FLAMESもしくはSOILWORKっぽい楽曲で、モダンなアレンジとキャッチーでエモーショナルなサビメロを持ったアップテンポチューン。

"DOUBLE AGENT 616"は、またしてもCOB的な華麗なKeyフレーズにクリーンVoとデスVoが絡み合いながらキャッチーに駆け抜ける楽曲。"ENCLAVE"はゴシック的なアプローチを持ったメランコリックなパワーバラードっぽい楽曲で、冷ややかなKeyサウンドが良い響きを出しています。"DENIED"は、咽び泣くようなVoがまたもやIN FLAMES的で、楽曲展開も以下同文という感じ。キャッチーで大らかサビメロなんですが、どの曲聴いても殆ど同じ様に聴こえてしまう・・・。続く"CALLOUS"はヴァースのタイトなGtリフがちょっと印象的ですが、後は同じくIN FLAMES。タイトルトラックの"ONLY INHUMAN"も殆ど同じで、多分後で聴いてもどの曲か分からないような気がするような楽曲。

余りにも同じようなスタイルの楽曲が続いて辟易してきたところに、ちょっと趣の異なる"ALL ABOUT US"。何かどこかで聴いた事あるなあ・・・と思ってたらT.A.T.U.のカヴァーでした。予想以上にハマっててオリジナル曲かと思った。"UNKNOWN ENTITY"も今までと似たような雰囲気の楽曲なんですが、非常にメロディアスなクリーントーンのサビメロはLINKIN PARKなんかも思い出させます。"FLASHBACK"はDARK TRANQUILLITYっぽい音色のダークでスペーシーなKeyサウンドと慟哭メロを持ったミドル。"MY SOUL IN #000000"は日本盤ボーナストラックで、同じような曲。ラストの"FREELANCER"もまた同じような曲ですが、サビメロはキャッチーです。

何か最後は書くのが面倒臭くなってくるくらい同じような曲が詰まっており、IN FLAMESもしくはSOILWORKベースの楽曲に、時折CHILDREN OF BODOMやDARK TRANQUILLITYのアレンジを取り込んでみました、以上。で全て形容できてしまいそう。オリジナリティは皆無ですが、楽曲単体として聴けば良く出来ているので、もう少し楽曲のバラエティやフックが生まれてくれば、そのうち化けたアルバムを作ってくれそうな期待のあるニューカマーという感じでしょうか。

DAATH「THE HINDERERS」アメリカのデスメタル07年作。王道デスでもない、メロディックデスでもない、かなり個性的なサウンドに仕上がっています。例えるなら、今は亡き DEATHの進化系といった感じ?本人達も「プログレッシヴ・エクストリーム・ミュージック」と称しているあたり、なかなか言い得て妙。

"SUBTERFUGE"は、ストレートなノリの疾走パートと不穏かつ叙情的なGtフレーズを奏でるスローパートが交錯するダイナミックな楽曲。"FROM THE BLIND"は、テクニカルでインテンスなGtフレーズを縦横無尽に張り巡らせつつ、疾走感とグルーヴ感を巧みに盛り込んだ楽曲。"COSMIC FORGE"は、様々なKeyアレンジが楽曲を彩る楽曲で、エロクトロ風、壮大なシンフォ風、ゴシカルなピアノの音色を使い分けつつ、全体的にはゴシカルなムードを発するメロディアスで壮大なブラックメタルっぽい楽曲に仕上がっています。

"SIGHTLESS"は、アグレッシヴな疾走パートとメロディアスなGtを存分に堪能できるスローパートを交互に繰り返す楽曲で、Gtソロの煽情力はかなりのもの。"UNDER A SOMBER SIGN"は冷ややかで美しいピアノの音色を従えて、裏打ちのビートで小気味良くドライヴするブラックメタル的な楽曲で、シンフォ風アレンジがクライマックスを演出します。"OVUM"は、比較的ダイレクトで直情的なデスメタルという趣で、ブルータルな突進力を感じさせます。

"FESTIVAL MASS SOULFORM"は、緩やかに奏でられるメロディアスなGtフレーズとシンフォブラック的なKeyアレンジが絡み合いながら壮大に展開する楽曲。"ABOVE LUCIUM"は、サイバーな音色のKeyとテクニカルなGtリフが波状攻撃を仕掛けてくるハイパーな楽曲。"WHO WILL TAKE THE BLAME?"はアンビエントなムードのKeyをバックに、一筋縄では行かない捻くれたビートとリフが絡み合うプログレッシヴな楽曲。

"WAR BORN(TRI-ADVERSERENADE)"は、無慈悲なGtリフとブラストビートが炸裂するアグレッシヴでストレートな楽曲。"DEAD ON THE DANCE FLOOR"は、ダンサブルでトランスっぽい打ち込みサウンドにマシンガンリフとラップ調のVoを乗せた実験的でアヴァンギャルドな楽曲。"BLESSED THROUGH MISERY"は、全編に不穏なムードが漂う寂寥感のある楽曲。本編ラストのタイトルトラック"THE HINDERERS"は、メランコリックなGtソロのイントロから威厳を感じさせるGtフレーズとKeyアレンジを伴いつつ、随所でブラストを絡めてミドルテンポでドライヴするドラマティックな楽曲。"INVIERSION"はボーナストラックで、ダークなメロディを帯びたGtフレーズとBラインのグルーヴ感が絡みつつ小気味良く疾走する楽曲ですが、要所でプログレッシヴな趣のブレイクが挿入される盛り沢山な楽曲。

メロディアスなパートが多く盛り込まれているんですが、所謂メロデスとは一線を画すプログレッシヴな展開が新鮮で、インテレクチュアル・デスとでも呼びたくなる楽曲。これはかなり気に入りました。

BON JOVI「LOST HIGHWAY」BON JOVIがカントリーをやるという事で話題を呼んでいた新譜らしいですが、あまり気にせず購入。カントリーアレンジを施した楽曲が多く収録されているアルバム、という雰囲気に仕上がっており、最近のBON JOVIのイメージから大きな違和感は無いものの、ややマッタリしたアルバムという印象でした。

タイトルトラックの"LOST HIGHWAY"は、フィドルやマンドリン(?)といった如何にもカントリーテイストのアレンジが印象的な楽曲で、最近のBON JOVIの楽曲にカントリーアレンジを施した軽快なアップテンポチューンという趣は、正にこのアルバムを象徴する1曲と言えます。"SUMMERTIME"は、アコギアレンジですがカントリー色は殆ど感じられないリズミックで軽やかなロックチューン。"(YOU WANT TO) MAKE A MEMORY"は、ストリングスを交えつつジワジワと盛り上がる感動的なバラードで、「KEEP THE FAITH」以降のBON JOVIの王道バラード。

"WHOLE LOT OF LEAVIN'"も、スライドGtを始めとするカントリーアレンジを随所に施しつつも、温かいメロディをフィーチュアしたBON JOVIらしいミドルに仕上がっています。"WE GOT IT GOING ON(WITH BIG & RICH)"は、"IT'S MY LIFE"の二番煎じ(いや三番〜四番くらいかw)的なキャッチーなHRチューン。RICHIE SAMBORAお得意のトーキングモジュレーターを駆使したGtソロもフィーチュアされています。"ANY OTHER DAY"は、希望に満ちたポジティヴなメロディが軽やかに躍動する感動的な楽曲。これぞBON JOVI。

"SEAT NEXT TO YOU"は、カントリーバラードとでも言えそうな、アコースティックなアレンジに乗せて切々と歌い上げるバラード。"EVERYBODY'S BROKEN"は、わざわざ後から追加で書き足した楽曲という事ですが、まあそれなりに感動的なメロディをフィーチュアしたパワーバラード的な楽曲。穏やかなヴァースからダイナミックに大仰なサビメロへ展開するあたりが印象的。"TILL WE AIN'T STRANGERS ANYMORE"は、カントリー界の歌姫LEANN RIMESとデュエットしたカントリーバラードですが、やっぱLEANN RIMESは死ぬ程上手いな!と。心にしみるサビメロ作りは流石の出来。

"THE LAST NIGHT"は、何て事無いミドルテンポのアコースティックなロックチューンですが、JON BON JOVIがあの歌い方で歌ってるだけで何となく感動的に聴こえるから不思議。"ONE STEP CLOSER"も、カントリータッチのバラードですが、この曲は朗らかで伸びやかな雰囲気が漂っています。"I LOVE THIS TOWN"は、気楽なムードが漂う和み系カントリーロック。

今までにもポップな要素を持ったカントリーアルバムは何枚か聴いてきましたが、流石にBON JOVIがやるとカントリーもここまでポップになるのか、という印象。BON JOVIが従来から持ち合わせていた土着的な雰囲気が、カントリーアレンジにスムーズに溶け込んでいます。大人のロックという感じですね。ただ、やっぱ正直地味な雰囲気は拭えないかも。ともあれ、B!誌でも分析されてましたが、またこれでファン層が拡大するんでしょうね。BON JOVI流団塊対策というか。良い曲が書けるというのが根底にはあるんですが、このクラスのアーティストになると、流石に戦略もしたたかですねえ。

07.8.20 - 21 (mon - tue)
SUN CAGED「ARTEMISIA」オランダのプログレ・メタル07年2ndです。DREAM THEATERのフォロワーではありますが、クオリティ自体はなかなかのもの。"LYRE'S HARMONY"は、シンフォニックな音色の厚みのあるKeyと緊張感を帯びたGtリフに、欧州的な叙情を含んだ歌メロを乗せた楽曲。"A FAIR TRADE"は変拍子のリズムとGtリフが醸し出すテクニカルな要素と、AOR的な洗練さを感じさせる歌メロとピアノのコントラストが上手くハマった佳曲。"UNBORN"は激しく刻むGtリフと不穏なKeyサウンドが楽曲全体を支配するパワーメタリックな楽曲。

リリカルなピアノの音色で始まる"BLOODLINES"は、QUEENSRYCHEとDREAM THEATERの影響を受けたパートを組み合わせたような楽曲で、叙情的な歌メロからスリリングなインストパートに雪崩れ込む展開は、ありがちながらもドラマティックで、特にオルガンソロが印象的です。"PAINTED EYES"はヘヴィなGtと物悲しいトーンのピアノが絡む楽曲。"ENGELBERT THE INCHWORM"は彼等のテクニカルな要素を詰め込んだ緊張感のあるインストで、メタリックなGtリフをバックに流麗なGtソロとテクニカルなKeyフレーズが交錯する楽曲。

"AFRAID TO FLY"は、アコギをバックに繊細で憂いを帯びた歌メロが流れるバラードで、叙情的な泣きのGtソロも聴き所。"DIALOGUE"は、DREAM THEATER的としか言い様がない、テクニカルなバッキングに朗々と歌い上げる歌メロを乗せた典型的プログレ・メタルチューン。"DEPARTING WORDS"は、コーラスを多用したキャッチーな歌メロをフィーチュアした前半と、ラテンやエスニックなフレーズが次々と飛び出す色彩豊かな後半のインストパートとのコントラストが際立つ佳曲。本編ラストの"DOLDRUMS"は、ERIC NORLANDERを彷彿とさせるシンフォニックでスペーシーなKeyフレーズに導かれ、ゆったりしたテンポでリリカルなピアノと叙情的な歌メロが絡んでいくメロディアスな楽曲。ボーナストラックはGENESISの"LAND OF CONFUSION"のプログレ・メタル的なカヴァー。

テクニカルでスリリングなインストパートよりも、メロウな歌メロを聴かせる部分が多いアルバムで、なかなか良い感じの雰囲気を出してはいますが、その肝心のメロディに必殺の煽情力が欠けており、何となく流れて行ってしまう印象が無きしもあらずです。随所に良い部分を感じさせる良盤ではあります。

PORCUPINE TREE「FEAR OF A BLANK PLANET」イギリスのプログレッシヴ・ロックの07年最新作です。既にアルバム14作目というベテランで、KING CRIMSONの大御所ROBERT FRIPPのお眼鏡に適ったバンドという実力派のようです。中心メンバーのSTEVEN WILSONが、OPETHのプロデュースを手掛けているという事実だけで興味が湧いてきます。このアルバムは彼等初のコンセプト・アルバムで、所謂「引き蘢り」をテーマにしているとの事。

キータイプのSEから始まるタイトルトラックの"FEAR OF A BLANK PLANET"ですが、淡々とした呟くような Voが部屋に閉じこもった少年を表現しているんでしょうか。楽曲の方は、ディストーションの効いたGtリフがドライヴするアップテンポで、ヴァースの歌メロの淡白さとメロディアスなサビメロとのコントラストが印象的。中間部以降、浮遊感のあるKeyによるアンビエントなムードと、ヘヴィリフでのアグレッシヴなパートが交錯してエンディングを迎えます。歌詞は「何もやる気が起きず引きこもって鬱々としている俺」という感じの内容です。

"MY ASHES"はアコギを含んだ繊細なアレンジに乗せて気怠げでメランコリックな歌メロを切々と流れ、サビではストリングスがドラマティックに盛り上げるバラード。歌詞は「俺は世の中に拒絶されている」といった内容です。

"ANESTHETIZE"は18分近い大作。静寂感を伴った美しくも陰りを帯びたヴァースメロが淡々と流れ、RUSHのALEX LIFESONによる不安を煽るようなGtソロと浮遊感のあるKeyソロを挿み、重厚でヘヴィなGtリフをアクセントにしたハードなパートに移行します。ここでの淡々としながらも胸に訴えてくる歌メロが秀逸。Gt、Dr、Keyがダイナミックに絡み合うインストパートでピークを迎えた後、再び訪れる静寂の一時。そして幻惑感を伴うようなKeyが移ろうように奏でられる中、叙情的な歌メロが緩やかに流れてエンディングを迎えるという、その長さをまるで感じさせない精緻な構築美を見せつける楽曲です。歌詞は「自らの存在意義が分からずドラッグに溺れる」といった内容です。

余りにも美しいピアノの音色で全身が総毛立つイントロを持つ、その名も"SENTIMENTAL"は、歌メロも強烈に美しく繊細で物悲しい哀感に満ちたバラード。歌詞は「年なんかとりたくない」という内容。

"WAY OUT OF HERE"は、訥々と呟くようなヴァースから唐突に哀しい悲鳴のような激情を秘めたサビメロへ展開し、魂を揺さぶる叙情的でハードなGtソロの後、重々しいヘヴィリフと慟哭のサビメロが絡み合いながらクライマックスを迎え、再びアンビエントなKeyが浮遊する静寂が訪れるというドラマティックな楽曲。歌詞は「この世からフェードアウトしたい」という内容です。

ラストの"SLEEP TOGETHER"はエレクトロなKeyアレンジに乗せて、繊細なヴァースからザラついたエフェクトをかけた荒々しい叫びを表現したサビメロへ展開し、更に映画音楽のような重厚なストリングス、アンビエントなKey、鬱々としたムードを醸し出すBが絡み合いながらエンディングでのクライマックスを演出し、アルバムは幕を閉じます。歌詞は「一緒に永遠に消え去ろう」という内容です。

全体としては起伏の少ない淡々とした展開ながらも要所で煽情力のあるフックを設けた楽曲は、その陰鬱としたムードが知らず知らず身体を浸食していくような感触を覚えます。見事なまでに救いの無い歌詞内容とマッチした気怠げでダークな雰囲気は、ゴシック的な趣さえあるような。知的で美しく陰鬱な、静かなるダーク・プログレの傑作です。

07.8.19 (sun)
JOE LYNN TURNER「JLT」元RAINBOWのVoのソロ03年作。今作には梶山章は参加していないようです。彼の出自を明らかにするようなRAINBOWっぽいメロディアスなHRチューンと、ブルージーでドライなアメリカンHRの両方が収録されていますが、今作ではどちらかと言うと後者の比率が高め。前者では"DRINKING WITH THE DEVIL"系のアップテンポなHRチューン"IN COLD BLOOD"、"DRIVIN' WITH MY EYES CLOSED"、後者ではブルージーな歌い回しに仄かな陰りを帯びたGtプレイが絡む"EXCESS"、DEEP PURPLEっぽいオルガンプレイが印象的な粘りのあるブルーズHR"CRYIN' OUT LOUD"等が良い感じ。フックのあるGtリフと憂いのある歌メロを持った"FANTASIZE"は、両者のどちらの雰囲気も無いですが、メロディアスな佳曲。

MACHINE HEAD「THE BURNING RED」アメリカのミクスチャー・メタル99年作。PANTERAっぽいGtリフと図太いBラインが絡むダークでグルーヴィーなミドルテンポのヘヴィサウンドに、ラップを取り入れたVoを乗せた楽曲。"THE BLOOD,THE SWEAT,THE TEARS"での今で言うメタルコア的な大らかなサビメロや、"SILVER"や"THE BURNING RED"でのメロウな歌メロ等、それなりに聴けるパートもあるものの、基本的には苦手な部類。イマイチ・・・。

THERION「THELI」スウェーデンのシンフォニック・メタル96年作。前作「LEPACA KLIFFOTH」収録の"EVOCATION OF VOVIN"の方向性をアルバム全編に取り入れた、オペラティックなコーラスを存分にフィーチュアしたクラシカル&シンフォニックで大仰な楽曲揃い。華麗さだけでなく、HR/HMの醍醐味を兼ね備えているのがポイントで、緊張感のあるオペラティックな女性コーラスを大フィーチュアし、後半のインストパートで更に大仰に盛り上げまくる"TO MEGA THERION"、荘厳な雰囲気を漂わせたオペラティックなコーラスが支配する前半から、強烈な泣きフレーズを連発Gtが乱舞しながら疾走する後半への展開が超ドラマティックな"NIGHTSIDE OF EDEN"、アグレッシヴなGtリフに女性コーラス、CHRISTOFER JOHNSSONの男声Voの歌メロ、泣きのGtフレーズが絡みつつパワフルに疾走する"INVOCATION OF NAAMAH"等が真骨頂。彼等のアイデンティティを確立した重要なアルバム。

THERION「VOVIN」スウェーデンのシンフォニック・メタル98年作。前作で確立した作風を更に押し進めたアルバム。前作では楽曲の随所に感じられたHR/HMの熱さやエッジは一層希薄になり、クラシカルで華麗なシンフォアレンジが取って代わっています。ベースとなる楽曲の骨格はGtリフによるものですが、その上にストリングスやオペラティックなコーラスが幾重にも重ねられた豪華絢爛たる楽曲に仕上がっています。ハードな"WINE OF ALUQAH"と"THE WILD HUNT"ではスリリングな緊張感に満ちていますが、他の楽曲は美しさよりもヌルさの方がやや強く感じられてしまいます。前作からの進化の是非は人それぞれでしょうが、僕は前作の方が好きでした。

TESLA「MECHANICAL RESONANCE」アメリカのブルーズHRの86年1st。ハードエッジなリフ、実は結構早弾きしているGtプレイ、洗練されたメロディ等の導入によって、単なるブルーズベースのHRではない彼等ならではの持ち味を生み出しています。抜群に格好良いドライヴ感のある名曲"CUMIN' ATCHA LIVE"が頭一つ抜けていますが、他にも、渋くブルージーな楽曲にキャッチーなサビメロを乗せた"2 LATE 4 LOVE"、タイトなリフと仄かに憂いを帯びたメロディが小気味良くドライヴする"ROCK ME TO THE TOP"、渋い郷愁を持ちつつもスケールの大きいメロディが印象的な"MODERN DAY COWBOY"、切々と歌い上げる叙情的なバラード"CHANGES"等、佳曲が揃っています。

07.8.17 - 18 (fri - sat)
GREG LONG「BORN AGAIN」アメリカのCCMシンガーの04年作。軽やかなアレンジを施した、やや穏やかな雰囲気のポップアルバム。爽やかな高揚感のあるサビメロのタイトルトラック、アコギとストリングスが絡むアレンジに繊細で憂いに満ちた歌メロを乗せたバラード"EVERLASTING"、ダンサブルなビートに透明感のある爽やかなメロディを乗せたアップテンポ"SAVIOR OF THE WORLD"、ジャジーでメロウなバラード"RISE AGAIN"等、安心して楽しめる手堅いCCMアルバム。

ALL THAT REMAINS「THIS DARKENED HEART」アメリカのメタルコア03年2nd。ザクザクと切り込んでくるメタリックでスラッシーなGtリフが疾走するパートと、スローダウンして大らかなサビメロを歌い上げるパートが交錯する、いかにもなメタルコア。激しくも叙情的なインスト"REGRET NOT"をプレイしていたり、硬質感を前面に押し出したリフワークや、随所で煽情感のあるフレーズを連発するGtソロ等が、オーセンティックなメタルっぽさを漂わせているのが良い感じ。

AMORPHIS「SILENT WATERS」フィンランドのメロディックデス07年最新作。完全復活した傑作「ECLIPSE」に続く新作ということで超期待してましたが、やってくれましたよ。

ヘヴィなGtリフと図太いグロウルで幕を開ける"WEAVING THE INCANTATION"は、アグレッシヴなリフが唸るヴァースと泣きのフレーズをフィーチュアしたサビメロのコントラストが印象的なミドルで、中間部のブレイクで更に叙情的に展開するダイナミックな楽曲。前曲の余韻を切り裂く様に始まる"A SERVANT"は、全編を支配する叙情的なメロディを織り込んだGtフレーズの魅力だけで瞬殺必至の、名曲"ON RICH AND POOR"的な楽曲。"SILENT WATERS"は、メランコリックなピアノの調べに乗せたソフトで憂いを帯びたヴァースの歌メロから、スケールの大きなサビメロで一気に盛り上がる楽曲。

"TOWARDS AND AGAINST"は、小刻みなGtリフにシンフォニックなKeyが絡みつつアップテンポに駆け抜けるキャッチーな楽曲。"I OF CRIMSON BLOOD"は、「TUONELA」の頃を思わせる浮遊感を伴う神秘的な雰囲気を持っていますが、サビでのダイナミックな盛り上がりが一層の煽情力を感じさせるドラマティックな楽曲。冷ややかなKeyサウンドが寂寥感を際立たせる"HER ALONE"も、「TUONELA」に収録されていてもおかしく無いメロウでメランコリックなバラードタイプの楽曲ですが、このアルバムの流れで聴くと一際味わいを増す印象です。"ENIGMA"は、アコースティックなアレンジに繊細なメロディを乗せた、どことなくフォーキーな味わいを感じさせる楽曲。

"SHAMAN"は、強烈な泣きを伴ったGtフレーズと憂いを帯びた秀逸な歌メロが絡んでくるだけで悶絶モノな上に、ブレイクしてエキゾチックでフォーキーなパートも聴かせるドラマティックな楽曲。"THE WHITE SWAN"も、"I OF CRIMSON BLOOD"と同様、「TUONELA」的な寂寥感を感じさせるミステリアスなパートと、「TALES FROM THE THOUSAND LAKES」的なヘヴィな慟哭メロディを組み合わせたダイナミックな楽曲で、Gtソロも超煽情的で素晴らしい。本編ラストを飾る"BLACK RIVER"は、悲哀に満ちたピアノと泣きまくる哀切のGtフレーズが強烈な、哀しくも美しいバラード。日本盤ボーナストラックの"SIGN"は、KINGSTON WALLがヘヴィにローリングするような彼等お得意のヘヴィチューン。

いやあ素晴らしい。今作では「TUONELA」時代に培った繊細で寂寥感のあるアレンジを存分に盛り込み、前作よりも深みを増した強烈な1枚に仕上がっています。これは紛う事無く最高傑作だ!

07.8.16 (thu)
LINKIN PARK「MINUTES TO MIDNIGHT」何となく買ってしまったアメリカのヘヴィロック07年最新作・・・なんですが、ヘヴィロック止めちゃったのね・・・。いやあ、これは賛否両論出るアルバムだろうなあ、と思ってググッてみたら案の定。HOOBASTANKがメロディックロック寄りにシフトしたのよりも更にドラスティックな変化。やっぱミュージシャンやってると、最終的にはメロディで勝負したくなるんですかね。しかし、こういったメロウな楽曲で聴かせるなら、相当に秀でたメロディが重要なワケですが、悪くは無いもののイマイチ胸に響いてこないんですよね・・・。HOOBASTANKの方がまだ上のような気がします。ハードな"GIVEN UP"も大した事無いし・・・。"BLEED IT OUT"は如何にも従来の彼等らしくて良い感じかなあ・・・単調過ぎる気もするけど。あとは仄かな寂寥感がジワジワと染みる"IN PIECES"くらいか。DIDOをほんの少しミクスチャーロック寄りにしたようなゆったりとした楽曲の多くは、雰囲気は良い感じなんですが、ちょっとメロが弱いかなあ・・・。

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