SONIC SYNDICATE「ONLY INHUMAN」スウェーデンの若手メロデスの07年2ndです。04年デビュー時には平均年齢20歳という若さだったようで、偉大なメロデスの先達の美味しい部分を取り込んだ楽曲になっています。 1曲目の"AFTERMATH"は、イントロのKeyがモロにCHILDREN OF BODOMを彷彿とさせますが、比較的聴き取りやすいデスVoと明朗なクリーンVoを組み合わせたVoパートや、モダンなエフェクトを加えたメタルコアっぽい楽曲展開は最近のIN FLAMESの影響が濃いようで、COBのキラキラした疾走感とIN FLAMESの楽曲をミックスさせたような印象の格好良い佳曲に仕上がっています。"BLUE EYED FIEND"は更にIN FLAMESっぽい楽曲で、適度なドライヴ感を保ったGtリフとフューチャリスティックな音色のKeyアレンジに、スケールの大きいサビメロ。"PSYCHIC SUICIDE"もIN FLAMESもしくはSOILWORKっぽい楽曲で、モダンなアレンジとキャッチーでエモーショナルなサビメロを持ったアップテンポチューン。 "DOUBLE AGENT 616"は、またしてもCOB的な華麗なKeyフレーズにクリーンVoとデスVoが絡み合いながらキャッチーに駆け抜ける楽曲。"ENCLAVE"はゴシック的なアプローチを持ったメランコリックなパワーバラードっぽい楽曲で、冷ややかなKeyサウンドが良い響きを出しています。"DENIED"は、咽び泣くようなVoがまたもやIN FLAMES的で、楽曲展開も以下同文という感じ。キャッチーで大らかサビメロなんですが、どの曲聴いても殆ど同じ様に聴こえてしまう・・・。続く"CALLOUS"はヴァースのタイトなGtリフがちょっと印象的ですが、後は同じくIN FLAMES。タイトルトラックの"ONLY INHUMAN"も殆ど同じで、多分後で聴いてもどの曲か分からないような気がするような楽曲。 余りにも同じようなスタイルの楽曲が続いて辟易してきたところに、ちょっと趣の異なる"ALL ABOUT US"。何かどこかで聴いた事あるなあ・・・と思ってたらT.A.T.U.のカヴァーでした。予想以上にハマっててオリジナル曲かと思った。"UNKNOWN ENTITY"も今までと似たような雰囲気の楽曲なんですが、非常にメロディアスなクリーントーンのサビメロはLINKIN PARKなんかも思い出させます。"FLASHBACK"はDARK TRANQUILLITYっぽい音色のダークでスペーシーなKeyサウンドと慟哭メロを持ったミドル。"MY SOUL IN #000000"は日本盤ボーナストラックで、同じような曲。ラストの"FREELANCER"もまた同じような曲ですが、サビメロはキャッチーです。 何か最後は書くのが面倒臭くなってくるくらい同じような曲が詰まっており、IN FLAMESもしくはSOILWORKベースの楽曲に、時折CHILDREN OF BODOMやDARK TRANQUILLITYのアレンジを取り込んでみました、以上。で全て形容できてしまいそう。オリジナリティは皆無ですが、楽曲単体として聴けば良く出来ているので、もう少し楽曲のバラエティやフックが生まれてくれば、そのうち化けたアルバムを作ってくれそうな期待のあるニューカマーという感じでしょうか。
DAATH「THE HINDERERS」アメリカのデスメタル07年作。王道デスでもない、メロディックデスでもない、かなり個性的なサウンドに仕上がっています。例えるなら、今は亡き DEATHの進化系といった感じ?本人達も「プログレッシヴ・エクストリーム・ミュージック」と称しているあたり、なかなか言い得て妙。 "SUBTERFUGE"は、ストレートなノリの疾走パートと不穏かつ叙情的なGtフレーズを奏でるスローパートが交錯するダイナミックな楽曲。"FROM THE BLIND"は、テクニカルでインテンスなGtフレーズを縦横無尽に張り巡らせつつ、疾走感とグルーヴ感を巧みに盛り込んだ楽曲。"COSMIC FORGE"は、様々なKeyアレンジが楽曲を彩る楽曲で、エロクトロ風、壮大なシンフォ風、ゴシカルなピアノの音色を使い分けつつ、全体的にはゴシカルなムードを発するメロディアスで壮大なブラックメタルっぽい楽曲に仕上がっています。 "SIGHTLESS"は、アグレッシヴな疾走パートとメロディアスなGtを存分に堪能できるスローパートを交互に繰り返す楽曲で、Gtソロの煽情力はかなりのもの。"UNDER A SOMBER SIGN"は冷ややかで美しいピアノの音色を従えて、裏打ちのビートで小気味良くドライヴするブラックメタル的な楽曲で、シンフォ風アレンジがクライマックスを演出します。"OVUM"は、比較的ダイレクトで直情的なデスメタルという趣で、ブルータルな突進力を感じさせます。 "FESTIVAL MASS SOULFORM"は、緩やかに奏でられるメロディアスなGtフレーズとシンフォブラック的なKeyアレンジが絡み合いながら壮大に展開する楽曲。"ABOVE LUCIUM"は、サイバーな音色のKeyとテクニカルなGtリフが波状攻撃を仕掛けてくるハイパーな楽曲。"WHO WILL TAKE THE BLAME?"はアンビエントなムードのKeyをバックに、一筋縄では行かない捻くれたビートとリフが絡み合うプログレッシヴな楽曲。 "WAR BORN(TRI-ADVERSERENADE)"は、無慈悲なGtリフとブラストビートが炸裂するアグレッシヴでストレートな楽曲。"DEAD ON THE DANCE FLOOR"は、ダンサブルでトランスっぽい打ち込みサウンドにマシンガンリフとラップ調のVoを乗せた実験的でアヴァンギャルドな楽曲。"BLESSED THROUGH MISERY"は、全編に不穏なムードが漂う寂寥感のある楽曲。本編ラストのタイトルトラック"THE HINDERERS"は、メランコリックなGtソロのイントロから威厳を感じさせるGtフレーズとKeyアレンジを伴いつつ、随所でブラストを絡めてミドルテンポでドライヴするドラマティックな楽曲。"INVIERSION"はボーナストラックで、ダークなメロディを帯びたGtフレーズとBラインのグルーヴ感が絡みつつ小気味良く疾走する楽曲ですが、要所でプログレッシヴな趣のブレイクが挿入される盛り沢山な楽曲。 メロディアスなパートが多く盛り込まれているんですが、所謂メロデスとは一線を画すプログレッシヴな展開が新鮮で、インテレクチュアル・デスとでも呼びたくなる楽曲。これはかなり気に入りました。
BON JOVI「LOST HIGHWAY」BON JOVIがカントリーをやるという事で話題を呼んでいた新譜らしいですが、あまり気にせず購入。カントリーアレンジを施した楽曲が多く収録されているアルバム、という雰囲気に仕上がっており、最近のBON JOVIのイメージから大きな違和感は無いものの、ややマッタリしたアルバムという印象でした。 タイトルトラックの"LOST HIGHWAY"は、フィドルやマンドリン(?)といった如何にもカントリーテイストのアレンジが印象的な楽曲で、最近のBON JOVIの楽曲にカントリーアレンジを施した軽快なアップテンポチューンという趣は、正にこのアルバムを象徴する1曲と言えます。"SUMMERTIME"は、アコギアレンジですがカントリー色は殆ど感じられないリズミックで軽やかなロックチューン。"(YOU WANT TO) MAKE A MEMORY"は、ストリングスを交えつつジワジワと盛り上がる感動的なバラードで、「KEEP THE FAITH」以降のBON JOVIの王道バラード。 "WHOLE LOT OF LEAVIN'"も、スライドGtを始めとするカントリーアレンジを随所に施しつつも、温かいメロディをフィーチュアしたBON JOVIらしいミドルに仕上がっています。"WE GOT IT GOING ON(WITH BIG & RICH)"は、"IT'S MY LIFE"の二番煎じ(いや三番〜四番くらいかw)的なキャッチーなHRチューン。RICHIE SAMBORAお得意のトーキングモジュレーターを駆使したGtソロもフィーチュアされています。"ANY OTHER DAY"は、希望に満ちたポジティヴなメロディが軽やかに躍動する感動的な楽曲。これぞBON JOVI。 "SEAT NEXT TO YOU"は、カントリーバラードとでも言えそうな、アコースティックなアレンジに乗せて切々と歌い上げるバラード。"EVERYBODY'S BROKEN"は、わざわざ後から追加で書き足した楽曲という事ですが、まあそれなりに感動的なメロディをフィーチュアしたパワーバラード的な楽曲。穏やかなヴァースからダイナミックに大仰なサビメロへ展開するあたりが印象的。"TILL WE AIN'T STRANGERS ANYMORE"は、カントリー界の歌姫LEANN RIMESとデュエットしたカントリーバラードですが、やっぱLEANN RIMESは死ぬ程上手いな!と。心にしみるサビメロ作りは流石の出来。 "THE LAST NIGHT"は、何て事無いミドルテンポのアコースティックなロックチューンですが、JON BON JOVIがあの歌い方で歌ってるだけで何となく感動的に聴こえるから不思議。"ONE STEP CLOSER"も、カントリータッチのバラードですが、この曲は朗らかで伸びやかな雰囲気が漂っています。"I LOVE THIS TOWN"は、気楽なムードが漂う和み系カントリーロック。 今までにもポップな要素を持ったカントリーアルバムは何枚か聴いてきましたが、流石にBON JOVIがやるとカントリーもここまでポップになるのか、という印象。BON JOVIが従来から持ち合わせていた土着的な雰囲気が、カントリーアレンジにスムーズに溶け込んでいます。大人のロックという感じですね。ただ、やっぱ正直地味な雰囲気は拭えないかも。ともあれ、B!誌でも分析されてましたが、またこれでファン層が拡大するんでしょうね。BON JOVI流団塊対策というか。良い曲が書けるというのが根底にはあるんですが、このクラスのアーティストになると、流石に戦略もしたたかですねえ。 |