8) 比良山系(坂谷道〜小女郎峠〜小女郎谷道) 峠 1080m :2016年3月30日 、小女郎ヶ池、薬師滝、木々の花 2016年山の記録に戻る 、2016年チョウのページに戻る、 2016年花・鳥・その他に戻る、 このコースの目玉である小女郎ヶ池は比良山系ばかりでなく、県下でも最も高地に位置(1060m)する池で、約6300年前に遡る。水面下の地層は、泥炭で覆われているそうだ。地元では雨乞いの池として知られており、悲哀伝説の舞台としても有名である。悲哀については、池のそばに看板で説明されている。それによると、昔、比良山麓の南船路という集落に、九右衛門とお考という夫婦が住んでいた。柴刈りに出向いていたお考が、ある日、池の主であった大蛇に魅入られてしまい、その日以来毎晩、乳飲み子を家に残したまま、夜な夜な池に通うようになった。不審に思った九右衛門は、ある晩、赤ん坊を背負ってお考の後をつけた。池の中に入る姿を九右衛門に見られたお考は、大蛇に見初められてしまったことを告白し、『赤ん坊が乳をほしがったらしゃぶらせてほしい』と自分の左目をくりぬいて差し出し、池の中に姿を消してしまった。それ以来、“考女郎”が入った池だから「考女郎池」、いつしか「小女郎ヶ池」と呼ばれるようになったという。ここまで来れば、緩やかな登りを更に30分ほど行けば、蓬莱山に行くことができる。山頂は標高、1174m、360度遮るものがない。比良山系の峰々や京都の北山、鈴鹿山系まで見渡せ、伊吹山の左手には、御嶽山、乗鞍岳、北アルプス、白山などの素晴らしい眺望を満喫できる。 今回はこの小女郎ヶ池を目指し、坂下からアプローチした。初めて歩く道であったが、前半と中間に急坂があるが、900mを過ぎたころからは視界も開け、高原状を歩く気持ちのよう山行になる。小女郎峠からの小女郎谷(道)は最初はガレ場で、年々崩壊が進み注意が必要であるが、花に時期になればニリンソウやイワカガミがなどが楽しめる道になる。下山の後半には、薬師ノ滝が登山道のすぐわきにあり、こちらも楽しみの一つとなる。 守山駅(7:47)−山科駅乗り換えー堅田(8:31、8:50細川行バス)−坂下(9:27、940出発)−600m地点(10:32)−休憩(杉林前)(11:09〜11:14)−905mピーク近く(11:50)−レスキューポイントサカ谷1(12:05)−小女郎ヶ池(12:55〜13:50)−小女郎峠(13:58)−レスキューポイント小女郎峠2(14:12)−薬師ノ滝(15:52〜15:57)ー林道出合(16:08)−蓬莱駅(16:55、16:58JR)〜山科駅乗り換え〜守山駅 歩行時間 : 7間10分(休憩時間を含む) 休憩時間:約1時間15分 歩行距離: 約10.2q 累積高度 :680m Kさんとの下見山行となった。比良山系を西から東に横断する格好になる。堅田駅で細川行のバスに乗り、坂下で下車する。数戸の家があって、黄色のスイセンが綺麗だ。今日は鳥の写真をと思い、望遠カメラも用意した。早々に電線にとまったキセキレイを写真に収める。川沿いの分れた道に入り、こんなところにカフェと思わせる前を通り、橋を渡ってすぐに、サカ谷に入る。対岸にフサザクラのピンクがかわいい。しばらくで谷を横切り、サカ谷と表示のあるところから杉林の急坂を登る。倒木や倒れた古木が道をふさぎ歩きにくいが、しばらくのことだ。杉は立派で、使われないままに残っているのは残念なことだ。杉林を過ぎると広葉樹林になり明るくなる。大きな尾根筋を巻く格好で進み、緩やかな登りをしばらく行けば600m地点だ。ここまで鳥の声がひっきりなしに聞こえてくるが、なかなか写真に撮れない。鳴き方からシジュウカラのようだ。落葉の広葉樹の中で、梢に黄色の花が咲いている。アブラチャンと思ったが、黄色の色が強く、後でダイコウバイと判断した。ここからしばらくでまた、山腹をまわるように進み、少し登りがきつくなる。目の前には大きな杉林が広がる。見上げるような急坂になる。登りの前に水を飲み、一息つく。ここからの30分ほどは杉林の薄暗い中を歩く。急坂の杉林を抜け、杉林に沿って900mピークを目指す。幾分坂はましになる。ピークのそばを過ぎたころにKさんのGPSが設定ポイントを知らせてくれる。やがて杉林もなくなり、ヒノキが現れる。更に進むと平坦なレスキューポイント坂谷1の表示があるところに着く。広葉樹林帯で今の季節は明るい。チョウが2匹舞う。ヒオドシチョウだ。今の時期、山で出会えるチョウは冬越しのヒオドシチョウがほとんどだ。枯葉の中でとまった時がチャンスになった。ここから小女郎ヶ池までもうすぐと思ったが、緩やかな広い尾根を結構な距離を登ることになる。2箇所ほど残雪が残っている。今年は暖冬で、本当に雪の少ない年だった。更にしばらく行くと、左手に武奈ヶ岳と西南陵、広い山容の蓬莱山が良く見える。足元にはヒカゲノカズラがびっしりと敷き詰められ、イヌツゲの低木がたくさんある。気持の良い道を登りきり、時計反対方向に回り込んで下って行くと小女郎ヶ池に着く。一部ぬかるんでいるが、ササの原が広がる。池越しに、蓬莱山が美しい。ここまで3時間30分、コースタイムより40〜50分余計にかかった。カップカレーソバ、コーヒー、リンゴを味わい、タップリ休む。途中相談していた蓬莱山への往復をあきらめる。峠まではすぐで、初めて登山客に出会う。峠でもう一人の同行者と出会い、短い言葉を交わし、小女郎谷に向かう。もともとガレたところであったが、更にひどくなって、小岩が積もった急坂になる。1歩1歩、慎重に足を下ろす。しばらくでマシになるが、急坂は続く。谷に沿って進む。何度か谷を左岸右岸と渡り、高度を下げる。ネコノメソウ、イワボタンが現れる。やがて、沢から離れ、イワカガミの群落のある崖のそばを進む。岩の近くには、ミヤマカタバミが多い。過ぎてから、撮影時にカメラキャップを落としたことに気づき、ツル性の木が杉に巻き込んだ付近から引き返す。ミヤマカタバミのあるところですぐに見つかりホッとする。急いで戻る。やがて、薬師ノ滝の看板が現れ、寄り道する。少し下ると谷に出る。対岸に渡ると良いアングルになる。ここから10分ほどで林道出合になり、登山道を離れる。花の時期にはまだまだ遠いタニウツギが多い。その中で、キブシやニワトコの花が見られる。30分ほど林道を歩き、湖西道路の下を横切り進むと、棚田のある開けたところに出る。集落が近ずくと、梅、モモ、一部開花したサクラなどが目に入る。白いコブシも印象的だ。鳥の声もずっと聞こえ、いよいよ春本番を迎えようとしている。最後に蓬莱駅に着くと、タイミングよく電車があり乗り込む。今回の山行は2人ずれで、約7時間、会話も弾んだ春の1日だった。今日は4月下旬の気温とか、薄着での登山になった。
行程マップ (国土地理院の地図を引用) 2016年山の記録に戻る、2016年チョウのページに戻る 、2016年花・鳥・その他に戻る、 作成日: 2016年3月31日 |