32)中央アルプス(木曽駒ヶ岳〜宝剣岳〜三ノ沢岳):8月6日〜8月7日、  
   2019年山の記録に戻る2019年チョウのページに戻る 、2019年花・鳥・その他に戻る 


木曽駒ヶ岳から空木岳の縦走路を歩いて以来、19年ぶりの中央アルプスへの訪問になった。今回は初めてになる三ノ沢岳を歩いた。記憶はほとんどなく、初めてと同じ気分だった。気心の知れた4人の登山で、快晴に恵まれた。木曽駒ヶ岳山頂からの展望、ご来光、たくさんの花々を楽しんだ。各山はいずれも百名山、花百名山と実りの多い山行だった。

行程
@8月6日 菅の台バスセンター〜(バス)〜しらび平ロープウエイ駅〜千畳敷駅〜千畳敷〜中岳〜木曽駒ヶ岳〜駒ヶ岳山頂小屋(泊)
A8月7日 駒ヶ岳山頂小屋〜木曽駒ヶ岳〜駒ヶ岳山頂小屋〜宝剣岳〜三ノ沢岳〜千畳敷駅〜仙流荘へ移動
次の8日は、仙丈ヶ岳の登山となった。

 全体の行動時間:   、行動距離       、累積登高:

1)8月6日
JR守山駅(8月6日、5:55出発)−菅の台バスセンター(9:35、9:50バス)−しらび平ロープウエイ駅(10:20)−千畳敷駅(10:30、10:35出発)−浄土乗越(10:32)−宝剣小屋(11:40〜12:10、昼食)−中岳(12:20〜12:25)−木曽駒ヶ岳(13:10〜13:50)−駒ヶ岳山頂小屋(14:15着、泊)

集合時間の6:00前に4人が揃い、長野県駒ヶ根市に向け出発する。途中の多賀SAで昼食や追加の食料を購入する。長い道のりのため、コーヒーはお預けにする。滋賀県は曇り空だったが、名古屋を過ぎるあたりから快晴になり、期待が高まる。予定の時間内に駒ヶ根ICを離れ、3.5q程すすんだ菅の台バスセンターに到着する。快晴でよいのだが、暑さも相当のものだ。待つこともなくバスでしらび平駅に到着する。駐車場の車も多かったが、いろいろなお客さんでいっぱいである。ロープウエイも臨時で対応し、次の折り返しで千畳敷駅に向かう。駅は人でごった返しであるが、人の列に従って、登山開始となる。千畳敷はお花畑である。次々と現れる高山植物を眺めながら、撮影に忙しい。ミヤマキンポウゲ、クルマユリ、チシマギキョウ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、コバイケイソウ、タカネグンナイフウロ、ミヤマリンドウ、ウサギギクなどたくさんの花が見られる。振り返れば南アルプスが素晴らしい山容を見せる。

千畳敷を元気に出発、花に囲まれ余裕たっぷり

南アルプスと駒ヶ根市街

稜線に出て、少し先に進めば浄土乗越に着く。前に見える2つの小屋のうち、手前の宝剣小屋で昼食にする。岩峰がそびえる宝剣岳がひときわ目立つ。水分を十分補給し、高山植物が乏しい道を中岳に進む。山頂表示を撮影し、そのまま先を進む。ガラガラ道で多少歩きずらいが下った先が山頂小屋になる。少し休憩し、?バッグを背負ったまま駒ヶ岳山頂を目指す。足元には、コケモモ、コマウスユキソウ(ヒメウスユキソウ)、目にも鮮やかな真紅のコマクサが目を引く。これほど鮮やかな色はあまり経験がない。
鮮やかな色のコマクサ

コマウスユキソウ(ヒメウスユキソウ)

ヨツバシオガマは多かったが、やっとミヤマシオガマにも出会えた。25分ほどの登りで木曽駒ヶ岳山頂に着く。イワヒバリが近くで動き回る。

そろって記念撮影、ガスがかかり始める

イワヒバリがけん制し合って騒がしい

ミヤマキンバイの黄色も素敵だ。イワツメクサ、花もさい11時過ぎからは遠くの山々には雲がかかっていたが、駒ヶ岳周辺もガスがかかる。次第に視界が悪くなるが、時間を取ってガスが切れるのを待って、くいろいろと撮影する。明日予定の宝剣岳や三ノ沢岳が印象的だ。そのうち雲行きがややこしくなり、下山にかかる。山頂小屋に入ったころにはポッツときたように感じた。2回の6人部屋に入って一息ついた時にはひどい雨脚になった。キャンプを設営中の人たちが小屋に避難してきた。その後も強い雨が続いた。夕食の後、夕日を期待したが叶わなかった。我々4人に、埼玉県深谷からのご夫婦が加わり、趣味で果樹園を作っているというご主人の話に耳を傾けた。その甲斐あって、園で収穫の巨峰をいただいた。味見は下山後の仙流荘だった。その夜は寝つきが悪かった。夜空は晴れ上がり満天の星空を見ることができた。

2)8月7日
駒ヶ岳山頂小屋(4:20)〜木曽駒ヶ岳(4:40〜5:05)−駒ヶ岳山頂小屋(5:15、朝食後出発6:00)−宝剣小屋(6:24)−宝剣岳山頂(6:45〜6:55)−三ノ沢岳分岐(7:30〜7:35)−ケルン(9:08〜9:13)−三ノ沢岳山頂(9:35〜9:50)−ケルン(10:05)−三ノ沢岳分岐(11:27〜11;32)−極楽平(11:40)−千畳敷駅(12:09、12:19出発)−しらび平ロープウエイ駅(12:27、12:50バス)−菅谷バスセンター(13:20、13:35出発)−道の駅南アルプスむら長谷(14:16〜15:20、昼食)−仙流荘(15:40)
         行動時間:10時間30分、歩行距離:8.9q 、累積登高:約1300m

4時を過ぎ、小屋の点灯、ご夫婦の会話で朝が始まった。4時15分頃に小屋を出て赤く染まった東の空を撮影した。
テントの先の東の空


2人ずれが、山頂に向かうのを見て、私も山頂に行くことにした。小屋からの情報で、夜明けは5時5分とのことだった。足元は確認でき、点灯の必要はない。20分ほどで山頂に着く。冷え込みもなく、昼の服装で十分だった。東の空は真紅に染まっている。シルエットも美しい。山頂から東の先まで場所を変え、刻々と変わる様子をカメラにおさめた。雲海の上の山々、南アルプスの山並みの上に富士山がシルエットを付けている。いよいよ5時が過ぎ、ご来光となった。
ご来光3枚

八ヶ岳からのご来光

八ヶ岳〜瑞牆山・甲武信ヶ岳〜中央アルプス

富士山のシルエット

見返せば山頂は赤く染まっている。

赤く染まった山頂
 
山頂には多くの登山客がいた。ご来光の瞬間を何枚も写真にとらた。山頂に戻り、記念撮影をお願いし、その後食事に戻った。
小屋まで10分強、5:30の朝食に十分間に合った。この小屋の朝食や夕食、設備はやや期待を裏切るものであったが、比較的余裕で横になることができたのは幸いだった。皆、小食で、御代わりをするのは気が引けた。
 予定通り、6;00に出発する。中岳を巻いた道を選ぶ。南〜西方向の山々(空木、南駒ヶ岳)を満喫しながら進んだ。花もそこそこ見ることができる。途中、岩の崖を通過するが、気を付ければ特に危ないわけではない。道は平坦で、最後に少し登りになるが宝剣小屋の裏手に出る。前には岩の絶壁、宝剣岳がそびえる。山頂付近では人影が確認できる。登山道の案内では、破線、十分な注意が必要だ。山頂までの途中から、下りはクサリ場の連続でしっかりとつかまり、一歩一歩足場を確保しながら進む。振り返れば木曽駒ヶ岳の先に、御嶽山と乗鞍岳が間近に見える。
木曽駒ヶ岳の先に、御嶽山と乗鞍岳

20分程度の登りであったが迫力満点の経験だった。
岩とクサリにつかまりながら悪戦苦闘で壁を登る

途中、岩の間からミヤマダイコンソウの花が顔を出していた。山頂からの眺めは抜群。雲一つない快晴で、地図上にある山はすべて確認することができた。
特徴的な仙丈ヶ岳の山容、北岳〜間ノ岳〜農鳥岳に続く3000mの稜線、北アルプス、乗鞍岳、御岳山、鳳凰3山360度の大パノラマを満喫した。
北アルプスの眺望

空木岳〜南駒ヶ岳に続く縦走路

千畳敷越に南アルプスの山並み

下りもクサリ場の連続、アップダウンもあって思ったよりも時間がかかった。途中には今回の目玉のコマウスユキソウ、チシマギキョウ(最初はイワギキョウと間違っていた)、ミヤマシオガマもきれいだった。その後も慎重な歩きが続いた。山頂を出て、35分で三ノ沢岳の分岐に着いた。表示が出ている。三ノ沢岳には片道120分、往復4時間で、稜線の先に姿を見せている。はるか先だという雰囲気がした。

三ノ沢岳への分岐から三ノ沢岳への縦走路風景

岩峰の宝剣岳を見返り、出発する。しばらく下ってからは、ハイマツの続く。歩きにくい道で、所々で引っかかる。ハクサンシャクナゲが所々で残っている。意外にきれいだった。ハイマツの切れたところでは高山植物が顔を出す。ウサギギク、エゾノシオガマ、ゴゼンタチバナ、咲き終わったチングルマの種、などである。急な下りから次第に緩やかになる。見返せば木曽駒ヶ岳から宝剣岳、さらに空木岳に続く堂々たる稜線が素晴らしい。
木曽駒ヶ岳〜宝剣岳(三ノ沢岳へ向かう途中から)

下った先からは緩やかながらアップダウンを繰り返す。ハイマツが続き、高山植物も時々見られる。最後の大きな登りに差し掛かる。中間からやや下側のケルンがある場所で、9;00を過ぎる。
ケルン(下山時撮影)

出発してから3時間を経過する。もう少しで山頂ということでひと頑張りだが、明日を考えて、2人がしばらく休んだあと、ここから引き返して分岐点で待つことになった。2人で先に進む。
三ノ沢岳への登り(下山時撮影)

しばらく進むと、稜線の左手のやや山腹を進むことになり、花が多くなってくる。ハクサンフウロ、シナノオトギリ、イブキトラノオ、ハクサンイチゲ、アオノツガザクラ、ツガザクラなどが加わる。ハクサンシャクナゲも時々見られる。アキノキリンソウ、ウサギギクも多い。やや平坦な道になって最後に岩をを詰めれば山頂である。分岐から2時間5分、ほぼコースタイムである。山頂には何組かのパーティーがそれぞれに楽しんでいる。周辺には、アオノツガザクラやツガザクラが多く、チングルマも白い花を残している。コイワカガミ、ミヤマキンバイもきれいだ。眺望は360度の大パノラマ、雲が出てきてコバルトブルー、緑、白の取り合わせが素晴らしいものになった。

三ノ沢岳と後方に御嶽山

もっと長くいたいところだが、待っている2人が気にかかり、他のパーティーに先駆けて山頂を後にした。同じ道の引き返しだが、違った気分で前方の景色を楽しむ。撮り残した花の写真を追加し、先を進む。分かれたケルンで少し足を止める。時間が過ぎるにつれ、湧き上がる雲が多くなる。登りにかかる平坦な部分で先を行く同行者から黄色の帯が入ったチョウがいると声がかかる。慎重に近ずくとキベリタテハだったん。開いたところは撮影できず、しばらく待っていたが飛んで行ってしまった。ほかにはやや小型の薄茶色のチョウが飛んで行ったが何かはわからなかった。タカネヒカゲ?などと期待したが、追いつけなかった。帰りは1時間40分ほどで分岐に戻った。帰る途中から、ずっと先に2人を確認、何組かの登山者とすれ違い挨拶を交わした。分岐で待つ2人は、カップ麺を手にした若い女性と歓談していた。この女性、雲行きが怪しいが、これから三ノ沢岳に向かうと言う。なかなか好感の持てる人だった。我々は、極楽平から千畳敷駅に向かった。これから先も花が多く、特にコマウスユキソウが多い。チシマギキョウも鮮やかだ。タカネツメクサも群落を作っている。極楽平まで花を楽しむ。ここから先、千畳敷駅までは切り立った山腹を反時計回りにぐるりと回る格好になる。道は整備されていて、階段状の道を下る。花も多く、今までのおさらいの感がする。シナノキンバイ、カラマツソウの群落、コバイケイソウ越しの千畳敷駅も絵になる。千畳敷駅から臨時のロープウが次々と出て順調に下りた。バスにも程よく乗り合わせ、また暑い世界に戻った。車内を思いっきり冷やし、仙流荘に向かった。幹線道路を避けたナビのおかげですいすいと進むことができたが、道の駅南アルプスむら長谷までお昼にありつけず、遅い昼食になった。14:00までの昼食時間であったが、レストランの計らいで何とかお腹を満たせた。明日のため、塩飴ときゅうりを仕入れた後、仙流荘に向かった。時間はたっぷりとあって、ゆっくりと温泉に入ることができた。食事はさすがに山小屋のようなことはない。ツアー客が多かったようだ。早めの就寝で疲れも多少回復した。明日の仙丈ヶ岳が待っている。


チョウ
キベリタテハ クジャクチョウ

花・鳥
   
ミヤマシオガマ ハクサンイチゲ シナノオトギリ  コイワカガミ  キバナシャクナゲ
   
チングルマ ミヤマキンバイ コケモモ  ハクサンシャクナゲ  ホツツジ
   
ヨツバシオガマ ヒメウスユキソウ ウラジロタデ  タカネツメクサ  
         
チシマギキョウ   アオノツガザクラ    ウサギギク  ミヤマキンポウゲ
         
コバイケイソウ   シナノキンバイ  コマクサ  ミヤマグンナイフウロ  ミヤマダイコンソウ
         
 カラマツソウ  ツマトリソウ    イブキトラノオ  ゴゼンタチバナ
         
 エゾシオガマ  イワツメクサとイワヒバリ  ミヤマリンドウ クルマユリ   ミヤマキリンソウ
         
   ミヤマキンポウゲの群落 シラネニンジン     

コースMAP
 
(国土地理院の地図を引用) 

2019年山の記録に戻る、2019年チョウのページに戻る 、2019年花・鳥・その他に戻る

注:
@木曽駒ヶ岳
木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)は長野県上松町・木曽町・宮田村の境界にそびえる標高2,956mの山で、木曽山脈(中央アルプス)の最高峰。日本百名山[3]、新日本百名山、花の百名山に選定されている。木曾駒ヶ岳とも表記され、また略して木曽駒と呼ばれる事もある。駒ヶ岳の名を冠する山は日本の全国に多数あり、その最高峰である南アルプスの甲斐駒ヶ岳とこの木曽駒ヶ岳に挟まれる伊那谷では、この山を西駒ヶ岳または西駒、甲斐駒ヶ岳を東駒ヶ岳または東駒と呼ぶこともある。木曽前岳 (2,826m)、中岳 (2,925m)、伊那前岳 (2,883m)、宝剣岳 (2,931m) を含めて木曽駒ヶ岳と総称する場合もある。木曽駒ヶ岳には、雪解けの時期にはいくつかの雪形が見られ、昔から農業の目安にされてきた。中岳には山名の元にもなった駒(馬)、極楽平の南には島田娘と種蒔き爺などが現れる。 木曽谷と伊那谷に挟まれた中央アルプスは、長野県塩尻市から南南西の恵那山方面へと伸びる、細長い急峻な山脈であり、木曽駒ヶ岳はその北部に位置する。標高2,600m付近の濃ガ池(のうがいけ)、千畳敷カール及び極楽平では、氷河圏谷が発達している。駒飼ノ池などでは、氷河底湖が見られる。南東にある鋭い穂先の岩山である宝剣岳とは対照的に、木曽駒ヶ岳はなだらかな女性的な山容となっている。このため、南アルプス方面から眺めた場合には、木曽駒ヶ岳よりもむしろ鋭く尖った宝剣岳の山容が目立っている。山体の大部分が約6500万年前の花崗閃緑岩から成る。
 動植物であるが、標高1,700から2,600mは、コメツガやシラビソなどの針葉樹林帯が広がっており、2,600m付近にはダケカンバ、さらに上部は森林限界でハイマツ帯となっている。千畳敷カール、濃ガ池カールには、高山植物の花畑が広がっている。山頂付近には、セイヨウウスユキソウ(別名エーデルワイス)の仲間で木曽駒ヶ岳の固有種であるキク科ヒメウスユキソウ(別名がコマウスユキソウ)が自生している。宮田村の特別シンボルに指定されている。環境省と長野県のレッドリストの絶滅危惧I A類 (CR) の種に指定されている。また中岳付近では、イワギキョウ、チングルマ、ミヤマキンバイなどが自生している。天狗山荘近くには、コマクサ園がある。亜高山帯から高山帯にかけては、ニホンカモシカ、ノウサギ、キツネ、イワヒバリなどが生息している。1961年(昭和36年)頃まで、南側の檜尾岳、空木岳などで見られたライチョウは、その後確認されていない。登山では、標高2,650mの千畳敷カールまでは、駒ヶ岳ロープウェイで簡単に上がることができる。山頂からは、御嶽山、乗鞍岳、穂高岳、八ヶ岳、南アルプスなどの360度の展望が得られる。南アルプスの稜線の上に富士山の上部だけを望むことができる。 登山道であるが、各方面から多数の登山道があり、千畳敷駅からのルートが最短で利用者が多い。
 登山では、標高2,650mの千畳敷カールまでは、駒ヶ岳ロープウェイで簡単に上がることができる。山頂からは、御嶽山、乗鞍岳、穂高岳、八ヶ岳、南アルプスなどの360度の展望が得られる。南アルプスの稜線の上に富士山の上部だけを望むことができる。
 登山道であるが、各方面から多数の登山道があり、千畳敷駅からのルートが最短で利用者が多い。
A)千畳敷駅からのコース
・千畳敷駅 - 千畳敷カール - 乗越浄土 - 宝剣山荘・天狗山荘 - 中岳 - 木曽駒ヶ岳、オプションとして、木曽駒ヶ岳からさらに宝剣岳まで進むパターンもある。
・木曽山脈縦走コース:木曽山脈の主稜線に沿った縦走路がある。桂木場 - 大樽小屋 - 将棊頭山(西駒山荘) - 馬ノ背 - 木曽駒ヶ岳 - 駒ヶ岳頂上山荘 - 中岳 - 天狗荘・宝剣山荘 - 宝剣岳 - 檜尾岳 - 熊沢岳 - 木曽殿越 - 空木岳 - 南駒ヶ岳 - 越百山 - 奥念丈岳 -安平路山 - 摺古木山 - 大平宿B)木曽側からの4つのコース
・上松A コース上松駅 - 2合目(アルプス山荘) - 3合目(敬神ノ滝山荘) - 5合目(金懸小屋) - ラクダの背 - 8合目(遠見場の小屋跡) - 木曽前岳 - 9合目(玉ノ窪山荘) - 頂上木曽小屋 - 木曽駒ヶ岳
・上松B コース上松駅 - 芦島高原 - 奇美世の滝 - 麦草岳 - 牙岩 - 木曽前岳 - 9合目(玉ノ窪山荘) - 頂上木曽小屋 - 木曽駒ヶ岳
・福島A コース木曽福島駅 - 駒の湯 - キビオ峠 - 木曽見台 - 7合目避難小屋 - 8合目水場 - 9合目(玉ノ窪山荘) - 頂上木曽小屋 - 木曽駒ヶ岳
・福島B コース原野駅 - 木曽駒高原 - 木曽駒高原スキー場(コガラ登山口) - 幸ノ川渡渉点 - 4合目半力水 - 7合目避難小屋 - 8合目水場 - 9合目(玉ノ窪山荘) - 頂上木曽小屋 - 木曽駒ヶ岳他に、北御所や宮田高原などからのコースもある

A宝剣岳
宝剣岳の登山道は過去に多くの滑落事故が発生しており、多くの人命が失われている。頂上を目指す為には岩場を登るための知識及び登攀技術(「三点支持法」など)、標高の高い山の登山に適した服装や装備が必要となる。また、ロープウェイを利用しすぐに頂上を目指す場合、体が低酸素の環境に慣れていないことから、高山病にかかりやすくなっていることも留意する。 千畳敷から乗越浄土経由で宝剣岳へ向かうルートは急勾配であり、乗越浄土から宝剣岳山頂までは岩場や鎖場が続く難路となっている。千畳敷から極楽平を周回するルートは、極楽平から宝剣岳山頂までやはり急峻な岩場や鎖場が長く続く難路である。他に千畳敷から岩場を登り山頂を直接目指すルート等があるが、ロッククライミングの高度な技術を持つ者以外は登攀不可能である。山頂には高さ5m程の先端が尖った巨石があり、巨石の頂上部は一人が立つことのできる程度の広さがある。360度の展望が得られるが、登下降の際に注意が必要であり、岩登りの技術の低い者は事故防止のため登らない方が無難である。 周辺の植物[編集]山頂周辺は、森林限界のハイマツ帯である。コバイケイソウ、コマウスユキソウ、チシマギキョウ、イワツメクサ、イワベンケイ、シャクナゲ、トウヤクリンドウ、アキノキリンソウ、ミヤマキンバイなどの高山植物が登山道で見られる。天狗山荘近くには、コマクサ園がある[5]。

B三ノ沢岳
三ノ沢岳(三沢岳)(さんのさわだけ)は、木曽山脈(中央アルプス)の主稜線上にある宝剣岳から南西方向に延びた尾根上にある標高2,847 mの山[3][注釈 1][注釈 2][1]。山体すべてが長野県に属し、木曽郡上松町と大桑村にまたがる[4]。地形図では「三沢岳」と表記されているが、三ノ沢岳が用いられることが多い。概要[編集]麓の木曽谷の上松町[5]、木曽駒ヶ岳や宝剣岳などから、端正な三角錐のその美しい山容を眺めることができる[6]。木曽川の支流の滑川及び伊奈川に挟まれた稜線上の山で、それぞれの川の支流の三ノ沢の源流となっている。この三ノ沢の源頭部の山であることが山名の由来である[5][7]。山頂には、三等三角点(点名「三ノ沢」[1])があり、大きな岩が乱立する展望台となっている。環境[編集]三ノ沢岳を含む中央アルプスの主要な山域は長野県の中央アルプス県立自然公園に指定されている(1951年11月22日指定)[8]。地学[編集]北東面の伊奈川源流部は、氷河地形の三ノ沢カール(圏谷)が見られる[4][7]。このカールは木曽山脈の木曽側側(西側)での唯一カール地形である[5]。氷河によって削られて堆積したモレーンの地形が原型を留めている[5]。山体は花崗岩で形成されている[4]。山頂部には巨石が重なり合い、独立峰のように見晴らしの良い展望地となっている[7]。高山植物[編集]中腹は亜高山帯針葉樹林。山頂付近は森林限界を越える高山帯で、アオノツガザクラ、ウサギギク、コバイケイソウ、シナノキンバイ、コマウスユキソウ、タカネグンナイフウロ、チングルマ、ハイマツ、ハクサンイチゲ、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマクロユリ、ミヤマダイコンソウ、ヨツバシオガマなどの多くの高山植物が見られる[6][9][10][11]。花の名山の一つとして、NHKのテレビ番組で『花の百名山 三ノ沢岳 コマウスユキソウ』として紹介されている[12]。エーデルワイスに似た花のヒメウスユキソウ(別名がコマウスユキソウ)は周辺の山域のみに生育する木曽山脈の固有種で、三ノ沢岳では山頂部の岩陰や砂礫地などに分布している[10]。三ノ沢岳の南面にはコバイケイソウの群生地があり、山頂付近の斜面は多くのハクサンチドリが分布している[10]。主稜線の極楽平付近から三ノ沢岳にかけての砂礫地などに、アオノツガザクラのカーペット状の群落がある。木曽山脈では南駒ヶ岳の摺鉢窪カールに次ぐ高山植物の群生地で、伊奈川源流部の北側斜面一帯(通称「西千畳敷」)と山頂直下南斜面の2箇所に大群落がある[5]。登山[編集]木曽駒ヶ岳から望む三ノ沢岳、左奥に空木岳、宝剣岳の南側からは三ノ沢岳方面に支尾根が延び尾根伝いに登山道が開設されている。訪れる訪問者は木曽駒ヶ岳と比べると少ない。登山道周辺では多くの高山植物が見られる。1967年(昭和42年)7月に駒ヶ岳ロープウェイが開通したことに伴い、訪れる登山者が増加した[4]。主稜線から木曽側に外れた稜線上にあることから、木曽駒ヶ岳と比べると訪れる人の数は少ない[13]。山頂には花崗岩が積み重なりそこからは木曽駒ヶ岳、空木岳、乗鞍岳、御嶽山などの展望が広がる[9][6][13]。標高2,846 mの日本で46番目に高い高峰であるが、木曽山脈の主稜線から外れた箇所にあるため、中央アルプスの縦走を行う登山者が立ち寄らない場合がある。登山適期は6-10月頃で、初夏には残雪があり、登山道周辺での主な高山植物の開花時期は7月上旬-8月中旬頃[9]。登山道[編集]山体は木曽側にあるが、ふもとから直接登る登山道はない。伊那側の千畳敷カールから極楽平に登り、宝剣岳との分岐から尾根伝いに三ノ沢岳山頂へ向かうのが一般的。山頂に至る登山道はこの1本のみであり[4]、その途中の山頂手前には遭難慰霊碑のケルンがある[9][7]。登山ルート上に水場はない[9]。

作成日: 2019年8月15日