PUR「WIE IM FILM」ドイツの産業ロック88年4th。このアルバムでは洗練の度合いが一層進み、AOR/ポップ化した楽曲が多くなっています。やや厚めのアレンジの爽快AORという趣の"VIEL
ZU LANG ZU GUT GEGANGEN"、繊細で悲哀に満ちた哀愁バラード"WENN SIE DIESEN
TANGO HORT"、非常にポップで朗らかな雰囲気の"SOLANG ICH NOCH AM LEBEN
BIN"、重厚な哀愁を帯びたミドルテンポ"NUR IM FILM"、透明感のあるコーラスをフィーチュアした爽やかなサビが印象的な"FUNKELPERLENAUGEN"、NENAあたりを思わせる重厚なKeyをフィーチュアしたハードポップ"IMMER
WITER"等、徐々に音楽性を変化させつつも、メロディの良さは高いレベルをキープしています。好盤。
OPUS「S.T」ドイツのメロディアスハード87年作。「MAGICAL TOUCH」で頂点を迎える、キラキラしたKeyアレンジと躍動感のあるポップな楽曲スタイルがほぼ固まりつつあるアルバム。1曲目の"CAN
YOU HEAR ME"は正にそのタイプで、アップテンポの爽快なメロディが最高に気持ち良い楽曲。キュートでポップなメロディの"COOL
LOVER"、郷愁の憂いを帯びたミドルテンポ"WHITELAND"、大らかなメロディが徐々にテンポアップしていく"FASTER
AND FASTER"、泣きのGtをフィーチュアした哀愁産業ロック"SHOT AT THE TOP"、リリカルなKeyと仄かな憂いを帯びたメロディが軽やかなリズムに乗った"WALKING
ALONG WITH YOU"等、素晴らしい楽曲揃い。
TRIO RIO「WHO DAT,MON?」ドイツの産業ロック90年作。ムーディでスムースなアレンジのAORに、レゲエ調のアレンジやジャズ/フュージョン的なムードを取り込んだ懐の深い楽曲。陽気なレゲエのアレンジと躍動感のあるポップなAORが融合した"I
CAN'T DANCE"、翳りのあるムーディな哀愁バラード"THE NAME IS LOVE"、STING等を思わせるジャジーな哀愁が胸に迫る"AFTER
DARK"、ハートウォーミングなメロディが軽やかに躍動する"NIGHTS"、TOTOを彷佛させるフュージョンタッチの哀愁ポップ"DO
THE DERVISH"等、随所に細やかなアーティスティックなアレンジを施したクオリティの高い楽曲。
LILA MCCANN「SOMETHING IN THE AIR」アメリカのニュー・カントリー系女性シンガーの99年作。プロデュースはMARK
SPIROで、自らも楽曲を4曲提供しています。若干アレンジにカントリー色が顔を出しますが、メロディは完全に歌モノAOR。軽やかで爽やかなメロディが楽しめる一枚。
MUNCHENER FREIHEIT「ENERGIE」ドイツの産業ロック94年作。このアルバムでは、プロデュースをARMAND
VOLKERから自主プロデュースに変えています。理由は不明ですが、サウンドにはほとんど影響無く、いつも通りELO的な柔和でポップなメロディを繊細なコーラスで装飾した楽曲揃い。どことなくクラシカルなムードのある"KOMM"、繊細なアコギと多重コーラスが絡む小品"EINFACH
BLEIBEN"、品のある憂いに満ちたキラーチューン"ALLES KOMMT ZU DEM,DER WARTEN
KANN"、キャッチーなドライヴ感のあるアップテンポ"DU WEISST ES,ICH WEISS ES"等、彼等の持ち味を存分に味わえる一枚。
DANCE WITH A STRANGER「FOOL'S PARADISE」ノルウェーのAOR89年作。深みのある渋いVoに、ゴスペル調の女性コーラスをフィーチュアしたヴィンテージ感漂うAOR。冷やかなトーンのKeyアレンジを施した郷愁を誘う哀愁メロを渋く聴かせる"STOP
LOOKING FOR LOVE"、軽やかで爽やかなメロディのライトAOR"EXPLOSION OF
TIME"等が良い。
PUR「NICHTS OHNE GRUND」ドイツの産業ロック91年作。適度なハードさのあるキャッチーなアレンジに、躍動感のある楽曲という産業ロックスタイルにほぼ完全に移行したアルバム。ポップでアップテンポな躍動感がオープニングに最適な"LENA"、スケールの大きな雄大なミドル"LIED
FUR DIE VERGESSENEN"、憂いのメロディを切れのあるGtリフに乗せてジワジワと聴かせる"KEIN
KRIEG"、優しいメロディが軽やかに舞う"AN SO'NEM TAG"、爽快でアップテンポな"MEIN
FREUND RUDI"等、安心して楽しめる高品質産業ロックチューンのオンパレード。
PUR「UNENDLICH MEHR」ドイツの産業ロック90年作。前作のAOR寄りの路線から産業ロック路線への移行期のアルバムという感じで、アレンジはやや軽めながらロック的なエッジのある躍動感が感じられる楽曲が多くなってきた印象。軽快なアレンジが躍動する爽快チューン"FREUNDE"、叙情的な哀愁バラード"ANONYME
OPFER"、爽やかなメロディをドゥーワップに乗せた"KOWALSKI 2"、涼しげで爽快なメロディを程良いテンポで軽やかに聴かせる"ALICE
IM WUNDERLAND"等、軽快なアレンジが印象的な好盤。
BOYCOTT「S.T」スウェーデンのメロディアスハード87年作。ホーンアレンジも取り入れたブルーズ風味の骨太ロックサウンドに、それなりに北欧味を感じさせる郷愁メロを乗せた楽曲。"EYES
OF BLUE"や"GOTTA ROCK"あたりは結構楽しめる。彼等のアルバムの中では一番聴けるアルバムかも。
NORTHERN LIGHT「S.T」ノルウェーのGt、TOR
TALLE率いるメロディアスハード・プロジェクト05年作。JOURNEYに北欧ならではの透明感を加えたようなスタイルは、STREET
TALKあたりに近いものがあり、爽快でスムースなAORライクな楽曲を中心に、時折哀愁のフックを交えたアルバムのクオリティは非常に高い。ゲストVoにはPETER
SUNDELL、TONY MILLS、KIMMO BLOM、FERGIE FREDERIKSENといった、このテの楽曲を歌わせるに相応しいクリアなハイトーン系をズラリと揃えてます。良い。少なくとも落ち着き過ぎとかで批判される謂われは無いと思うけどな。
HIM「DARK LIGHT」フィンランドの自称LOVE
METAL05年5th。前作が今までの総括的な内容でベスト盤を挟んでの新作という事で、何か新機軸を打ち出してくるのか?とちょっと思ったものの、ほぼ前作の路線を継承した手堅い出来のアルバムでした。如何にも彼等らしいメランコリックなアップテンポ"VAMPIRE
HEART"、キャッチーなサビメロの"RIP OUT THE WINGS OF A BUTTERFLY"、憂いを帯びたメロが疾走する"UNDER
THE ROSE"、冷ややかなKeyにタイトなリフが絡む"KILLING LONELYNESS"、ツインピークスの音楽を彷彿させる雄大なタイトルトラック、と出だしから強力な楽曲を畳みかける構成が素晴らしい。その後の楽曲もキャッチーでノリの良い楽曲が多く、ややマンネリ感が出てきたかな?とは思わせるものの、充分期待に応える良いアルバムでした。 |