STAN BUSH「IN THIS LIFE」アメリカの産業ロックシンガーの07年最新作。驚くべき事に彼の最高傑作と呼べるアルバム。堅実な良作をリリースするものの、個人的には盛りを過ぎた枯れたアーティストというイメージを拭えませんでした。前作「SHINE」で復活の兆しを感じ取れたとはいえ、別に何の期待もしてなかったんですが、いやいや、今作の充実振りはどうよ!? イントロの泣きのGtだけでメロハーファンの心を鷲?みにし、熱いパッションが滾りまくる哀愁のサビメロを聴く頃には顔を歪めながら悶絶するしか無い強力なキラー・オープナー"I'LL NEVER FALL"、タイトなGtリフに乗せて洗練された歌メロが小気味良くドライヴする"I GOT A THING FOR YOU"という出だしの2曲で、過去の枯れた印象を完全に払拭させられます。近作ではアコギを主体に据え、胸に沁みるハートウォーミングなメロディを聴かせるスタイルだったのですが、このアルバムでは完全にHR寄りのサウンドが復活しており、彼の初期の傑作「STAN BUSH & BARRAGE」を彷彿とさせます。 続く"I CAN'T CRY"は近作の彼の路線を思わせるハートウォーミングなミドルテンポですが、ここでもアレンジはハードエッジなGtのバッキングを軸としており、今回はHRをやるぞ!という彼の意気込みを見て取れるかのよう。緊張感のあるスリリングなヴァースからポジティヴなサビメロへと盛り上がって行く"THIS MOMENT"、哀愁のメロディラインが絶品の輝きを放つパワーバラード"WAITING FOR YOU"、同じバラードでもゆったりとした大らかなスケールを感じさせる"THE FIRST TIME"と、中盤に至ってもテンションとクオリティは落ちません。 バラードで和んだムードを振り払うように鋭いGtカッティングとアタックの強いスネアが躍動するHRチューン"LONG,LONG WAY"が、再びアルバムにハードなエッジを呼び戻します。囁くように歌い上げる切なげなヴァースから憂いを帯びたコーラスへ展開する"OVER YOU"、重々しいバスドラと細かく刻むGtリフがリードする重厚なヴァースからポジティヴで力強いサビメロで爆発するドラマティックな"TAKE IT ALL THE WAY"、シャープな切れ味のGtリフに飛翔感のある気持ち良いコーラスが印象的なタイトルトラックと、後半になっても捨て曲皆無の驚異的な充実振り。 そして本編ラストを飾るのはメランコリックなアコギと切ない歌メロが絡む叙情的なバラード"SOUTHERN RAIN"・・・完璧だ!ボーナストラックの"THE OTHER SIDE OF LOVE"は哀愁のメロディを熱く歌い上げるサビメロが秀逸なパワーバラードで、これも非常に良い曲なのですが、それが蛇足気味に思える程なのが、本作の強力さを物語っているとも言えます。 いやあ、まさかSTAN BUSHがここに来て、こんなに強力なアルバムを出してくるとは思いもよりませんでした。最高の出来。
TOTO「FALLING IN BETWEEN」TOTOもFRONTIERSから出るご時世か・・・と感慨深い06年作。エキゾチックでヘヴィなGtリフとKeyの絡みがプログレッシヴな風合いを感じさせるタイトルトラックが今作の方向性を示唆しているかのよう。アダルトでムーディなヴァースから徐々に盛り上がって行く"DYING ON MY FEET"は、メロディアスなGtソロが秀逸。STEVE LUKATHERが"第2のAFRICA"と呼ぶ"BOTTOM OF YOUR SOUL"は、その名に恥じない穏やかながらもエモーショナルなバラード。「ISOLATION」の楽曲を思わせるような躍動感とハードさを備えた"KING OF THE WORLD"、ドラマティックな盛り上がりを見せるAORバラード"SIMPLE LIFE"、VAN HALENを思わせるフラッシーなGtリフが映えるアップテンポなシャッフル"TAINT YOUR WORLD"、これぞTOTO!な洗練されたハードでファンキーなナンバー"LET IT GO"、「THE 7TH ONE」の頃を彷彿させるクライマックスへの盛り上げ方が非常に格好良い"NO END IN SIGHT"等々、彼等のアルバムの中でも上位に来るであろう充実の出来映え。
OPETH「MY ARMS,YOUR HEARSE」スウェーデンのプログレッシヴな叙情デス98年3rd。遡って聴いてますが、この時点でもやはりOPETHはOPETHだな、と。メランコリックで繊細なパートと、轟音リフ、アコギ、メロディアスなGtフレーズが渾然一体となったヘヴィパートが、ドラマティックに展開する如何にも彼等らしい楽曲揃いなんですが、どちらかと言うとヘヴィなパートの方が多いのかな?
LUCA TURILLI「PROPHET OF THE LAST ECLIPSE」RHAPSODYのGtのソロ02年作。楽曲スタイルは殆どRHAPSODYからトラッド風味を抜いたような、大仰なクワイアとストリングスアレンジ満載のシンフォ・スピードメタルなんですが、「宇宙」をコンセプトにしたテーマ設定からか、Keyの音色がトランスっぽい電子音で、それが今までに無い違和感の妙を生んでいます。疾走感タップリの楽曲は相当格好良いです。VoのOLAF HAYERって、元CHRYZTYNEの人なんですね。こんなに上手かったかな・・・?と思ってアルバム見てみたら、アルバムで歌ってるのは別人でした・・・。 |