pseudology by yas-noMAININDEXLISTBESTCD HUNTLINK

BACK

2007年6月前半

NEXT

07.6.11 - 16 (mon - sat)
STAN BUSH「IN THIS LIFE」アメリカの産業ロックシンガーの07年最新作。驚くべき事に彼の最高傑作と呼べるアルバム。堅実な良作をリリースするものの、個人的には盛りを過ぎた枯れたアーティストというイメージを拭えませんでした。前作「SHINE」で復活の兆しを感じ取れたとはいえ、別に何の期待もしてなかったんですが、いやいや、今作の充実振りはどうよ!?

イントロの泣きのGtだけでメロハーファンの心を鷲?みにし、熱いパッションが滾りまくる哀愁のサビメロを聴く頃には顔を歪めながら悶絶するしか無い強力なキラー・オープナー"I'LL NEVER FALL"、タイトなGtリフに乗せて洗練された歌メロが小気味良くドライヴする"I GOT A THING FOR YOU"という出だしの2曲で、過去の枯れた印象を完全に払拭させられます。近作ではアコギを主体に据え、胸に沁みるハートウォーミングなメロディを聴かせるスタイルだったのですが、このアルバムでは完全にHR寄りのサウンドが復活しており、彼の初期の傑作「STAN BUSH & BARRAGE」を彷彿とさせます。

続く"I CAN'T CRY"は近作の彼の路線を思わせるハートウォーミングなミドルテンポですが、ここでもアレンジはハードエッジなGtのバッキングを軸としており、今回はHRをやるぞ!という彼の意気込みを見て取れるかのよう。緊張感のあるスリリングなヴァースからポジティヴなサビメロへと盛り上がって行く"THIS MOMENT"、哀愁のメロディラインが絶品の輝きを放つパワーバラード"WAITING FOR YOU"、同じバラードでもゆったりとした大らかなスケールを感じさせる"THE FIRST TIME"と、中盤に至ってもテンションとクオリティは落ちません。

バラードで和んだムードを振り払うように鋭いGtカッティングとアタックの強いスネアが躍動するHRチューン"LONG,LONG WAY"が、再びアルバムにハードなエッジを呼び戻します。囁くように歌い上げる切なげなヴァースから憂いを帯びたコーラスへ展開する"OVER YOU"、重々しいバスドラと細かく刻むGtリフがリードする重厚なヴァースからポジティヴで力強いサビメロで爆発するドラマティックな"TAKE IT ALL THE WAY"、シャープな切れ味のGtリフに飛翔感のある気持ち良いコーラスが印象的なタイトルトラックと、後半になっても捨て曲皆無の驚異的な充実振り。

そして本編ラストを飾るのはメランコリックなアコギと切ない歌メロが絡む叙情的なバラード"SOUTHERN RAIN"・・・完璧だ!ボーナストラックの"THE OTHER SIDE OF LOVE"は哀愁のメロディを熱く歌い上げるサビメロが秀逸なパワーバラードで、これも非常に良い曲なのですが、それが蛇足気味に思える程なのが、本作の強力さを物語っているとも言えます。

いやあ、まさかSTAN BUSHがここに来て、こんなに強力なアルバムを出してくるとは思いもよりませんでした。最高の出来。

TOTO「FALLING IN BETWEEN」TOTOもFRONTIERSから出るご時世か・・・と感慨深い06年作。エキゾチックでヘヴィなGtリフとKeyの絡みがプログレッシヴな風合いを感じさせるタイトルトラックが今作の方向性を示唆しているかのよう。アダルトでムーディなヴァースから徐々に盛り上がって行く"DYING ON MY FEET"は、メロディアスなGtソロが秀逸。STEVE LUKATHERが"第2のAFRICA"と呼ぶ"BOTTOM OF YOUR SOUL"は、その名に恥じない穏やかながらもエモーショナルなバラード。「ISOLATION」の楽曲を思わせるような躍動感とハードさを備えた"KING OF THE WORLD"、ドラマティックな盛り上がりを見せるAORバラード"SIMPLE LIFE"、VAN HALENを思わせるフラッシーなGtリフが映えるアップテンポなシャッフル"TAINT YOUR WORLD"、これぞTOTO!な洗練されたハードでファンキーなナンバー"LET IT GO"、「THE 7TH ONE」の頃を彷彿させるクライマックスへの盛り上げ方が非常に格好良い"NO END IN SIGHT"等々、彼等のアルバムの中でも上位に来るであろう充実の出来映え。

OPETH「MY ARMS,YOUR HEARSE」スウェーデンのプログレッシヴな叙情デス98年3rd。遡って聴いてますが、この時点でもやはりOPETHはOPETHだな、と。メランコリックで繊細なパートと、轟音リフ、アコギ、メロディアスなGtフレーズが渾然一体となったヘヴィパートが、ドラマティックに展開する如何にも彼等らしい楽曲揃いなんですが、どちらかと言うとヘヴィなパートの方が多いのかな?

LUCA TURILLI「PROPHET OF THE LAST ECLIPSE」RHAPSODYのGtのソロ02年作。楽曲スタイルは殆どRHAPSODYからトラッド風味を抜いたような、大仰なクワイアとストリングスアレンジ満載のシンフォ・スピードメタルなんですが、「宇宙」をコンセプトにしたテーマ設定からか、Keyの音色がトランスっぽい電子音で、それが今までに無い違和感の妙を生んでいます。疾走感タップリの楽曲は相当格好良いです。VoのOLAF HAYERって、元CHRYZTYNEの人なんですね。こんなに上手かったかな・・・?と思ってアルバム見てみたら、アルバムで歌ってるのは別人でした・・・。

07.6.10 (sun)
AFI「DECEMBERUNDERGROUND」ビルボード初登場1位になったらしいAFIの06年作。ゴシック風味のパンキッシュなスクリーモという雰囲気だった前作が結構気に入ってたんですが、今作ではまた一皮剥けた雰囲気になっています。メジャー感が出てきたというか、何となくMY CHEMICAL ROMANCEの化け方に近いものを感じます。ゴス風味は更に薄れ、最早キャッチーな歌メロのエモという印象が強くなってしまったものの、全体を覆う冷たい雰囲気は非常に良い感じで、"THE INTERVIEW"や"KISS AND CONTROL"で聞かれるセンチメンタルな寂寥感はグッとツボに来ます。メランコリックな旋律と躍動感がブレンドされた"THE MISSING FRAME"や"THE KILLING LIGHTS"あたりも格好良いです。一方でダンサブルな雰囲気を取り入れた"MISS MURDER"、"LOVE LIKE WINTER"や広がりのある雄大なサビメロの"SUMMER SHUDDER"なんかはより広く間口を広げた楽曲という感じ。クオリティも高くなって、スケールも大きくなって、文句無しなんですが、・・・前作の方が好き。MY CHEMICAL ROMANCEもFFAFもAFIも、みんなレベルアップしてメジャー感が出てるんだけど、僕は前作の方が好きなんですよね・・・。

MARILYN MANSON「HOLY WOOD(IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)」LOUDPARKにも出るみたいだし聴いてみるか、と思い立った00年5th(4th?)。色々とコンセプチュアルな試みの為された作品らしいですが、それは一旦置いといて一聴しただけの感想という事で。ヘヴィで引きずるようなディストーションGtと呻くようなVoが絡み合うダークで不穏でノイジーな楽曲が中心。パンキッシュなノリの良さとキャッチーなシンガロングが印象的な"DISPOSABLE TEENS"、メランコリックで叙情的な"IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH"、激情を吐き出すようなサビメロが強力な"THE NOBODIES"、ダンサブルなリズムが躍動する"BORN AGAIN"、インダストリアルなアレンジで疾走する"BURNING FLAG"、寂寥感漂うピアノに乗せて囁くような呻きでアルバムの幕を閉じる"COUNT TO 6 AND DIE(THE VACUUM OF INFINITE SPACE ENCOMPASSING)"等、非常にバラエティに富んでおり、またある程度のポピュラリティも備えた楽曲陣。悪くないな。

07.6.4 - 9 (mon - sat)
FUNERAL FOR A FRIEND「TALES DON'T TELL THEMSELVES」あちこちで毀誉褒貶の激しいFFAFの07年最新作です。僕の結論を先に書いてしまうと、予想外だったもののクオリティは高い、という如何にもありがちで無難なコメントになってしまうんですが、事実なので仕方無いです・・・。

前作「HOURS」では随所にIRON MAIDENあたりからの影響を感じさせるGtリフを盛り込んだメタリックな風合いを強めてきたので、てっきり最新作ではどっぷりメタルなアルバムを作ってきてくれるものと勝手な期待を膨らませていたら、Keyとストリングスによるポジティヴで大らかな広がりを感じさせるイントロで始まる1曲目"INTO OBLIVION(REUNION)"が、思いっきりポップな方向に軸足をシフトさせた楽曲でいきなり面食らいました。従来の楽曲スタイルから相当かけ離れたこの曲を1曲目に持ってくるのは相当なリスクがあったと思いますが、これが彼等の決意表明なんでしょうか。メタリックな感触は殆ど無いものの、実際メロディ自体は強烈に出来が良く、彼等の楽曲の中でも最高峰のクオリティ。産業ロックやAORも主食の僕としては諸手を挙げて大歓迎な楽曲です。

続く"THE GREAT WIDE OPEN"もGtリフよりは歌メロやコーラスを前面に出したアレンジの楽曲で、ライヴで映えそうなシンガロングを取り入れたサビメロが印象的なキャッチーな楽曲。続く"THE DIARY"も比較的ストレードで従来の彼等の楽曲スタイルを少し彷彿させるものの、歌メロが抜群にキャッチーですね。バッキングのGtも細かく刻むリフじゃなく隙間の多いスケールの大きなリフで、そもそも前作と比べると硬質感が全く違います。

"ON A WIRE"は更にメロウで、ほのぼのとした牧歌的なヴァースからハートウォーミングなサビメロに展開する朗らかな楽曲。"ALL HANDS ON DECK - PART1:RAISE THE SAIL"は、このアルバムで初めてメタリックなGtリフが楽曲をリードするファストチューンで、ストリングスを絡めた中盤のドラマティックなソロパートは悶絶モノ。格好良い!この曲の後を引き継ぐように始まる"ALL HANDS ON DECK - PART2:OPEN WATER"は、少しエキゾチックなGtフレーズがうねる大らかなミドルテンポ。ライナーで本人達が語っているように「ZEP風の壮大なサウンド」という趣もありますし、ちょっと古いですが、KATMANDUが出していたサウンドの雰囲気を思わせたりします。

"OUT OF REACH"も非常にメタリックな楽曲で、この曲が一番従来の彼等の路線に近いんではないかと。やや速度を落としたヘヴィなリフを据えたヴァースから一気にスピードアップしてサビメロに向かって駆け抜けて行く展開が気持ち良いです。"ONE FOR THE ROAD"はユルいUK的なヴァースからエモっぽいアップテンポで大仰なサビメロへ展開する楽曲。"WALK AWAY"は希望に満ちあふれたキラキラしたメロディのロックソング。ラストの"THE SWEETEST WAVE"はダイナミックな大作で、ピアノとストリングスアレンジを施した叙情的でクラシカルなヴァースから徐々に盛り上がっていってクライマックスを迎えます。彼等曰く「永遠に残したい曲」で「これまで発表してきた中で最も素晴らしいナンバー」だそうです。全く同意できませんが・・・。

ぶっちゃけ後半3曲は、悪くない出来ですが個人的にはイマイチ。ボーナストラックの"RISE AND FALL"と"CRASH AND BURN"は、如何にも適当に付けた曲名が表している通り、どうでも良い曲なので割愛。新たな方向性を大胆にアピールしながらも、質の高いキャッチーなメロディや随所にツボを押さえたハードエッジなアレンジが顔を出して、なかなか楽しめるアルバムになってると思いますが、個人的には後半の拡散ぶりが少々ツラい印象。つうか、改めて「HOURS」聴き直してみたんですが、やっぱ「HOURS」のが格好良いなあ・・・。素直にメタル界の住人になっていればそれなりに歓迎されたと思うんですが、もっと広いステージで勝負したいんですかねえ・・・。とりあえず、まあ頑張ってね、とエールを送っておきます。

AXENSTAR「PERPETUAL TWILIGHT」スウェーデンのメロディックスピードメタル02年作。モロにSTRATOVARIUS〜SONATA直系って雰囲気で、キラキラしたKeyの装飾とクサい哀愁Gtフレーズと共に、湿り気を帯びた歌メロが気持ち良く疾走する楽曲。常にどこかで聞いたようなメロディなりフレーズが顔を出してくるんですが、出来自体は良い感じで、そこさえ気にならなければ充分楽しめる一枚。

JAMMIN'「TOO MANY NIGHTS」スイスのメロディアスハード90年作。欧州らしい憂いを帯びたメロディをフィーチュアしたミドルテンポ中心の楽曲。雰囲気は何となく良い感じなんですが、全体的にマッタリしていてフックに欠ける印象で、Voが弱いのが難点。

07.6.3 (sun)
TRIO RIO「S.T」ドイツのハイテクAOR86年作。チャカポコした軽めのリズムに乗せて明朗でポップなメロディを乗せた楽曲。ラテンやレゲエの雰囲気を取り入れた楽曲が多く、個人的にはこの陽気なムードが性に合わないんですが、繊細でメランコリックなピアノバラード"I'M STILL IN LOVE WITH YOU"や気怠げなボサノバの雰囲気を漂わせた"SAN FRANCISCO EVE"等は悪くないかな。

GLASHUS「MOD EN LYSENDE FREMTID」デンマークのAOR87年作。ややブルージーな要素のある渋めのメロディを軸にした楽曲中心で、BAMBOO BROTHERS等に近い雰囲気。ムーディーなサックスの音色が渋さを際立たせる"LADY DAY"、繊細で枯れた泣きの哀感を滲ませたメロウチューン"KUN EN SKYGGE AF SIG SELV"、仄かな暖かさを感じさせるマイルドなミドルテンポ"ALENE"等がなかなかの出来。

SATERIA「CRASH BANG BOOM」デンマークのHR94年作。タフで荒々しい勢いのあるストレートなバッドボーイズR&Rといった趣で、SKID ROWやWOLFSBANEを思わせます。やや単調かな・・・。

BACK

2007年6月前半

NEXT