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2007年7月前半

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07.7.15 - 16 (sun - mon)
DEVILDRIVER「THE LAST KIND WORDS」元COAL CHAMBERのVo、DEZ FAFARA率いるHMバンドの07年3rdです。COAL CHAMBERって聴いた事無いので、全く予備知識無しに聴いたワケですが、これがまたナイスなアルバムで嬉しい驚き。

強烈なブラストビートと邪悪な咆哮と共に、適度なドライヴ感で突進を始めるオープニングチューン"NOT ALL WHO WANDER ARE LOST"は、アグレッシヴでなかなか格好良いなあと思っていたら、終盤にまるでARCH ENEMYを思わせる不穏かつ美しいリードプレイが炸裂し、一気にテンションアップ!続く"CLOUDS OVER CALIFORNIA"での、ザクザクと刻むクランチーなリフとメロディアスなフレーズが絡み合うGtプレイが、またしてもメタルなツボを直撃。これは良いな!まるでARCH ENEMYなメインリフの"BOUND BY THE MOON"は、かつての勢いを失った本家のお株を奪うかのようなダイナミックなメロデスチューン。サビの裏で奏でられる美しいGtフレーズとイーヴルなデスVoとのコントラストが正にARCH ENEMY。

"HORN OF BETRAYAL"はイントロの流麗なGtソロから、野獣の如き咆哮と共に、ヘドバンというよりはモッシュを誘発するリズム感で突進するアグレッシヴな楽曲。アウトロのGtソロも叙情的で美しい。"THESE FIGHTING WORDS"はARCH ENEMYというよりはIN FLAMES的な手法のメロデスチューンで、叙情的な憂いを帯びたGtリフと歌メロがエモーショナルな潤いを与える1曲。Gtソロも往年のIN FLAMESを彷彿とさせる半端じゃない煽情力!"HEAD ON TO HEARTACHE(LET THEM ROT)"は、ややルーズなGtソロが気持ち良いドライヴ感を生み出す楽曲。"BURNING SERMON"はメタリックなGtリフと手数足数の多いドラムが怒濤のように押し寄せる圧迫感タップリのヘヴィミドル。ヘヴィでダークなBプレイで始まる"MONSTERS OF THE DEEP"は、タイトル通りディープなトーンのVoとヘヴィグルーヴが絡み合う邪悪なミドル〜スローチューン。

"TIRADES OF TRUTH"は要所で叙情的なGtフレーズを挟みつつ、緩急を繰り返すGtリフがダイナミックな起伏を生み出す楽曲。"WHEN SUMMONED"はヘヴィR&R的なシンプルなGtリフが少し毛色の変わったグルーヴを感じさせるフックのある楽曲。本編ラストの"THE AXE SHALL FALL"はラップ調の吐き捨てVoとテクニカルなGtリフが絡むヘヴィチューンですが、アウトロではスペーシーなハモンドのサウンドに乗せてメランコリックなGtフレーズが舞うという印象的な展開を見せて終了します。

ヘヴィなGtリフと獰猛なデス声が生み出すアグレッションと流麗で美しいGtフレーズのコントラストは、既にメロディックデス勢が使い尽くした手法なんですが、彼等の場合、圧倒的な押しの強さを感じさせる突進力と安易に疾走しないヘヴィかつダイナミックなリズムが、彼等ならではのオリジナリティを作り出しているような気がします。アメリカ指向のヘヴィさを取り入れたARCH ENEMYの「ANTHEMS OF REBELLION」が失敗作だとすれば、それを非常に上手い形でまとめあげると本作になるような、そんな雰囲気?でしょうか。

07.7.10 - 14 (tue - sat)
DGM「DIFFERENT SHAPES」イタリアのプログレ・メタル07年作です。メンバーの頭文字を取ってDGMと名付けたはずが、そのメンバーが誰もいなくなってしまうという悲しい事態を迎えてしまった彼等ですが、楽曲のクオリティは落ちる事無く、プログレ・パワーメタルの好盤となっています。

"NEW LIFE"はテクニカルでファストなGtプレイから突進力のあるパワーメタル的な展開を見せ、朗々としたメロディアスなサビメロに至る楽曲。"THE ALLIANCE"は捻りの効いたGtリフとリズムパターンと、穏やかなヴァースから多彩なメロディを次々に繰り出すドラマティックな展開が印象的な楽曲。キラキラとしたKeyによるイントロから正統派HMっぽいGtリフが主導する"SOME DAY,ONE DAY"は、これもサビメロがなかなかに叙情的でメロディアス。GtソロはARCH ENEMY風で格好良い。ここまで聴いてきて、何かに似てるな・・・と思ってたんですが、SHADOW GALLERYに近いような気がしました。

リリカルなピアノのイントロで始まる"UNKEPT PROMISES"は要所でテクニカルなプレイが飛び出すものの、Gtリフを始めとする楽曲の構成やメロディ自体はメロディアスなパワーメタル調で非常に格好良い出来。"THE FALLEN ANGEL"は繊細なピアノに乗せて綴られるパワーバラードで、サビメロでは大仰な盛り上がりを見せます。"PEACE OF MIND"はデス声まで飛び出すデスラッシュ的な疾走パートと、如何にも彼等らしいメロディアスパワーメタル的なサビメロパートとのコントラストが強力な楽曲で、凄いインパクトがあります。

シンフォニックかつファンタジックなイントロに導かれる"FRONTIERS"は、ポジティヴに盛り上がるサビメロが印象的な楽曲。"SIGNS OF TIME"はキラキラしたKeyと小刻みなGtリフが絡み合いつつ、静かなヴァースから徐々に盛り上がっていくダイナミックな展開を見せる、如何にもプログレ・メタル的な楽曲。"CLOSE TO YOU"は非常にキャッチーなGtフレーズを伴いつつ、スピーディーに駆け抜けるパワーメタリックでストレートな疾走チューン。"A MAN I'LL NEVER BE"は、ヘヴィなGtリフがテクニカルなシンセフレーズと絡みながらジワジワと盛り上がって開放感のあるサビメロを迎えるドラマティックな楽曲。中間部での洗練された泣きメロを奏でるGtソロが良い感じ。

ネオクラシカルなプレイを信条としたGtが生み出す楽曲が、SYMPHONY Xっぽい印象を醸し出していたDGMですが、今回のメンバーチェンジによってネオクラシカルなムードは大きく後退し、先に触れたようにSHADOW GALLERYを更にパワーメタリックにしたようなスタイルになっています。アルバム全編で破綻のないテクニカルなプレイを繰り広げる高品質プログレ・メタルなんですが、ハイセンスでスムースなフレージングを聴かせるGtプレイは、ややエモーションに欠けるような印象を受けてしまうかも。ただ、楽曲自体はスラッシーなアレンジすらも取り込む貪欲な姿勢で、十分なインパクトを感じさせました。

07.7.9 (mon)
NIGHTRAGE「A NEW DISEASE IS BORN」元EXHUMATIONのギリシャ人Gt、MARIOS ILIOPOULOS率いるメロディックデスの07年3rdです。ジャケが死ぬ程格好良いので気になっていたんですが、どうやら内容も良いらしいので買ってみました。

デス声の咆哮と共に小気味良いGtリフが疾走する"SPIRAL"は、AT THE GATESタイプのスウェディッシュ・メロデスの典型的なパターンに、メタルコア的なクリーンVoでのシンガロングパートを導入した楽曲。"RECONCILE"はメロディアスなGtフレーズに始まり、アコギをバックにしたクリーンVoによるヴァースを経てデス声でのスクリームに繋がる、IN FLAMES的な慟哭ミドル。煽情力満点のGtソロもポイント高いです。"DEATH-LIKE SILENCE"は2バス連打の高速ドラミングから始まるデスラッシュ・チューンですが、中間部にはまたしてもクリーンVoによる大らかなシンガロングパートが設けられています。

"A CONDEMNED CLUB"も、ややピッチを落として叙情的なGtフレーズで聴かせる、一昔前のIN FLAMESに似たイエテボリ・スタイルの楽曲。ありがちな展開ではありますが、フレージングのセンスは秀逸で、終盤のタメの聴いたGtソロとか抜群の出来。"SCARS"も泣きを含ませたGtリフが楽曲をリードするIN FLAMESっぽい雰囲気満載なアップ〜ミドルテンポ。中盤で唐突に挿入されるクリーンVoパートはやや強引かも・・・。流麗なGtソロをイントロに配した"DE-FAME"は、デスラッシュ的な疾走パートと叙情フレーズが交錯するドラマティックな楽曲。

叙情的な泣きのGtフレーズを随所に散りばめつつ唐突な疾走と弛緩を繰り返す"SCATHING"は、DARK TRANQUILLITYの楽曲を彷彿とさせます。キャッチーと呼んでも良さそうなメロディアスなGtリフの"SURGE OF PITY"は、正に「WHORACLE」期のIN FLAMESそのままのスタイルを踏襲した楽曲。"ENCIRCLE"は突進力のあるDrとGtリフが怒濤のようにプッシュしてくるブルータルな楽曲ですが、中間部にはメロディアスなGtソロもフィーチュアされています。

"DRONE"はヴァースでは抑揚を抑えて、サビのバッキングで叙情メロを一気に炸裂させる少し毛色の変わったフックのあるミドル。"SPIRITUAL IMPULSE"も、細かく刻むメロディアスなGtフレーズを絡めつつ、ストップ&ゴーを繰り返すDARK TRANQUILLITYタイプの楽曲。本編ラストのタイトルトラック"A NEW DISEASE IS BORN"はアコギをバックに叙情的なGtソロが舞うメランコリックなインストで、余韻を持ってアルバムの幕を閉じます。ボーナストラックの"OSTENTATIOUS"は2ビートで疾走するAT THE GATES的な佳曲。

10年近く前のイエテボリ・スタイルを現代的なセンスで再構築したような楽曲は、新鮮さには欠けるものの、かつてのIN FLAMESに勝るとも劣らない秀逸なメロディセンスによって、非常に煽情力の高い高品質な出来映えになっています。

07.7.8 (sun)
BLOODBOUND「BOOK OF THE DEAD」スウェーデンのAORハード、STREET TALKのメンバーが結成した正統派HMバンドという事で、そのギャップの妙が気になっていたBLOODBOUNDですが、今作では叙情メロを歌わせたら天下一品な、元JADED HEARTのMICHAEL BORMANNを加えた驚きのラインナップでリリースした07年2nd。好盤との評価が高い1stを聴いてないのですが、今回は新作の感想を書いてみます。

ライヴでプレイされたらメロイックサインを掲げざるを得ないタイトルの"SIGN OF THE DEVIL"は、哀愁を帯びたGtフレーズと雄々しく重厚なサビメロが印象的な楽曲。スピーディーなGtフレーズからシンガロングを誘発するサビメロへの展開がドラマティック。"THE TEMPTER"はキャッチーな欧州HMという趣の楽曲で、フックのあるGtフレーズとポジティヴなサビメロが秀逸。終盤の「オーオーオー」というシンガロングパートはあざとさを感じさせるものの、ライヴでやったら超盛り上がりそう。

「Oi!Oi!」のシャウトから始まる"BOOK OF THE DEAD"はタイトなGtリフとグルーヴィーなBラインがリードするアップ〜ミドルテンポな楽曲ですが、タイトルコールに入る前のサビメロがあまりにも秀逸。メロディックスピードメタル的な小刻みなリフがスピーディーに疾走する"BLESS THE UNHOLY"は、ACCEPT的な漢コーラスを交えたサビメロの展開が良いフックになっています。"LORD OF BATTLE"はSTRATOVARIUSのアップテンポを彷彿とさせるGtフレーズと、全編に哀愁が刻み込まれた歌メロが秀逸な楽曲で、この哀愁メロは正にMICHAEL BORMANNの本領発揮で、サビメロの煽情力は超強力です。

そのタイトルで既にIRON MAIDENを連想させる"FLAMES OF PURGATORY"は、その名の通りMAIDEN的なギャロップリフをフィーチュアした楽曲で、メインのGtフレーズもモロMAIDEN。今の本家より断然格好良かったり。SONATA ARCTICA的な疾走感を感じさせるスピードチューン"INTO ETERNITY"は、高揚感のあるサビメロが超HELLOWEENタイプ。

モロに元ネタが透けて見える2曲に続いては、泣きのGtを存分にフィーチュアしたバラード"BLACK HEART"。やはりこういう曲を歌わせたらMICHAEL BORMANNは抜群に映えます。パワフルなスネアのヒットに乗せて芳醇なフレーズを奏でるGtがリードする"BLACK SHADOWS"は、これもSTRATOVARIUSのアップテンポを仄かに感じさせる楽曲で、ここでも「オーオーオー」のシンガロングパートが設けられています。"TURN TO STONE"は何の衒いも無い超HELLOWEENタイプの明朗なサビメロを擁したド直球なメロディックスピードメタル。「FEAR OF THE DARK」以降のIRON MAIDENそのまんまのイントロで始まる大作"SEVEN ANGELS"は、やはりメロディ自体が本家よりも魅力的な事もあって、その超MAIDENタイプのドラマティックな展開には終止惹き付けられます。"RIVERS OF PAIN"はボーナストラックなんですが、荘厳なKeyがゆったりと奏でられるインストっぽい楽曲で、アルバムのアウトロとして自然に機能しています。これは良い選曲。

パクリとは言わないまでも、どこかで聴いた事ある度満点な楽曲が相当な割合で含まれている本作。しかし丹念に磨き上げられた秀逸なフレージングを連発するツインGtプレイと、常に哀愁を帯びたキャッチーかつ勇壮な歌メロがアルバム全編に軸を通しているため、正統派HM〜メロディックスピードメタルの良質なエッセンスを詰め込んだ好盤というポジティヴな印象を抱けます。MICHAEL BORMANNの歌唱は、思いの外ハマっているな、という感想なんですが、彼の歌唱はやはり濃密な哀愁を滾らせるミドルテンポでこそ映えるので、基本的にスピーディーな楽曲が多いこの作風では、完璧に活かしきる事は難しいかもしれません。

EVENRUDE「ONE SIZE FITS ALL」ノルウェーの名プロデューサー/ソングライターの若かりし日のソロ89年2nd。前作「THIS OLE TOWN」よりもロック色が強くなって、プロダクションや楽曲の練り具合もアップグレードしたような作風。"DESPERADO"や"X-RAY SPECS"等、他のアーティストの作品で使い回しされている楽曲が数曲収録されていますが、その他の楽曲も概ね同じような雰囲気の産業ロック。爽やかなメロディをゴージャスな音作りで装飾した産業ミドル"NEVER SAY DIE"、じわりと胸に沁みる仄かな憂い系のメロディをフィーチュアしたパワーバラード"BROKEN HEART"、DEF LEPPARD的なファットなサウンドでデコレーションしたスケールの大きなR&Rチューン"25 YEARS OF ROCK 'N' ROLL"等、産業ロックのお手本のような楽曲揃い。好盤です。

WITHIN TEMPTATIONのライヴ@SHIBUYA AXに行ってきました。客入りは上々で、AXがかなり満杯に埋まってました。選曲は予想通り最新作中心。ライヴで新曲と過去曲を並べて聴いてしまうと、やはり新曲の物足りなさ、というか過去曲の強力さが一層際立ってしまったかな、と。"MOTHER EARTH"〜"SEE WHO I AM"〜"ANGELS"という悶絶3連発がショウのハイライトでした。しかし"MOTHER EARTH"は最強だな。僕の周りでも狂ったようにヘドバンしてた人が何人かいましたが、この曲の煽情力は半端じゃないね。あと、"WHAT HAVE YOU DONE"での男声シンガロングはライヴ映えするんで、この方向性は今後もやって欲しいな、と。全体的に品行方正でお行儀の良いライヴで、ライヴならではの熱さみたいなものは希薄だったんですが、完成度は高かったし、楽曲の魅力は充分に感じられたんで、良い出来だったんじゃないかと。Vo含め演奏陣のクオリティもほぼ完璧だったし。

07.7.2 (mon)
3 INCHES OF BLOOD「FIRE UP THE BLADES」カナダの若手HMの07年2ndフルレンス。メタルコアっぽい音なのかと勝手に思っていたら、サウンドのみならず、歌詞からジャケまでコテコテのド正統派パワーメタルで嬉しい驚き!

IRON MAIDENの"THE IDES OF MARCH"を彷彿させるマーチ調のインスト"THROUGH THE HORNED GATE"で幕を開ける本作は、またもMAIDEN的なギャロップリフが躍動する"NIGHT MARAUDERS"へと続きます。UDO DIRKSCHNEIDERを思わせるヒステリックなハイトーンとスクリーム型のデス声が絡むVoパートは、有りそうで無かった新鮮さがあります。ライヴ感を感じさせる中盤のシンガロングパートから一気に疾走感のあるソロパートに突入し、ハイテンションなサビの絶叫へ雪崩れ込む展開が最高に格好良い!オープニングの勢いをそのままに、スピーディーな疾走チューン"THE GOATRIDER'S HORDE"へ。終止血管がブチ切れそうなスクリームをかますVoが馬鹿馬鹿しい程にメタルでクール。中間部のドラマティックな展開もグッド。

"TRIAL OF CHAMPIONS"はタイトなGtリフを軸にしたアップテンポで、サビメロの裏ではオルガンのアレンジが入ってたりするのがちょっとしたフック。「KILL!KILL!KILL!」のスクリームと共にGtソロを迎えるのがメタルしてて良いなあ。"GOD OF THE COLD WHITE SILENCE"はAT THE GATESなんかを思わせるデスラッシュタイプのアグレッシヴな楽曲。サビの裏で奏でられる不穏な冷ややかさを纏ったGtフレーズや、叙情的なピアノを絡めたソロパートなんかに北欧デスの雰囲気を感じさせます。"FOREST KING"はツインGtのハーモニーリフや中間部のインストパートがモロにIRON MAIDENで、ドラマティックな展開を見せる特に正統派メタルな1曲。"DEMON'S BLADE"はストレートでスラッシーな高速チューン。"THE GREAT HALL OF FEASTING"はやや速度を落としたリフ中心の楽曲ですが、中間部では恒例のツインリードのMAIDEN的なフレーズが飛び出します。

ブラストビートとデスVoの咆哮から始まる"INFINITE LEGIONS"はブラックメタルにROB HALFOFRDのスクリームを加えたような趣のアグレッシヴな楽曲。インテンスさと芳醇なメロディを両立させたGtソロも格好良い。"ASSASINS OF THE LIGHT"は一転パワーメタルな雰囲気満載の楽曲で、歌メロも仄かにメロディアス。前曲のアウトロから間髪入れずタイトなハーモニーリフが切り込んでくる"BLACK SPIRE"は、いかにもオールドスクールなスラッシュメタル然としたヴァースから雄々しいGtフレーズのサビ〜メロディアスなGtソロへと展開するドラマティックな楽曲で、TRIVIUMの最新作に近い作風のような。

イントロのテクニカルなGtリフがクールな"THE HYDRA'S TEETH"は、リフオリエンテッドなスラッシュチューンで、サビメロの裏でピロピロと奏でられるGtフレーズが格好良い。本編ラストは勇壮で大仰なGtフレーズとピアノが絡むドラマティックなインスト"REJOICE IN THE FIRE OF MANS DEMISE"で締められます。この構築美が嬉しいところですが、もっと長い大作でも良かったかな。ボーナストラックの"NOCTURNAL COMMAND"は雄々しいGtフレーズを軸に据えたアップ〜ミドルテンポの楽曲で、中間部の勇ましくもドラマティックな展開も良い感じ。

IRON MAIDENの楽曲をスラッシーにプレイし、PANTERA以降のモダンなサウンドにアップグレードして、UDO DIRKSCHNEIDERとデス声のツインVoを乗せた、というような雰囲気。現代に充分通用するアグレッションを備えつつも、オールドスクールなメタラーも満足させるメタルのツボを押さえたアルバムに仕上がっています。

今年の目標は新譜を聴く!です。BEST10を今年のアルバムだけにしようと思ってます。ただ、そうなると他のサイトとの差別化ができないような気も・・・。最近は長文の感想が増えてきて、読みにくいということなので、改行入れてみました。

07.7.1 (sun)
NEDY JOHN CROSS「ON AND ON」ブルガリアのメロディアスハード94年作。MINATON名義でゼロから日本盤も出てました。KLAUS MEINE似のハイトーンVoで、ゴージャスなオーケストレーションを施したキャッチーな楽曲を歌い上げます。爽やかで透明感のあるアップテンポ"RUN TO WIN"、ドラマティックな展開を見せる華麗なバラードのタイトルトラック、重厚で大仰なアレンジの物悲しいバラード"DOWN BY THE QUAY"、ハイライトチューンでもあるスリリングな疾走チューン"HIGHLIFE IN THE NIGHT"等が特に良い。何曲かブルーズテイストのある楽曲もあって曲調にバラつきもあるものの、出来は良いです。

O.S.T.「ST.ELMO'S FIRE」同名映画のサントラ85年作。DAVID FOSTERプロデュースで全編産業ロックのオンパレード。タイトルトラックを歌うJOHN PARRを筆頭に、BILLY SQUIER、JOHN ELEFANTE、JON ANDERSON(YES)、FEE WAYBILL、RICHARD MARX、AIRPLAYと錚々たるメンツが揃っています。楽曲のクオリティも抜群。

PAM MARK HALL「PALER SHADE」アメリカの女性AORシンガー93年作。アコースティックでフォーキーなアレンジの穏やかな楽曲。そのメロディは叙情的で繊細、どこか懐かしさを誘う郷愁に溢れており、胸に迫るものがあります。

PASSION STREET「MILLION MILES AWAY」イギリスのメロディアスハード94年作。スペーシーなKeyをフィーチュアしたJOURNEYタイプの楽曲。Voが弱いですが、楽曲は非常にハイクオリティです。

PAUL JANZ「ELECTRICITY」カナダの産業ロッカーの87年2nd。爽快なアップテンポから美しいバラードまで、ゴージャスなアレンジで聴かせる売れ線産業サウンド。次作の「RENEGADE ROMANTIC」よりもロック寄りの躍動感が感じられます。超高品質でキャッチーな楽曲揃い。

PAUL JANZ「RENEGADE ROMANTIC」カナダの産業ロッカーの90年作。より洗練されAOR寄りになった3rd。その素晴らしいメロディセンスは変わらず冴えており、特に爽快な産業ロックチューン"EVERY LITTLE TEAR"は名曲。

PAUL JANZ「PRESENCE」カナダの産業ロッカーの92年ベスト盤。87年の1st「HIGH STRUNG」〜90年の3rd「RENEGADE ROMANTIC」から満遍なく選曲した12曲+未発表1曲という構成。ゴージャスなアレンジを施したキャッチーな楽曲揃いで、彼のアルバムのクオリティの高さを物語る内容。

PETRA「BEYOND BELIEF」アメリカのクリスチャンHRの大御所90年作。彼等のアルバムの中でも一番HR色が強く、結構ヘヴィなGtリフが出てきたりしますが、美しいメロディときらびやかなKeyアレンジは健在。

PETRA「NOT OF THIS WORLD」クリスチャン・メロディアスハードの大御所PETRAの全盛期83年作。この時期はあまりゴージャスなプロダクションではなく、スペーシーなKeyと繊細なGtで叙情的な美しいメロディをじっくり聴かせるという楽曲が目立ちます。ハードさではこれ以降のアルバムに劣りますが、メロディの叙情性/美しさという意味ではこのアルバムが一番かもしれません。

PHENOMENA「S.T」TOM GALLEY主催による豪華メンツが参加したイギリスのメロディアスハードの1st。参加メンツは、COZY POWELL、NEIL MURRAY、GLENN HUGHES、DON AIREY等。スペーシーなKeyアレンジに、憂いとソウルをタップリ含んだ歌メロを乗せた楽曲。このアルバムの聴き所は何と言ってもメロハーを歌うGLENN HUGHESで、ソウルフルな歌い回しだけでなく、このテのメロディを歌わせても絶品の歌唱を聴かせてくれます。どの曲の出来も秀逸なんですが、アイリッシュなメインフレーズが躍動する"DANCE WITH THE DEVIL"、O'RYANのアルバムにも収録されているソウルフルなAORハード"BELIEVE"、泣きのGtフレーズに哀愁メロが絡む"TWILIGHT ZONE"等が特に素晴らしい。名盤。

PHENOMENA II「DREAM RUNNER」TOM GALLEY主催による豪華メンツが参加したイギリスのメロディアスハードの2nd。参加メンツは更にバラエティ豊かになり、SCOTT GORHAM、JOHN WETTON、RAY GILLAN、MAX BACON、山本恭二等々。サウンドは前作同様スペーシーなKeyアレンジを施したファットな音像ですが、COZYがいなくなったせいか、スネアの音が若干軽いような。楽曲の方も前作と同じく哀愁メロをフィーチュアしたメロハー曲が多数収録されているんですが、ほぼ全て憂いを帯びた楽曲だった前作に比べると、"HEARTS ON FIRE"や"DOUBLE 6,55,DOUBLE 4"あたりは爽やかなメロディが中心になっていたりします。個人的には前作の方がやや好みですが、これもやはり名盤かと。

PHENOMENA III「INNER VISION」TOM GALLEY主催によるイギリスのメロディアスハードの3rd。今作では豪華なゲストの参加は無く、SCOTT GORHAM、O'RYAN、KEITH MURELL、BRIAN MAYといった固定メンツで制作されています。アルバム全体が「英国感」とでも呼ぶべきモヤッとした陰りを帯びていた前2作と比べると、この3rdでは何か凄くクリアな音像になっています。2ndに比べてもメロディから憂いが更に減ってしまっているのが痛いですし、"ROCK HOUSE"や"IF YOU WANT TO ROCK"のようなリフオリエンテッドなロック曲が入ってるのも個人的にはマイナス。KEITH MURELLのVoも悪くは無いのですが、神レベルの人達が揃った前作までと比べると見劣りしてしまうのは致し方無いところ。結果的に右肩下がりの出来映えと言わざるを得ません。勿論悪くは無いですが。

PHIL CRISTIAN「NO PRISONER」後にBIG MOUTHを結成するVo兼Keyのソロ97年再発盤。Keyをたっぷりフィーチュアしたキャッチーな哀愁メロディアスハード。本人のVoが少し弱いものの、メロディは素晴らしい出来です。

PLATINUM BLONDE「ALIEN SHORES」カナダのハードポップ85年作。軽快なGtときらびやかなKeyアレンジのダンサブルなハードポップ。躍動感のあるキャッチーなメロディが良い感じで、DURAN DURANに近い雰囲気も感じられます。

POINT OF GRACE「STEADY ON」アメリカの女性4人組CCMコーラスグループ98年作。BROWN BANNISTERプロデュース。過去作同様、透明感のあるコーラスワークをフィーチュアした美しい楽曲。バラードだけでなく、ある程度の躍動感を備えた楽曲もあり、特に"AMAZING"の歌メロは秀逸な出来。

QUIET RIOT「METAL HEALTH」アメリカンHRの83年作。大ヒットした"CUM ON FEEL THE NOIZE"収録。非常に完成度の高いキャッチーな楽曲揃い。

QWEST「TAMPICO GOLD」カナダのメロディアスハード81年1st。2ndのような重厚なアレンジではなく、初期DAKOTAのようなウエストコースト風の軽いサウンド。哀愁メロディのクオリティはこの1stにして確かなものが感じられます。

QWEST「DREAM ZONE」カナダのメロディアスハード84年名盤2nd。産業ロック的に洗練されたKeyアレンジに、ちょっとハスキーでマイルドな声質のVoがAXEを思わせるような哀愁メロを歌い上げる楽曲。終始泣きのGtフレーズが乱舞する哀愁アップテンポ"WE NEED LOVE"、爽快でポジティヴでいて胸にグッとくるハートウォーミングなメロディの軽快アップテンポ"(I DON'T WANNA)BREAK YOUR HEART"は名曲。

RACHEL RACHEL「WAY TO MY HEART」アメリカのCCM女性5人組の91年1st。WHITE HEARTのBILLY SMILEYプロデュース。キャッチーなメロディを繊細でドラマティックなアレンジと美しいコーラスワークで聴かせるハイクオリティな楽曲。KANSAS名曲"CARRY ON WAYWARD SON"をカヴァーしていますが、それがアルバムの中で浮いていないのがアルバムのクオリティを証明していると言えます。

RACHEL RACHEL「YOU OUGHTA KNOW BY NOW」アメリカのCCM女性5人組の93年2nd。WHITE HEARTのBILLY SMILEYプロデュース。1stも非常に出来の良いアルバムでしたが、この2ndは更にそれを上回り、CCMの産業ロックアルバムの中でもトップクラスのクオリティだと思います。ポップな1stにHR的なダイナミズムと哀愁のフックを加えたような雰囲気で、産業ロック期のHEARTのようなスタイル。

RALPH VAN MANEN「VESSEL OF WEAKNESS」オランダのCCMシンガーの98年作。ややアコースティック寄りのアレンジで、ジワリと胸に滲みるハートウォーミングなメロディを聴かせてくれるアルバム。仄かに憂いを帯びた繊細でしなやかな楽曲はRICHARD MARX辺りを思わせます。特に"MYSTERY OF LOVE"やタイトルトラックでの切ないメロディは秀逸な出来。

RANSOM「SOUL ASYLUM」アメリカの女性Vo入りクリスチャンHR92年作。かなりヘヴィなリフを聴かせるGtとハスキーでパワフルなVo。リフ主体のダイナミックなHMとメロウでキャッチーな楽曲が混在。

RED DAWN「NEVER SAY SURRENDER」元RAINBOWのKeyのDAVID ROSENTHAL率いるメロディアスハード94年作。タイトル通りの爽快さが気持ち良い「FLYIN' HIGH」、後期RAINBOWを思わせる哀愁ハード「LIAR」等、佳曲が数多く収録された好盤。

REDSEA「BLOOD」GOTTHARDのSTEVE LEEを思わせる熱くブルージーな歌唱を聴かせる実力派シンガーを擁するアメリカのメロディアスハード94年作。初期GOTTHARDが好きな方にオススメ。

RETURN「ATTITUDES」ノルウェーのメロディアスハードのレアな88年2nd。爽やかでポップな楽曲も良い出来ですが、このバンドの肝は郷愁を誘う哀愁バラードで、その煽情力は強力。

RICK CUA「WEAR YOUR COLORS」アメリカのCCM産業ロッカーの86年作。例によってBOB HALLIGAN JR.提供の楽曲が多数収録されています。後にはAOR化していく彼の作品ですが、このアルバムではかなりロック色の強い産業ロックをプレイしており、"LEMME AT 'EM"や"LINE OF FIRE"あたりは哀愁メロディアスハードと言っても良いような格好良い楽曲に仕上がっています。

RICK CUA「WITHIN REACH」CCMシンガーの91年作。ELEFANTE兄弟プロデュースで、約半数がBOB HALLIGAN JR.提供の楽曲。躍動感のあるキャッチーなハードポップ系の楽曲多数。特に中盤で充実したメロディアスな楽曲が楽しめます。

RICK PRICE「HEAVEN KNOWS」オーストラリアのシンガーソングライターの名盤92年作。比較的シンプルなアレンジの爽快で軽やかなAORを、ソウルフルかつマイルドな極上ハイトーンVoで歌い上げる楽曲。

RIFF「MISSION LOVE」詳細不明ですが、恐らくイギリスのメロディアスハード89年作。どこかニューウェーブ的な気怠さも感じさせる哀愁メロハー。"ELAINE"は強力なフックをもつ哀愁メロが光るキラーチューン。マイナーですが、哀愁好きにはオススメできるアルバム。

RIK EMMETT「ABSOLUTELY」元TRIUMPHのVo兼Gtソロ90年作。ブルージーなGtリックを随所に聴かせつつアップテンポに疾走する"DRIVE TIME"、ポップかつ感動的なメロディの"SAVED BY LOVE"、TRIUMPHでやってもおかしくない威厳のあるミドルテンポ"STAND AND DELIVER"、センチメンタルな哀愁バラード"HEAVEN ONLY KNOWS"等、バラエティに富んだ内容ながら、比較的メロウサイドに重点を置いた楽曲構成。TRIUMPHと同等かそれ以上に彼のメロディメイカーとしての才能を感じる事ができるアルバム。

ROBERT BERRY「IN THESE EYES」3〜ALLIANCE等に在籍したROBERT BERRYの94年ソロ。少しプログレハード風味のある産業ロック/メロディアスハードで、哀愁の効いたメロディが素晴らしい1枚。

ROKBOX「S.T」ABSOLUTE ZEROのメンバー2人が97年にリリースしたカナダのマイナーメロディアスハード。爽やかで躍動感のあるJOURNEYタイプの楽曲で、プロダクションは良く無いですが、メロディはハイクオリティ。

ROSE「A TASTE OF NEPTUNE」カナダのプログレハード77年作。韓国での再発盤。時代柄多少古臭いサウンドではありますが、そんな事はどうでも良く感じられる程のドラマティックでメロディアスな楽曲。特に強烈な泣きを発散するGtを中心とた哀愁メロディの煽情力は半端ではなく、TAI PHONE辺りと比較しても決して劣っていないと思わせる程。名盤。

RUSCHA「COME ALIVE」アラスカのCCM88年作。何故か1曲目のタイトルトラックが一番弱い楽曲なので、出だしに肩透かしを食らいますが、その後はタイトなリズムとキレのあるGtをフィーチュアしたWHITE HEARTタイプの楽曲の連発。特にヴァースのメロディ展開が秀逸な"SOMEONE LISTENING"、ポジティヴで感動的な盛り上がりを見せる"COME HOME"、アーバンな哀愁メロを軽やかに聴かせる"EXALT THE NAME"等は素晴らしい出来。

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